第37話 デバフ解除? 幼なじみの真の魅力
ー/ー それから数日後――――――。
一学期の中間テストが終わったあとの教室は、独特の雰囲気に包まれていた。
「あぁ〜、やっと終わった〜! このあと、ワクドに行っとく?」
「ねぇねぇ、さっきの数学のテストやばくなかった?」
などなど……教室内の生徒たちは、それぞれに開放感にひたりながらも、終わったばかりのテストのことが頭から離れないようだ。
そんななか、オレは、テスト前やテスト期間中、放課後に会話を交わしたクラスメートたちの協力を得て、上坂部葉月の幼なじみ奪還(?)計画を進めようと考えていた。
テスト直前の土曜日の勉強会で、オレに対して謎のアプローチを仕掛けてきた名和リッカの行動は気に掛かるのだが――――――。
やはり、自分の中では、上坂部の想いを放っておくことはできない、という結論に達した。
週末から昨日までの間、サークルクラッシャー女子のムーブに頭を悩まされながらも、テスト勉強の合間をぬって、オレなりに「彼女がいる男性が本命にしたい女性の特長」というものを調べていたのだ。
そして、インターネットという情報収集に最適なツールを駆使し、さまざまなサイトを比較、検証したところ、次のような結論に達した。
自分なりの見解だけでなく、念のために、スマホのAI検索モードなどを相手に、
「彼女がいる男性が本命にしたい女性の心得を3つ教えて」
という質問を投げかけたところ、おおよそ、同じような答えが返ってきた。
◯彼女がいる男性が本命にしたい女性の特長三選
・聞き上手で癒し系
「聞き上手で癒し系の女性は、男性にとって居心地が良く、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、自分の話を聞いてくれて、心を癒してくれる女性に魅力を感じる。特に、仕事で疲れている時や、悩みを抱えている時には、癒し系の女性の存在は非常に大きく感じられる。例えば、男性が仕事で失敗して落ち込んでいる時に、優しく話を聞いて励ましてくれる女性は、彼にとって心の支えとなり、特別な存在になる可能性がある。男性にとって、そうした相手は、癒しを与えてくれる存在になる」
・自立していて魅力的
「自立していて魅力的な女性は、男性にとって尊敬できる存在であり、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、自分の力でしっかりと生きている女性に魅力を感じる。依存的な女性よりも、自立した女性の方が、一緒にいて刺激的で、成長できると思わせるから。例えば、仕事で成功していたり、趣味に打ち込んでいたりする女性は、男性にとって輝いて見え、惹かれる。男性にとって、そうした相手は、尊敬できる存在になる」
・家庭的な一面がある
「家庭的な一面を持つ女性は、男性にとって安心感を与え、本命にしたいと思わせる可能性がある。男性は、結婚を意識した時、家庭的な女性を本命にしたいと考える。料理上手であったり、家事が得意であったりする女性は、将来を共にしたいと思わせる安心感がある。例えば、手料理を振る舞ったり、彼の部屋を綺麗に掃除したりすることで、家庭的な一面をアピールすることができる。男性にとって、そうした相手は、将来を共にしたいと思わせる存在になるかもしれない」
これらの回答を総合すると、少なくともインターネット上の情報に信頼をおくかぎり、オレの見解は、大きく間違ってはいないはずだ。
こんな風に情報を精査していて感じることがいくつかあった。
AIが回答した三つの特長のうち、「聞き上手で癒し系」と「家庭的な一面がある」という二点については、上坂部葉月の性格に十分、あてはまっているように思う。その一方で、「自立していて魅力的」という特長については、客観的に見ると、残念ながら名和リッカに軍配が上がるだろう。
こうしたことを踏まえつつ、上坂部には、アプローチ方法を考えてもらわないといけない。
そして、クラス委員の久々知大成を巡る女子二人とは離れた話になるのだが……。
ここで掲げた三つの特長は、昨今のラブコメ作品の幼なじみキャラにもピッタリと当てはまるのだ。
これまで何度か述べたように、ヒロインレースが行われるラブコメ作品において、幼なじみキャラと言えば、「負けヒロイン」「ダメヒロイン」のテンプレートみたいな存在だった。
だが、しかし――――――。
オレの観測範囲の中だけでも、ここ数年……いや、とくにこの一年ほどの間に、幼なじみキャラの魅力を全面に押し出すゲームやマンガ、ライトノベルが増えてきたように感じられる。
以前に考えていた幼なじみキャラにデバフを掛ける「縛りプレイ」というハンデさえ取り除けば、その存在には、これだけの魅力があるのだ。
・唯一無二の安心感と安定感
お互いの性格や長所・短所をを知り尽くしているため、一緒にいて疲れないリラックスできる関係性。
・「私しか知らない」という特別感
幼少期の姿や過去の黒歴史、弱みを知っているため、周囲に見せない素の表情を引き出せる信頼感。
・阿吽の呼吸とフォロー
言葉にしなくても意思が伝わる関係で、お互いを自然にフォローし合える強み。
・恋愛におけるギャップと成長
これまで「友人」だった関係が、何かのきっかけで「異性」として意識し始める(あるいは長年想い続けている)ギャップが、ドラマチックな魅力をもたらす。
・共通の知人や思い出
幼少期からの思い出(アルバムや思い出の場所)を共有しており、家族ぐるみで関係が深いケースもある。
上坂部と久々知の二人の間にどれだけ共通の思い出があるのかはわからないが……。
クラス委員を務める女子生徒が、ヨネダ珈琲で語ったエピソード・トークを聞く限り、少なくとも、これらの条件のいくつかは十分に満たしているはずだ。
上坂部自身が、これらの魅力をアピールすることができれば、停滞気味だった幼なじみ男子との関係性を発展させることも難しくないだろう。
ましてや、相手の名和リッカは、「告白避けに、手頃な相手が見つかった」などと発言し、オレに対して謎のアピールをして来ることからも、どう贔屓目に見ても一途に久々知のことを想っている、という訳ではなさそうだ。
だとすれば、そこに攻略の糸口があるのではないか―――?
定期テストが終わって、当面の心配事を一つクリアしたオレは、そんな風に考えていた。
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