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SCENE179 年明けて

ー/ー



「あけまして、おめでとうございます」

「ア、ハッピーニューイヤーッ!」

 カウントが0になると、全員で新年の挨拶をしている。

「新しい年を迎えられたことを、ここに感謝致します」

 僕たちの挨拶とは違い、ラティナさんたち、異界のモンスターたちの挨拶は堅苦しい感じの挨拶だった。なんとも意外な感じだな。

『これまた異文化交流やなぁ』

『異界にも新年を祝う風習があるのも意外だったが・・・』

『挨拶が定型句っぽい硬さなのが意外だった・・・』

 視聴者さんたちも同じような反応をしている。
 僕たちの反応に、ラティナさんたちは困っているようだった。

「硬いと言われましてもね……」

「あたくしたちはこれが普通ですものね」

「ええ、その通りですわ」

「そうですなぁ」

「まったく、失礼ですな」

 ラティナさんたちが口々に反応している。全員が同じように話しているので、これが異界の普通なんだなってことで間違いなさそうだ。
 僕たちは、異界についてまたひとつ知識を得たよ。
 とはいえ、分かり合えないと思っていた僕たち地球の人間たちと異界のモンスターたちにも意外な共通点があったことは収穫だと思うよ。

 まあ、新年の挨拶が終わったので、新年一発目の企画に移ってみようかな。
 僕はバトラーに頼んで、デコイにちょっと細工をしてもらう。

『おや、何をしてるんだろ』

『あれって、試し斬り用に用意したデコイだよな?』

『なんか丸いのをつけてるけど、何をするんだ?』

『いや、これってあれだな』

 僕たちの動きを見て、視聴者さんたちがいろいろと推理をしているみたいだ。何人かはもう分った感じみたいだね。
 バトラーの用意が終わったみたいなので、僕はスピアさんに声をかける。

「オーケー。私のシューティングの腕前、見せてあげようじゃないの。任せてよ、シュン」

 僕の頼みを快く引き受けてくれたスピアさんは、ラティナさんのお父さんが作ってくれた、新しいボウガンを取り出している。
 ここまでくれば、みんな分かったはずだよ。

『うおっ、射撃か』

『そういや、この元リベリオンの女、ボウガン使いだったな』

 視聴者さんたちは、どうやらざわついているようだ。
 そりゃまあ、以前の配信で僕を殺そうとしていたスピアさんだからね。今日の配信を始めた時にもあんまりよく思っている人はいなかったもんなぁ。この反応はある程度仕方ないか。

「ヘイ、シュン。矢は何本使えばいいかな?」

 スピアさんが僕に確認をしてきている。そういえば、この企画を決めたのはいいけれど、本数を決めてなかったな。
 僕はちょっと待ってもらう。
 僕たちモンスターの間で、こそこそと話をして数を決める。

「お待たせしました。スピアさん、五本でお願いします」

「オーケー、ファイブアローね」

 僕が本数を告げると、スピアさんは早速、矢を用意し始める。
 うわぁっ、矢がないと思っていたら、魔力で作るんだ。これは驚いたなぁ。

『そういや、弓や銃の連中はどうしてるんだろって思ったけど、そういうことができるのか』

『今回の配信は、ものすごく貴重なデータが大量に出てくるぞ』

 視聴者さんたちも知らなかった人が多いみたいだ。だけど、衣織お姉さんだけはじっと見ている。色さんだって驚いているのに、これは意外だった。

「ああ、私はラティナの親父さんに武器を作ってもらった時に見ているからな」

「あっ、そういうことか」

 そうだった。衣織お姉さんはスピアさんを連れて武器を直してもらいに行ったんだった。その時に見ているのなら、驚かないのは当然かぁ。

「さあ、スピアさん。ちゃっかり矢を当てて下さいね」

「オーケーオーケー。まっかせなさい」

『これで何をするつもりなんだ?』

 何が行われるのか、視聴者さんたちは気になっているようだ。
 そこで、僕はこの企画の目的を説明する。

「これからスピアさんが、デコイに貼りつけられた的に向かって矢を放ちます。そこで当たったものを見ているみなさんへのプレゼントにするんですよ」

『な、なんだってーっ?!』

『なんという大盤振る舞いだ』

「とはいっても、僕のうろこ、ラティナさんの護石、それとセイレーンさんのうろこですので、あんまり珍しいものはないと思います」

『セイレーンのうろこ?!』

『ちょっと待て、それは貴重じゃないか』

『横浜ダンジョンは最奥までたどり着けないから、絶対手に入らないものだぞ』

『売ればとんでもない値段になるっ!』

 うわぁ、予想以上に反響が大きいや。

「おほほほっ。このあたしのうろこですもの。それは驚いて当然ですわ」

 セイレーンさんは反応にご満悦みたいだ。
 とはいえ、どんなプレゼントになるかはすべてスピアさん次第だ。
 矢を射てもらう前に、僕は一度配信ドローンを操作して、デコイの的をアップにする。
 そこには、僕がさっき言ったプレゼントの内容が書かれている。

『さすがに全部盛りは小さいなwww』

『確実にウィンクちゃんを仕留めようとしていた腕前だから、プレゼントは期待できるぞ』

『全部盛りでオナシャス!』

 ああ、正月早々から、視聴者さんたちが祈り始めちゃった。
 とはいえど、ダンジョン管理局を通しての企画だから、プレゼントが届くまでには結構日数がかかると思うだよね。
 視聴者さんたちからのとんでもないプレッシャーが、スピアさんへと向けられる。
 だけど、スピアさんはとてもリラックスした様子でストレッチをしている。

「シュン、もう大丈夫?」

「ええ。説明を今終えましたから、スピアさんのタイミングでお願いします」

「オーケー。腕が鳴るわ」

 僕が声をかけると、スピアさんは深呼吸をして精神を集中させている。
 視聴者さんたちが見守る中、新年最初の企画である、スピアさんによる射撃が始まろうとしていた。


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次のエピソードへ進む SCENE180 バタバタ大慌て


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「あけまして、おめでとうございます」
「ア、ハッピーニューイヤーッ!」
 カウントが0になると、全員で新年の挨拶をしている。
「新しい年を迎えられたことを、ここに感謝致します」
 僕たちの挨拶とは違い、ラティナさんたち、異界のモンスターたちの挨拶は堅苦しい感じの挨拶だった。なんとも意外な感じだな。
『これまた異文化交流やなぁ』
『異界にも新年を祝う風習があるのも意外だったが・・・』
『挨拶が定型句っぽい硬さなのが意外だった・・・』
 視聴者さんたちも同じような反応をしている。
 僕たちの反応に、ラティナさんたちは困っているようだった。
「硬いと言われましてもね……」
「あたくしたちはこれが普通ですものね」
「ええ、その通りですわ」
「そうですなぁ」
「まったく、失礼ですな」
 ラティナさんたちが口々に反応している。全員が同じように話しているので、これが異界の普通なんだなってことで間違いなさそうだ。
 僕たちは、異界についてまたひとつ知識を得たよ。
 とはいえ、分かり合えないと思っていた僕たち地球の人間たちと異界のモンスターたちにも意外な共通点があったことは収穫だと思うよ。
 まあ、新年の挨拶が終わったので、新年一発目の企画に移ってみようかな。
 僕はバトラーに頼んで、デコイにちょっと細工をしてもらう。
『おや、何をしてるんだろ』
『あれって、試し斬り用に用意したデコイだよな?』
『なんか丸いのをつけてるけど、何をするんだ?』
『いや、これってあれだな』
 僕たちの動きを見て、視聴者さんたちがいろいろと推理をしているみたいだ。何人かはもう分った感じみたいだね。
 バトラーの用意が終わったみたいなので、僕はスピアさんに声をかける。
「オーケー。私のシューティングの腕前、見せてあげようじゃないの。任せてよ、シュン」
 僕の頼みを快く引き受けてくれたスピアさんは、ラティナさんのお父さんが作ってくれた、新しいボウガンを取り出している。
 ここまでくれば、みんな分かったはずだよ。
『うおっ、射撃か』
『そういや、この元リベリオンの女、ボウガン使いだったな』
 視聴者さんたちは、どうやらざわついているようだ。
 そりゃまあ、以前の配信で僕を殺そうとしていたスピアさんだからね。今日の配信を始めた時にもあんまりよく思っている人はいなかったもんなぁ。この反応はある程度仕方ないか。
「ヘイ、シュン。矢は何本使えばいいかな?」
 スピアさんが僕に確認をしてきている。そういえば、この企画を決めたのはいいけれど、本数を決めてなかったな。
 僕はちょっと待ってもらう。
 僕たちモンスターの間で、こそこそと話をして数を決める。
「お待たせしました。スピアさん、五本でお願いします」
「オーケー、ファイブアローね」
 僕が本数を告げると、スピアさんは早速、矢を用意し始める。
 うわぁっ、矢がないと思っていたら、魔力で作るんだ。これは驚いたなぁ。
『そういや、弓や銃の連中はどうしてるんだろって思ったけど、そういうことができるのか』
『今回の配信は、ものすごく貴重なデータが大量に出てくるぞ』
 視聴者さんたちも知らなかった人が多いみたいだ。だけど、衣織お姉さんだけはじっと見ている。色さんだって驚いているのに、これは意外だった。
「ああ、私はラティナの親父さんに武器を作ってもらった時に見ているからな」
「あっ、そういうことか」
 そうだった。衣織お姉さんはスピアさんを連れて武器を直してもらいに行ったんだった。その時に見ているのなら、驚かないのは当然かぁ。
「さあ、スピアさん。ちゃっかり矢を当てて下さいね」
「オーケーオーケー。まっかせなさい」
『これで何をするつもりなんだ?』
 何が行われるのか、視聴者さんたちは気になっているようだ。
 そこで、僕はこの企画の目的を説明する。
「これからスピアさんが、デコイに貼りつけられた的に向かって矢を放ちます。そこで当たったものを見ているみなさんへのプレゼントにするんですよ」
『な、なんだってーっ?!』
『なんという大盤振る舞いだ』
「とはいっても、僕のうろこ、ラティナさんの護石、それとセイレーンさんのうろこですので、あんまり珍しいものはないと思います」
『セイレーンのうろこ?!』
『ちょっと待て、それは貴重じゃないか』
『横浜ダンジョンは最奥までたどり着けないから、絶対手に入らないものだぞ』
『売ればとんでもない値段になるっ!』
 うわぁ、予想以上に反響が大きいや。
「おほほほっ。このあたしのうろこですもの。それは驚いて当然ですわ」
 セイレーンさんは反応にご満悦みたいだ。
 とはいえ、どんなプレゼントになるかはすべてスピアさん次第だ。
 矢を射てもらう前に、僕は一度配信ドローンを操作して、デコイの的をアップにする。
 そこには、僕がさっき言ったプレゼントの内容が書かれている。
『さすがに全部盛りは小さいなwww』
『確実にウィンクちゃんを仕留めようとしていた腕前だから、プレゼントは期待できるぞ』
『全部盛りでオナシャス!』
 ああ、正月早々から、視聴者さんたちが祈り始めちゃった。
 とはいえど、ダンジョン管理局を通しての企画だから、プレゼントが届くまでには結構日数がかかると思うだよね。
 視聴者さんたちからのとんでもないプレッシャーが、スピアさんへと向けられる。
 だけど、スピアさんはとてもリラックスした様子でストレッチをしている。
「シュン、もう大丈夫?」
「ええ。説明を今終えましたから、スピアさんのタイミングでお願いします」
「オーケー。腕が鳴るわ」
 僕が声をかけると、スピアさんは深呼吸をして精神を集中させている。
 視聴者さんたちが見守る中、新年最初の企画である、スピアさんによる射撃が始まろうとしていた。