SCENE180 バタバタ大慌て
ー/ー「SHOOT!」
スピアさんのボウガンから矢が放たれる。
デコイに取り付けた的に、次々と矢が刺さっていく。
一発目はにこにこと見ていたんだけど、二発、三発と当たっていくにつれて、僕の表情はどんどんと引きつっていった。
『うっわぁ・・・』
『全部ど真ん中?』
スピアさんの放った矢は、なんとすべてが的のど真ん中に刺さっていた。
ど真ん中は、僕たちのドロップ品のセットだ。一セットずつって書いておいただけマシだったなぁ……。
「すごいですね。全部、的のど真ん中です。こんなの見たことないですよ」
「えっへんっ!」
実力を見せつけることができたスピアさんは、ボウガンを地面につけて胸を張っている。
『My honey is a great archer!』
『なんて?』
『英語分かんない』
「オゥ、ランス。見ていてくれたのね」
突然の英語のコメントに、スピアさんが嬉しそうに反応している。
ああ、このコメントの人がスピアさんの言っていた彼氏さんかぁ。えっと、どういう意味だっけか。
「弓の名手だって言ってくれてるの。これでも、アーチェリーの大会で上位に入ったことがあるからね」
「なるほどね。って、もしかして、命中に補正かかってたりしません?」
「あれっ、分かっちゃう?」
僕が念のために確認をしてみると、スピアさんは可愛らしく舌を出しながら話している。
そういうことなら先に言ってもらいたかったなぁ。それじゃ、これだけど真ん中を決められても当然じゃないか。とはいえ、的の形状を変えたところで、全部当てられてそうだったけど。
「いやぁ、お遊びだから一発くらい外そうと思ったんだけど、つい力んじゃったわ。ごめんなさいね、シュン」
「いや、いいですよ。視聴者さんたちが喜んでいますから。ただ、問題は……」
僕は配信画面の半分に視線を向ける。それは景品に巻き込まれていたセイレーンさんだ。
一応了承はもらっていたとはいえど、今回の射的でうろこを五枚もはぐことになってしまったんだからね。なので、どういう反応を示しているのか、気になっちゃったんだ。
「まぁ、素晴らしい腕前ですわね。一度、対戦してみたいものですわ」
あっ、セイレーンさんは逆に興味を示しているみたいだ。
でも、スピアさんって能力的に結構暗殺向きだからなぁ。セイレーンさんでも厳しいんじゃないかと思う。レベル差でどうにかできるって感じだろうけどね。
なんといっても、特殊スキルのブーストがあるし、それでいて命中補正まであるんだからね。とはいえ、こんなスピアさんでも、横浜ダンジョンの突破は無理なんだろうなぁ。
「ふふん、私とどちらの方がいい女か、対決してみようではありませんか」
「あらあら、血の気の多い方のようですわね。いつでもお待ちしておりますわよ」
ああ、売り言葉に買い言葉だ、これ。
ねえ、やめてよ。年越し配信で年明け早々から、そんな殺伐とした雰囲気を漂わせないで。
『My honey, go home a few days later』
『いや、なんて?』
『しばらくしたら帰って来いっていってる』
再びスピアさんの彼氏さんがコメントしてる。今度の英語は、視聴者さんは分かったみたいだ。
僕もなんとなく分かったよ。
「あら、ランスってば怒っているわね」
『You lose a hunter's visa in one week』
「ああ、そっかぁ。それがあったわね」
彼氏さんのコメントを見て、スピアさんが天井を見上げている。どういうことなんだろうか。
「私が日本に来るのに、ハンタービザを取ってきたんだけど、あと一週間で切れちゃうのよ。九十日間あるはずだったんだけど、所属ギルドが問題起こしちゃったから、短縮されちゃったからね」
「なるほど、そういうわけなんですね」
今まで問題起こしてきて、普通にビザを取れていることも不思議だけど、そういうパターンもあるんだな。スピアさんはバトラーにボコボコにされたし、反省もしているしってことで、一応猶予を設けられたってことなのかな?
『リベリオン所属だったからしゃーなし』
『てか、リベリオン、よくビザ申請下りたな』
『ほんそれ』
視聴者さんたちも同じ意見っぽいね。やっぱりそう思うよね。
「ま、まあ。向こうへ戻ったら、またこっちに来るわよ。興味深い相手も出てきたわけだし」
「ふふっ、挑戦ならいつでも受けて差し上げますわよ」
ああ、スピアさんとセイレーンさんがお互いを見ながらすごい笑顔を見せているよ。間に漂う雰囲気がすっごく怖い。
どうしよう。この配信、どうやって締めたらいいんだろうかなぁ……。僕は段々と不安になってきていた。
「瞬、よく見てみろ」
僕が困っていると、衣織お姉さんがやってきた。何かと思ったら、ラティナさんがこっくりこっくりとし始めていた。どうやら限界みたいだ。
さすがにこれでは続けるの厳しそうだ。僕はちょうどいいと思って配信を終わらせることにした。
「ごめんなさい、こんなタイミングですけれど、そろそろ配信を終わらせていただこうと思います。みなさん、今年もセイレーンさんや僕のダンジョンをよろしくお願いします」
『もちろんだとも』
「それと、先程の賞品ですが、後日、ダンジョン管理局を通してプレゼント企画が行われますので、そちらをよろしくお願いしますね」
『了解』
「それでは、今回の配信、ご視聴ありがとうございました」
こうして僕は、ラティナさんが限界に達したタイミングで、慌ただしく配信を終了させたのだった。
ふぅ、疲れたぁ……。
スピアさんのボウガンから矢が放たれる。
デコイに取り付けた的に、次々と矢が刺さっていく。
一発目はにこにこと見ていたんだけど、二発、三発と当たっていくにつれて、僕の表情はどんどんと引きつっていった。
『うっわぁ・・・』
『全部ど真ん中?』
スピアさんの放った矢は、なんとすべてが的のど真ん中に刺さっていた。
ど真ん中は、僕たちのドロップ品のセットだ。一セットずつって書いておいただけマシだったなぁ……。
「すごいですね。全部、的のど真ん中です。こんなの見たことないですよ」
「えっへんっ!」
実力を見せつけることができたスピアさんは、ボウガンを地面につけて胸を張っている。
『My honey is a great archer!』
『なんて?』
『英語分かんない』
「オゥ、ランス。見ていてくれたのね」
突然の英語のコメントに、スピアさんが嬉しそうに反応している。
ああ、このコメントの人がスピアさんの言っていた彼氏さんかぁ。えっと、どういう意味だっけか。
「弓の名手だって言ってくれてるの。これでも、アーチェリーの大会で上位に入ったことがあるからね」
「なるほどね。って、もしかして、命中に補正かかってたりしません?」
「あれっ、分かっちゃう?」
僕が念のために確認をしてみると、スピアさんは可愛らしく舌を出しながら話している。
そういうことなら先に言ってもらいたかったなぁ。それじゃ、これだけど真ん中を決められても当然じゃないか。とはいえ、的の形状を変えたところで、全部当てられてそうだったけど。
「いやぁ、お遊びだから一発くらい外そうと思ったんだけど、つい力んじゃったわ。ごめんなさいね、シュン」
「いや、いいですよ。視聴者さんたちが喜んでいますから。ただ、問題は……」
僕は配信画面の半分に視線を向ける。それは景品に巻き込まれていたセイレーンさんだ。
一応了承はもらっていたとはいえど、今回の射的でうろこを五枚もはぐことになってしまったんだからね。なので、どういう反応を示しているのか、気になっちゃったんだ。
「まぁ、素晴らしい腕前ですわね。一度、対戦してみたいものですわ」
あっ、セイレーンさんは逆に興味を示しているみたいだ。
でも、スピアさんって能力的に結構暗殺向きだからなぁ。セイレーンさんでも厳しいんじゃないかと思う。レベル差でどうにかできるって感じだろうけどね。
なんといっても、特殊スキルのブーストがあるし、それでいて命中補正まであるんだからね。とはいえ、こんなスピアさんでも、横浜ダンジョンの突破は無理なんだろうなぁ。
「ふふん、私とどちらの方がいい女か、対決してみようではありませんか」
「あらあら、血の気の多い方のようですわね。いつでもお待ちしておりますわよ」
ああ、売り言葉に買い言葉だ、これ。
ねえ、やめてよ。年越し配信で年明け早々から、そんな殺伐とした雰囲気を漂わせないで。
『My honey, go home a few days later』
『いや、なんて?』
『しばらくしたら帰って来いっていってる』
再びスピアさんの彼氏さんがコメントしてる。今度の英語は、視聴者さんは分かったみたいだ。
僕もなんとなく分かったよ。
「あら、ランスってば怒っているわね」
『You lose a hunter's visa in one week』
「ああ、そっかぁ。それがあったわね」
彼氏さんのコメントを見て、スピアさんが天井を見上げている。どういうことなんだろうか。
「私が日本に来るのに、ハンタービザを取ってきたんだけど、あと一週間で切れちゃうのよ。九十日間あるはずだったんだけど、所属ギルドが問題起こしちゃったから、短縮されちゃったからね」
「なるほど、そういうわけなんですね」
今まで問題起こしてきて、普通にビザを取れていることも不思議だけど、そういうパターンもあるんだな。スピアさんはバトラーにボコボコにされたし、反省もしているしってことで、一応猶予を設けられたってことなのかな?
『リベリオン所属だったからしゃーなし』
『てか、リベリオン、よくビザ申請下りたな』
『ほんそれ』
視聴者さんたちも同じ意見っぽいね。やっぱりそう思うよね。
「ま、まあ。向こうへ戻ったら、またこっちに来るわよ。興味深い相手も出てきたわけだし」
「ふふっ、挑戦ならいつでも受けて差し上げますわよ」
ああ、スピアさんとセイレーンさんがお互いを見ながらすごい笑顔を見せているよ。間に漂う雰囲気がすっごく怖い。
どうしよう。この配信、どうやって締めたらいいんだろうかなぁ……。僕は段々と不安になってきていた。
「瞬、よく見てみろ」
僕が困っていると、衣織お姉さんがやってきた。何かと思ったら、ラティナさんがこっくりこっくりとし始めていた。どうやら限界みたいだ。
さすがにこれでは続けるの厳しそうだ。僕はちょうどいいと思って配信を終わらせることにした。
「ごめんなさい、こんなタイミングですけれど、そろそろ配信を終わらせていただこうと思います。みなさん、今年もセイレーンさんや僕のダンジョンをよろしくお願いします」
『もちろんだとも』
「それと、先程の賞品ですが、後日、ダンジョン管理局を通してプレゼント企画が行われますので、そちらをよろしくお願いしますね」
『了解』
「それでは、今回の配信、ご視聴ありがとうございました」
こうして僕は、ラティナさんが限界に達したタイミングで、慌ただしく配信を終了させたのだった。
ふぅ、疲れたぁ……。
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