3知る
ー/ー 日々の新しいできごとに精一杯、気がつけば一週間なんてあっという間に過ぎて行く。部活の二日目以降は、ほぼ仮入部みたいなものだった。休憩をこまめに挟んでもらいつつ、筋トレや走り込みも先輩達に混じってやる。
参加して感じたが、やはり部長はテンポが遅れるとすぐ怒鳴っているのでめちゃくちゃ怖い。仲間の吉田は体力が無いようで、走り込みではすぐへばっていた。こいつは入部したら絶対目をつけられるだろうな。さすがに今週は俺も疲れてへばったが、多分問題ないだろう。
週末は約束通り怜の家に行く。昼ごはんを手早く食べて向かった。今日は母さんから手土産を持たされ、連絡先も聞いてくるように厳命されている。
怜は漫画もそこそこ好きらしく、今日はお互いの漫画を交換する予定だから、漫画に土産まで加わって、大荷物だ。
怜のお母さんはいつも通り迎え入れてくれた。お土産を渡すと、そのまま二階の怜の部屋に入る。
「お前の部屋、綺麗すぎない?」
「そう?」
散らかりもなく、物は全て整頓され定位置に収まっていた。壁に貼られている写真や置かれている小物を見ると、まるで大人の部屋のようだ。
俺が部屋を見回していると、怜はスライド式の本棚を開けた。そして奥から漫画のシリーズ一式を出して床に置く。俺も紙袋から漫画の山を取り出した。
二人して黙々と漫画を読む。巻の合間に、お互いの感想や気に入ったキャラについて語りながら休憩した。
その時ふと、棚の上にカメラが置いてあることに気がつく。一眼レフカメラが二台あった。
「なぁ、あれって怜のなの?」
俺の視線の先にあるものを見て「そうだけど?」と、不思議そうに返してきた。
「触ってもいい?」
「いいよ。興味あるの?」
「一眼レフなんて触ったことないからさ……うわ重っ!」
想像より重くて一瞬落としそうになり、冷や汗が出た。そんな俺を見て笑いながら、カメラに付いていたレンズのキャップを外してくれる。
「ここ電源。この上の丸押したら撮れるよ」
「へ〜」
怜の指示通りボタンを押してみた。軽いシャッター音がして、モニターに撮れたての写真が映る。
「すげー!かっこいいじゃん!」
「上手いんじゃない?良かったらそのカメラ貸してあげるよ」
「え?いいの?」
「それお父さんのお下がりなんだけど、だいぶ古いやつだから。僕はもう自分のカメラしか使ってないし、いいよ」
「サンキュー!そこの窓から外撮ってもいい?」
「いいよ。そしたら、上にあるこのダイヤルを回して……」
さらに詳しい操作を教えてもらいながら、色々撮り方を試してみた。俺の家には普通のデジカメしか無かったし、触ると怒られてたから凄く新鮮だ。
しかも一眼レフなんてカッコよすぎるな。
そう思って首にぶら下げて帰ったら、すぐさま母さんに見つかった。
「陽介、それどうしたの!?」
「怜に借りた」
「借りた?あんた、そんな高いもの壊したらどうするのよ!」
なぜかめちゃくちゃ怒られる。一眼レフってそんなに高いのか。
「怜くんのお家に電話するから、連絡先早く教えなさい!」
慌てている母さんに、今日教えてもらった連絡先を早速渡す。電話している母さんと距離を取りつつ、ソファの後ろで聞き耳を立てた。ヤバいかもとソワソワしたが、特に揉めてる様子はない。
戻ってきた母さんは眉を八の字にしてため息をついた。
「いいわよ借りてて。でもお願いだから壊さないでね」
軽く釘を刺された。結局カメラの件は、それ以外何も言われることなく終わった。一体何を言われたんだろうか。折角怒られてまで借りたのだ、休み中は家の中や近所を撮影しまくって終わった。
休み明け、気がつけばもう入学から二週間も過ぎていた。早いものだ。
部活も仮入部になって、先輩達と同じスケジュールになる。柔軟、筋トレ、走り込み。やっと、慣れてる人と初心者の違いがはっきりしてきた。
校舎の外周を走り込んでいる時、吉田がコケたのが視界の隅に入った。
「大丈夫か?」
「うん、加藤は気にしないで先行ってて」
よろけながら走る吉田は、手をひらひらさせた。
「ってもなぁ…お前コケたじゃん」
「俺はゆっくり行くからさ」
吉田はさらに速度を落とした。
「おい!そこの一年喋ってんなよ!」
怒鳴り声に心臓が飛び出る。見ると部長がこちらに走ってきた。
「吉田は俺が見てるから、お前はいいから行け!」
そう言うと背中を押してきた。
「は、はい!」
「吉田は一回休憩していいから」
「すみません」
二人のやり取りが聞こえた。怒られた、と思ったが…この人は元々声がでかいだけなのかも。俺は離れて行った前方軍に追いつくためにスピードを上げた。
走ってる中、何となく部活が乗り気じゃなさそうな怜が思い浮かんだ。
果たしてあいつの方は大丈夫なのだろうか……。
今思えば、この頃から怜の周りが少しずつ騒がしくなっていった。
参加して感じたが、やはり部長はテンポが遅れるとすぐ怒鳴っているのでめちゃくちゃ怖い。仲間の吉田は体力が無いようで、走り込みではすぐへばっていた。こいつは入部したら絶対目をつけられるだろうな。さすがに今週は俺も疲れてへばったが、多分問題ないだろう。
週末は約束通り怜の家に行く。昼ごはんを手早く食べて向かった。今日は母さんから手土産を持たされ、連絡先も聞いてくるように厳命されている。
怜は漫画もそこそこ好きらしく、今日はお互いの漫画を交換する予定だから、漫画に土産まで加わって、大荷物だ。
怜のお母さんはいつも通り迎え入れてくれた。お土産を渡すと、そのまま二階の怜の部屋に入る。
「お前の部屋、綺麗すぎない?」
「そう?」
散らかりもなく、物は全て整頓され定位置に収まっていた。壁に貼られている写真や置かれている小物を見ると、まるで大人の部屋のようだ。
俺が部屋を見回していると、怜はスライド式の本棚を開けた。そして奥から漫画のシリーズ一式を出して床に置く。俺も紙袋から漫画の山を取り出した。
二人して黙々と漫画を読む。巻の合間に、お互いの感想や気に入ったキャラについて語りながら休憩した。
その時ふと、棚の上にカメラが置いてあることに気がつく。一眼レフカメラが二台あった。
「なぁ、あれって怜のなの?」
俺の視線の先にあるものを見て「そうだけど?」と、不思議そうに返してきた。
「触ってもいい?」
「いいよ。興味あるの?」
「一眼レフなんて触ったことないからさ……うわ重っ!」
想像より重くて一瞬落としそうになり、冷や汗が出た。そんな俺を見て笑いながら、カメラに付いていたレンズのキャップを外してくれる。
「ここ電源。この上の丸押したら撮れるよ」
「へ〜」
怜の指示通りボタンを押してみた。軽いシャッター音がして、モニターに撮れたての写真が映る。
「すげー!かっこいいじゃん!」
「上手いんじゃない?良かったらそのカメラ貸してあげるよ」
「え?いいの?」
「それお父さんのお下がりなんだけど、だいぶ古いやつだから。僕はもう自分のカメラしか使ってないし、いいよ」
「サンキュー!そこの窓から外撮ってもいい?」
「いいよ。そしたら、上にあるこのダイヤルを回して……」
さらに詳しい操作を教えてもらいながら、色々撮り方を試してみた。俺の家には普通のデジカメしか無かったし、触ると怒られてたから凄く新鮮だ。
しかも一眼レフなんてカッコよすぎるな。
そう思って首にぶら下げて帰ったら、すぐさま母さんに見つかった。
「陽介、それどうしたの!?」
「怜に借りた」
「借りた?あんた、そんな高いもの壊したらどうするのよ!」
なぜかめちゃくちゃ怒られる。一眼レフってそんなに高いのか。
「怜くんのお家に電話するから、連絡先早く教えなさい!」
慌てている母さんに、今日教えてもらった連絡先を早速渡す。電話している母さんと距離を取りつつ、ソファの後ろで聞き耳を立てた。ヤバいかもとソワソワしたが、特に揉めてる様子はない。
戻ってきた母さんは眉を八の字にしてため息をついた。
「いいわよ借りてて。でもお願いだから壊さないでね」
軽く釘を刺された。結局カメラの件は、それ以外何も言われることなく終わった。一体何を言われたんだろうか。折角怒られてまで借りたのだ、休み中は家の中や近所を撮影しまくって終わった。
休み明け、気がつけばもう入学から二週間も過ぎていた。早いものだ。
部活も仮入部になって、先輩達と同じスケジュールになる。柔軟、筋トレ、走り込み。やっと、慣れてる人と初心者の違いがはっきりしてきた。
校舎の外周を走り込んでいる時、吉田がコケたのが視界の隅に入った。
「大丈夫か?」
「うん、加藤は気にしないで先行ってて」
よろけながら走る吉田は、手をひらひらさせた。
「ってもなぁ…お前コケたじゃん」
「俺はゆっくり行くからさ」
吉田はさらに速度を落とした。
「おい!そこの一年喋ってんなよ!」
怒鳴り声に心臓が飛び出る。見ると部長がこちらに走ってきた。
「吉田は俺が見てるから、お前はいいから行け!」
そう言うと背中を押してきた。
「は、はい!」
「吉田は一回休憩していいから」
「すみません」
二人のやり取りが聞こえた。怒られた、と思ったが…この人は元々声がでかいだけなのかも。俺は離れて行った前方軍に追いつくためにスピードを上げた。
走ってる中、何となく部活が乗り気じゃなさそうな怜が思い浮かんだ。
果たしてあいつの方は大丈夫なのだろうか……。
今思えば、この頃から怜の周りが少しずつ騒がしくなっていった。
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