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第1話 同じクラスになりました

ー/ー




4月 東京都文京区




「後楽園、後楽園です。」




 南北線のドアが開き、僕は電車を降りた。僕は、新学期になってもいつも通り、登校中にイヤホンをつけて大好きなボカロを聞いていた。




 僕は、ボカロP「きらP」の曲が大好きだ。人を楽しませる音色、歌詞。全ての楽曲が僕の疲れた心を癒してくれる。再生回数は最高で3万回。そんなに有名でないけど、僕はこのボカロPが一番好きだ。




 駅前の坂もボカロを聞けば軽やかに登れた。このまま真っ直ぐ、僕の通う高校へ歩いた。東京都立竹林高等学校。一応、進学校。服装は自由だし、良い人がたくさんいる。




 高校の正門についた。制服や私服を着た女子や男子たちの楽しそうにしているが、声は聞こえなかった。僕の耳には、優しい歌詞を伝える電子音だけが聞こえていた。




「奏太。お久~。」




 誰かに肩を触られた。僕は、片耳からイヤホンを取り外して横を見た。




「蓮。お久~。」




 こいつは飯田蓮。1年の頃に同じクラスだった。音ゲーで仲良くなった友達だ。




「奏太、俺ガチャで推しの★4あてたわ。」




「うわ。マジ?いいなぁ。」




「スマホの待ち受けにするんだぁ。」




「僕、石全て失ったわ。」




「あらら。残念。」




 教室に到着。チャイムが鳴った後、先生が新しいクラス表の紙を持ってきた。




「はい。おはようございます。今日はクラス替えだね。今からクラス表配るね。」




 僕はクラス表の紙を受け取ると、すぐに自分の名前を探した。Aにはなかった。Bにもなかった。C……。あった。僕はC組だ。その後、表の下の方を見た。




『茗荷詩音(みょうがしおん)』




 僕は遠い席に座る女子、茗荷さんの方へ振り向いた。大人しいけどなんか面白い人で気になっていた。隣の席だったことがあり、授業の時はよく話していたが、とても想像力が豊かで不思議な子だった。でも、授業以外は話したことがなかった。




 そんな茗荷さんもC組だった。




「はい。じゃぁ。新しいクラスへ移動してくださいね~。」




 僕はA組の教室を出てC組へ向かった。すると、蓮が寄ってきた。




「奏太、同じクラスだな。」




「蓮もC組か。気づかなかった。」




「なんで気づかないんだよ。」




 たわいもない会話でC組に入った。教室が騒がしくなってきた。




 すると、新担任が教室に入って静かにさせ、各席へ座らせた。




「はい、きりーつ」




 この新担任は確か、ユーモアがあるけど授業はやや厳しめな先生。1年の頃に、ある生徒が内職したら参考書を取り上げられた。




「気を付け。礼。」




「おはようございま~す。」




 全員が椅子を引く音を立てて座り、先生が話し始めた。




「2年C組の担任になりました。永田です。みんな知ってると思うけど、古典と現代文の担当です。じゃぁ、さっさと連絡事項。……」




 ホームルームが終わり、下校の時間。まだ午前中だから帰る気が起きなかった。蓮は部活で教室から出て行った。僕も部活には入ってるけど今日は休み。僕はこれから1人の時間。ボカロを聞き始めた。きらPの再生回数最高の曲。「ハッピーデリバリー」。




 あれ。なんか音が外に漏れている気がする。




 僕は一度スマホを見た。




 しまった!イヤホンジャックが接続できていなかった!新学期一日目からやらかすとは……。




 僕は焦って周りをきょろきょろ見回した。でも、周りは見ていないから良かった。




 僕は改めて、しっかりジャックをスマホに刺して再生した。すると、妙に誰かが僕の席に近づいてきた。ふと見上げると、茗荷さんだった。黒髪ロングヘアで目が大きい。そして、ネイルがきれいだった。僕は再生を止めて茗荷さんに話しかけた。




「あ、茗荷さん。どうしたの?」




「後楽くん。何を聴いていたの?」




 聴かれてたやん。恥ずかしい……。僕は顔が熱くなってきた。

 

 
 だって、好きな曲が漏れているんだよ。ボカロを聴く人はうちのクラスではきっと少ないだろうし、第一印象が「音漏れのオタク」って思われそう。




「顔赤いよw」




「ごめん、ちょっと……。アハハ。」




 誤魔化せねぇ。




「何聴いていたの?」




 茗荷さんが食い気味に聞いてきた。すごくワクワクしていた。しょうがない、答えるか。




「ボカロ。知ってるかな?」




「知ってる!私も聞いてるよ!」




「マジ? 何が好き?」




 僕は食い気味に聞いた。




「王道なんだけど、ハッピーシンセサイザ。」




 ハッピーシンセサイザ。僕がボカロにハマったきっかけの曲だ。ボカロ好きなら知らない人はいない。 




 僕は200の再生リストから検索して、ハッピーシンセサイザを流した。




「後楽くんは何が好きなの?」




「どんな曲でも好きだけど、やっぱり、『きらP』の曲が一番好きだなぁ。」




 茗荷さんは僕が今までで見たことない表情をしていた。すごく嬉しそうで、クスッと笑っていた。




「私も『きらP』好きなんだよね~。せっかくだからLINE交換しよ。」




 僕は躊躇なくスマホを出してQRコードを提示した。LINEで友達になった。




 茗荷さんはその後何事もなかったかのように、教室から出て行った。だけど、その後、ニヤッとした表情を浮かべて僕の方へ振り向いた。新しくボカロ仲間が増えたよりも、あんな大人しい人の満面な笑みとニヤッとした表情を見られたことに驚いた。




 茗荷さん、あんなに笑うんだ……。やっぱり、不思議な人だ。





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4月 東京都文京区
「後楽園、後楽園です。」
 南北線のドアが開き、僕は電車を降りた。僕は、新学期になってもいつも通り、登校中にイヤホンをつけて大好きなボカロを聞いていた。
 僕は、ボカロP「きらP」の曲が大好きだ。人を楽しませる音色、歌詞。全ての楽曲が僕の疲れた心を癒してくれる。再生回数は最高で3万回。そんなに有名でないけど、僕はこのボカロPが一番好きだ。
 駅前の坂もボカロを聞けば軽やかに登れた。このまま真っ直ぐ、僕の通う高校へ歩いた。東京都立竹林高等学校。一応、進学校。服装は自由だし、良い人がたくさんいる。
 高校の正門についた。制服や私服を着た女子や男子たちの楽しそうにしているが、声は聞こえなかった。僕の耳には、優しい歌詞を伝える電子音だけが聞こえていた。
「奏太。お久~。」
 誰かに肩を触られた。僕は、片耳からイヤホンを取り外して横を見た。
「蓮。お久~。」
 こいつは飯田蓮。1年の頃に同じクラスだった。音ゲーで仲良くなった友達だ。
「奏太、俺ガチャで推しの★4あてたわ。」
「うわ。マジ?いいなぁ。」
「スマホの待ち受けにするんだぁ。」
「僕、石全て失ったわ。」
「あらら。残念。」
 教室に到着。チャイムが鳴った後、先生が新しいクラス表の紙を持ってきた。
「はい。おはようございます。今日はクラス替えだね。今からクラス表配るね。」
 僕はクラス表の紙を受け取ると、すぐに自分の名前を探した。Aにはなかった。Bにもなかった。C……。あった。僕はC組だ。その後、表の下の方を見た。
『茗荷詩音(みょうがしおん)』
 僕は遠い席に座る女子、茗荷さんの方へ振り向いた。大人しいけどなんか面白い人で気になっていた。隣の席だったことがあり、授業の時はよく話していたが、とても想像力が豊かで不思議な子だった。でも、授業以外は話したことがなかった。
 そんな茗荷さんもC組だった。
「はい。じゃぁ。新しいクラスへ移動してくださいね~。」
 僕はA組の教室を出てC組へ向かった。すると、蓮が寄ってきた。
「奏太、同じクラスだな。」
「蓮もC組か。気づかなかった。」
「なんで気づかないんだよ。」
 たわいもない会話でC組に入った。教室が騒がしくなってきた。
 すると、新担任が教室に入って静かにさせ、各席へ座らせた。
「はい、きりーつ」
 この新担任は確か、ユーモアがあるけど授業はやや厳しめな先生。1年の頃に、ある生徒が内職したら参考書を取り上げられた。
「気を付け。礼。」
「おはようございま~す。」
 全員が椅子を引く音を立てて座り、先生が話し始めた。
「2年C組の担任になりました。永田です。みんな知ってると思うけど、古典と現代文の担当です。じゃぁ、さっさと連絡事項。……」
 ホームルームが終わり、下校の時間。まだ午前中だから帰る気が起きなかった。蓮は部活で教室から出て行った。僕も部活には入ってるけど今日は休み。僕はこれから1人の時間。ボカロを聞き始めた。きらPの再生回数最高の曲。「ハッピーデリバリー」。
 あれ。なんか音が外に漏れている気がする。
 僕は一度スマホを見た。
 しまった!イヤホンジャックが接続できていなかった!新学期一日目からやらかすとは……。
 僕は焦って周りをきょろきょろ見回した。でも、周りは見ていないから良かった。
 僕は改めて、しっかりジャックをスマホに刺して再生した。すると、妙に誰かが僕の席に近づいてきた。ふと見上げると、茗荷さんだった。黒髪ロングヘアで目が大きい。そして、ネイルがきれいだった。僕は再生を止めて茗荷さんに話しかけた。
「あ、茗荷さん。どうしたの?」
「後楽くん。何を聴いていたの?」
 聴かれてたやん。恥ずかしい……。僕は顔が熱くなってきた。
 だって、好きな曲が漏れているんだよ。ボカロを聴く人はうちのクラスではきっと少ないだろうし、第一印象が「音漏れのオタク」って思われそう。
「顔赤いよw」
「ごめん、ちょっと……。アハハ。」
 誤魔化せねぇ。
「何聴いていたの?」
 茗荷さんが食い気味に聞いてきた。すごくワクワクしていた。しょうがない、答えるか。
「ボカロ。知ってるかな?」
「知ってる!私も聞いてるよ!」
「マジ? 何が好き?」
 僕は食い気味に聞いた。
「王道なんだけど、ハッピーシンセサイザ。」
 ハッピーシンセサイザ。僕がボカロにハマったきっかけの曲だ。ボカロ好きなら知らない人はいない。 
 僕は200の再生リストから検索して、ハッピーシンセサイザを流した。
「後楽くんは何が好きなの?」
「どんな曲でも好きだけど、やっぱり、『きらP』の曲が一番好きだなぁ。」
 茗荷さんは僕が今までで見たことない表情をしていた。すごく嬉しそうで、クスッと笑っていた。
「私も『きらP』好きなんだよね~。せっかくだからLINE交換しよ。」
 僕は躊躇なくスマホを出してQRコードを提示した。LINEで友達になった。
 茗荷さんはその後何事もなかったかのように、教室から出て行った。だけど、その後、ニヤッとした表情を浮かべて僕の方へ振り向いた。新しくボカロ仲間が増えたよりも、あんな大人しい人の満面な笑みとニヤッとした表情を見られたことに驚いた。
 茗荷さん、あんなに笑うんだ……。やっぱり、不思議な人だ。