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SCENE181 長い一日でしたわ

ー/ー



 あらあら、ウィンクさんの配信は終わってしまいましたわね。
 ですが、あたしの配信はまだ続きますのよ。

「ウィンク様の方の配信は終わってしまいましたが、まだ大丈夫そうな方は、あたしにお付き合いいただけると助かりますわ」

『Oh, Siren is cute』

「あら、可愛いだなんて照れますわね。といいますか、あなたはあちら側にいた金髪女の彼氏さんではございませんこと?」

 あたしたちの配信で、変わった言語で話していらした方は一名しかおりませんわ。

『I'm interested in YOKOHAMA's dungeon』

『Would it be alright if we go to YOKOHAMA's dungeon?』

「あら、まったく構いませんわよ。いくら来ていただいても問題ございませんわ。でも、なぜに複数人ですの?」

『セイレーンって、英語が分かるの?』

『さすがモンスター、言語の壁もなんのそのだな!』

『ちな、今なんて言ってたん?』

 あらまあ、視聴者さんたちは、この方の言葉が分かりませんのね。複数の言語持ちの世界っていうのは大変ですわね。
 とはいいましても、あたしたちのいた異界でも。古代語と現代語で、二種類言語が存在しておりますけれどね。

「横浜ダンジョンに興味がある。行ってもいいだろうか。そう仰られておりましたわ」

『ということは、この英語の人も探索者か』

『Yes, I'm a seeker』

『My name is Lance Justice』

『おっと、名前を名乗り始めたぞ』

『探索者なら別に問題はないが、視聴者として名乗るのはあんまりな・・・』

 あら、視聴者さんが自分の名前を名乗るのはよろしくありませんのね。ですが、あたしはあんまり気に致しませんわ。

「ランス・ジャスティス様でいらっしゃいますのね。当ダンジョンへの挑戦はいつでもお待ちしておりますわ。ただ、何階層までたどり着けるのか、非常に楽しみですわ」

 せっかく名乗って下さったのですから、あたしからはしっかりと敬意を持って対応させていただきましたわ。なにせ、あたしは異界の公爵令嬢なのですからね。
 それではもう一度、あたしのダンジョンの力の証明というべきものをお見せいたしましょうか。

「では、新しい年の景気づけとしまして、ツーヘッドジャイアントシーシャークの舞、もう一度お見せいたしますわ」

『おお、いいねぇ』

『怖いモンスターではあるけれど、あの訓練された動きは一見の価値ありだぜ』

 視聴者さんたちからの反応は、上々ですわね。
 あたしは十階層の通路の前に立ち、指をパチンと鳴らします。
 それを合図としまして、再び、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちが、あたしの前に姿を見せます。

「さあ、この横浜ダンジョンの力の象徴たちよ。その見事な舞を、今またここに披露なさい」

 あたしの声に反応して、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちは、一度水中へと姿を消します。
 そうかと思えば、十階層の入口とボス部屋とを結ぶ通路を挟み込むようにして姿を見せましたわ。
 泳ぎ、飛び跳ね、飛び越し。その一糸乱れぬ見事な動き。上位のモンスターの知能の高さがよく分かるというものですわ。
 あたしが終わりの合図を送りますと、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちは、ぴたりと動きを止めます。そして、配信ドローンへと顔を向けて、ぺこりとお辞儀をしております。

『It's great!』

『ブラボーッ!』

『マジでモンスターってすげぇっ!』

 視聴者さんたちの反応は上々ですわね。
 あたしはシードラゴンと一緒に、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちに褒美となる餌を与えます。頭がふたつなので餌の量は多くなりますけれど、それだけの価値のあるモンスターですからね、餌代くらい惜しくもありませんわ。

「それでは、あたしたち横浜ダンジョンの方も、そろそろ配信を終了させていただきますわ。みなさま、今年も横浜ダンジョンをよろしくお願い致しますわよ」

『訓練用のスペースを利用させてもらうぜ』

『早く十階層に到達できるようになりたい』

『I respond to your challenge』

 おやおや、みなさま、とても意欲的ですわね。
 あたしとしては、英語とやらで話している方がとても気になりますわ。
 きちんと挨拶もしましたし、あたしは配信終了のボタンをしっかりと押します。すると、あたしの目の前から配信用の画面が消えてなくなりました。

「ふぅ、無事に終われましたわね」

「お疲れ様です、セイレーンさん」

「下僕もお疲れ様。あなたも疲れたでしょう。今日くらいは泊まっていきなさい」

「えっ、ええ?! いいんですか?」

 あら、下僕ってば何をそんなに驚いているのかしら。やることを果たした下僕を労うのは、当然ではありませんかしらね。
 ああ、あたしと一緒の場所で眠れると勘違いしてらっしゃるのかしら。

「シードラゴン、下僕のことを頼みますわよ。あたしは休みますゆえにね」

「承知致しました。おやすみなさいませ、お嬢様」

 あたしは下僕をシードラゴンに任せて、ボス部屋の自分の部屋と戻っていきます。
 何にしても、こんな時間に起きていたのは初めてですから、本日はよく眠れそうですわ。
 あたしは大きなあくびをしますと、自分のベッドへと潜り込みましたわよ。

 みなさま、おやすみなさいませ。


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次のエピソードへ進む SCENE182 スピアの帰国


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 あらあら、ウィンクさんの配信は終わってしまいましたわね。
 ですが、あたしの配信はまだ続きますのよ。
「ウィンク様の方の配信は終わってしまいましたが、まだ大丈夫そうな方は、あたしにお付き合いいただけると助かりますわ」
『Oh, Siren is cute』
「あら、可愛いだなんて照れますわね。といいますか、あなたはあちら側にいた金髪女の彼氏さんではございませんこと?」
 あたしたちの配信で、変わった言語で話していらした方は一名しかおりませんわ。
『I'm interested in YOKOHAMA's dungeon』
『Would it be alright if we go to YOKOHAMA's dungeon?』
「あら、まったく構いませんわよ。いくら来ていただいても問題ございませんわ。でも、なぜに複数人ですの?」
『セイレーンって、英語が分かるの?』
『さすがモンスター、言語の壁もなんのそのだな!』
『ちな、今なんて言ってたん?』
 あらまあ、視聴者さんたちは、この方の言葉が分かりませんのね。複数の言語持ちの世界っていうのは大変ですわね。
 とはいいましても、あたしたちのいた異界でも。古代語と現代語で、二種類言語が存在しておりますけれどね。
「横浜ダンジョンに興味がある。行ってもいいだろうか。そう仰られておりましたわ」
『ということは、この英語の人も探索者か』
『Yes, I'm a seeker』
『My name is Lance Justice』
『おっと、名前を名乗り始めたぞ』
『探索者なら別に問題はないが、視聴者として名乗るのはあんまりな・・・』
 あら、視聴者さんが自分の名前を名乗るのはよろしくありませんのね。ですが、あたしはあんまり気に致しませんわ。
「ランス・ジャスティス様でいらっしゃいますのね。当ダンジョンへの挑戦はいつでもお待ちしておりますわ。ただ、何階層までたどり着けるのか、非常に楽しみですわ」
 せっかく名乗って下さったのですから、あたしからはしっかりと敬意を持って対応させていただきましたわ。なにせ、あたしは異界の公爵令嬢なのですからね。
 それではもう一度、あたしのダンジョンの力の証明というべきものをお見せいたしましょうか。
「では、新しい年の景気づけとしまして、ツーヘッドジャイアントシーシャークの舞、もう一度お見せいたしますわ」
『おお、いいねぇ』
『怖いモンスターではあるけれど、あの訓練された動きは一見の価値ありだぜ』
 視聴者さんたちからの反応は、上々ですわね。
 あたしは十階層の通路の前に立ち、指をパチンと鳴らします。
 それを合図としまして、再び、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちが、あたしの前に姿を見せます。
「さあ、この横浜ダンジョンの力の象徴たちよ。その見事な舞を、今またここに披露なさい」
 あたしの声に反応して、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちは、一度水中へと姿を消します。
 そうかと思えば、十階層の入口とボス部屋とを結ぶ通路を挟み込むようにして姿を見せましたわ。
 泳ぎ、飛び跳ね、飛び越し。その一糸乱れぬ見事な動き。上位のモンスターの知能の高さがよく分かるというものですわ。
 あたしが終わりの合図を送りますと、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちは、ぴたりと動きを止めます。そして、配信ドローンへと顔を向けて、ぺこりとお辞儀をしております。
『It's great!』
『ブラボーッ!』
『マジでモンスターってすげぇっ!』
 視聴者さんたちの反応は上々ですわね。
 あたしはシードラゴンと一緒に、ツーヘッドジャイアントシーシャークたちに褒美となる餌を与えます。頭がふたつなので餌の量は多くなりますけれど、それだけの価値のあるモンスターですからね、餌代くらい惜しくもありませんわ。
「それでは、あたしたち横浜ダンジョンの方も、そろそろ配信を終了させていただきますわ。みなさま、今年も横浜ダンジョンをよろしくお願い致しますわよ」
『訓練用のスペースを利用させてもらうぜ』
『早く十階層に到達できるようになりたい』
『I respond to your challenge』
 おやおや、みなさま、とても意欲的ですわね。
 あたしとしては、英語とやらで話している方がとても気になりますわ。
 きちんと挨拶もしましたし、あたしは配信終了のボタンをしっかりと押します。すると、あたしの目の前から配信用の画面が消えてなくなりました。
「ふぅ、無事に終われましたわね」
「お疲れ様です、セイレーンさん」
「下僕もお疲れ様。あなたも疲れたでしょう。今日くらいは泊まっていきなさい」
「えっ、ええ?! いいんですか?」
 あら、下僕ってば何をそんなに驚いているのかしら。やることを果たした下僕を労うのは、当然ではありませんかしらね。
 ああ、あたしと一緒の場所で眠れると勘違いしてらっしゃるのかしら。
「シードラゴン、下僕のことを頼みますわよ。あたしは休みますゆえにね」
「承知致しました。おやすみなさいませ、お嬢様」
 あたしは下僕をシードラゴンに任せて、ボス部屋の自分の部屋と戻っていきます。
 何にしても、こんな時間に起きていたのは初めてですから、本日はよく眠れそうですわ。
 あたしは大きなあくびをしますと、自分のベッドへと潜り込みましたわよ。
 みなさま、おやすみなさいませ。