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5話 園庭遊び

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 十時二十分。次の予定は暖かな日が差す五十畳ほどの広さの園庭で、ブランコ、滑り台、砂場での自由遊び。
 十月は気候が丁度良く、柔らかな秋風が吹き桜の木々より伸びる葉を揺らしサワサワと音を鳴らす。
 決められていた動きが多かった為、ここでは自由に遊んでもらうと決まっている。
 だけど当然ルールがあって、押さない、砂を投げない、順番を守る、時間が来たら交代する、と事前に約束をしている。
 もし三回注意しても止めなければ今日は遊べないと絵カードを使用して事前に伝えてあるから、約束を守る大切さと、社会的なルールは守らなければならないと学べる大切な活動だ。
 そうは言ってもなかなかその約束は守れず、遊べなくなり泣いてしまう子も時々出てしまう。そこで支援者が絶対やってはいけないことは、約束を覆してしまうこと。
 どれだけ子供が怒っても泣いても約束は絶対と決め対応し、時に毅然とした態度も必要となる。

 凛ちゃんは砂場でちょこんと座り、スコップで掬った砂をゆっくり地面に落としていく。すると太陽に照らされた自然の香りが舞い、大人になって忘れてしまった大切なものを思い出させてくれるような気持ちになる。
 それを何度も何度も繰り返していき、パラパラと落ちていく砂をうっとりとした目で見つめていて、宝物を眺めるような表情がどこか愛おしい。
 その動作が楽しいというより眺めるのが好きみたいで、心を落ち着かせる大切な時間のようだ。だからこの時間に関してはこちらが他の遊びを提案したりとかはせず、「砂をいっぱい掬ったね」、「サラサラと綺麗に落ちていくね」と凛ちゃんの横にしゃがんで動きに合わせて声をかけ、言葉に繋がるように支援していく。

「じゃあ、あと三回で終わりにしようか?」
 太陽が高く登る頃。私は人差し指、中指、薬指で三を作り出し、凛ちゃんに提案する。
 せっかく楽しく遊んでいても、私はそこに水を差す。何故なら。
 ピピ、ピピ、ピピ、ピピ。
「はい。遊びはおしまいです」
 時計型タイマーが鳴り、遊びの時間はおしまいだと伝えてくる。その音と小林先生の声にみんな遊びを止めて片付けを始め、凛ちゃんもスコップを砂場にポイっと投げて立ち上がる。
 そこにすかさずスコップを拾って渡し、「片付けます」と声をかける。すると私とは目は合わないも、スコップをじっと見つめたかと思えばプラスチックの道具箱にそっと入れてくれる。出来る時と出来ない時があり、おやつの時はコップを片付けられなかったけど、今は出来た。
 凛ちゃんの出来たが増えていく度に、私の胸が熱くなる。「出来たね」と感情のまま手を叩いて褒めても、プイッとそっぽ向いてしまうけどね。

 こうやって子供達が小林先生の声掛けにすんなり動けるのは、「事前予告」をしているからだ。
 突然終わりだと告げられると受け入れられなかったり、驚いてしまいそれがパニックに繋がることがある。
 だから支援者が事前に声をかけ、時計型タイマーの残り時間が少なくなっているのを見てもらったり、あと何回で終わりにしようと声をかける。次の予定を伝えることで、気持ちの切り替えの手伝いをしていく。
 しかしこれがなかなか難しく、どれほど声掛けや対応を変えても上手くいくばかりではない。そんな時は。

「もっと! もっとー!」
 地団駄を踏みながらキィーと声を上げ、支援の先生をポカポカと叩く子が居て、その姿に心がチクッとするけど仕方がない。それが受け入れられないという問題を抱えているからこそ、ここに来ているのだから。
 しかし当然ながら人を叩くのを容認出来るはずもなく、お母さんや小林先生が静止し、代わりに地面を叩くようにと声をかける。
「嫌だ。もっと遊びたい」
 小林先生が気持ちを代弁しながら地面をトントンと叩くと、真似をしてその子も地面を叩き気持ちを言葉にする。
 やはり大切なことは気持ちを言葉にすることで、溜まっているフラストレーションを放出することだと言われている。


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 十時二十分。次の予定は暖かな日が差す五十畳ほどの広さの園庭で、ブランコ、滑り台、砂場での自由遊び。
 十月は気候が丁度良く、柔らかな秋風が吹き桜の木々より伸びる葉を揺らしサワサワと音を鳴らす。
 決められていた動きが多かった為、ここでは自由に遊んでもらうと決まっている。
 だけど当然ルールがあって、押さない、砂を投げない、順番を守る、時間が来たら交代する、と事前に約束をしている。
 もし三回注意しても止めなければ今日は遊べないと絵カードを使用して事前に伝えてあるから、約束を守る大切さと、社会的なルールは守らなければならないと学べる大切な活動だ。
 そうは言ってもなかなかその約束は守れず、遊べなくなり泣いてしまう子も時々出てしまう。そこで支援者が絶対やってはいけないことは、約束を覆してしまうこと。
 どれだけ子供が怒っても泣いても約束は絶対と決め対応し、時に毅然とした態度も必要となる。
 凛ちゃんは砂場でちょこんと座り、スコップで掬った砂をゆっくり地面に落としていく。すると太陽に照らされた自然の香りが舞い、大人になって忘れてしまった大切なものを思い出させてくれるような気持ちになる。
 それを何度も何度も繰り返していき、パラパラと落ちていく砂をうっとりとした目で見つめていて、宝物を眺めるような表情がどこか愛おしい。
 その動作が楽しいというより眺めるのが好きみたいで、心を落ち着かせる大切な時間のようだ。だからこの時間に関してはこちらが他の遊びを提案したりとかはせず、「砂をいっぱい掬ったね」、「サラサラと綺麗に落ちていくね」と凛ちゃんの横にしゃがんで動きに合わせて声をかけ、言葉に繋がるように支援していく。
「じゃあ、あと三回で終わりにしようか?」
 太陽が高く登る頃。私は人差し指、中指、薬指で三を作り出し、凛ちゃんに提案する。
 せっかく楽しく遊んでいても、私はそこに水を差す。何故なら。
 ピピ、ピピ、ピピ、ピピ。
「はい。遊びはおしまいです」
 時計型タイマーが鳴り、遊びの時間はおしまいだと伝えてくる。その音と小林先生の声にみんな遊びを止めて片付けを始め、凛ちゃんもスコップを砂場にポイっと投げて立ち上がる。
 そこにすかさずスコップを拾って渡し、「片付けます」と声をかける。すると私とは目は合わないも、スコップをじっと見つめたかと思えばプラスチックの道具箱にそっと入れてくれる。出来る時と出来ない時があり、おやつの時はコップを片付けられなかったけど、今は出来た。
 凛ちゃんの出来たが増えていく度に、私の胸が熱くなる。「出来たね」と感情のまま手を叩いて褒めても、プイッとそっぽ向いてしまうけどね。
 こうやって子供達が小林先生の声掛けにすんなり動けるのは、「事前予告」をしているからだ。
 突然終わりだと告げられると受け入れられなかったり、驚いてしまいそれがパニックに繋がることがある。
 だから支援者が事前に声をかけ、時計型タイマーの残り時間が少なくなっているのを見てもらったり、あと何回で終わりにしようと声をかける。次の予定を伝えることで、気持ちの切り替えの手伝いをしていく。
 しかしこれがなかなか難しく、どれほど声掛けや対応を変えても上手くいくばかりではない。そんな時は。
「もっと! もっとー!」
 地団駄を踏みながらキィーと声を上げ、支援の先生をポカポカと叩く子が居て、その姿に心がチクッとするけど仕方がない。それが受け入れられないという問題を抱えているからこそ、ここに来ているのだから。
 しかし当然ながら人を叩くのを容認出来るはずもなく、お母さんや小林先生が静止し、代わりに地面を叩くようにと声をかける。
「嫌だ。もっと遊びたい」
 小林先生が気持ちを代弁しながら地面をトントンと叩くと、真似をしてその子も地面を叩き気持ちを言葉にする。
 やはり大切なことは気持ちを言葉にすることで、溜まっているフラストレーションを放出することだと言われている。