表示設定
表示設定
目次 目次




【2】①

ー/ー



 わたしの両親は小さな会社を経営してる。
 いつも忙しかったしお金の余裕もそんなになかったけど、家族三人で助け合って支え合ってて幸せだった。
 ううん、照れくさくて口には出さないけど、今だって幸せだと思ってるよ。
 離れて暮らすようになって、自分がどれだけ愛されて守られてたかって身に沁みるもん。ちょっとは大人になったってことかな。
 大切なわたしの家族、誰にも貶められる筋合いなんかない。
 好きでも何でもない『お友達』になんか尚更!

「絵里ちゃんのママって綾のママと全然違うのねぇ。なんでもっときれいな格好しないのぉ? あ、お金ないんだ。かわいそうー」
 わたしのお母さんは毎日朝から晩まで働いてるのよ! お出掛けするときはちゃんとお洒落するし、あんたの親と違って着飾らなくたって綺麗なんだからほっといて!
 綾はお金持ちのお嬢さん。周りを見下すのが大好きな、と~~~ってもステキなクラスの嫌われ者。
 あいつの親が何してたのかはよく知らないんだ。大人たちもはっきり教えてくれなかったし。少なくとも、うちの親の会社と仕事の繋がりはなかったらしいね。
 それが何よりよかったって今にして実感するわ。

 ただ、最近はどうだか知らないけど、当時は小学校では教師の「みんな仲良くしましょ!」って押し付けがそりゃもう凄かった。
 近所の『お友達』と親しく付き合わないなんて、それだけで問題視されるくらい。  
 でもさ、この年になったらわかるけど、「みんな仲良く」なんて言ってる教師だって絶対信じてないよね。できるわけないじゃん、そんなこと。
 第一、なんで心の中まで統制(コントロール)されなきゃなんないのよ。

 今思えば、お母さんも綾とは遊んで欲しくなかったんじゃないかな。特に二人きりでなんて、っていう雰囲気あった気がする。
 そうよ。「祐実ちゃんも誘ったら? みどりちゃんは?」ってよく言われてた、って思い出した。「みんな家が遠いから」って嫌々出掛けるわたしを見送るお母さんは、きっといろいろ思うこともあったんだろうな。
 ……理由も、今なら何となく見当つくし。
 でも、それを大きな声で言えるような状況じゃなかったんだよ。「苛めだ、仲間外れだ!」ってこっちが悪者にされかねないもん。ホンっとくだらない。
 だから結局、わたしはよく綾の家に呼ばれて仕方なく遊びに行ってた。
 家のすぐ傍に、綾以外同じ年の女の子いなかったのがわたしの不幸だったなぁ。



スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 【2】②


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 わたしの両親は小さな会社を経営してる。
 いつも忙しかったしお金の余裕もそんなになかったけど、家族三人で助け合って支え合ってて幸せだった。
 ううん、照れくさくて口には出さないけど、今だって幸せだと思ってるよ。
 離れて暮らすようになって、自分がどれだけ愛されて守られてたかって身に沁みるもん。ちょっとは大人になったってことかな。
 大切なわたしの家族、誰にも貶められる筋合いなんかない。
 好きでも何でもない『お友達』になんか尚更!
「絵里ちゃんのママって綾のママと全然違うのねぇ。なんでもっときれいな格好しないのぉ? あ、お金ないんだ。かわいそうー」
 わたしのお母さんは毎日朝から晩まで働いてるのよ! お出掛けするときはちゃんとお洒落するし、あんたの親と違って着飾らなくたって綺麗なんだからほっといて!
 綾はお金持ちのお嬢さん。周りを見下すのが大好きな、と~~~ってもステキなクラスの嫌われ者。
 あいつの親が何してたのかはよく知らないんだ。大人たちもはっきり教えてくれなかったし。少なくとも、うちの親の会社と仕事の繋がりはなかったらしいね。
 それが何よりよかったって今にして実感するわ。
 ただ、最近はどうだか知らないけど、当時は小学校では教師の「みんな仲良くしましょ!」って押し付けがそりゃもう凄かった。
 近所の『お友達』と親しく付き合わないなんて、それだけで問題視されるくらい。  
 でもさ、この年になったらわかるけど、「みんな仲良く」なんて言ってる教師だって絶対信じてないよね。できるわけないじゃん、そんなこと。
 第一、なんで心の中まで|統制《コントロール》されなきゃなんないのよ。
 今思えば、お母さんも綾とは遊んで欲しくなかったんじゃないかな。特に二人きりでなんて、っていう雰囲気あった気がする。
 そうよ。「祐実ちゃんも誘ったら? みどりちゃんは?」ってよく言われてた、って思い出した。「みんな家が遠いから」って嫌々出掛けるわたしを見送るお母さんは、きっといろいろ思うこともあったんだろうな。
 ……理由も、今なら何となく見当つくし。
 でも、それを大きな声で言えるような状況じゃなかったんだよ。「苛めだ、仲間外れだ!」ってこっちが悪者にされかねないもん。ホンっとくだらない。
 だから結局、わたしはよく綾の家に呼ばれて仕方なく遊びに行ってた。
 家のすぐ傍に、綾以外同じ年の女の子いなかったのがわたしの不幸だったなぁ。