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SCENE178 年末の初物

ー/ー



 着替えが終わった僕は、ドキドキしながら配信ドローンの前に戻ろうとしている。正直、こういう服を着せられるとは思ってもみなかったよ。

「何を戸惑っているんだ、瞬。すごく似合っているぞ」

「いや、なんていうか。瞳ってこういうのも作れたんだなって思って……」

「ああ、そのことか。それは私も気になるんだが、まあ、探索者の特殊スキルのようなもんだろと、もう割り切ったよ」

「そ、そっか……」

 ダンジョンが現れた影響で、本当に何でもありになった気がするなぁ……。
 とはいえど、これ以上待たせているわけにはいかないので、僕は覚悟を決めて外へと出ていく。
 ラミアの体でゆっくりと進んでいく僕だけど、戻ってきた僕の姿を見て、みんなびっくりしちゃっている。や、やっぱり変なのかな?

「オゥ、シュン。それは着物ですね」

 一番最初に反応したのはスピアさんだった。

『なに、着物?!』

『ドローン、早く、ウィンクちゃんを映して!』

 スピアさんの反応を受けて、視聴者さんたちがコメントを次々と投げてきている。みんな食いつきが良すぎだよ。
 そう、今の僕は瞳が作ってくれた振袖を着ている。ダンジョン産の素材なので、ちょっと違うとは思うんだけどね。髪の毛は着物に合わせてアップにしてあって、てっぺんあたりでお団子にしてある。ラミアプリンセスになった僕の髪の毛は、結構長いからね。

「まあ、ウィンク様、素敵ですわ」

「ラミアってこういう服も似合うのね、意外ですわ」

「ちょっと、あたしにも見せて下さいませ」

 ラティナさんたちもものすごく反応している。ドローンの映像を通じてしか僕の姿を確認できないセイレーンさんは、早く見たそうにしている。
 これだけ期待を集めてしまっては、僕も覚悟を決めるしかなさそうだ。
 歩き出して、ドローの撮影範囲内に戻っていく。

『おおっ!』

『これはすごく似合うな』

『さっきの鬼百合の持ってた袋の中身はこれだったのか』

「まあ、素敵な衣装ですわね」

 セイレーンさんも視聴者さんもすっごく褒めてくる。これだけ褒められてしまうと、僕は嬉しさと恥ずかしさでドローンを直視できなくなってしまう。

『赤くなって視線をそらすウィンクちゃん、可愛い』

『最高の年越しになりそうだ』

『これがモンスターだなんて信じられない・・・』

 視聴者さんはべた褒めだ。僕はますます恥ずかしくなっていっちゃったよ。

「あたしも新しい服が欲しいですわね。システムを使えば服を取り寄せることはできますけれど、こちらの世界の衣装というのも気になりますわ」

「セイレーン様もですのね。あたくしも、とても気になりますわよ」

「わ、わたくしは着られる服がなさそうなので、遠慮しておきます」

 僕の振袖を見たセイレーンさんたちがものすごく反応している。女の子ってこういう感じなのかなぁ。ラミアプリンセスになってから三か月程度だからか、僕にはそういう感覚がよく分からない。おしゃれとか無頓着だからね。

「まぁまぁ、落ち着け。サイズさえわかれば、瞳に作ってもらうことはできるだろう。ダンジョン素材を扱える縫製職人は他にもいるし、なんらかの形で依頼を出せばいいだろう」

 新しい服に執着するセイレーンさんたちに向けて、衣織お姉さんは落ち着かせようと話しかけている。
 ところが、どうも逆効果だったみたいで、衣織お姉さんに迫っていっている。

「やれやれ、それじゃ配信が終わった後にでも採寸をすることとしよう。さすがにそのシーンは、配信には乗せられないからな」

『残念』

『一応規約には引っかかるから、しょうがない』

『新衣装を期待して待ってる』

 僕が着た振袖の話から、いろいろと広がっていく話だけど、とりあえずはどうにか落ち着きそう。
 結局、セイレーンさんとアルカナさんは新しい服を作ることにしたみたいだよ。
 ごめんね、瞳。まだダンジョンにも入れない年齢なのに、負担増やしちゃったよ。僕は様子を見守りながら、心の中で瞳に謝っておいた。

 こうした中、着実に日付が変わる時間が近付いている。いや、大みそかだから、年が明ける時間といった方がいいね。
 年が明けた後の最初の企画は、決めてあるんだ。なので、僕は年が明ける瞬間というものを今か今かとドキドキしながら待っている。

「年が変わる瞬間というのは、なんだかとてもワクワクドキドキしますね、セイレーン様、アルカナ様」

「そうですわね。お城に集まって行うパーティーは、それは盛大でしたものね」

『モンスターたちにも新年を祝う風習ってあるんだ』

「はい、そうなんです。わたくしたち種族に関係なく、平等に訪れる区切りの時ですからね」

「その時ばかりは、普段は仲の悪い種族たちも一緒になって騒ぎますわね」

『へえ、意外だなぁ』

『年の区切りって概念が、モンスターたちにもあったなんて意外だよ』

 ラティナさんの発言を発端に、新しい事実が発覚していく。
 なんでも、異界でも年の区切りと現在の王朝の成立記念日には、異界中の貴族が集まってお祭りを行うらしい。なんとも不思議な話だよ。
 だけど、セイレーンさん、アルカナさん、ラティナさんたちの仲の良さを見ていたら、とても納得のいく話でもある。
 僕が驚いていると、誰からともなくカウントダウンが始まる。
 ああ、モンスターになってから初めての年越しのタイミングが来るんだ。
 僕は、みんなと一緒になって、カウントダウンをすることにしたよ。


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 着替えが終わった僕は、ドキドキしながら配信ドローンの前に戻ろうとしている。正直、こういう服を着せられるとは思ってもみなかったよ。
「何を戸惑っているんだ、瞬。すごく似合っているぞ」
「いや、なんていうか。瞳ってこういうのも作れたんだなって思って……」
「ああ、そのことか。それは私も気になるんだが、まあ、探索者の特殊スキルのようなもんだろと、もう割り切ったよ」
「そ、そっか……」
 ダンジョンが現れた影響で、本当に何でもありになった気がするなぁ……。
 とはいえど、これ以上待たせているわけにはいかないので、僕は覚悟を決めて外へと出ていく。
 ラミアの体でゆっくりと進んでいく僕だけど、戻ってきた僕の姿を見て、みんなびっくりしちゃっている。や、やっぱり変なのかな?
「オゥ、シュン。それは着物ですね」
 一番最初に反応したのはスピアさんだった。
『なに、着物?!』
『ドローン、早く、ウィンクちゃんを映して!』
 スピアさんの反応を受けて、視聴者さんたちがコメントを次々と投げてきている。みんな食いつきが良すぎだよ。
 そう、今の僕は瞳が作ってくれた振袖を着ている。ダンジョン産の素材なので、ちょっと違うとは思うんだけどね。髪の毛は着物に合わせてアップにしてあって、てっぺんあたりでお団子にしてある。ラミアプリンセスになった僕の髪の毛は、結構長いからね。
「まあ、ウィンク様、素敵ですわ」
「ラミアってこういう服も似合うのね、意外ですわ」
「ちょっと、あたしにも見せて下さいませ」
 ラティナさんたちもものすごく反応している。ドローンの映像を通じてしか僕の姿を確認できないセイレーンさんは、早く見たそうにしている。
 これだけ期待を集めてしまっては、僕も覚悟を決めるしかなさそうだ。
 歩き出して、ドローの撮影範囲内に戻っていく。
『おおっ!』
『これはすごく似合うな』
『さっきの鬼百合の持ってた袋の中身はこれだったのか』
「まあ、素敵な衣装ですわね」
 セイレーンさんも視聴者さんもすっごく褒めてくる。これだけ褒められてしまうと、僕は嬉しさと恥ずかしさでドローンを直視できなくなってしまう。
『赤くなって視線をそらすウィンクちゃん、可愛い』
『最高の年越しになりそうだ』
『これがモンスターだなんて信じられない・・・』
 視聴者さんはべた褒めだ。僕はますます恥ずかしくなっていっちゃったよ。
「あたしも新しい服が欲しいですわね。システムを使えば服を取り寄せることはできますけれど、こちらの世界の衣装というのも気になりますわ」
「セイレーン様もですのね。あたくしも、とても気になりますわよ」
「わ、わたくしは着られる服がなさそうなので、遠慮しておきます」
 僕の振袖を見たセイレーンさんたちがものすごく反応している。女の子ってこういう感じなのかなぁ。ラミアプリンセスになってから三か月程度だからか、僕にはそういう感覚がよく分からない。おしゃれとか無頓着だからね。
「まぁまぁ、落ち着け。サイズさえわかれば、瞳に作ってもらうことはできるだろう。ダンジョン素材を扱える縫製職人は他にもいるし、なんらかの形で依頼を出せばいいだろう」
 新しい服に執着するセイレーンさんたちに向けて、衣織お姉さんは落ち着かせようと話しかけている。
 ところが、どうも逆効果だったみたいで、衣織お姉さんに迫っていっている。
「やれやれ、それじゃ配信が終わった後にでも採寸をすることとしよう。さすがにそのシーンは、配信には乗せられないからな」
『残念』
『一応規約には引っかかるから、しょうがない』
『新衣装を期待して待ってる』
 僕が着た振袖の話から、いろいろと広がっていく話だけど、とりあえずはどうにか落ち着きそう。
 結局、セイレーンさんとアルカナさんは新しい服を作ることにしたみたいだよ。
 ごめんね、瞳。まだダンジョンにも入れない年齢なのに、負担増やしちゃったよ。僕は様子を見守りながら、心の中で瞳に謝っておいた。
 こうした中、着実に日付が変わる時間が近付いている。いや、大みそかだから、年が明ける時間といった方がいいね。
 年が明けた後の最初の企画は、決めてあるんだ。なので、僕は年が明ける瞬間というものを今か今かとドキドキしながら待っている。
「年が変わる瞬間というのは、なんだかとてもワクワクドキドキしますね、セイレーン様、アルカナ様」
「そうですわね。お城に集まって行うパーティーは、それは盛大でしたものね」
『モンスターたちにも新年を祝う風習ってあるんだ』
「はい、そうなんです。わたくしたち種族に関係なく、平等に訪れる区切りの時ですからね」
「その時ばかりは、普段は仲の悪い種族たちも一緒になって騒ぎますわね」
『へえ、意外だなぁ』
『年の区切りって概念が、モンスターたちにもあったなんて意外だよ』
 ラティナさんの発言を発端に、新しい事実が発覚していく。
 なんでも、異界でも年の区切りと現在の王朝の成立記念日には、異界中の貴族が集まってお祭りを行うらしい。なんとも不思議な話だよ。
 だけど、セイレーンさん、アルカナさん、ラティナさんたちの仲の良さを見ていたら、とても納得のいく話でもある。
 僕が驚いていると、誰からともなくカウントダウンが始まる。
 ああ、モンスターになってから初めての年越しのタイミングが来るんだ。
 僕は、みんなと一緒になって、カウントダウンをすることにしたよ。