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4話 体操の時間

ー/ー



 朝の会が終われば二番目の予定である体操の時間になり、椅子を部屋の端に子供達によって置かれていく。
 遊戯室で円になるとラジカセより軽快な子供番組の音楽が流れ、体操や手遊び、歌を歌う。
 体操と手遊びは体全体や手先をよく動かすことで脳の発達を促し、また模倣することにより記憶力向上や人に関心を持つキッカケとなりやすい。
 歌を歌うことにより口唇が動いて口周りに筋肉が付き、声が出やすく滑舌が良くなる。また言葉の意味は分かっていなくても体を動かしながら歌うと、言葉の発達を促しやすい。
 「手を叩きましょう」と歌って手を叩けば、「手」と「叩く」の意味が少しずつ分かってくるみたいに。

 そこでも個性が出ていて、ニコニコと積極的に活動を楽しむ子、得意な手遊びを恥ずかしそうな顔で控えめにする子、みんながすることを硬い表情で部屋の端から眺める子、音楽が怖くて耳を塞いでシクシクと泣いてしまう子も居る。
 そうゆう子はイヤーマフというベッドホンみたいな耳に当てる道具を使って、聞こえる音を小さくする対応はしているけど、辛そうだったら個室で別の活動をしてもらうようにしている。
 このクラスには居ないけど聴覚過敏の子は私達が普通に聞こえている音でも、その子には耳元で鳴り響いているように大きく聞こえるらしく、その苦痛は計り知れない。
 だから、一人一人合わせた対応をしていかなければならない。

 凛ちゃんは音楽に合わせてクルクルと回り、履いているピンクのスカート型スパッツがヒラヒラと揺れる。それは小さなバレリーナを連想させるように可愛らしい。
 一旦動きが止まった時に私は凛ちゃんに軽く声をかけて体をくにゃくにゃとする体操を見てもらうけど、すぐに逸らされる視線からまだ興味がないようだ。
 軽く声をかけ興味の幅を広げようとするも、子供本人がやらないならそれ以上は好きにしてもらい、無理強いはしない。こっちの価値観を押し付けないのが療育の基本とされているから。
 だからクルクル回る凛ちゃんの前にしゃがみ込み、「上手だね」、「可愛いね」と声をかけ拍手する。すると僅かだけど小さな口元が緩み、声掛けに反応してくれたように見えた。

 こうして体操が終わり、十時。次はおやつの時間で、子供の小さな体に合わせた低い階段を登り二階の食堂に向かう。
 長方形で四人が座れるテーブルと椅子が配置されてあり、大人と子供の二グループずつに分かれて座る。
 今日出されたおやつは子供の手の平サイズぐらいあるお饅頭で、丸くてほのかに甘いあんこの香りがする。
 それを丸々飲み込もうとして喉に詰まるから分けて食べるように促される子や、ご機嫌で食べる子、小さいお口でモグモグと食べる子、偏食により食べられない子も居て凛ちゃんもその一人。そんな子に渡されるのは、二つ取っ手があるコップに入ったお茶。
 まだ手元が安定しない為に飲みやすいコップでお茶を出し、水分補給だけしてもらっている。


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 朝の会が終われば二番目の予定である体操の時間になり、椅子を部屋の端に子供達によって置かれていく。
 遊戯室で円になるとラジカセより軽快な子供番組の音楽が流れ、体操や手遊び、歌を歌う。
 体操と手遊びは体全体や手先をよく動かすことで脳の発達を促し、また模倣することにより記憶力向上や人に関心を持つキッカケとなりやすい。
 歌を歌うことにより口唇が動いて口周りに筋肉が付き、声が出やすく滑舌が良くなる。また言葉の意味は分かっていなくても体を動かしながら歌うと、言葉の発達を促しやすい。
 「手を叩きましょう」と歌って手を叩けば、「手」と「叩く」の意味が少しずつ分かってくるみたいに。
 そこでも個性が出ていて、ニコニコと積極的に活動を楽しむ子、得意な手遊びを恥ずかしそうな顔で控えめにする子、みんながすることを硬い表情で部屋の端から眺める子、音楽が怖くて耳を塞いでシクシクと泣いてしまう子も居る。
 そうゆう子はイヤーマフというベッドホンみたいな耳に当てる道具を使って、聞こえる音を小さくする対応はしているけど、辛そうだったら個室で別の活動をしてもらうようにしている。
 このクラスには居ないけど聴覚過敏の子は私達が普通に聞こえている音でも、その子には耳元で鳴り響いているように大きく聞こえるらしく、その苦痛は計り知れない。
 だから、一人一人合わせた対応をしていかなければならない。
 凛ちゃんは音楽に合わせてクルクルと回り、履いているピンクのスカート型スパッツがヒラヒラと揺れる。それは小さなバレリーナを連想させるように可愛らしい。
 一旦動きが止まった時に私は凛ちゃんに軽く声をかけて体をくにゃくにゃとする体操を見てもらうけど、すぐに逸らされる視線からまだ興味がないようだ。
 軽く声をかけ興味の幅を広げようとするも、子供本人がやらないならそれ以上は好きにしてもらい、無理強いはしない。こっちの価値観を押し付けないのが療育の基本とされているから。
 だからクルクル回る凛ちゃんの前にしゃがみ込み、「上手だね」、「可愛いね」と声をかけ拍手する。すると僅かだけど小さな口元が緩み、声掛けに反応してくれたように見えた。
 こうして体操が終わり、十時。次はおやつの時間で、子供の小さな体に合わせた低い階段を登り二階の食堂に向かう。
 長方形で四人が座れるテーブルと椅子が配置されてあり、大人と子供の二グループずつに分かれて座る。
 今日出されたおやつは子供の手の平サイズぐらいあるお饅頭で、丸くてほのかに甘いあんこの香りがする。
 それを丸々飲み込もうとして喉に詰まるから分けて食べるように促される子や、ご機嫌で食べる子、小さいお口でモグモグと食べる子、偏食により食べられない子も居て凛ちゃんもその一人。そんな子に渡されるのは、二つ取っ手があるコップに入ったお茶。
 まだ手元が安定しない為に飲みやすいコップでお茶を出し、水分補給だけしてもらっている。