さよなら
ー/ー 一週間も一緒にいると愛情が沸くらしく、私はすっかりゾグワンタを受け入れてしまっている。でも、うるさく言わないお母さんの代わりに、ゾグワンタがしつこくつきまとってくるのだ。
「今日も学校へ行かないのかい?」
「勉強はしてるよ」
「そういう問題ではなかろうに」
「じゃあ、どういう問題?」
私はとぼけて机から離れ、キッチンでお茶を淹れて戻ってきた。
「ところで私、思ったの。パジャマポケットって必要だったよ。だって使用用途がなくても、あるかないかで見た目が全然違うもんね」
ゾグワンタは私のベッドの上でのさばりながらちらりと目を上げた。
「むかしむかしの話。病弱で、入退院を繰り返していた人間に出会ったことがある。パジャマのポケットに、煙草やライター、チョコレート、キャンディ、小銭を隠していてね。あたしにこう言ったのさ。ここには望めばどんなものでも仕込むことができるし、反対に、しまえばなかったことにもできるんだって。パジャマのポケットには魔法が働いているとあたしは思ったのさ。お前から奪ったのはそういう理由さ」
「もしかして、今の話は布石? 望めばどんなことでも叶えてくれるっていうこと?」
「一体全体、どう捉えたらそうなるのさ。お前の頭のなかにはお花畑があるのかい?」
ゾグワンタはあくびをして立ち上がり、伸びをする。玄関のチャイムが鳴ったのは、まさにその時のことだった。
ドアアイを覗いたら、東川先生が立っていた。私はびっくりして、パジャマのまま扉を開けてしまった。
「おはよう、外はいいお天気ですよ」
東川先生は歌うように述べて、手に提げていた風呂敷包みを私に渡してきた。
「これ、直しておきました。時間がかかってしまったけれど、我ながら完璧にできたんですよ」
わけもわからず受け取り、お礼を言う。先生は小首をかしげ、癖のある笑みを浮かべた。
「お友達のことだけれど、今度会ったら、ちゃんと対話をしてみてください。きっとお互いに誤解していることがあるんですよ。人は誤解し合う生き物ですから」
先生に愛莉のことを話した記憶はない。どう答えたらいいのかわからなくて、私は口ごもる。先生は、「それじゃあ、次の登校日にまたお会いしましょう」と爽やかに告げて帰っていった。
「今日も学校へ行かないのかい?」
「勉強はしてるよ」
「そういう問題ではなかろうに」
「じゃあ、どういう問題?」
私はとぼけて机から離れ、キッチンでお茶を淹れて戻ってきた。
「ところで私、思ったの。パジャマポケットって必要だったよ。だって使用用途がなくても、あるかないかで見た目が全然違うもんね」
ゾグワンタは私のベッドの上でのさばりながらちらりと目を上げた。
「むかしむかしの話。病弱で、入退院を繰り返していた人間に出会ったことがある。パジャマのポケットに、煙草やライター、チョコレート、キャンディ、小銭を隠していてね。あたしにこう言ったのさ。ここには望めばどんなものでも仕込むことができるし、反対に、しまえばなかったことにもできるんだって。パジャマのポケットには魔法が働いているとあたしは思ったのさ。お前から奪ったのはそういう理由さ」
「もしかして、今の話は布石? 望めばどんなことでも叶えてくれるっていうこと?」
「一体全体、どう捉えたらそうなるのさ。お前の頭のなかにはお花畑があるのかい?」
ゾグワンタはあくびをして立ち上がり、伸びをする。玄関のチャイムが鳴ったのは、まさにその時のことだった。
ドアアイを覗いたら、東川先生が立っていた。私はびっくりして、パジャマのまま扉を開けてしまった。
「おはよう、外はいいお天気ですよ」
東川先生は歌うように述べて、手に提げていた風呂敷包みを私に渡してきた。
「これ、直しておきました。時間がかかってしまったけれど、我ながら完璧にできたんですよ」
わけもわからず受け取り、お礼を言う。先生は小首をかしげ、癖のある笑みを浮かべた。
「お友達のことだけれど、今度会ったら、ちゃんと対話をしてみてください。きっとお互いに誤解していることがあるんですよ。人は誤解し合う生き物ですから」
先生に愛莉のことを話した記憶はない。どう答えたらいいのかわからなくて、私は口ごもる。先生は、「それじゃあ、次の登校日にまたお会いしましょう」と爽やかに告げて帰っていった。
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