テレパス・シンドローム
ー/ー「『変異μ波交錯症』という言葉はご存知ですか?」
ある日いきなり医者はそう言って。
青年は静かに首を横へ振った。
「まあ、少し前まで単なる感性とか、繊細さと間違われていた病気ですから……」
【どうせ知らないと思ってたよ】
医者は机の上で端末に何かを書き込みながらに、そう言っていたが。
松江という姓を持つその青年は眉根を寄せて、それから少し医者から視線を外す。
しかしそんな様子の彼などお構いなしとでも言いたげに、医者は話を続けて。
「μ波というのは、安静時に出る脳波の一種でしてね」
【あなたのはとても強いうえ発生しやすく、他の人のと混ざりやすいんです】
という言葉に、松江は思わず目を見開き。
「混ざる……? 脳波がですか?」
なんて洩らすが。
「まだそこまで言ってませんよ」と、医者は松江のほうへ向き直す。
医者いわくこの病気は『テレパス・シンドローム』とも言うそうで。
最近ぽつぽつと症状の顕在化例が発生している、ある種の遺伝子疾患らしかった。
座っている丸椅子が、ギッという小さな音を立てて。
松江が手のひらを握り込むと、じゅわりとした感覚が指を伝ってくる。
医者は電灯の真っ白な光に照らされたままに、しばらく考え込んでから。
「まあ、治療できない病気じゃありませんから、そう気にしないで」
とか言いながらに手元の端末に何かを入力すると。
やがて松江の座高ほどの大きさのロボットがやってきて。
ロボットが持っている小冊子を松江が受け取るなり医者は。
「保険適用ではありますが、安い施術ではありませんので……」
なんて、松江の持つパンフレットを指さしていて。
そこに書かれた『脳深部刺激療法』という語や。
『一日一時間で脳のお悩みを改善!』という触れ込みを見やりながら。
「考えて、おきます……」と松江は小さく伝える。
「何かわからないことがあったら、すぐ当院のホームページに」
医者はそんなことを言って、今日の診察が終わったことを告げると。
松江は釈然としないままにリュックを近くのカゴから取り出して。
軽く会釈をしながら、松江は診察室の扉を開けるが。
「お大事に」という声が背中越しに。
【次は吉田さんか……】という声が脳越しに聞こえて。
それを飲み込むように「ありがとうございました」と松江は言った。
* * * * *
病院から出るなり、松江はフードをかぶっていたのだが。
【家にカレー残ってんの忘れてた……】
【今の人めっちゃ香水キツかったな】
【青信号じゃん。ラッキー!】
老若男女問わないさまざまな声が反響して。
そのたびに松江は頭の重みを感じていく。
自然と小走りになりながら、街を進んでも。
真っ白な四角い建物たちや、灰色の道を進む車たち。
そして道を埋め尽くすほどにたくさん歩いている人たちを縫って歩くたびに。
松江の脳内には、知らない声や重苦しい痛みが延々と伝っていく。
——冗談じゃない。
こんな目に遭う理由はない。
そんなことを考えているのは果たして自分なのか、それとも他人なのか。
それすら曖昧になっていくような感覚に、思わずふらつきながらも。
松江はやがて、自分の住んでいるマンションへとたどり着いて。
それから手首に着けた端末をかざして鍵を開ける。
「検査の結果が出ました」
との連絡を受けて病院に行っただけなのに、ひどく身体が重くて。
まるで長い期間を別の国で過ごしていたかのような錯覚をしながらも、ベッドに倒れ込む。
薄暗いワンルームの中は、窓だけが真っ白。
たわんだカーテンのその先で、クラクションが聞こえた。
しばらく松江はぼんやりとしていたが、心の中がぐるぐるとしていて。
放り投げていたリュックを脇に寄せると、ゆっくりとデスクに歩み寄り。
それから松江は椅子に座って、コンピュータの電源を入れる。
開いたのはペイントソフトであり。
松江がファイルを選択すると、描きかけの漫画が表示された。
コンピュータがホログラムで原稿を投影して、そこに専用のペンで描き込みながら。
松江は今日あったもやもやを、作品に押し付けるように。
あるいは作品で自分の意識を塗りつぶすように。
ただ黙々とペンを動かしていたが、それも長くは続かず。
おおよそネームの真ん中あたりで、その手は止まる。
松江はリュックを開け、病院でもらった小冊子を眺めてから。
ふいに「クソッ……」と呟いて。
それからコンピュータを操作して別のウィンドウを開いた。
表示されたサイトでは、松江の描いた漫画が掲載されており。
閲覧数こそ二桁と少なかったが、そこにはいくつかのコメントがあった。
『繊細な画風が好き』
『絵には詳しくないけど上手いと思う』
『心理描写が生々しくていい』
『人間観察をちゃんとやってないと描けない作風』
無名の作品に賛否の賛しかないことの気持ち悪さを感じながらも、松江の表情は和らぎ。
それからまた原稿へ取りかかろうとするが、やっぱり手は動かない。
原稿の上でペンをゆらゆらさせては、視線がいちいち小冊子に吸われる。
そんなことが何度も何度も続いて、松江は携帯を開く。
パンフレットに書かれていた施術費用の合計。
それは携帯に表示させた通帳残高とほぼ同じ値であり。
松江は頭の中で簡単なかけ算と引き算をしてみるが、何度繰り返しても結果は同じだった。
手術代を差し引けば、残高はほぼ無くなる。
それはつまり生活費を失うということであり。
失った生活費を補填するにはバイトのシフトを増やさねばならず。
漫画を描く時間をその分失うこととほぼ同義だった。
自分は遅筆だ。
まだ漫画で収益は得られない。
それに描き上げるまでの時間が増えるほど読者から忘れられ不利になる。
「もしそうなったら……っ」
押し寄せるイメージたちを振り払うように。
松江はまたペンを手に取るが、その瞬間。
【夜勤疲れたぁ……】
という声が響いてきて、思わず壁の向こうを見やる。
壁の向こうでガタンッと扉の閉まる音がしていて。
その音を皮切りに、松江の脳内にはずっと。
【メイク落とすの面倒くさい】
【洗濯しないと】
【お皿も溜めてたわ】
【面倒くさい……】
【眠い……】
というふうな隣人の声が延々と響いてきていて。
松江がペンを机の上に投げ捨てると。
チャッと妙に軽い音で落ちてから。
ペンはカラカラと転がっていく。
松江が耳を塞いでいるうちに。
そのうち別の隣人まで活動を始めたのか。
【おっ、この依頼この前の人からじゃん】
【となると色配置はブライト系メインかな?】
なんて声まで増えてきて。
それからは声が混ざったり、交互に来たり。
そんな声たちから逃れたくて。
松江はベッドへ飛び込むように潜り込むと。
そのまま布団の中に全身をうずめてみたりもしたが。
声はずっと、松江の脳内に反響していて。
ふいに眠気がやってきてくれても、声にすぐかき消された。
静かにしてくれ。
【俺そんなに騒がしかったかな?】
何も考えないでくれ。
【なんか声がした気がする】
どこかに行ってくれ。
【隣の人かな……】
【このマンション壁薄いんだよなぁ】
【うわっ、ミスってた! いつのだこれ⁉︎】
——静かにしてくれ!
松江は布団の端を握って。
息をすることすら忘れるくらいに。
ずっと、ずっと、祈り続けて。
それでもなお続く隣人の声に、松江は歯を食いしばる。
すぐに治療を始めよう。
予約できるなら明日に。
金はあとで稼げばいい。
バイトだって、いい刺激になるはずだ。
大丈夫、大丈夫なはずだ……っ。
流れてくる声に負けないよう、松江は心の中で声を張り。
散漫になる頭の中を無理矢理整えながら、病院の予約をする。
光を放つ携帯は、小さく震えを持っていて。
一つずつ、失敗しないように操作を続け。
しばらく松江は自分に「大丈夫だ」と、言い聞かせ続けていた。
* * * * *
治療が終わるまで結局三週間後かかってしまったが、精神はなんとか耐えてくれたようで。
脳神経の刺激による発症抑制と症状緩和。
これらのすべて治療を終えたときの松江は自然と身体を伸ばし、大きな深呼吸をしていた。
灰色の道を行き交う車や、交差点をみちみちになって進む通行人たち。
街はあいも変わらず騒々しかったが、人々の声は松江から離れれば小さくなった。
これからバイト増やさないとな、とか。
しばらくはエアコンも使えないな、とか。
そういう普通のことを、ふと考えているだけなのに。
松江は身体の中をさっと風が通るように感じた。
白く照らされた街並みも。
狭っ苦しいワンルームも。
もう何も言ってこなかった。
松江の脳内は、もう松江だけのものだった。
手術が終わってすでに二ヶ月。
その日も松江は、いつも通りバイトから帰ってきていたのだが。
「そういえば、感想来てるのかな……?」なんて。
ふいに思い至ったのでコンピュータを起動する。
そして開いたサイトで漫画のページを表示すると。
コメントがいくつか、松江の最新作に寄せられていた。
それは手術直後の清々しさに乗って描いたものであり。
始めこそ一週間ごとに更新をしていたのに、気がつけば更新をやめていたものだった。
松江は無心で操作をしてコメント欄を開いていたのだが。
その内容を見て、思わず「あれ?」と洩らす。
『最近絵が雑』
『主人公そんな子だったっけ?』
『なんか毒が抜けたね』
『前の感じのほうが好き』
そんな言葉たちを、しばらく眺めて。
それからぼんやりと、部屋の壁を見渡してから。
「不評なら仕方ない……」
なんて言いつつ、コンピュータの電源を切った松江は。
今後はバイトに専念かな、とか。
働かなきゃ生きていけないし、とか、なんとなく思ってもいた。
もう、松江が漫画を描くことはないだろう。
ある日いきなり医者はそう言って。
青年は静かに首を横へ振った。
「まあ、少し前まで単なる感性とか、繊細さと間違われていた病気ですから……」
【どうせ知らないと思ってたよ】
医者は机の上で端末に何かを書き込みながらに、そう言っていたが。
松江という姓を持つその青年は眉根を寄せて、それから少し医者から視線を外す。
しかしそんな様子の彼などお構いなしとでも言いたげに、医者は話を続けて。
「μ波というのは、安静時に出る脳波の一種でしてね」
【あなたのはとても強いうえ発生しやすく、他の人のと混ざりやすいんです】
という言葉に、松江は思わず目を見開き。
「混ざる……? 脳波がですか?」
なんて洩らすが。
「まだそこまで言ってませんよ」と、医者は松江のほうへ向き直す。
医者いわくこの病気は『テレパス・シンドローム』とも言うそうで。
最近ぽつぽつと症状の顕在化例が発生している、ある種の遺伝子疾患らしかった。
座っている丸椅子が、ギッという小さな音を立てて。
松江が手のひらを握り込むと、じゅわりとした感覚が指を伝ってくる。
医者は電灯の真っ白な光に照らされたままに、しばらく考え込んでから。
「まあ、治療できない病気じゃありませんから、そう気にしないで」
とか言いながらに手元の端末に何かを入力すると。
やがて松江の座高ほどの大きさのロボットがやってきて。
ロボットが持っている小冊子を松江が受け取るなり医者は。
「保険適用ではありますが、安い施術ではありませんので……」
なんて、松江の持つパンフレットを指さしていて。
そこに書かれた『脳深部刺激療法』という語や。
『一日一時間で脳のお悩みを改善!』という触れ込みを見やりながら。
「考えて、おきます……」と松江は小さく伝える。
「何かわからないことがあったら、すぐ当院のホームページに」
医者はそんなことを言って、今日の診察が終わったことを告げると。
松江は釈然としないままにリュックを近くのカゴから取り出して。
軽く会釈をしながら、松江は診察室の扉を開けるが。
「お大事に」という声が背中越しに。
【次は吉田さんか……】という声が脳越しに聞こえて。
それを飲み込むように「ありがとうございました」と松江は言った。
* * * * *
病院から出るなり、松江はフードをかぶっていたのだが。
【家にカレー残ってんの忘れてた……】
【今の人めっちゃ香水キツかったな】
【青信号じゃん。ラッキー!】
老若男女問わないさまざまな声が反響して。
そのたびに松江は頭の重みを感じていく。
自然と小走りになりながら、街を進んでも。
真っ白な四角い建物たちや、灰色の道を進む車たち。
そして道を埋め尽くすほどにたくさん歩いている人たちを縫って歩くたびに。
松江の脳内には、知らない声や重苦しい痛みが延々と伝っていく。
——冗談じゃない。
こんな目に遭う理由はない。
そんなことを考えているのは果たして自分なのか、それとも他人なのか。
それすら曖昧になっていくような感覚に、思わずふらつきながらも。
松江はやがて、自分の住んでいるマンションへとたどり着いて。
それから手首に着けた端末をかざして鍵を開ける。
「検査の結果が出ました」
との連絡を受けて病院に行っただけなのに、ひどく身体が重くて。
まるで長い期間を別の国で過ごしていたかのような錯覚をしながらも、ベッドに倒れ込む。
薄暗いワンルームの中は、窓だけが真っ白。
たわんだカーテンのその先で、クラクションが聞こえた。
しばらく松江はぼんやりとしていたが、心の中がぐるぐるとしていて。
放り投げていたリュックを脇に寄せると、ゆっくりとデスクに歩み寄り。
それから松江は椅子に座って、コンピュータの電源を入れる。
開いたのはペイントソフトであり。
松江がファイルを選択すると、描きかけの漫画が表示された。
コンピュータがホログラムで原稿を投影して、そこに専用のペンで描き込みながら。
松江は今日あったもやもやを、作品に押し付けるように。
あるいは作品で自分の意識を塗りつぶすように。
ただ黙々とペンを動かしていたが、それも長くは続かず。
おおよそネームの真ん中あたりで、その手は止まる。
松江はリュックを開け、病院でもらった小冊子を眺めてから。
ふいに「クソッ……」と呟いて。
それからコンピュータを操作して別のウィンドウを開いた。
表示されたサイトでは、松江の描いた漫画が掲載されており。
閲覧数こそ二桁と少なかったが、そこにはいくつかのコメントがあった。
『繊細な画風が好き』
『絵には詳しくないけど上手いと思う』
『心理描写が生々しくていい』
『人間観察をちゃんとやってないと描けない作風』
無名の作品に賛否の賛しかないことの気持ち悪さを感じながらも、松江の表情は和らぎ。
それからまた原稿へ取りかかろうとするが、やっぱり手は動かない。
原稿の上でペンをゆらゆらさせては、視線がいちいち小冊子に吸われる。
そんなことが何度も何度も続いて、松江は携帯を開く。
パンフレットに書かれていた施術費用の合計。
それは携帯に表示させた通帳残高とほぼ同じ値であり。
松江は頭の中で簡単なかけ算と引き算をしてみるが、何度繰り返しても結果は同じだった。
手術代を差し引けば、残高はほぼ無くなる。
それはつまり生活費を失うということであり。
失った生活費を補填するにはバイトのシフトを増やさねばならず。
漫画を描く時間をその分失うこととほぼ同義だった。
自分は遅筆だ。
まだ漫画で収益は得られない。
それに描き上げるまでの時間が増えるほど読者から忘れられ不利になる。
「もしそうなったら……っ」
押し寄せるイメージたちを振り払うように。
松江はまたペンを手に取るが、その瞬間。
【夜勤疲れたぁ……】
という声が響いてきて、思わず壁の向こうを見やる。
壁の向こうでガタンッと扉の閉まる音がしていて。
その音を皮切りに、松江の脳内にはずっと。
【メイク落とすの面倒くさい】
【洗濯しないと】
【お皿も溜めてたわ】
【面倒くさい……】
【眠い……】
というふうな隣人の声が延々と響いてきていて。
松江がペンを机の上に投げ捨てると。
チャッと妙に軽い音で落ちてから。
ペンはカラカラと転がっていく。
松江が耳を塞いでいるうちに。
そのうち別の隣人まで活動を始めたのか。
【おっ、この依頼この前の人からじゃん】
【となると色配置はブライト系メインかな?】
なんて声まで増えてきて。
それからは声が混ざったり、交互に来たり。
そんな声たちから逃れたくて。
松江はベッドへ飛び込むように潜り込むと。
そのまま布団の中に全身をうずめてみたりもしたが。
声はずっと、松江の脳内に反響していて。
ふいに眠気がやってきてくれても、声にすぐかき消された。
静かにしてくれ。
【俺そんなに騒がしかったかな?】
何も考えないでくれ。
【なんか声がした気がする】
どこかに行ってくれ。
【隣の人かな……】
【このマンション壁薄いんだよなぁ】
【うわっ、ミスってた! いつのだこれ⁉︎】
——静かにしてくれ!
松江は布団の端を握って。
息をすることすら忘れるくらいに。
ずっと、ずっと、祈り続けて。
それでもなお続く隣人の声に、松江は歯を食いしばる。
すぐに治療を始めよう。
予約できるなら明日に。
金はあとで稼げばいい。
バイトだって、いい刺激になるはずだ。
大丈夫、大丈夫なはずだ……っ。
流れてくる声に負けないよう、松江は心の中で声を張り。
散漫になる頭の中を無理矢理整えながら、病院の予約をする。
光を放つ携帯は、小さく震えを持っていて。
一つずつ、失敗しないように操作を続け。
しばらく松江は自分に「大丈夫だ」と、言い聞かせ続けていた。
* * * * *
治療が終わるまで結局三週間後かかってしまったが、精神はなんとか耐えてくれたようで。
脳神経の刺激による発症抑制と症状緩和。
これらのすべて治療を終えたときの松江は自然と身体を伸ばし、大きな深呼吸をしていた。
灰色の道を行き交う車や、交差点をみちみちになって進む通行人たち。
街はあいも変わらず騒々しかったが、人々の声は松江から離れれば小さくなった。
これからバイト増やさないとな、とか。
しばらくはエアコンも使えないな、とか。
そういう普通のことを、ふと考えているだけなのに。
松江は身体の中をさっと風が通るように感じた。
白く照らされた街並みも。
狭っ苦しいワンルームも。
もう何も言ってこなかった。
松江の脳内は、もう松江だけのものだった。
手術が終わってすでに二ヶ月。
その日も松江は、いつも通りバイトから帰ってきていたのだが。
「そういえば、感想来てるのかな……?」なんて。
ふいに思い至ったのでコンピュータを起動する。
そして開いたサイトで漫画のページを表示すると。
コメントがいくつか、松江の最新作に寄せられていた。
それは手術直後の清々しさに乗って描いたものであり。
始めこそ一週間ごとに更新をしていたのに、気がつけば更新をやめていたものだった。
松江は無心で操作をしてコメント欄を開いていたのだが。
その内容を見て、思わず「あれ?」と洩らす。
『最近絵が雑』
『主人公そんな子だったっけ?』
『なんか毒が抜けたね』
『前の感じのほうが好き』
そんな言葉たちを、しばらく眺めて。
それからぼんやりと、部屋の壁を見渡してから。
「不評なら仕方ない……」
なんて言いつつ、コンピュータの電源を切った松江は。
今後はバイトに専念かな、とか。
働かなきゃ生きていけないし、とか、なんとなく思ってもいた。
もう、松江が漫画を描くことはないだろう。
みんなのリアクション
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