34話 裏切り者(3)
ー/ー「ねえ、この書き込み。SNSやウェブサイトで参加募集を呼びかけているのを、見たことある人が居るらしいけど。まさか……ね」
俺と同様にセーフサーチ機能をオフにして検索をしていた凛の詰まるような声に、俺達は互いの顔を見合わせながらスマホを覗き込む。
今、凛が閲覧しているのは、ある個人が作った「紅の月」を考察するというwebサイト。そこには自由に書き込める掲示板が用意されており、そのコメントだった。
コメント一つずつを和訳するのは面倒だと凛が一つずつ英文を読み上げてくれるが、確かに同じような英文が散見され、それは一つや二つでない。
凛が和訳してくれる文章は、冗談にしてはあまりにも具体的で、凛曰く書き込みの文章に統一性もないらしい。
少人数がふざけて何度も書き込んだというより、多人数がそれぞれの感性と文章力で打ち込んだように見えると。
その中で、何度も目に付く一文。それは。
『Is there a world you want to destroy?』
「あなたが壊したい世界はありませんか?」
訳していてくれた凛の声が、僅かに震えていた。
必ずこの一文から始まるらしく、そこから参加募集について詳細に書かれたリンクに飛ぶらしいが、当然ながら実際にエントリーした人なんているはずもなく、因果関係があるかも不明だった。
しかし、そんな誘い文句に誘導されてしまった人なんて、本当に居たのか?
人が死ぬゲームだって、分かっていたよな?
……壊したい世界? それは自分とは関係ない遠くの世界の話なのか。それとも……。
「それにさ。気になっていたんだけど、この密告、上手く出来過ぎてない? 友達の秘密を知っているのはともかく、証拠品の提示であそこまで用意したり、調べがついてるのって、なんかおかしいって言うか……」
凛はためらってしまったのか、はっきりと断言はしない。しかし、言いたいことは分かる。
このゲーム参加者の中に、「裏切り者」がいるかもしれない。
そしてその人物が、このゲームにエントリーしたのではないだろうか?
アプリを使用する時に他者の目に触れたら操作出来ない仕様にしたのも、俺達を疑心暗鬼にさせる為……とか。
生徒達の中に、人間の皮を被った悪魔がいるかもしれない。
その事実に、悪寒がした。
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