2日常
ー/ー 翌日、怜と一緒に帰る時に週末の予定を話した。
「今度親戚の集まりあるんだよ。マジ行きたくねー」
「へえ、大変そうだね」
怜はいまいちピンと来ていないようだった。変わりに「今日もうち来るの?」と聞いてきた。
「行く行く!今週の週間ジャンボ読ませてよ」
「じゃあお昼食べたらまた」
「ほい」
ふと、母さんに言われた手土産のことを思い出した。まだ何もないけどまぁいいか。
近所という気安さから、半日授業をいいことに毎日怜の家に行った。そんな俺を怜のお母さんも笑顔で必ず迎え入れてくれる。
そんなふうに過ごしているうちに、あっという間に憂鬱な週末がやってきた。
俺たち家族は義男叔父さんの一周忌に向かう。お寺でのお経は退屈だし、会食も気が重い。結局叔父さんを口実にして、親族みんなでお喋り会をしたいだけなのだ。
やたらと広い座敷の間で食事を取った。親たちの話は聞きたくないので、早々に食べ終わった俺といとこの翔太は距離を取って待機する。
「佳奈ちゃんT大合格おめでとう」
「圭介くんは今年受験よね、結局どこにしたの?」
親戚の叔父叔母はそんな話で盛り上がっていた。毎回よく飽きないものだ。母さんは適当に愛想笑いをしているが、父さんはその中で普通に会話をしている。
嫌な予感がしたが案の定、その話題は俺に飛び火してきた。
「陽介くんは私立落ちたんでしょ?サッカーやめないからじゃない?」
「翔太くんは、O学園受かるなんて頑張ったわよねぇ」
遠巻きに座っていた俺と翔太に対して誰かが言う。そして奥にいた叔父が、じろりと睨みを効かせてきた。
「陽介はどうせゲームばかりしてたんだろう」
その場が一瞬静まり返る。そんな中「ゲームじゃなくて漫画だよな」と、横にいた翔太がニヤニヤしながら横槍を入れる。
「どっちも同じだっ!」
叔父が大きな声を出すので、俺も翔太も思わず体がはねた。
「まあまあ、陽介くんだってまだ進路どうなるか分からないでしょう」
その一言で、また適当な相槌やら会話がはじまる。
「お前余計なこと言うなよ」
翔太を肘で小突いた。
「陽介が悪いんだろ」
翔太は俺を小突き返すと、悪びれもせず持っていた文庫を読み出した。
週があけると、いよいよ楽しみにしていた部活見学がはじまった。俺はもう決まっているので、他の部活には興味がない。
怜には「美術部行くの?」と聞いたら、文化部は一通り見る予定らしい。ちょっと寂しいが、時間が合ったら一緒に帰ろうと約束した。
サッカー部の見学には結構たくさん来ており、うちのクラスの吉田もいた。吉田も入る予定らしい。
顧問の先生と部長の説明を聞く。部長は他の先輩よりひときわ体が大きく、高校生のように見えた。部員達に指示する時も、大声で怒鳴っていて結構怖そうだ。
仲間がいたことに感謝する。
初日だからか、参加できることはほとんどない。見学と少しだけボールを使った練習をさせてもらったのち、吉田とは軽く話して別れた。
怜は終わっただろうか。下駄箱まで行ってみることにした。靴は残っている。サッカー部は結構時間を使ったので、そろそろ怜も来るかもしれない。
人気のない下駄箱で、遠くの騒ぎ声を聴きながら待ってみた。日差しがないので少し冷える。
身震いしていると、後ろから近づいてくる足音がして、振り向くと怜が立っていた。
「待っててくれたの?」
「いやそんなに」
「部活どうだった?」
「先輩めっちゃ怖そうだった」
「でも決めてるんでしょ、がんばって」
笑いをこらえながら、怜は靴箱から靴を出すと丁寧に揃えた。
「そっちは決まりそうなのかよ?」
「やっぱり美術部かなぁ…」
そういうと怜の顔が曇った。口ぶりから、美術部もそんなに入りたい感じではなさそうだ。
「まぁそっちもがんばれ」
俺は怜の前で軽く握りこぶしを作って見せ、そのまま歩きだした。
「そういえば、陽介は委員会のアンケート書いた?」
怜はカバンからプリントを取り出し俺に見せる。
「あ、忘れてたわ。怜は何にする?一緒にやろうぜ」
「僕は美化委員かな」
「美化委員って掃除の?」
怜に苦笑をされる。
「清掃もだけど、花壇の世話とかもあるよ。そういうの好きだからいいかなって」
部活の時とは違ってはっきり決めているようだ。正直面倒くさそうだが、怜がいるならまあいいか。
「俺もそうしよ」
そんな話をしているうちに、別れの十字路に着く。日がだいぶ伸びてきたせいで、そのまま遊びに寄れそうな気になるがもう17時をすぎていた。
「なぁ、怜のうちって土日どっちか遊びに行っても平気なの?」
「え?別に僕の部屋でなら大丈夫だよ」
「じゃあさ、土曜日学校終わったら遊ばない?」
「わかった、お母さんたちに言っておくね」
そう言ってまた別れた。
「今度親戚の集まりあるんだよ。マジ行きたくねー」
「へえ、大変そうだね」
怜はいまいちピンと来ていないようだった。変わりに「今日もうち来るの?」と聞いてきた。
「行く行く!今週の週間ジャンボ読ませてよ」
「じゃあお昼食べたらまた」
「ほい」
ふと、母さんに言われた手土産のことを思い出した。まだ何もないけどまぁいいか。
近所という気安さから、半日授業をいいことに毎日怜の家に行った。そんな俺を怜のお母さんも笑顔で必ず迎え入れてくれる。
そんなふうに過ごしているうちに、あっという間に憂鬱な週末がやってきた。
俺たち家族は義男叔父さんの一周忌に向かう。お寺でのお経は退屈だし、会食も気が重い。結局叔父さんを口実にして、親族みんなでお喋り会をしたいだけなのだ。
やたらと広い座敷の間で食事を取った。親たちの話は聞きたくないので、早々に食べ終わった俺といとこの翔太は距離を取って待機する。
「佳奈ちゃんT大合格おめでとう」
「圭介くんは今年受験よね、結局どこにしたの?」
親戚の叔父叔母はそんな話で盛り上がっていた。毎回よく飽きないものだ。母さんは適当に愛想笑いをしているが、父さんはその中で普通に会話をしている。
嫌な予感がしたが案の定、その話題は俺に飛び火してきた。
「陽介くんは私立落ちたんでしょ?サッカーやめないからじゃない?」
「翔太くんは、O学園受かるなんて頑張ったわよねぇ」
遠巻きに座っていた俺と翔太に対して誰かが言う。そして奥にいた叔父が、じろりと睨みを効かせてきた。
「陽介はどうせゲームばかりしてたんだろう」
その場が一瞬静まり返る。そんな中「ゲームじゃなくて漫画だよな」と、横にいた翔太がニヤニヤしながら横槍を入れる。
「どっちも同じだっ!」
叔父が大きな声を出すので、俺も翔太も思わず体がはねた。
「まあまあ、陽介くんだってまだ進路どうなるか分からないでしょう」
その一言で、また適当な相槌やら会話がはじまる。
「お前余計なこと言うなよ」
翔太を肘で小突いた。
「陽介が悪いんだろ」
翔太は俺を小突き返すと、悪びれもせず持っていた文庫を読み出した。
週があけると、いよいよ楽しみにしていた部活見学がはじまった。俺はもう決まっているので、他の部活には興味がない。
怜には「美術部行くの?」と聞いたら、文化部は一通り見る予定らしい。ちょっと寂しいが、時間が合ったら一緒に帰ろうと約束した。
サッカー部の見学には結構たくさん来ており、うちのクラスの吉田もいた。吉田も入る予定らしい。
顧問の先生と部長の説明を聞く。部長は他の先輩よりひときわ体が大きく、高校生のように見えた。部員達に指示する時も、大声で怒鳴っていて結構怖そうだ。
仲間がいたことに感謝する。
初日だからか、参加できることはほとんどない。見学と少しだけボールを使った練習をさせてもらったのち、吉田とは軽く話して別れた。
怜は終わっただろうか。下駄箱まで行ってみることにした。靴は残っている。サッカー部は結構時間を使ったので、そろそろ怜も来るかもしれない。
人気のない下駄箱で、遠くの騒ぎ声を聴きながら待ってみた。日差しがないので少し冷える。
身震いしていると、後ろから近づいてくる足音がして、振り向くと怜が立っていた。
「待っててくれたの?」
「いやそんなに」
「部活どうだった?」
「先輩めっちゃ怖そうだった」
「でも決めてるんでしょ、がんばって」
笑いをこらえながら、怜は靴箱から靴を出すと丁寧に揃えた。
「そっちは決まりそうなのかよ?」
「やっぱり美術部かなぁ…」
そういうと怜の顔が曇った。口ぶりから、美術部もそんなに入りたい感じではなさそうだ。
「まぁそっちもがんばれ」
俺は怜の前で軽く握りこぶしを作って見せ、そのまま歩きだした。
「そういえば、陽介は委員会のアンケート書いた?」
怜はカバンからプリントを取り出し俺に見せる。
「あ、忘れてたわ。怜は何にする?一緒にやろうぜ」
「僕は美化委員かな」
「美化委員って掃除の?」
怜に苦笑をされる。
「清掃もだけど、花壇の世話とかもあるよ。そういうの好きだからいいかなって」
部活の時とは違ってはっきり決めているようだ。正直面倒くさそうだが、怜がいるならまあいいか。
「俺もそうしよ」
そんな話をしているうちに、別れの十字路に着く。日がだいぶ伸びてきたせいで、そのまま遊びに寄れそうな気になるがもう17時をすぎていた。
「なぁ、怜のうちって土日どっちか遊びに行っても平気なの?」
「え?別に僕の部屋でなら大丈夫だよ」
「じゃあさ、土曜日学校終わったら遊ばない?」
「わかった、お母さんたちに言っておくね」
そう言ってまた別れた。
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