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#22

ー/ー



「どうして、近寄ったら駄目なの?」
「円佳を傷つけたくない」
「私を傷つけてもいいから、近寄ったら駄目かな?」
「ヤダ、円佳を傷つけたくない」
「そんな事を言ってたら、これからずっと、一人で生きていかないといけないよ」
「分かってるし、覚悟も出来てる。大好きな人を傷つけるぐらいなら、一人で孤独に生きていた方が良い」
「じゃあ、どうしてここで立ち止まってくれたの?」
「それは……疲れたから」
「本当は、一人が寂しいんじゃないの?」
 そう言って、わざと大きな音を立てて、足を一歩踏み出した。
朱理は何も言ってこない。
 そのまま歩を続け、朱理の目の前まで来られた。
それでも朱理は、何も言ってこない。
 顔を上げない朱理に、私は膝を曲げ、朱理の姿を隠すように覆いかぶさる。
 触れたと言うよりも抱きしめたに近いほど接触すると、朱理は保健室の時よりかは大人しいが、暴れ始めた。
 暴れ、顔を上げた朱理の顔を両手で包むように掴み、私は勢い良く朱理の口にキスをする。
 人を拒絶しながら生きてきた朱理だ、ファーストキスだったのだろう。先ほどまで暴れていたのが嘘のように体の力が抜けていく。
 しばらく、抱き合う形でキスを続ける。
私達はそのままキスを続け、朱理が落ちついたのを見計らって、キスをやめる。
 顔を離すと朱理は、赤らんでいる顔を隠すようにそっぽを向いた。
「無茶苦茶だよ。舌を噛み切られたら、どうするつもりだったの?」
「そこまで考えてなかった」
「キス、初めてだった」
「ごめんね、強引に奪っちゃって」
 朱理は、首を横に振り気にしていない素振りを見せる。
「円佳も初めてだったの?」
「私は、初めてじゃない」
「付き合ってる人がいるんだ」
「付き合ってる人はいないよ。付き合ってる人がいたの」
「ふられたの?」
「ふったに近いかな。自然消滅っぽかったから」
「そうなんだ……」
 まずいことを聞いたと思ったのか、朱理は語尾を弱らせる。
「まぁ、ふられて未練があるよりかはましだよ」
 朱理を励ますように、軽くおちゃらけて話す。
「ねえ、恋って素敵?」
「分からない。今は友達と遊んでる方が楽しいから」
「私は……」
 朱理はそこで言葉を止め、私から視線を逸らした。
 開きかかった心をまた閉ざしてしまったのかと心配していると、朱理は恥じらいの表情を浮かべ、私の顔をチラッと見た。
「なに?」


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「どうして、近寄ったら駄目なの?」
「円佳を傷つけたくない」
「私を傷つけてもいいから、近寄ったら駄目かな?」
「ヤダ、円佳を傷つけたくない」
「そんな事を言ってたら、これからずっと、一人で生きていかないといけないよ」
「分かってるし、覚悟も出来てる。大好きな人を傷つけるぐらいなら、一人で孤独に生きていた方が良い」
「じゃあ、どうしてここで立ち止まってくれたの?」
「それは……疲れたから」
「本当は、一人が寂しいんじゃないの?」
 そう言って、わざと大きな音を立てて、足を一歩踏み出した。
朱理は何も言ってこない。
 そのまま歩を続け、朱理の目の前まで来られた。
それでも朱理は、何も言ってこない。
 顔を上げない朱理に、私は膝を曲げ、朱理の姿を隠すように覆いかぶさる。
 触れたと言うよりも抱きしめたに近いほど接触すると、朱理は保健室の時よりかは大人しいが、暴れ始めた。
 暴れ、顔を上げた朱理の顔を両手で包むように掴み、私は勢い良く朱理の口にキスをする。
 人を拒絶しながら生きてきた朱理だ、ファーストキスだったのだろう。先ほどまで暴れていたのが嘘のように体の力が抜けていく。
 しばらく、抱き合う形でキスを続ける。
私達はそのままキスを続け、朱理が落ちついたのを見計らって、キスをやめる。
 顔を離すと朱理は、赤らんでいる顔を隠すようにそっぽを向いた。
「無茶苦茶だよ。舌を噛み切られたら、どうするつもりだったの?」
「そこまで考えてなかった」
「キス、初めてだった」
「ごめんね、強引に奪っちゃって」
 朱理は、首を横に振り気にしていない素振りを見せる。
「円佳も初めてだったの?」
「私は、初めてじゃない」
「付き合ってる人がいるんだ」
「付き合ってる人はいないよ。付き合ってる人がいたの」
「ふられたの?」
「ふったに近いかな。自然消滅っぽかったから」
「そうなんだ……」
 まずいことを聞いたと思ったのか、朱理は語尾を弱らせる。
「まぁ、ふられて未練があるよりかはましだよ」
 朱理を励ますように、軽くおちゃらけて話す。
「ねえ、恋って素敵?」
「分からない。今は友達と遊んでる方が楽しいから」
「私は……」
 朱理はそこで言葉を止め、私から視線を逸らした。
 開きかかった心をまた閉ざしてしまったのかと心配していると、朱理は恥じらいの表情を浮かべ、私の顔をチラッと見た。
「なに?」