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  がやがやと教室の中がうるさくなってきた。授業が終わって昼休みの時間、お昼ごはんを食べ終わったクラスメイトたちが話に盛り上がっている。

煌大(こうだい)、マジ受けるんだけど! 何、その話……ハハハ!!」
 
 男女グループの五人組は、いつも一緒に過ごしていた。俺は、そのグループに入ってしまっている一人だった。仲良くなって、話すようになったが、最近何だかノリについていけなくなって来ている。

美那(みな)、鼻から何か出てくる! それ、鼻水? ハハハ」
「嘘、マジで?! 最悪、誰かティッシュ持ってる?」
「はい、高級ティッシュー。大事に使えよ!」
「弦げん、マジで神! 仏様だ!」
「馬鹿、やめろ。仏は死んでるわ」
「最高じゃん!」
「死んでないわ!」

 (げん)は、ロッカーの中に入れていたボックスティッシュ―を美那に渡す。さらに弦にツッコミを入れる沙恵さえがいた。煌大は面白い話をし終えて、ドヤ顔のまま変顔を美那に見せて笑わせた。横で弦も一緒に面白可笑しく笑っている。俺は、横で静かに方耳にワイヤレスイヤホンをつけて好きな音楽を聴いて心落ち着かせていた。このグループの中では一人だけキャラが違うように感じてきた。

「おいおいおい、ノリ悪いなぁ。なんで話に入ってこないんだよ、瑠絃(るいと)!!」

 煌大が肩に腕をまわして近づく。音楽を聴くだけじゃなく、ずっとスマホで本を読んでいるのも気に食わないらしい。仮でこのグループの輪に入っているのを薄々感じているのかもしれない。

「あー……ごめんごめん。何の話だっけ」
「だからさ、昨日、美那がさぁ――――」
 
 イヤホンを外して、みんなの輪に入るが、全部身内話で、自分のことは話題にも触れられない。聞いていて、つまらなかった。それでも無理して愛想笑いして、うんうん頷いて。こんな自分が時々嫌になる。

「なぁ、聞いてた? 面白いだろ?」
「ああ、うん。そうだね。さすがは煌大だよ。笑いのセンス抜群じゃん!」
「そうだろう。そうだろう。俺様、芸人なれるかもしれないよなぁ!!」

 煌大の笑い声が教室内に響いた。満足そうな顔にどこかほっとする自分がいた。俺は、何も言わずにすり抜けて、教室を出る。廊下の壁に背中をつけて、小さく深呼吸をした。

「……何しているの?」
「え?」

 クラスメイトで俺の隣の席に座る彩葉(いろは)だった。このグループには入っていない女子だった。

「顔が無理してるよ……」
「顔? 俺?」
「うん。嫌なら抜ければいいのに。居心地悪いんでしょう。あのグループ」
「分かる?」
「うん。顔にそう書いてるよ」
「鋭いね」
「無理して付き合うと寿命縮まるよ」
「そっか……」

 彩葉は、いつも一人で行動する。ぼっちでも全然平気な顔して生き生きしていた。グループに必ずしも入らなきゃいけないことはない。楽しいことができるなら、別にグループ作らなくてもいいんだと教えられた気がした。肩を軽くポンとたたかれる。
 彩葉の優しさを感じた。いつか消しゴムを忘れた時に貸してあげた時のお礼かなと思い出してしまう。

「彩葉」
「ん?」
「さんきゅー」
「ううん。私は別に何もしてない」
「うん。いいんだ。俺がそう言いたかっただけだから」
「あ、そう」

 少し頬を赤らめて、彩葉は、席へ戻っていく。俺は、廊下の窓を開けて、深呼吸する。すがすがしい風が吹いていた。少しだけあたたかい。俺は寂しさを埋めるためにあの空間にいたかったかもしれない。寂しさなんて、好きな音楽と好きな本があれば、埋められる。

 何に縋っていたかわからない。

 足取りは軽くなった。


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  がやがやと教室の中がうるさくなってきた。授業が終わって昼休みの時間、お昼ごはんを食べ終わったクラスメイトたちが話に盛り上がっている。
「|煌大《こうだい》、マジ受けるんだけど! 何、その話……ハハハ!!」
 男女グループの五人組は、いつも一緒に過ごしていた。俺は、そのグループに入ってしまっている一人だった。仲良くなって、話すようになったが、最近何だかノリについていけなくなって来ている。
「|美那《みな》、鼻から何か出てくる! それ、鼻水? ハハハ」
「嘘、マジで?! 最悪、誰かティッシュ持ってる?」
「はい、高級ティッシュー。大事に使えよ!」
「弦げん、マジで神! 仏様だ!」
「馬鹿、やめろ。仏は死んでるわ」
「最高じゃん!」
「死んでないわ!」
 |弦《げん》は、ロッカーの中に入れていたボックスティッシュ―を美那に渡す。さらに弦にツッコミを入れる沙恵さえがいた。煌大は面白い話をし終えて、ドヤ顔のまま変顔を美那に見せて笑わせた。横で弦も一緒に面白可笑しく笑っている。俺は、横で静かに方耳にワイヤレスイヤホンをつけて好きな音楽を聴いて心落ち着かせていた。このグループの中では一人だけキャラが違うように感じてきた。
「おいおいおい、ノリ悪いなぁ。なんで話に入ってこないんだよ、|瑠絃《るいと》!!」
 煌大が肩に腕をまわして近づく。音楽を聴くだけじゃなく、ずっとスマホで本を読んでいるのも気に食わないらしい。仮でこのグループの輪に入っているのを薄々感じているのかもしれない。
「あー……ごめんごめん。何の話だっけ」
「だからさ、昨日、美那がさぁ――――」
 イヤホンを外して、みんなの輪に入るが、全部身内話で、自分のことは話題にも触れられない。聞いていて、つまらなかった。それでも無理して愛想笑いして、うんうん頷いて。こんな自分が時々嫌になる。
「なぁ、聞いてた? 面白いだろ?」
「ああ、うん。そうだね。さすがは煌大だよ。笑いのセンス抜群じゃん!」
「そうだろう。そうだろう。俺様、芸人なれるかもしれないよなぁ!!」
 煌大の笑い声が教室内に響いた。満足そうな顔にどこかほっとする自分がいた。俺は、何も言わずにすり抜けて、教室を出る。廊下の壁に背中をつけて、小さく深呼吸をした。
「……何しているの?」
「え?」
 クラスメイトで俺の隣の席に座る|彩葉《いろは》だった。このグループには入っていない女子だった。
「顔が無理してるよ……」
「顔? 俺?」
「うん。嫌なら抜ければいいのに。居心地悪いんでしょう。あのグループ」
「分かる?」
「うん。顔にそう書いてるよ」
「鋭いね」
「無理して付き合うと寿命縮まるよ」
「そっか……」
 彩葉は、いつも一人で行動する。ぼっちでも全然平気な顔して生き生きしていた。グループに必ずしも入らなきゃいけないことはない。楽しいことができるなら、別にグループ作らなくてもいいんだと教えられた気がした。肩を軽くポンとたたかれる。
 彩葉の優しさを感じた。いつか消しゴムを忘れた時に貸してあげた時のお礼かなと思い出してしまう。
「彩葉」
「ん?」
「さんきゅー」
「ううん。私は別に何もしてない」
「うん。いいんだ。俺がそう言いたかっただけだから」
「あ、そう」
 少し頬を赤らめて、彩葉は、席へ戻っていく。俺は、廊下の窓を開けて、深呼吸する。すがすがしい風が吹いていた。少しだけあたたかい。俺は寂しさを埋めるためにあの空間にいたかったかもしれない。寂しさなんて、好きな音楽と好きな本があれば、埋められる。
 何に縋っていたかわからない。
 足取りは軽くなった。