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がんばれ!ミノタウロス君!

ー/ー



 魔王城、エリシア専用オフィス——



 そこにいるのは、エリシアとたった一人の部下、ミノタウロス。



「節分しますわよ!」



「……え?」



 ミノタウロスは、一瞬何を言われたのかわからず、戸惑った。



「エ、エリシア殿……節分はもう終わりましたが……」



「……」
「……」



 エリシアは、しばらく無言で彼を見つめた。



「あらそう……終わったの……?」



「2月2日ですな。あと、それはニッポンの文化です。ここでは関係が——」



「じゃあ早くしなきゃ!」

「えぇ……」



 ミノタウロスは、静かに頭を抱えたのだった——。



 ——ガサッ



 エリシアが何かメモ紙を雑に広げた。



「えっと……「恵方巻き」ですわね!」



「……」



 ミノタウロスは無言でエリシアを見つめる。



(まさか……買ってこいとか言うのではないだろうな……?)



 しかし——



「作りますわよ!」

「えぇ!?」



 ——買い物の後。



 ——ガサッ



 エリシアがテーブルに広げたのは——



 パックごはん(5パック)、牛カルビ弁当、きゅうり、卵焼き(お惣菜)、海苔。



 ミノタウロスは、じっとそれらを見つめてから、意を決して口を開いた。



「エリシア殿……」

「どうしましたの?」



「なんで牛カルビ弁当?」



「はああぁ〜」



 エリシアは大きなため息をついた。



「あなた、頭悪いですわね〜。」

「……」



「恵方巻きの具でしょ! こうやってご飯と具を分けて……」



 エリシアは、堂々と牛カルビ弁当のご飯とおかずを分解しながら言う。



「これがエリシア特製! 牛カルビ恵方巻きですわ!」



 ——ジャン!



 ミノタウロス、素直に感心。



(なるほど……意外と理にかなっている……)



 だが——



「じゃあ、このパックごはんは?」

「……」



 エリシアは、じっとパックごはんを見つめる。



 そして——



 ——ガサッ



「非常食ですわね。 まあ……ついで……」

「……」



 食後——。



「次は……次は!?」



 なぜかヒートアップするエリシア。

 ミノタウロスは、若干の不安を覚えながら聞き返した。



「……次は?」



「豆まきですわね!」



「……」
「……」



 ミノタウロスは、静かに考えた。

 決意を固め、彼は勇気を出して口を開いた。



「エリシア殿……」

「何!?」



「ちょっと今日、体調が悪いので早退……」



 ——ガシッ!!



「ぬお!?」



 腕を掴まれた。

 エリシアが、凄まじい力でガッチリとミノタウロスの腕をホールド。



「ダメですわよ! 終わってからですわ!」



(……詰んだ。)



 ——そして



「鬼はああああぁ外おおおおお!!」



 ——バコン!!!



「ぶお!?」



 まさかの全力投球。

 ミノタウロスの胸に向かって、ショットガンばりの威力で豆が炸裂。



「ぐああぁ!? なんでそんな威力が……!?」



 ミノタウロスの胸には、見事な赤い痕が刻まれていた——。



「よし、豆まきは終わりですわね。」

「ぐ……そ、そうですな……」



 身体中をさすりながら、ミノタウロスは豆の衝撃に耐えた自分を褒めてやりたかった。



(……なんとか耐えた……もうこれで終わりだ……)



 だが、甘かった。

 エリシアは謎のメモ帳を取り出し、じっと目を通す。



「まだ残ってますわね。」

「な、何が!?」



 ミノタウロスは、一瞬で背筋が凍るのを感じた。



 エリシアは、ゆっくりとメモを読み上げる。





「年齢の数だけ豆を食べる……」





「……」
「……」



 ——沈黙。



 エリシアは徐に顔を上げた。



「あれ? そういえば体調が悪いから早退とか言ってませんでした?」



「ええ……まあ……」



「……」
「……」



「帰っていいですわよ。」



「……」



 ミノタウロスは、一瞬言葉を失ったが、すぐに頭を下げて全速力で部屋を出た。

 こうして、魔界の節分は幕を閉じたのだった。



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 魔王城、エリシア専用オフィス——
 そこにいるのは、エリシアとたった一人の部下、ミノタウロス。
「節分しますわよ!」
「……え?」
 ミノタウロスは、一瞬何を言われたのかわからず、戸惑った。
「エ、エリシア殿……節分はもう終わりましたが……」
「……」
「……」
 エリシアは、しばらく無言で彼を見つめた。
「あらそう……終わったの……?」
「2月2日ですな。あと、それはニッポンの文化です。ここでは関係が——」
「じゃあ早くしなきゃ!」
「えぇ……」
 ミノタウロスは、静かに頭を抱えたのだった——。
 ——ガサッ
 エリシアが何かメモ紙を雑に広げた。
「えっと……「恵方巻き」ですわね!」
「……」
 ミノタウロスは無言でエリシアを見つめる。
(まさか……買ってこいとか言うのではないだろうな……?)
 しかし——
「作りますわよ!」
「えぇ!?」
 ——買い物の後。
 ——ガサッ
 エリシアがテーブルに広げたのは——
 パックごはん(5パック)、牛カルビ弁当、きゅうり、卵焼き(お惣菜)、海苔。
 ミノタウロスは、じっとそれらを見つめてから、意を決して口を開いた。
「エリシア殿……」
「どうしましたの?」
「なんで牛カルビ弁当?」
「はああぁ〜」
 エリシアは大きなため息をついた。
「あなた、頭悪いですわね〜。」
「……」
「恵方巻きの具でしょ! こうやってご飯と具を分けて……」
 エリシアは、堂々と牛カルビ弁当のご飯とおかずを分解しながら言う。
「これがエリシア特製! 牛カルビ恵方巻きですわ!」
 ——ジャン!
 ミノタウロス、素直に感心。
(なるほど……意外と理にかなっている……)
 だが——
「じゃあ、このパックごはんは?」
「……」
 エリシアは、じっとパックごはんを見つめる。
 そして——
 ——ガサッ
「非常食ですわね。 まあ……ついで……」
「……」
 食後——。
「次は……次は!?」
 なぜかヒートアップするエリシア。
 ミノタウロスは、若干の不安を覚えながら聞き返した。
「……次は?」
「豆まきですわね!」
「……」
「……」
 ミノタウロスは、静かに考えた。
 決意を固め、彼は勇気を出して口を開いた。
「エリシア殿……」
「何!?」
「ちょっと今日、体調が悪いので早退……」
 ——ガシッ!!
「ぬお!?」
 腕を掴まれた。
 エリシアが、凄まじい力でガッチリとミノタウロスの腕をホールド。
「ダメですわよ! 終わってからですわ!」
(……詰んだ。)
 ——そして
「鬼はああああぁ外おおおおお!!」
 ——バコン!!!
「ぶお!?」
 まさかの全力投球。
 ミノタウロスの胸に向かって、ショットガンばりの威力で豆が炸裂。
「ぐああぁ!? なんでそんな威力が……!?」
 ミノタウロスの胸には、見事な赤い痕が刻まれていた——。
「よし、豆まきは終わりですわね。」
「ぐ……そ、そうですな……」
 身体中をさすりながら、ミノタウロスは豆の衝撃に耐えた自分を褒めてやりたかった。
(……なんとか耐えた……もうこれで終わりだ……)
 だが、甘かった。
 エリシアは謎のメモ帳を取り出し、じっと目を通す。
「まだ残ってますわね。」
「な、何が!?」
 ミノタウロスは、一瞬で背筋が凍るのを感じた。
 エリシアは、ゆっくりとメモを読み上げる。
「年齢の数だけ豆を食べる……」
「……」
「……」
 ——沈黙。
 エリシアは徐に顔を上げた。
「あれ? そういえば体調が悪いから早退とか言ってませんでした?」
「ええ……まあ……」
「……」
「……」
「帰っていいですわよ。」
「……」
 ミノタウロスは、一瞬言葉を失ったが、すぐに頭を下げて全速力で部屋を出た。
 こうして、魔界の節分は幕を閉じたのだった。