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35話 偽りの愛(1)

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『一時間が経ちました。今回のカップルは成宮(まこと)くんと三上華さんです。立会人となる皆さんは、教室にお集まりください』

 その呼び出しに凛の予想は当たっていたと、手掛かりが掴めた安堵なのか、何ともいえない恐怖なのか、よく分からない感情を抱えたまま二年一組の教室に向かう。
 残り四組。立会人は三組。
 机の配置的には、前方後方三組分ずつの配置だから全員後方に座れる。
 ……しかし真ん前からあのやり取りを見るのは辛く、真ん中を避けたいと思うのは皆同じだった。
 幸いなことに小田くんと内藤さんは来ていなくて、悪いなと思いつつ廊下側に小春、一つ前に俺が座る。
 情けない話だが、足が動かなくなる俺は出来るだけ廊下側が良かった。

「ねえ、席変わってよ?」

 威圧的な声に俯いていた顔を上げると、そこには隣に着席している小春に話しかける内藤さん。張り付いた笑顔を浮かべ、小春に迫っていた。

「えっ……。あ、の……」

 オロオロとする小春は眼球を左右に動かし、唇をギュッと噛み締めている。机下に置いてあった両手はガタガタと震えていた。

「変わんの? 変わんないの?」

 苛ついたような声で捲し立ててきたかと思えば、机をバンっと叩いてくる。
 ビクッとなる小春の代わりに。

「分かった。変わるよ」

 そう告げ、震える手を掴んで共に去る。

「ごめん……」
「良いんだよ」

 中央の空席に二人で座ると、満足したかのようにドカッと座る。彼氏の小田くんは、ただこちらに目をやり小さく頭を下げてきた。
 ……なんでこんな人と、付き合っているのだろう?
 また、余計な心理が働いてしまった。



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『一時間が経ちました。今回のカップルは成宮|真《まこと》くんと三上華さんです。立会人となる皆さんは、教室にお集まりください』
 その呼び出しに凛の予想は当たっていたと、手掛かりが掴めた安堵なのか、何ともいえない恐怖なのか、よく分からない感情を抱えたまま二年一組の教室に向かう。
 残り四組。立会人は三組。
 机の配置的には、前方後方三組分ずつの配置だから全員後方に座れる。
 ……しかし真ん前からあのやり取りを見るのは辛く、真ん中を避けたいと思うのは皆同じだった。
 幸いなことに小田くんと内藤さんは来ていなくて、悪いなと思いつつ廊下側に小春、一つ前に俺が座る。
 情けない話だが、足が動かなくなる俺は出来るだけ廊下側が良かった。
「ねえ、席変わってよ?」
 威圧的な声に俯いていた顔を上げると、そこには隣に着席している小春に話しかける内藤さん。張り付いた笑顔を浮かべ、小春に迫っていた。
「えっ……。あ、の……」
 オロオロとする小春は眼球を左右に動かし、唇をギュッと噛み締めている。机下に置いてあった両手はガタガタと震えていた。
「変わんの? 変わんないの?」
 苛ついたような声で捲し立ててきたかと思えば、机をバンっと叩いてくる。
 ビクッとなる小春の代わりに。
「分かった。変わるよ」
 そう告げ、震える手を掴んで共に去る。
「ごめん……」
「良いんだよ」
 中央の空席に二人で座ると、満足したかのようにドカッと座る。彼氏の小田くんは、ただこちらに目をやり小さく頭を下げてきた。
 ……なんでこんな人と、付き合っているのだろう?
 また、余計な心理が働いてしまった。