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36話 偽りの愛(2)

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「足、滑らせるなよ」

 そっと手を伸ばして、三上さんの手を引く成宮くん。
 成宮くんは、一年から同じクラスの神宮寺くんと、別のクラスだが北条くんとも仲が良く、休み時間とかはカップル六人で過ごしている。
 学年一のイケメンと呼ばれる神宮寺くん、イケメン生徒会役員と呼ばれる北条くん。その二人と並んでも引けを取らないほどにカッコよく、どうして成宮くんだけ持て囃されないのかと勝手に疑問に思ってるぐらいに、俺の中ではイケメン男子の部類だったりする。
 適度に制服を緩く着こなし、ふわふわの髪に、まつ毛が長い。笑った顔に、穏やかさが溢れている人だ。
 俺のような目立たない男子にも気さくに話しかけてくれ、内面までもがカッコ良かったりする。

 三上さん。派手系と呼ばれる西条寺さんと、清楚系と呼ばれる音霧さんとの中間ぐらいの風貌をした女子だと思う。
 制服を綺麗に着こなし、髪を巻いているオシャレな女子。全体的に整った顔立ちに、大きな目。
 美人なのに、成宮くん同様あまり持て囃されることもなく、だからって自身の美貌の良さに鼻にかけることもない、大人しいイメージがあった。
 二人とは、一年二年と同じクラスで、だからこそ、三上さんが音霧さんに声を荒らげている姿に肝を抜かれてしまっていた。

『さて、今回の暴露は一つでした』

 主催者から放たれる裏切りを表す言葉にも、俺達傍観者が反応を示すことはない。
 もう、心が麻痺しているのだろう。
 それは当事者の二人もなのか、死の運命が近付いても何も発せず、表情一つ変えず、互いをただ見合わせていた。

『三上華は、成宮真に好意は持っていないのに付き合っていた』

 たった今、衝撃の暴露をされたと言うのに教室内はあまりにも静かで、三上さんは否定も肯定もせず俯いてしまい、成宮くんは相手に怒ることも罵ることもなく、ただ三上さんを目を向けていた。

『こちらが証拠品です』

 あまりに二人が反応を示さない為か、主催者は煽ることもせず、話の本質に入っていく。まるで成宮くんに事実を突き付けて、怒らせるように。
 スマホ画面が切り替わり、映し出されたのは、またしてもSNSのスクショ。そこには。

『どうしたら、彼氏を好きになれるんだろ?』
『好きって、なに? 恋って、なに?』
『なんで、一緒にいるのか分かんない』
『一人になりたい。ま、ムリなんだけど』

 そのような心の叫びが、毎日、毎日、投稿されていた。

『また、裏アカですかぁー? 表では「愛莉のオススメ映画、マジ泣いたー!」とか、「トロピカルパフェ、可愛すぎー」とか、「彼氏、マジで大好きぃ」とかキラキラ女子を演じているというのに』

 スマホの映像が変わると、次は画像付きのSNS画面になり、映画のチケット、細長いグラスに入った七色のパフェ、成宮くんとのツーショット画像と次々と変わっていく。

『裏アカにもご丁寧に、「恋愛モノとかキョーミないし」とか、「甘すぎ!」とか、「どうしよう、みんなで旅行とか! 断れないよね、あー!」とか、なかなかの二重人格ぶりで。断れないとは、どうゆう意味なんでしょうねぇ? 投稿日付を合わせていけば、二つのアカウントの出来事が繋がってしまってバレバレですよー?』

 主催者の煽りに、とうとう美しい三上さんの表情が崩れる。指輪を眺め、成宮くんを眺め、化粧をしているはずの顔面を青くしてカタカタと震えていた。


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「足、滑らせるなよ」
 そっと手を伸ばして、三上さんの手を引く成宮くん。
 成宮くんは、一年から同じクラスの神宮寺くんと、別のクラスだが北条くんとも仲が良く、休み時間とかはカップル六人で過ごしている。
 学年一のイケメンと呼ばれる神宮寺くん、イケメン生徒会役員と呼ばれる北条くん。その二人と並んでも引けを取らないほどにカッコよく、どうして成宮くんだけ持て囃されないのかと勝手に疑問に思ってるぐらいに、俺の中ではイケメン男子の部類だったりする。
 適度に制服を緩く着こなし、ふわふわの髪に、まつ毛が長い。笑った顔に、穏やかさが溢れている人だ。
 俺のような目立たない男子にも気さくに話しかけてくれ、内面までもがカッコ良かったりする。
 三上さん。派手系と呼ばれる西条寺さんと、清楚系と呼ばれる音霧さんとの中間ぐらいの風貌をした女子だと思う。
 制服を綺麗に着こなし、髪を巻いているオシャレな女子。全体的に整った顔立ちに、大きな目。
 美人なのに、成宮くん同様あまり持て囃されることもなく、だからって自身の美貌の良さに鼻にかけることもない、大人しいイメージがあった。
 二人とは、一年二年と同じクラスで、だからこそ、三上さんが音霧さんに声を荒らげている姿に肝を抜かれてしまっていた。
『さて、今回の暴露は一つでした』
 主催者から放たれる裏切りを表す言葉にも、俺達傍観者が反応を示すことはない。
 もう、心が麻痺しているのだろう。
 それは当事者の二人もなのか、死の運命が近付いても何も発せず、表情一つ変えず、互いをただ見合わせていた。
『三上華は、成宮真に好意は持っていないのに付き合っていた』
 たった今、衝撃の暴露をされたと言うのに教室内はあまりにも静かで、三上さんは否定も肯定もせず俯いてしまい、成宮くんは相手に怒ることも罵ることもなく、ただ三上さんを目を向けていた。
『こちらが証拠品です』
 あまりに二人が反応を示さない為か、主催者は煽ることもせず、話の本質に入っていく。まるで成宮くんに事実を突き付けて、怒らせるように。
 スマホ画面が切り替わり、映し出されたのは、またしてもSNSのスクショ。そこには。
『どうしたら、彼氏を好きになれるんだろ?』
『好きって、なに? 恋って、なに?』
『なんで、一緒にいるのか分かんない』
『一人になりたい。ま、ムリなんだけど』
 そのような心の叫びが、毎日、毎日、投稿されていた。
『また、裏アカですかぁー? 表では「愛莉のオススメ映画、マジ泣いたー!」とか、「トロピカルパフェ、可愛すぎー」とか、「彼氏、マジで大好きぃ」とかキラキラ女子を演じているというのに』
 スマホの映像が変わると、次は画像付きのSNS画面になり、映画のチケット、細長いグラスに入った七色のパフェ、成宮くんとのツーショット画像と次々と変わっていく。
『裏アカにもご丁寧に、「恋愛モノとかキョーミないし」とか、「甘すぎ!」とか、「どうしよう、みんなで旅行とか! 断れないよね、あー!」とか、なかなかの二重人格ぶりで。断れないとは、どうゆう意味なんでしょうねぇ? 投稿日付を合わせていけば、二つのアカウントの出来事が繋がってしまってバレバレですよー?』
 主催者の煽りに、とうとう美しい三上さんの表情が崩れる。指輪を眺め、成宮くんを眺め、化粧をしているはずの顔面を青くしてカタカタと震えていた。