⑧ 頁 canaria 様part
ー/ー
「そうだけど……」
「それに、そんな壊れた傘なんて持っていても仕方ないよ」
壊れた傘。
確かに、そうかもしれない。こんなにも僕の体をびしょびしょに濡らしているのだから、本来の意味はなしていない。
それでも、この傘に愛着を覚えた。こんな物を持っていたら不審がられてもおかしくないのに……
僕は馬鹿なのかもしれない。いや、馬鹿なのだろう。
だって、この傘は彼女の気を引くためだけに拾った傘。ふと、思い立っただけで意味などはありはしない。
意地悪を仕掛けたのはこちらはずなのに、いつの間にか形勢逆転とでもいったかのように彼女にリードを奪われてしまった。
「なぁ、それなら君はどうなの?」
「なにが?」
「君には、この傘はいらないものなの?」
なんて馬鹿らしい事を聞いているんだ。
誰のでもない傘で、役割を果たさなくなった傘で、彼女から捨てようと提案された傘。
こんな物なんて捨ててしまえば、僕のこのちっぽけな愛着などすぐ消え去るのも目に見えてわかる。
「ふふ」
「どうしたのさ」
「私に敵うとでも思った?」
やはり、今日も完敗って所なのかな。
いつもこうだ。
彼女の気を引こうと、あの手この手を尽くしても軽やかにかわされてしまう。
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壊れた傘。
確かに、そうかもしれない。こんなにも僕の体をびしょびしょに濡らしているのだから、本来の意味はなしていない。
それでも、この傘に愛着を覚えた。こんな物を持っていたら不審がられてもおかしくないのに……
僕は馬鹿なのかもしれない。いや、馬鹿なのだろう。
だって、この傘は彼女の気を引くためだけに拾った傘。ふと、思い立っただけで意味などはありはしない。
意地悪を仕掛けたのはこちらはずなのに、いつの間にか形勢逆転とでもいったかのように彼女にリードを奪われてしまった。
「なぁ、それなら君はどうなの?」
「なにが?」
「君には、この傘はいらないものなの?」
なんて馬鹿らしい事を聞いているんだ。
誰のでもない傘で、役割を果たさなくなった傘で、彼女から捨てようと提案された傘。
こんな物なんて捨ててしまえば、僕のこのちっぽけな愛着などすぐ消え去るのも目に見えてわかる。
「ふふ」
「どうしたのさ」
「私に敵うとでも思った?」
やはり、今日も完敗って所なのかな。
いつもこうだ。
彼女の気を引こうと、あの手この手を尽くしても軽やかにかわされてしまう。