お見合いで一目惚れ!? 5話
ー/ー「なので、そんな心配はしないでください。そして、同じことを、エリカ嬢にお願いしますね」
「ふふっ、かしこまりました。これから、よろしくお願いいたします、レオンハルトさま」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします、エリカ嬢」
互いに頭を下げあって、顔を上げると視線が交わる。
照れたように笑う彼の姿に、胸の奥がきゅんと高鳴るのを感じた。
――私も、誠実にしたい。
婚約破棄を宣言されてから二週間くらいが経っているけれど、婚約者だった期間は八年もあるのよね。
すべての男性がダニエル殿下のような人ではないと、信じている。
「レオンハルトさま、我が家の温室に案内いたしますわ」
「温室、ですか?」
「はい。……私のお気に入りの場所ですの」
「それは、とても興味深いですね」
すくっと立ち上がり、一緒に温室に向かうことにした。
温室には今、いろいろな花が咲いているから、見飽きないだろう。
……とはいえ、男性は花に興味ないかしら?
少し不安を抱きつつも、レオンハルトさまとともに温室へ足を運ぶ。
途中でメイドに温室へお茶とお茶菓子を用意するように頼むと、彼女はぱぁっと表情を明るくさせて、「かしこまりました」と頭を下げて、意気揚々と去っていった。
「レームクール伯爵家の使用人は、みんな親切な人ですね」
「そうですか?」
「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは戦友のようなものなので、結構きついことを言うこともあるし、態度で示すこともあるんですよ」
「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……その頃からの付き合いなのですか?」
「ええ。騎士団は寮で……そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことを思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」
ゾッとすることってなにかしら?
騎士団の人たちがゾッとすること……命の危機……?
「尊敬する師とは、どのような方でしたか?」
「騎士の在り方を、その身で魅せてくれた方です」
騎士の在り方……それは、弱きを助け、強気を挫く。
武勇に優れ信義を貫き、寛容を持ち敬虔な態度を取り、礼儀を守る。
それが騎士道と伝えられていること。
「それは、とても素敵な方なのでしょうね」
「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですよ」
「そうでしたの……一度お会いしてみたかったので、残念ですわ」
騎士道を貫き通した方を、一度見てみたかった。
「でしたら、いつか会いにいきましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」
「それは楽しみですわ」
レオンハルトさまと一緒に旅をすることを想像して、笑みを浮かべる。
だって、楽しそうなのだもの。
彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。
温室の扉を開けて中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。
「……これは、すごい……」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」
さっと扇子を取り出して広げ、口元を隠して微笑んだ。
中には色とりどりの薔薇が咲き誇っている。
もちろん、ただ咲かせているだけではない。
この薔薇は精油にしたり、ジャムにしたりといろいろ楽しめるもの。
濃厚な薔薇の香りはその人の印象を華やかにするし、ジャムにすれば美味しくいただくことができる。
もちろんローズティーにしてもいい。
つまり、レームクールの薔薇はなんにでも使えるということだ。
「……あの、エリカ嬢。どのようなアクセサリーがお好きですか?」
温室の真ん中に、テーブルと椅子が用意されている。
これは温室の花々を楽しむためにセッティングされたもので、私が生まれる前から置いてあるらしい。
椅子に座り、真剣な表情を浮かべてそう問いかけるレオンハルトさま。
思わず目を丸くしてから、言葉の意味を理解した。
「このくらいの、シンプルなものが好きですわ。どんな服装にも合いますし、軽いと身につけているのも楽ですから」
自身の首元を指して、にこりと微笑みを浮かべる。
「それは……少し、意外ですね。数年前にお見かけしたときは、このくらいの大きな宝石のネックレスをしていたので……」
両手を使って「このくらい」と丸を作るレオンハルトさまの姿を見て、なんだか愛らしさを感じてしまった。
だって、身長が高くて、騎士団に所属していたからかガッチリとした体格の男性が、両手で丸を作っているのよ?
これは……ギャップ萌え、というやつかしら?
それにしても、数年前の宝石のことをよく覚えていらっしゃる、と感心した。
確かに数年前のパーティーの日、そのくらいの大きさの宝石を身につけていた。……とても肩が凝ったので、それはもう使っていない。
「それはおそらく、ダンスパーティーのときですわね。ダニエル殿下と踊ったので……え、あのダンスパーティー、レオンハルトさまもいらっしゃっていたのですか!?」
確か三年前、学園の入学前に行われたダンスパーティーのときだわ。
あのときは、殿下の婚約者としてあの場にいたから……
人は見た目で印象が決まる。
ダニエル殿下の婚約者として、背伸びをしていたのだ。
正直に言うと、見栄でもあったわ。
きれいなドレスを身にまとい、きらびやかな宝石を誇示するように見せつける。
それがあのときの戦闘服。
「それでは、正確には初めまして、ではありませんね……」
「いえ、遠目から見ていただけなので。……きれいな人だな、と」
目元を伏せて微笑み、頬をかく姿に鼓動がドキッと跳ねる。
まさか、そんなことを言われるとは思わなかったから……!
確かにきれいであるように努力はしているけれど、それを直接、そしてオブラートにも包まず伝えられるのって、とっても心がドキドキするのね……!
「ふふっ、かしこまりました。これから、よろしくお願いいたします、レオンハルトさま」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします、エリカ嬢」
互いに頭を下げあって、顔を上げると視線が交わる。
照れたように笑う彼の姿に、胸の奥がきゅんと高鳴るのを感じた。
――私も、誠実にしたい。
婚約破棄を宣言されてから二週間くらいが経っているけれど、婚約者だった期間は八年もあるのよね。
すべての男性がダニエル殿下のような人ではないと、信じている。
「レオンハルトさま、我が家の温室に案内いたしますわ」
「温室、ですか?」
「はい。……私のお気に入りの場所ですの」
「それは、とても興味深いですね」
すくっと立ち上がり、一緒に温室に向かうことにした。
温室には今、いろいろな花が咲いているから、見飽きないだろう。
……とはいえ、男性は花に興味ないかしら?
少し不安を抱きつつも、レオンハルトさまとともに温室へ足を運ぶ。
途中でメイドに温室へお茶とお茶菓子を用意するように頼むと、彼女はぱぁっと表情を明るくさせて、「かしこまりました」と頭を下げて、意気揚々と去っていった。
「レームクール伯爵家の使用人は、みんな親切な人ですね」
「そうですか?」
「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは戦友のようなものなので、結構きついことを言うこともあるし、態度で示すこともあるんですよ」
「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……その頃からの付き合いなのですか?」
「ええ。騎士団は寮で……そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことを思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」
ゾッとすることってなにかしら?
騎士団の人たちがゾッとすること……命の危機……?
「尊敬する師とは、どのような方でしたか?」
「騎士の在り方を、その身で魅せてくれた方です」
騎士の在り方……それは、弱きを助け、強気を挫く。
武勇に優れ信義を貫き、寛容を持ち敬虔な態度を取り、礼儀を守る。
それが騎士道と伝えられていること。
「それは、とても素敵な方なのでしょうね」
「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですよ」
「そうでしたの……一度お会いしてみたかったので、残念ですわ」
騎士道を貫き通した方を、一度見てみたかった。
「でしたら、いつか会いにいきましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」
「それは楽しみですわ」
レオンハルトさまと一緒に旅をすることを想像して、笑みを浮かべる。
だって、楽しそうなのだもの。
彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。
温室の扉を開けて中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。
「……これは、すごい……」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」
さっと扇子を取り出して広げ、口元を隠して微笑んだ。
中には色とりどりの薔薇が咲き誇っている。
もちろん、ただ咲かせているだけではない。
この薔薇は精油にしたり、ジャムにしたりといろいろ楽しめるもの。
濃厚な薔薇の香りはその人の印象を華やかにするし、ジャムにすれば美味しくいただくことができる。
もちろんローズティーにしてもいい。
つまり、レームクールの薔薇はなんにでも使えるということだ。
「……あの、エリカ嬢。どのようなアクセサリーがお好きですか?」
温室の真ん中に、テーブルと椅子が用意されている。
これは温室の花々を楽しむためにセッティングされたもので、私が生まれる前から置いてあるらしい。
椅子に座り、真剣な表情を浮かべてそう問いかけるレオンハルトさま。
思わず目を丸くしてから、言葉の意味を理解した。
「このくらいの、シンプルなものが好きですわ。どんな服装にも合いますし、軽いと身につけているのも楽ですから」
自身の首元を指して、にこりと微笑みを浮かべる。
「それは……少し、意外ですね。数年前にお見かけしたときは、このくらいの大きな宝石のネックレスをしていたので……」
両手を使って「このくらい」と丸を作るレオンハルトさまの姿を見て、なんだか愛らしさを感じてしまった。
だって、身長が高くて、騎士団に所属していたからかガッチリとした体格の男性が、両手で丸を作っているのよ?
これは……ギャップ萌え、というやつかしら?
それにしても、数年前の宝石のことをよく覚えていらっしゃる、と感心した。
確かに数年前のパーティーの日、そのくらいの大きさの宝石を身につけていた。……とても肩が凝ったので、それはもう使っていない。
「それはおそらく、ダンスパーティーのときですわね。ダニエル殿下と踊ったので……え、あのダンスパーティー、レオンハルトさまもいらっしゃっていたのですか!?」
確か三年前、学園の入学前に行われたダンスパーティーのときだわ。
あのときは、殿下の婚約者としてあの場にいたから……
人は見た目で印象が決まる。
ダニエル殿下の婚約者として、背伸びをしていたのだ。
正直に言うと、見栄でもあったわ。
きれいなドレスを身にまとい、きらびやかな宝石を誇示するように見せつける。
それがあのときの戦闘服。
「それでは、正確には初めまして、ではありませんね……」
「いえ、遠目から見ていただけなので。……きれいな人だな、と」
目元を伏せて微笑み、頬をかく姿に鼓動がドキッと跳ねる。
まさか、そんなことを言われるとは思わなかったから……!
確かにきれいであるように努力はしているけれど、それを直接、そしてオブラートにも包まず伝えられるのって、とっても心がドキドキするのね……!
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「なので、そんな心配はしないでください。そして、同じことを、エリカ嬢にお願いしますね」
「ふふっ、かしこまりました。これから、よろしくお願いいたします、レオンハルトさま」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします、エリカ嬢」
「ふふっ、かしこまりました。これから、よろしくお願いいたします、レオンハルトさま」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします、エリカ嬢」
互いに頭を下げあって、顔を上げると視線が交わる。
照れたように笑う彼の姿に、胸の奥がきゅんと高鳴るのを感じた。
――私も、誠実にしたい。
婚約破棄を宣言されてから二週間くらいが経っているけれど、婚約者だった期間は八年もあるのよね。
すべての男性がダニエル殿下のような人ではないと、信じている。
「レオンハルトさま、我が家の温室に案内いたしますわ」
「温室、ですか?」
「はい。……私のお気に入りの場所ですの」
「それは、とても興味深いですね」
「温室、ですか?」
「はい。……私のお気に入りの場所ですの」
「それは、とても興味深いですね」
すくっと立ち上がり、一緒に温室に向かうことにした。
温室には今、いろいろな花が咲いているから、見飽きないだろう。
……とはいえ、男性は花に興味ないかしら?
少し不安を抱きつつも、レオンハルトさまとともに温室へ足を運ぶ。
途中でメイドに温室へお茶とお茶菓子を用意するように頼むと、彼女はぱぁっと表情を明るくさせて、「かしこまりました」と頭を下げて、意気揚々と去っていった。
「レームクール伯爵家の使用人は、みんな親切な人ですね」
「そうですか?」
「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは戦友のようなものなので、結構きついことを言うこともあるし、態度で示すこともあるんですよ」
「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……その頃からの付き合いなのですか?」
「ええ。騎士団は寮で……そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことを思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」
「そうですか?」
「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは戦友のようなものなので、結構きついことを言うこともあるし、態度で示すこともあるんですよ」
「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……その頃からの付き合いなのですか?」
「ええ。騎士団は寮で……そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことを思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」
ゾッとすることってなにかしら?
騎士団の人たちがゾッとすること……命の危機……?
「尊敬する師とは、どのような方でしたか?」
「騎士の在り方を、その身で|魅《み》せてくれた方です」
「騎士の在り方を、その身で|魅《み》せてくれた方です」
騎士の在り方……それは、弱きを助け、強気を|挫《くじ》く。
武勇に優れ信義を貫き、寛容を持ち|敬虔《けいけん》な態度を取り、礼儀を守る。
それが騎士道と伝えられていること。
「それは、とても素敵な方なのでしょうね」
「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですよ」
「そうでしたの……一度お会いしてみたかったので、残念ですわ」
「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですよ」
「そうでしたの……一度お会いしてみたかったので、残念ですわ」
騎士道を貫き通した方を、一度見てみたかった。
「でしたら、いつか会いにいきましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」
「それは楽しみですわ」
「それは楽しみですわ」
レオンハルトさまと一緒に旅をすることを想像して、笑みを浮かべる。
だって、楽しそうなのだもの。
彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。
温室の扉を開けて中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。
「……これは、すごい……」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」
さっと扇子を取り出して広げ、口元を隠して微笑んだ。
中には色とりどりの薔薇が咲き誇っている。
もちろん、ただ咲かせているだけではない。
この薔薇は精油にしたり、ジャムにしたりといろいろ楽しめるもの。
濃厚な薔薇の香りはその人の印象を華やかにするし、ジャムにすれば美味しくいただくことができる。
もちろんローズティーにしてもいい。
つまり、レームクールの薔薇はなんにでも使えるということだ。
「……あの、エリカ嬢。どのようなアクセサリーがお好きですか?」
温室の真ん中に、テーブルと椅子が用意されている。
これは温室の花々を楽しむためにセッティングされたもので、私が生まれる前から置いてあるらしい。
椅子に座り、真剣な表情を浮かべてそう問いかけるレオンハルトさま。
思わず目を丸くしてから、言葉の意味を理解した。
「このくらいの、シンプルなものが好きですわ。どんな服装にも合いますし、軽いと身につけているのも楽ですから」
自身の首元を指して、にこりと微笑みを浮かべる。
「それは……少し、意外ですね。数年前にお見かけしたときは、このくらいの大きな宝石のネックレスをしていたので……」
両手を使って「このくらい」と丸を作るレオンハルトさまの姿を見て、なんだか愛らしさを感じてしまった。
だって、身長が高くて、騎士団に所属していたからかガッチリとした体格の男性が、両手で丸を作っているのよ?
これは……ギャップ萌え、というやつかしら?
それにしても、数年前の宝石のことをよく覚えていらっしゃる、と感心した。
確かに数年前のパーティーの日、そのくらいの大きさの宝石を身につけていた。……とても肩が凝ったので、それはもう使っていない。
「それはおそらく、ダンスパーティーのときですわね。ダニエル殿下と踊ったので……え、あのダンスパーティー、レオンハルトさまもいらっしゃっていたのですか!?」
確か三年前、学園の入学前に行われたダンスパーティーのときだわ。
あのときは、殿下の婚約者としてあの場にいたから……
人は見た目で印象が決まる。
ダニエル殿下の婚約者として、背伸びをしていたのだ。
正直に言うと、見栄でもあったわ。
きれいなドレスを身にまとい、きらびやかな宝石を|誇示《こじ》するように見せつける。
それがあのときの戦闘服。
「それでは、正確には初めまして、ではありませんね……」
「いえ、遠目から見ていただけなので。……きれいな人だな、と」
「いえ、遠目から見ていただけなので。……きれいな人だな、と」
目元を伏せて微笑み、頬をかく姿に鼓動がドキッと跳ねる。
まさか、そんなことを言われるとは思わなかったから……!
確かにきれいであるように努力はしているけれど、それを直接、そしてオブラートにも包まず伝えられるのって、とっても心がドキドキするのね……!