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#17

ー/ー



 問題は、私達の目的が文化祭で劇を行いたいので、演劇部を立ち上げたいという短期的な点である。
 すぐに廃部になるような部を設立させるのは難しく、立ち上げるには次の代にバトンを引き継がせるのを前提に立ち上げろと言うことだ。
 私達三人と、名前を貸してくれる慎弥君は三年生。れんちゃんだけが唯一の二年なので、私達が卒業してしまったら、部員が一人になってしまう。
「確かに私達は、文化祭で劇を行いたいので演劇を立ち上げたいと思いました。けど、文化祭が終わったら演劇部を終わりにしようなんて考えてません。
 文化祭が終わった後も、勉強に差し支えのないように演劇を行いたい。でも今のままでは部員が少なく、行える劇も限られてしまうんです。
 文化祭で劇を行えば、中途半端な時期ではあるけれど劇に感動した生徒、劇に興味を持った生徒が入部してくれるかもしれない。こんな言い方をしたら大切な文化祭を私的に使っているようで申し訳ないのですが、文化祭での演劇を行うのは、部への勧誘も込めているんです」
 熱意を持って交渉するるんの背中を見ながら、私とカオルはるんに同意するように『うん、うん』と肯く。
「中々、うまい話の持って行き方だ」
 花澤先生に聞こえないように、先生に悟られないようにカオルが、ポーカーフェイスのまま小声で呟く。
 それからも、るんは自分達が演劇にどれだけ思い入れがあるか、ほとんど作り物の話で先生に訴えた。
「島崎がどれだけ演劇を愛しているかは分かった。他の二人はどうだ?」
 えっ?
 どうしよう、私達に話が逸れてしまった。
 戸惑っていると、カオルが発言する。
「私は、演劇を通して色々な愛の形を伝えられたらと思います。異性への愛とかもありますけど、故郷への愛、家族への愛、動物への愛。私達が演じる芝居で愛の大切さを伝えられれば、演じている私達と、見てくれる方々との間にも愛という絆が築けると思います」
 カオルが答えると、先生の視線が私に向けられる。
「えっと、私はやりたいことがなく、だからと言って特別演劇に詳しいとかじゃなくて、ただ、みんなで一緒に何かやりたいなって」
 情けない……二人と違ってうまく言えないし、完全にしどろもどろになってしまった。
 二人がせっかく良い土台を作ってくれたのに、私がぶち壊してしまった。


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 問題は、私達の目的が文化祭で劇を行いたいので、演劇部を立ち上げたいという短期的な点である。
 すぐに廃部になるような部を設立させるのは難しく、立ち上げるには次の代にバトンを引き継がせるのを前提に立ち上げろと言うことだ。
 私達三人と、名前を貸してくれる慎弥君は三年生。れんちゃんだけが唯一の二年なので、私達が卒業してしまったら、部員が一人になってしまう。
「確かに私達は、文化祭で劇を行いたいので演劇を立ち上げたいと思いました。けど、文化祭が終わったら演劇部を終わりにしようなんて考えてません。
 文化祭が終わった後も、勉強に差し支えのないように演劇を行いたい。でも今のままでは部員が少なく、行える劇も限られてしまうんです。
 文化祭で劇を行えば、中途半端な時期ではあるけれど劇に感動した生徒、劇に興味を持った生徒が入部してくれるかもしれない。こんな言い方をしたら大切な文化祭を私的に使っているようで申し訳ないのですが、文化祭での演劇を行うのは、部への勧誘も込めているんです」
 熱意を持って交渉するるんの背中を見ながら、私とカオルはるんに同意するように『うん、うん』と肯く。
「中々、うまい話の持って行き方だ」
 花澤先生に聞こえないように、先生に悟られないようにカオルが、ポーカーフェイスのまま小声で呟く。
 それからも、るんは自分達が演劇にどれだけ思い入れがあるか、ほとんど作り物の話で先生に訴えた。
「島崎がどれだけ演劇を愛しているかは分かった。他の二人はどうだ?」
 えっ?
 どうしよう、私達に話が逸れてしまった。
 戸惑っていると、カオルが発言する。
「私は、演劇を通して色々な愛の形を伝えられたらと思います。異性への愛とかもありますけど、故郷への愛、家族への愛、動物への愛。私達が演じる芝居で愛の大切さを伝えられれば、演じている私達と、見てくれる方々との間にも愛という絆が築けると思います」
 カオルが答えると、先生の視線が私に向けられる。
「えっと、私はやりたいことがなく、だからと言って特別演劇に詳しいとかじゃなくて、ただ、みんなで一緒に何かやりたいなって」
 情けない……二人と違ってうまく言えないし、完全にしどろもどろになってしまった。
 二人がせっかく良い土台を作ってくれたのに、私がぶち壊してしまった。