violent girl
ー/ー 黒髪に赤い瞳の少女はまるでゴミを見るような目で青年を見ていた。まだ16才にも満たないような小柄な少女に、青年は驚きを隠せなかったが、女王はいきなり青年の髪の毛を掴むと、思いっきり床に叩きつけた。
「顔も醜ければ、髪の毛まで醜いな。これが異国の人間というやつか」
金髪碧眼で魔法使いの青年がいた。青年の国は法治国家であり、暴力は禁止、弱きを助け、強きをくじく、不正を嫌い、年長者を敬う。そんな平凡な国。青年は祖国を愛していた。ある日、優れた魔道士を決める決闘大会が開かれる。青年は決勝戦まで進んだが、対戦相手に禁術を使われた青年は世界の果てに強制的に飛ばされてしまう。
憤る青年だが、まずは生き延びねばならない。村を求めて放浪する。途中二人組の旅人と遭遇するが、拳銃を突きつけられ、金品を要求される。魔法で撃退し、難を逃れるが、黙って去る青年に対して二人組の旅人は、何故お前は奪わない?と言われ、青年は暴力で奪うのは悪だと断じると、大笑いされる。青年は不愉快だと感じたが、黙って再び旅を続けた。
そうして、たどり着いた街。人通りはあるが、青年はそこの人々の目線に違和感を覚える。何故なら町の人々は全員、この街の『異物』をカモとして捉えていたのだ。ある時少年がぶつかってきた。謝りもせずに駆け抜けていった。青年は失礼なガキだなと憤ったが、その後に気がついた。財布がない。少年は財布の中身を見て毒づくと財布を捨てて去った。今度は憲兵達が徒党を組んで現れた。全員が連射式の銃を青年に向けている。憲兵達は賄賂をよこせという。賄賂には応じないと言うと、青年は無実の罪で牢屋にぶち込まれる。碌に食事もでない牢屋。飯を要求しても「金」をよこせと要求される。いよいよ苦しくなり青年は財布から銅貨をだすと、この国じゃ使えないと拒否される。青年はどんどんやせ細っていった。ある日、青年は護送される。王都に送られる。青年は異国出身であったため、愛玩動物という名の奴隷として売却されたのだ、その国の女王に。枷を付けられた状態で、青年はその女王に謁見する。
青年は暴言の数々に口答えした。
「醜いのはお前の国とお前のその性格だ」
少女は大喜びした。それが我が国の流儀であり、挨拶であると。青年は少女に淡々とこの国の理を説かれる。この世は弱肉強食。強さが正義で弱いやつは淘汰される。ただの無法だと青年は反論するが少女は聞く耳を持たない。
「それなら誰が畑を耕す?」
「弱者だ。弱いやつは弱いやつの生き方がある」
「年長者はどうする? 力はなくとも知恵はある」
「本当に全員に知恵があると思うのか? この国では若さが全てだ。無能はいらない。私も年を取れば引退だ」
「そうやって力で何もかも解決するのか。だから民の心は荒んでいる」
「それはお前の国の物の見方だ。我が国の国民は皆強い。軟弱者は必要ない」
「何をしても許されると思ってるのか? 平気で人を殺しそうだな?」
「殺し? 馬鹿かおまえは。そんな非生産的なことはしない。人的リソースは限られてるからな。ただ無能なら山に捨てるだけだ」
こうして青年は少女の奴隷となった。気に入らない返事をすると暴行を加えられる。それは大抵正論を言ったときだった。そして青年が闇に染まり、呪いの言葉を口にした時、彼女は歓喜するのである。
そんなある日のことである。女王である彼女は青年の国に興味を持つ。どんな国であるかと問われ、青年は自国を語る。
少女は大笑いした。「なんて醜悪な国なんだ」と。青年は激怒する。しかし女王は取り合わない。ただ一言女王がポロリと溢す。
「お前の国は弱そうだな」
青年は自信満々に言う。
「そう思うならやってみるがいい、その顔が悔しさで滲むところが目に浮かぶ」
その言葉に少女は手を叩いて大喜びし、青年に向かっていった。
「いいだろう、ならば試してみようじゃないか、面白そうだ」
こうして戦争は始まった。魔法で戦う青年の国と銃で戦う女王の国の戦争は苛烈を極めたが、決め手になったのは処遇の差であった。青年の国は大義なき戦争に怒っていた。そのため捕虜は全て処断された。一方で女王は面白いというだけで登用し、そうでないものは解放していた。結果、最終的に女王は敗北した。
青年はようやく解放され、名誉を回復し、宮廷魔術師になった。一方で女王は捕らえられ、すぐに極刑が決まった。処刑前日、青年は女王を訪れる。
「どうだ、我が国は強かっただろう」
「非合理的だが強かった。我が国でも処刑は検討するに値するな」
「やはり君は暴力を肯定するのだな……私は処刑の取り消しを願い出た」
「無駄なことに時間を費やしているな」
「無駄ではない、暴力で解決するなんて間違っているんだ!」
「違うな、お前の国は私達以上に正しく暴力を理解していた、故に我々は負けた。それが正しさというものだ」
翌日、女王の処刑は執行された。
「顔も醜ければ、髪の毛まで醜いな。これが異国の人間というやつか」
金髪碧眼で魔法使いの青年がいた。青年の国は法治国家であり、暴力は禁止、弱きを助け、強きをくじく、不正を嫌い、年長者を敬う。そんな平凡な国。青年は祖国を愛していた。ある日、優れた魔道士を決める決闘大会が開かれる。青年は決勝戦まで進んだが、対戦相手に禁術を使われた青年は世界の果てに強制的に飛ばされてしまう。
憤る青年だが、まずは生き延びねばならない。村を求めて放浪する。途中二人組の旅人と遭遇するが、拳銃を突きつけられ、金品を要求される。魔法で撃退し、難を逃れるが、黙って去る青年に対して二人組の旅人は、何故お前は奪わない?と言われ、青年は暴力で奪うのは悪だと断じると、大笑いされる。青年は不愉快だと感じたが、黙って再び旅を続けた。
そうして、たどり着いた街。人通りはあるが、青年はそこの人々の目線に違和感を覚える。何故なら町の人々は全員、この街の『異物』をカモとして捉えていたのだ。ある時少年がぶつかってきた。謝りもせずに駆け抜けていった。青年は失礼なガキだなと憤ったが、その後に気がついた。財布がない。少年は財布の中身を見て毒づくと財布を捨てて去った。今度は憲兵達が徒党を組んで現れた。全員が連射式の銃を青年に向けている。憲兵達は賄賂をよこせという。賄賂には応じないと言うと、青年は無実の罪で牢屋にぶち込まれる。碌に食事もでない牢屋。飯を要求しても「金」をよこせと要求される。いよいよ苦しくなり青年は財布から銅貨をだすと、この国じゃ使えないと拒否される。青年はどんどんやせ細っていった。ある日、青年は護送される。王都に送られる。青年は異国出身であったため、愛玩動物という名の奴隷として売却されたのだ、その国の女王に。枷を付けられた状態で、青年はその女王に謁見する。
青年は暴言の数々に口答えした。
「醜いのはお前の国とお前のその性格だ」
少女は大喜びした。それが我が国の流儀であり、挨拶であると。青年は少女に淡々とこの国の理を説かれる。この世は弱肉強食。強さが正義で弱いやつは淘汰される。ただの無法だと青年は反論するが少女は聞く耳を持たない。
「それなら誰が畑を耕す?」
「弱者だ。弱いやつは弱いやつの生き方がある」
「年長者はどうする? 力はなくとも知恵はある」
「本当に全員に知恵があると思うのか? この国では若さが全てだ。無能はいらない。私も年を取れば引退だ」
「そうやって力で何もかも解決するのか。だから民の心は荒んでいる」
「それはお前の国の物の見方だ。我が国の国民は皆強い。軟弱者は必要ない」
「何をしても許されると思ってるのか? 平気で人を殺しそうだな?」
「殺し? 馬鹿かおまえは。そんな非生産的なことはしない。人的リソースは限られてるからな。ただ無能なら山に捨てるだけだ」
こうして青年は少女の奴隷となった。気に入らない返事をすると暴行を加えられる。それは大抵正論を言ったときだった。そして青年が闇に染まり、呪いの言葉を口にした時、彼女は歓喜するのである。
そんなある日のことである。女王である彼女は青年の国に興味を持つ。どんな国であるかと問われ、青年は自国を語る。
少女は大笑いした。「なんて醜悪な国なんだ」と。青年は激怒する。しかし女王は取り合わない。ただ一言女王がポロリと溢す。
「お前の国は弱そうだな」
青年は自信満々に言う。
「そう思うならやってみるがいい、その顔が悔しさで滲むところが目に浮かぶ」
その言葉に少女は手を叩いて大喜びし、青年に向かっていった。
「いいだろう、ならば試してみようじゃないか、面白そうだ」
こうして戦争は始まった。魔法で戦う青年の国と銃で戦う女王の国の戦争は苛烈を極めたが、決め手になったのは処遇の差であった。青年の国は大義なき戦争に怒っていた。そのため捕虜は全て処断された。一方で女王は面白いというだけで登用し、そうでないものは解放していた。結果、最終的に女王は敗北した。
青年はようやく解放され、名誉を回復し、宮廷魔術師になった。一方で女王は捕らえられ、すぐに極刑が決まった。処刑前日、青年は女王を訪れる。
「どうだ、我が国は強かっただろう」
「非合理的だが強かった。我が国でも処刑は検討するに値するな」
「やはり君は暴力を肯定するのだな……私は処刑の取り消しを願い出た」
「無駄なことに時間を費やしているな」
「無駄ではない、暴力で解決するなんて間違っているんだ!」
「違うな、お前の国は私達以上に正しく暴力を理解していた、故に我々は負けた。それが正しさというものだ」
翌日、女王の処刑は執行された。
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