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【1】①

ー/ー



 それからしばらくして、祥平がやって来た。

「お邪魔します。こんな時間にすみません」
 他人行儀に、って『他人』なんだけど、ママにきちんと頭下げて挨拶なんかして。
 高校生になってからは、家行き来することはほとんどなくなってたから久し振りだもんなぁ。
 彼はなぜかキウイフルーツたくさん持って来てたんだ。

「ウチの親が職場でもらって来たんです。こんなに食べきれないからよかったら」
 なんて、ママに渡してたよ。

 祥平、今まで手土産なんて持って来たことないのに。いや、これは手土産ってか お裾分け、の意味が大きいのはわかってるよ。
 どうでもいいけど、明日のお弁当はキウイ入りだな。家族みんなキウイ好きだからいいんだけどさ。

「……俺さぁ、思い切って麻帆(まほ)に告ろうかなって」
 自分の部屋に通して、いつも友達が来た時と同じようにベッドにもたれて床に並んで座った。腰下ろしてすぐの祥平の言葉に、あたしは一瞬返事に詰まってしまう。

 ──ついに来たか、ってね。

 彼の好きな子を知っちゃった時から、いつかはこういう日が来るって覚悟してた。
 ずっと祥平のことが大好きで彼だけ見てたから、あたしはすぐに気づいたんだ。その目がいつも追ってる相手に。
 ……それが自分ではなかったことにも。

 誰にでもオープンにはしてない、ってかむしろ周りには絶対知られないようにしてたとは思うよ。
 でも祥平はあたしの前では油断しちゃうのか、わりと感情だだ洩れになってること多いからね。
 あたしにバレてるってわかった時はさすがに慌ててたけど、その後はもう開き直って『相談相手』に指名されたようなもんだったんだよ。
 それはそれで、二人の時間が取れて嬉しかったのも確か。

 ──よく考えたらすっごい不毛な気もするから、深くは触れないようにしてたけど。

「へぇ。勝算あるんだ?」
 揶揄うようなあたしの言葉に、彼は眉を下げた情けない顔になった。

「ないよ。あるわけないだろ。でもさ、麻帆って結構モテるみたいなんだよなぁ。好きだっていう奴、俺が聞いただけで何人かいるし。まあ、あんだけ可愛いし当然か」
 あたしの前でよく平然とそんなこと言えるな。
 いや、あたしの前だからか。
 それだけ信用されてるってことなんだろうし、祥平にとってあたしはもう『親友』の括りなのかも。確かに付き合い長いだけじゃなくて、気心知れてるもんね。
 ホント気楽に話せるから、お互いに。……お互い、に?

 まあね、祥平の言う通り麻帆は可愛いよ。
 顔も仕草も表情も話し方も、もう全部が『可愛い女の子』ってカンジ。
 何よりも、そういうのがわざとらしくないとこが一番スゴイんだ。自然体で、そこにいるだけで可愛い。
 なんなの、いったい。
 だから女の子にも嫌われたりしないんだよね。いつでも友達に囲まれてる。



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 それからしばらくして、祥平がやって来た。
「お邪魔します。こんな時間にすみません」
 他人行儀に、って『他人』なんだけど、ママにきちんと頭下げて挨拶なんかして。
 高校生になってからは、家行き来することはほとんどなくなってたから久し振りだもんなぁ。
 彼はなぜかキウイフルーツたくさん持って来てたんだ。
「ウチの親が職場でもらって来たんです。こんなに食べきれないからよかったら」
 なんて、ママに渡してたよ。
 祥平、今まで手土産なんて持って来たことないのに。いや、これは手土産ってか お裾分け、の意味が大きいのはわかってるよ。
 どうでもいいけど、明日のお弁当はキウイ入りだな。家族みんなキウイ好きだからいいんだけどさ。
「……俺さぁ、思い切って|麻帆《まほ》に告ろうかなって」
 自分の部屋に通して、いつも友達が来た時と同じようにベッドにもたれて床に並んで座った。腰下ろしてすぐの祥平の言葉に、あたしは一瞬返事に詰まってしまう。
 ──ついに来たか、ってね。
 彼の好きな子を知っちゃった時から、いつかはこういう日が来るって覚悟してた。
 ずっと祥平のことが大好きで彼だけ見てたから、あたしはすぐに気づいたんだ。その目がいつも追ってる相手に。
 ……それが自分ではなかったことにも。
 誰にでもオープンにはしてない、ってかむしろ周りには絶対知られないようにしてたとは思うよ。
 でも祥平はあたしの前では油断しちゃうのか、わりと感情だだ洩れになってること多いからね。
 あたしにバレてるってわかった時はさすがに慌ててたけど、その後はもう開き直って『相談相手』に指名されたようなもんだったんだよ。
 それはそれで、二人の時間が取れて嬉しかったのも確か。
 ──よく考えたらすっごい不毛な気もするから、深くは触れないようにしてたけど。
「へぇ。勝算あるんだ?」
 揶揄うようなあたしの言葉に、彼は眉を下げた情けない顔になった。
「ないよ。あるわけないだろ。でもさ、麻帆って結構モテるみたいなんだよなぁ。好きだっていう奴、俺が聞いただけで何人かいるし。まあ、あんだけ可愛いし当然か」
 あたしの前でよく平然とそんなこと言えるな。
 いや、あたしの前だからか。
 それだけ信用されてるってことなんだろうし、祥平にとってあたしはもう『親友』の括りなのかも。確かに付き合い長いだけじゃなくて、気心知れてるもんね。
 ホント気楽に話せるから、お互いに。……お互い、に?
 まあね、祥平の言う通り麻帆は可愛いよ。
 顔も仕草も表情も話し方も、もう全部が『可愛い女の子』ってカンジ。
 何よりも、そういうのがわざとらしくないとこが一番スゴイんだ。自然体で、そこにいるだけで可愛い。
 なんなの、いったい。
 だから女の子にも嫌われたりしないんだよね。いつでも友達に囲まれてる。