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#24

ー/ー



「ちょっと、落ち着いてよ。朱理はカオルを恨んだり、憎んだりして襲ったわけじゃないよ」
「落ち着いていられるわけないじゃない。カオルは八針も縫ったんだよ。腕とは言え、傷跡が残ったらどうするの? その子に責任が取れる?」
 そうだ、あれほどの怪我をしたのだから、保健室で治療するだけで済むはずがない。朱理とキスをしていた時に聞こえたサイレンは、カオルを迎えに来たサイレンだったんだ。
 腕の辺りから出血していたが、それが手首でなくてよかった。手首を切っていたら命に関わったかもしれない。
「跡、残りそうなの?」
「医者の話だと、軽くは残るけど大して目立たないってことらしいけど、私も、電話でるんから聞いただけだから分からない」
「カオルとは、話してないの?」
「昨日喧嘩しちゃったから、連絡しづらくて」
「喧嘩してたんだ」
「聞いてないの?」
「聞いてないし、気付きもしなかった。だって、カオルは喧嘩してる素振りをまったく見せないんだもん」
「カオルらしい」
「どんな喧嘩をしたの?」
「劇をやろうってしつこく誘ってくるから、断り続けた」
「それだけ?」
「それだけじゃ、喧嘩にならないよ。カオルがあまりにもしつこく誘ってくるから、カオルに酷いことを言っちゃったんだ」
「なんて言ったの?」
「それは言いたくない。内緒」
 言えないぐらいの、酷いこと。舞はカオルにどんな言葉をぶつけたんだ? 罵声だろうか? それとも、軽蔑の言葉だろうか?
「話は戻るけど、カオルを傷つけた奴って誰なの?」
「知ってどうするの?」
「事情を聞きに行く」
「事情なら、私が話すよ」
「本人から聞かないと意味がない」
「朱理は、とても人見知りが激しくて怖がりなの。今回カオルを傷つけてしまったのだって、カオルが朱理の手に触れて、パニックになってしまったから…
 カオルを傷つけてしまった後の朱理は、可愛そうなぐらい怯えていたの。自分のしてしまったことや、人を傷つけてしまう自分に怯えてたから、今はそっとして置いてあげて」
「朱理は、朱理はって、それならカオルはどうなるの? 被害者なのに、やられたまま黙ってろと言うの?」
「私だって、カオルに申し訳ないと思ってる。私がしっかりしてれば、カオルや朱理を傷つけないで済んだはずだから」


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「ちょっと、落ち着いてよ。朱理はカオルを恨んだり、憎んだりして襲ったわけじゃないよ」
「落ち着いていられるわけないじゃない。カオルは八針も縫ったんだよ。腕とは言え、傷跡が残ったらどうするの? その子に責任が取れる?」
 そうだ、あれほどの怪我をしたのだから、保健室で治療するだけで済むはずがない。朱理とキスをしていた時に聞こえたサイレンは、カオルを迎えに来たサイレンだったんだ。
 腕の辺りから出血していたが、それが手首でなくてよかった。手首を切っていたら命に関わったかもしれない。
「跡、残りそうなの?」
「医者の話だと、軽くは残るけど大して目立たないってことらしいけど、私も、電話でるんから聞いただけだから分からない」
「カオルとは、話してないの?」
「昨日喧嘩しちゃったから、連絡しづらくて」
「喧嘩してたんだ」
「聞いてないの?」
「聞いてないし、気付きもしなかった。だって、カオルは喧嘩してる素振りをまったく見せないんだもん」
「カオルらしい」
「どんな喧嘩をしたの?」
「劇をやろうってしつこく誘ってくるから、断り続けた」
「それだけ?」
「それだけじゃ、喧嘩にならないよ。カオルがあまりにもしつこく誘ってくるから、カオルに酷いことを言っちゃったんだ」
「なんて言ったの?」
「それは言いたくない。内緒」
 言えないぐらいの、酷いこと。舞はカオルにどんな言葉をぶつけたんだ? 罵声だろうか? それとも、軽蔑の言葉だろうか?
「話は戻るけど、カオルを傷つけた奴って誰なの?」
「知ってどうするの?」
「事情を聞きに行く」
「事情なら、私が話すよ」
「本人から聞かないと意味がない」
「朱理は、とても人見知りが激しくて怖がりなの。今回カオルを傷つけてしまったのだって、カオルが朱理の手に触れて、パニックになってしまったから…
 カオルを傷つけてしまった後の朱理は、可愛そうなぐらい怯えていたの。自分のしてしまったことや、人を傷つけてしまう自分に怯えてたから、今はそっとして置いてあげて」
「朱理は、朱理はって、それならカオルはどうなるの? 被害者なのに、やられたまま黙ってろと言うの?」
「私だって、カオルに申し訳ないと思ってる。私がしっかりしてれば、カオルや朱理を傷つけないで済んだはずだから」