第26話 ただの寝不足だよ……
ー/ー「おはよ、う……。なんか目の下に随分大きい隈ができてるけど……大丈夫なの?」
「昨日全然寝れなくて……今ものすごく眠い……」
学校に行く身支度が整い玄関の扉を開けると、そこにはいつも通り咲がいたが、俺があまりにも眠たそうな顔になってしまっているから、めっちゃ心配されてしまった。
「学校休んだほうが良いんじゃない?」
「そんなこと出来ない……。ただでさえ授業を聞いていてノートだけ取ってる俺なんだから。ちゃんと出席しないと何言われるか分からないからな……」
そう、俺はモブ陰キャだ。だから1日でも休んだら大変なことになる。
先生たちから良いように思われていない可能性は大だから、最低限でも毎日通わないといけないという使命がある。だから早く学校に行かないと……。
「良いからお家で寝てなさい! これはわたしからの命令よ!」
「でも……」
「でもじゃない! そんなので学校に行っても寝ちゃうでしょ? その方が先生に迷惑よ。だから、今日は学校を休んでちゃんと寝ること! 良い?」
「――――分かった。俺は今日休むよ。心配かけてごめんな咲……」
「べ、別に……心配になっただけだから……。じゃあ、わたしは学校に行くから。それと……今日は悠真のお家に行くから、それまでにちゃんと体調を整えておきなさいね。それじゃ」
咲は俺から視線をそらして、頬を少しだけ赤らめながらそう言って、手を振って学校へ向かっていった。
ったく、自分で言っておいて恥ずかしがるところは昔から変わらないな……。
「ふわああ……」
大きなあくびが出る。もう視界はボケボケで、今どこを見ているのかもわからなくなっている。立ったまま寝てしまいそうだ。
俺はまた家の中に入り、二階へ上がって部屋の中に入ると、ベットにダイブした。この時間に寝たら絶対に昼夜逆転しそうだなと思いながら、俺はすぐに気が遠のいていった。
◇◇◇
「ん……」
どのくらい寝たのだろうか。夢も見ずにぐっすりと寝ていたから、感覚的に10時間くらいは寝ていたんじゃないかと思う。
「――――ん?」
何か俺の前に何か人の気配がするような……。
『ん……。むにゃむにゃ……』
目を開けていなくても、声ですぐに分かった。
恐る恐る目を開けると……。
「――――!?」
俺の眼の前に心地よさそうに寝ているメリーの顔があった。
メリーは俺を抱きしめながら寝ている。そして俺は寝ぼけていたのか、抱き枕のようにメリーを抱きしめていた。
俺はぱっと手を離したものの、メリーは実体化していないため、俺の手はメリーの体をすり抜けて貫通しているような状態だった。
しかし、メリーはその状態でも触れるし、寝たまま俺を抱きしめている状態だから動けない。金縛りに遭うときってこんな感じなんだろうな。
そういえば……メリーが寝ているところ、初めて見たな。幽霊って寝ないってメリーから聞いた気がするけど、意外にもそうでもなかったみたいだ。
「――――」
『すう……すう……』
本当に寝息を立てて熟睡している。
さっきも言ったが、メリーの寝顔を見たのは初めてだ。何だか新鮮な気持ちと、直視が出来ないことが混ざってよくわからない感情になってしまっている。
よくラブコメで女子の寝顔は本当に可愛いとかあるけど、それは本当だった。もちろんメリーは美人で誰にでもモテそうな顔をしているが、寝顔はさらにその美しさが際立って見える。
なんでだろうな……人前では見せない本来の姿だからか?
『ゆーまくん……えへへ……』
メリーが寝言を言った。
ぐっ……こらえるんだ東 悠真! 絶対に手を出そうとするんじゃねえぞ!? 俺とメリーの関係はそこまでいってないからな!
「――――ん」
「――――」
メリーがさらに俺の胸元まで寄ってきた。完全にメリーの顔が俺の胸にくっついている状態になり、俺の心臓の鼓動がさらに早くなっていく。
(やめろ心臓! 俺はメリーに対してそんな変なこと考えてないんだぞ!)
俺は心の中で、顔を覆ってジタバタしながらそう叫んだ。
事情の知らない人から見れば、俺たちは明らかにカップルとしか見えない。
もう俺が限界を超えてしまいそうだ……!
寝ているところを起こすのは申し訳ないが、俺がヤバいからメリーを起こすことにした。
「メリー。おーい、メリー起きてくれ……!」
『う、ん……』
透明化してる状態のメリーには直接触って体を揺することは出来ないから、驚かせないように小さな声でメリーを起こす。すると、メリーは俺の声に反応し、ゆっくりと目を開けた。
『――――』
まだ眠たさと起きようとしている境目を行き来しているようで、メリーはぼーっとしたまま動かなかった。
「おはようメリー。メリーが寝ているなんて珍しいな。そんなに疲れたのか?」
『――――』
俺はメリーにそう問いかけると、メリーはゆっくりと俺を見た。まだ、眠たさと戦っているらしく、ぼーっとしたまま俺を見つめる。今まで見たことのないメリーの寝ぼけた顔に、俺は息を飲む。
『ゆーまくん……』
「お、おう! そうだ俺だよ。えっと……起きられそうか?」
『――――』
「メリー?」
反応がないので俺はメリーの名前をもう一回呼んでみた。すると、だんだんと目が覚めてきたメリーはみるみるうちに顔が赤くなっていった。
『――――!? な、なんでゆーまくんがここにいるんですか!?』
「いやいや! それはこっちのほうが聞きたいよ! 起きたら知らない間に眼の前にメリーがいたんだから!」
『えっ……? じゃ、じゃあメリーは何があって……』
「もしかしたら、昨日のことで眠れなかったとか……」
『昨日のこと――――! そうでした! メリーはあの時からずっと実体化した状態だったので、エネルギーを使いすぎて寝てしまったんでした! ごめんなさいゆーまくん! 驚かせてしまって……!』
「いや、大丈夫だ。ずっとメリーは怯えていたから心配だったけど、元気になって良かった」
メリーは顔を青くしたままずっと座り込んでしまっていた時、俺は傍に居続けていたが、実は俺も恐怖に怯えていた。
家に帰ろうとした時に突然耳に流れ込んだあの声……。恐らく幽霊だとは思うが、同じ幽霊であるメリーがここまで恐怖に怯えるということはかなり危ないものだったのかもしれない。そう考えただけで怖くて眠れなかったし、立ち上がることも出来なかった。
『でも……ゆーまくんがずっとメリーの隣にいてくれたのはとても心強かったです。おかげで少しは楽になりました。ありがとうございます!』
メリーは深々と俺に向かって頭を下げた。
「そ、そこまでやらなくても良いよメリー。流石にあんなメリーを見たら放って置けないに決まってる。俺が勝手にそうしたかっただけだから気にしないでくれ」
『ふふっ……。ゆーまくんって本当に優しい人ですよね』
「優しいっていうか、それが普通だと俺は思ってるけどな」
『そういうところ、本当にずるいと思いますよ……』
「えっ、なんで?」
『ゆーまくんは絶対に分かりません』
俺には分からないってどういうことだ? 別に俺は当たり前のことをしただけだし、むしろそれが普通じゃないのか?
ちょっと気になるけど、とりあえずメリーはいつも通りで元気になって良かった。
「そう言えば、あれから何も食ってないな」
時目覚まし時計を見ると15時を指していた。あと1時間もしたら咲は来るだろうし、夕飯も近いからガッツリしたものは食わないほうが良さそうだ。
「メリーは腹減ったか?」
ぐうう
そう聞いた途端、メリーの腹が大きく鳴った。メリーはお腹を抑えると恥ずかしそうにしながら苦笑する。
「じゃあ、コンビニでパン買って行くか」
『――――! はい!』
メリーは眼をキラキラさせながらそう言って、俺の肩の上に乗っかる。
乗っかると言っても浮いているから重さはない。でも、触れられている感覚は勿論あるから、ちょっとドキッとしてしまう。
俺はこの時、違和感を持った。
メリーは今までも俺に触れてくることはたくさんあった。いつもなら何も感じないのに、さっきは何故かドキッとした。今まではなかったはずなのに……。
まさか……いやいやそんなことは絶対にありえん! メリーは幽霊だぞ? 生きている人間と幽霊がそんな関係になってしまったら……!
『――――? どうしたんですか? 何だか難しい顔してますけど……』
「――――! い、いや……。なんでもない! 気にしないでくれ……」
「昨日全然寝れなくて……今ものすごく眠い……」
学校に行く身支度が整い玄関の扉を開けると、そこにはいつも通り咲がいたが、俺があまりにも眠たそうな顔になってしまっているから、めっちゃ心配されてしまった。
「学校休んだほうが良いんじゃない?」
「そんなこと出来ない……。ただでさえ授業を聞いていてノートだけ取ってる俺なんだから。ちゃんと出席しないと何言われるか分からないからな……」
そう、俺はモブ陰キャだ。だから1日でも休んだら大変なことになる。
先生たちから良いように思われていない可能性は大だから、最低限でも毎日通わないといけないという使命がある。だから早く学校に行かないと……。
「良いからお家で寝てなさい! これはわたしからの命令よ!」
「でも……」
「でもじゃない! そんなので学校に行っても寝ちゃうでしょ? その方が先生に迷惑よ。だから、今日は学校を休んでちゃんと寝ること! 良い?」
「――――分かった。俺は今日休むよ。心配かけてごめんな咲……」
「べ、別に……心配になっただけだから……。じゃあ、わたしは学校に行くから。それと……今日は悠真のお家に行くから、それまでにちゃんと体調を整えておきなさいね。それじゃ」
咲は俺から視線をそらして、頬を少しだけ赤らめながらそう言って、手を振って学校へ向かっていった。
ったく、自分で言っておいて恥ずかしがるところは昔から変わらないな……。
「ふわああ……」
大きなあくびが出る。もう視界はボケボケで、今どこを見ているのかもわからなくなっている。立ったまま寝てしまいそうだ。
俺はまた家の中に入り、二階へ上がって部屋の中に入ると、ベットにダイブした。この時間に寝たら絶対に昼夜逆転しそうだなと思いながら、俺はすぐに気が遠のいていった。
◇◇◇
「ん……」
どのくらい寝たのだろうか。夢も見ずにぐっすりと寝ていたから、感覚的に10時間くらいは寝ていたんじゃないかと思う。
「――――ん?」
何か俺の前に何か人の気配がするような……。
『ん……。むにゃむにゃ……』
目を開けていなくても、声ですぐに分かった。
恐る恐る目を開けると……。
「――――!?」
俺の眼の前に心地よさそうに寝ているメリーの顔があった。
メリーは俺を抱きしめながら寝ている。そして俺は寝ぼけていたのか、抱き枕のようにメリーを抱きしめていた。
俺はぱっと手を離したものの、メリーは実体化していないため、俺の手はメリーの体をすり抜けて貫通しているような状態だった。
しかし、メリーはその状態でも触れるし、寝たまま俺を抱きしめている状態だから動けない。金縛りに遭うときってこんな感じなんだろうな。
そういえば……メリーが寝ているところ、初めて見たな。幽霊って寝ないってメリーから聞いた気がするけど、意外にもそうでもなかったみたいだ。
「――――」
『すう……すう……』
本当に寝息を立てて熟睡している。
さっきも言ったが、メリーの寝顔を見たのは初めてだ。何だか新鮮な気持ちと、直視が出来ないことが混ざってよくわからない感情になってしまっている。
よくラブコメで女子の寝顔は本当に可愛いとかあるけど、それは本当だった。もちろんメリーは美人で誰にでもモテそうな顔をしているが、寝顔はさらにその美しさが際立って見える。
なんでだろうな……人前では見せない本来の姿だからか?
『ゆーまくん……えへへ……』
メリーが寝言を言った。
ぐっ……こらえるんだ東 悠真! 絶対に手を出そうとするんじゃねえぞ!? 俺とメリーの関係はそこまでいってないからな!
「――――ん」
「――――」
メリーがさらに俺の胸元まで寄ってきた。完全にメリーの顔が俺の胸にくっついている状態になり、俺の心臓の鼓動がさらに早くなっていく。
(やめろ心臓! 俺はメリーに対してそんな変なこと考えてないんだぞ!)
俺は心の中で、顔を覆ってジタバタしながらそう叫んだ。
事情の知らない人から見れば、俺たちは明らかにカップルとしか見えない。
もう俺が限界を超えてしまいそうだ……!
寝ているところを起こすのは申し訳ないが、俺がヤバいからメリーを起こすことにした。
「メリー。おーい、メリー起きてくれ……!」
『う、ん……』
透明化してる状態のメリーには直接触って体を揺することは出来ないから、驚かせないように小さな声でメリーを起こす。すると、メリーは俺の声に反応し、ゆっくりと目を開けた。
『――――』
まだ眠たさと起きようとしている境目を行き来しているようで、メリーはぼーっとしたまま動かなかった。
「おはようメリー。メリーが寝ているなんて珍しいな。そんなに疲れたのか?」
『――――』
俺はメリーにそう問いかけると、メリーはゆっくりと俺を見た。まだ、眠たさと戦っているらしく、ぼーっとしたまま俺を見つめる。今まで見たことのないメリーの寝ぼけた顔に、俺は息を飲む。
『ゆーまくん……』
「お、おう! そうだ俺だよ。えっと……起きられそうか?」
『――――』
「メリー?」
反応がないので俺はメリーの名前をもう一回呼んでみた。すると、だんだんと目が覚めてきたメリーはみるみるうちに顔が赤くなっていった。
『――――!? な、なんでゆーまくんがここにいるんですか!?』
「いやいや! それはこっちのほうが聞きたいよ! 起きたら知らない間に眼の前にメリーがいたんだから!」
『えっ……? じゃ、じゃあメリーは何があって……』
「もしかしたら、昨日のことで眠れなかったとか……」
『昨日のこと――――! そうでした! メリーはあの時からずっと実体化した状態だったので、エネルギーを使いすぎて寝てしまったんでした! ごめんなさいゆーまくん! 驚かせてしまって……!』
「いや、大丈夫だ。ずっとメリーは怯えていたから心配だったけど、元気になって良かった」
メリーは顔を青くしたままずっと座り込んでしまっていた時、俺は傍に居続けていたが、実は俺も恐怖に怯えていた。
家に帰ろうとした時に突然耳に流れ込んだあの声……。恐らく幽霊だとは思うが、同じ幽霊であるメリーがここまで恐怖に怯えるということはかなり危ないものだったのかもしれない。そう考えただけで怖くて眠れなかったし、立ち上がることも出来なかった。
『でも……ゆーまくんがずっとメリーの隣にいてくれたのはとても心強かったです。おかげで少しは楽になりました。ありがとうございます!』
メリーは深々と俺に向かって頭を下げた。
「そ、そこまでやらなくても良いよメリー。流石にあんなメリーを見たら放って置けないに決まってる。俺が勝手にそうしたかっただけだから気にしないでくれ」
『ふふっ……。ゆーまくんって本当に優しい人ですよね』
「優しいっていうか、それが普通だと俺は思ってるけどな」
『そういうところ、本当にずるいと思いますよ……』
「えっ、なんで?」
『ゆーまくんは絶対に分かりません』
俺には分からないってどういうことだ? 別に俺は当たり前のことをしただけだし、むしろそれが普通じゃないのか?
ちょっと気になるけど、とりあえずメリーはいつも通りで元気になって良かった。
「そう言えば、あれから何も食ってないな」
時目覚まし時計を見ると15時を指していた。あと1時間もしたら咲は来るだろうし、夕飯も近いからガッツリしたものは食わないほうが良さそうだ。
「メリーは腹減ったか?」
ぐうう
そう聞いた途端、メリーの腹が大きく鳴った。メリーはお腹を抑えると恥ずかしそうにしながら苦笑する。
「じゃあ、コンビニでパン買って行くか」
『――――! はい!』
メリーは眼をキラキラさせながらそう言って、俺の肩の上に乗っかる。
乗っかると言っても浮いているから重さはない。でも、触れられている感覚は勿論あるから、ちょっとドキッとしてしまう。
俺はこの時、違和感を持った。
メリーは今までも俺に触れてくることはたくさんあった。いつもなら何も感じないのに、さっきは何故かドキッとした。今まではなかったはずなのに……。
まさか……いやいやそんなことは絶対にありえん! メリーは幽霊だぞ? 生きている人間と幽霊がそんな関係になってしまったら……!
『――――? どうしたんですか? 何だか難しい顔してますけど……』
「――――! い、いや……。なんでもない! 気にしないでくれ……」
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