レアアイテム
ー/ー 魔界の居酒屋——
魔王城に勤務している魔族たちが、何やら真剣な顔で話し込んでいた。
目の前には一つのオブジェ。
それを囲みながら、酒を片手にヒソヒソと語り合う。
「これがあの……伝説の工房で作られたやつか!」
「そうなんだ。」
「こんなの……売ったら……あり得ない価値がつくんじゃあ……」
——ガラ!
「あっ。」
突然、座敷の襖が開いた。
そこには、無言でこちらを見つめるエリシアの姿があった。
「……」
「……」
エリシアは何も言わず、ただじっと見ている。
——静寂。
魔族の一人が、そっと仲間に目配せした。
(し、知らないフリしろよ!)
(わかってる!)
一同、エリシアの存在に気づかないフリ開始。
「あー……これさぁ、まじでレアだよなー。」
「お、おお、すごいよなー!」
「売るとかじゃなくて、普通に飾っておきたいよなー!」
——あくまで平静を装う魔族たち。
なぜなら、魔界では「エリシアに目をつけられると酷い目に遭う」という噂が広まっていたのだ。
「……」
エリシアの視線を感じながらも、一同は必死に平然を装い、会話を続ける。
「でもよ……このオブジェなぁ。」
「どうしたんだ?」
「本物だったら、ここに工房のスタンプが押してあるはずなんだよ。」
「……ん? 無いぞ?」
「そうなんだよなぁ……」
「ってことは……」
「まさか……」
——スゥ……
彼らが結論に辿り着くよりも早く、エリシアは無言で襖を閉めた。
「……」
「……」
静寂。
彼らはそっと襖を見つめながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
魔族たちの会話は、まだ続いていた。
一人がふと思い出したように声を上げる。
「いや、でもよ……確か最初期の作品にはスタンプがないって話じゃ」
——ガラッ!!
突然、勢いよく襖が開いた。
そこには、無言でこちらを見つめるエリシア。
「……」
「……」
(……聞いてた!?)
しかし、エリシアは何も言わない。
魔族たちは視線を合わせながら、なんとか会話を続ける。
「マジで……それじゃあ、これってものすごいレアなやつじゃ!」
「ただなぁ……」
「どうした?」
「最初期のアイテムはほとんど出回ってないはずだ。99.9%の確率で、"最初期の作品だ" って偽った偽物ばかりでな……」
——スゥ……
エリシアは再び、無言で襖を閉めた。
「……」
「……」
魔族たちは、さっきよりもさらに緊張した空気の中で、冷や汗を流しながら顔を見合わせた。
「そうかぁ……偽物かぁ……」
魔族の一人は、大きく落胆した。
「いや、でもよ。」
「お?」
「確か偽物にもランクがあってな……どうもこういう業界って……偽物ですら出来がいいと、それなりの値段で売れるらしいんだ。」
「マジかよ!」
——ガラッ
襖がまた開いた。
エリシアが無言でこっちを見ている。
「……」
「……」
(……ま、また来たぁぁ!!)
一同は、何事もなかったかのように会話を続ける。
「偽物のランクって?」
「まあN級とかS級とかってな……クオリティでランク付けがあるらしい。」
「マジ!? じゃあ売りにいけば——」
「いや、それなんだがなぁ……」
「えぇ!?」
「どこの買取業者も、偽物だとわかってて買い取ることはできないだろ。」
「あ、そうか……」
「だから、自分で買い取ってくれる奴を探して交渉しなきゃいけねえ。」
——スッ……
襖がまた閉まった。
「……」
「……」
「なんだ……」
「期待して損したぜ。」
魔族たちは、すっかり意気消沈していた。
「でも……まだ利用価値はあるぜ。」
「なんだって!?」
「これな……材質が……俺は詳しくねえけど、金とかプラチナが入ってたら……部品とかバラバラにして、それだけ売ればいいんだよ。」
「その手があったか!」
——ガラッ
いきなり襖が開いた。
エリシアが無言でこちらを見ている。
「……」
「……」
もはや恐怖すら通り越した魔族たちは、虚空を見つめながらつぶやいた。
「なんか……腹一杯になったな……」
「もう帰る?」
「そ、そうだな……」
「タッチパネル……押すわ……」
——ピンポーン
呼び出しベルの音だけが、沈黙を埋めた。
魔王城に勤務している魔族たちが、何やら真剣な顔で話し込んでいた。
目の前には一つのオブジェ。
それを囲みながら、酒を片手にヒソヒソと語り合う。
「これがあの……伝説の工房で作られたやつか!」
「そうなんだ。」
「こんなの……売ったら……あり得ない価値がつくんじゃあ……」
——ガラ!
「あっ。」
突然、座敷の襖が開いた。
そこには、無言でこちらを見つめるエリシアの姿があった。
「……」
「……」
エリシアは何も言わず、ただじっと見ている。
——静寂。
魔族の一人が、そっと仲間に目配せした。
(し、知らないフリしろよ!)
(わかってる!)
一同、エリシアの存在に気づかないフリ開始。
「あー……これさぁ、まじでレアだよなー。」
「お、おお、すごいよなー!」
「売るとかじゃなくて、普通に飾っておきたいよなー!」
——あくまで平静を装う魔族たち。
なぜなら、魔界では「エリシアに目をつけられると酷い目に遭う」という噂が広まっていたのだ。
「……」
エリシアの視線を感じながらも、一同は必死に平然を装い、会話を続ける。
「でもよ……このオブジェなぁ。」
「どうしたんだ?」
「本物だったら、ここに工房のスタンプが押してあるはずなんだよ。」
「……ん? 無いぞ?」
「そうなんだよなぁ……」
「ってことは……」
「まさか……」
——スゥ……
彼らが結論に辿り着くよりも早く、エリシアは無言で襖を閉めた。
「……」
「……」
静寂。
彼らはそっと襖を見つめながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
魔族たちの会話は、まだ続いていた。
一人がふと思い出したように声を上げる。
「いや、でもよ……確か最初期の作品にはスタンプがないって話じゃ」
——ガラッ!!
突然、勢いよく襖が開いた。
そこには、無言でこちらを見つめるエリシア。
「……」
「……」
(……聞いてた!?)
しかし、エリシアは何も言わない。
魔族たちは視線を合わせながら、なんとか会話を続ける。
「マジで……それじゃあ、これってものすごいレアなやつじゃ!」
「ただなぁ……」
「どうした?」
「最初期のアイテムはほとんど出回ってないはずだ。99.9%の確率で、"最初期の作品だ" って偽った偽物ばかりでな……」
——スゥ……
エリシアは再び、無言で襖を閉めた。
「……」
「……」
魔族たちは、さっきよりもさらに緊張した空気の中で、冷や汗を流しながら顔を見合わせた。
「そうかぁ……偽物かぁ……」
魔族の一人は、大きく落胆した。
「いや、でもよ。」
「お?」
「確か偽物にもランクがあってな……どうもこういう業界って……偽物ですら出来がいいと、それなりの値段で売れるらしいんだ。」
「マジかよ!」
——ガラッ
襖がまた開いた。
エリシアが無言でこっちを見ている。
「……」
「……」
(……ま、また来たぁぁ!!)
一同は、何事もなかったかのように会話を続ける。
「偽物のランクって?」
「まあN級とかS級とかってな……クオリティでランク付けがあるらしい。」
「マジ!? じゃあ売りにいけば——」
「いや、それなんだがなぁ……」
「えぇ!?」
「どこの買取業者も、偽物だとわかってて買い取ることはできないだろ。」
「あ、そうか……」
「だから、自分で買い取ってくれる奴を探して交渉しなきゃいけねえ。」
——スッ……
襖がまた閉まった。
「……」
「……」
「なんだ……」
「期待して損したぜ。」
魔族たちは、すっかり意気消沈していた。
「でも……まだ利用価値はあるぜ。」
「なんだって!?」
「これな……材質が……俺は詳しくねえけど、金とかプラチナが入ってたら……部品とかバラバラにして、それだけ売ればいいんだよ。」
「その手があったか!」
——ガラッ
いきなり襖が開いた。
エリシアが無言でこちらを見ている。
「……」
「……」
もはや恐怖すら通り越した魔族たちは、虚空を見つめながらつぶやいた。
「なんか……腹一杯になったな……」
「もう帰る?」
「そ、そうだな……」
「タッチパネル……押すわ……」
——ピンポーン
呼び出しベルの音だけが、沈黙を埋めた。
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