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第5話:狙撃手の視線(ミネルヴァ)

ー/ー



 時計塔を後にした『ブラスト・ヘヴン号』は、赤茶けた砂塵が舞う荒野へと差し掛かっていた。

 天窓の大穴はガラが急造の鉄板で塞いだが、走行のたびにガタガタと鳴る不協和音は、今の自分たちの不安定な立場を象徴しているようだった。

「……ねえ、カイル」

 シグナは、ソファで真鍮の端末を弄るカイルに声をかけた。先ほどの時計塔で言われた「勲章」という言葉が、まだ胸の奥で燻っている。

「なんだい、シグナ? 改めて僕の顔に見惚れてしまったかな」
「……死ねばいいのに」
「それは困るな。僕が死んだら、誰が君とハルに最高級の潤滑油を約束するんだい?」
 カイルがいつものように軽薄に笑った、その瞬間。

 ――ッギィィン!

 鋭い衝撃が走り、装甲車の分厚いフロントガラスに、蜘蛛の巣状の亀裂が走った。貫通はしていないが、それは警告としては十分すぎる威力だった。

「伏せて!」

 シグナはカイルをソファから引きずり落とし、自らの体で覆い隠した。
 直後、二発目の衝撃。今度は屋根の鉄板が弾け飛び、熱を帯びた「何か」が車内を通り抜けていった。

「ご主人様! 弾道計算完了! 射程距離2.2キロ、北北東の廃ビル屋上からです!」

 ハルが絶叫する。二.二キロ。通常のオートマタのセンサーでは捉えきれない、神業に近い超長距離狙撃だ。

「……ミネルヴァだね。アイアン・ヴェールの『目』。彼女の弾丸は熱源追尾機能を備えた、ヘリオス製の『スマート・バレット』だ。移動すればするほどエンジンの熱に吸い寄せられる」

 カイルはシグナの腕の中で、苦笑しながら眼鏡のブリッジを押し上げた。

「次から次へと!! ガラ、車を止めて! このままじゃただの走る棺桶だ。停車して、熱源を分散させるんだ!」
「言われなくてもわかってるよ!」

 ガラが猛烈な勢いでブレーキを踏み、ブラスト・ヘヴン号は砂塵を上げて停止した。

「車をデコイにして、僕らが外から仕留める」

カイルの提案に、シグナは驚くが選択肢はない。
 シグナはハッチを蹴り開け、カイルと共に外へ飛び出した。

「ハル、スモークを展開! 敵のセンサーを撹乱しろ!」
「了解! ですが、相手の弾丸は私の煙幕を読み抜いてきますよ!」
「無駄だよ、シグナ。彼女の弾丸は熱源追尾機能を備えた、ヘリオス製の『スマート・バレット』だ。移動すればするほどエンジンの熱に吸い寄せられる。……なら、車をデコイにして僕らが外から仕留める方が確率は高い」

 カイルは砂地に膝をつき、演算メガネの出力を最大に引き上げた。

「……やるしかないね。シグナ、6番(フォーム・シックス)だ。僕が目(スポット)になる。君は僕の指先になってくれ」
「……了解したわ」


 シグナは荒野の中央で足を止め、四本の腕を異形の形状へと組み替え始めた。

 【Form 6:デッドアイ・エクリプス】。

 二本の上腕を連結し、巨大な銃身(バレル)を形成する。下腕はスタビライザーとして地面に深く突き立てられ、反動を逃がすための支点となった。シグナ自身が、一本の巨大な「対物狙撃砲」と化した瞬間だった。

「射線、確定。……ボクの計算から逃げられると思ってるの? お兄様」

 2キロ先の廃ビル。白銀のバイザーを装着した少女、ミネルヴァが巨大な電磁加速砲(レールガン)の引き金に指をかけた。 彼女の一人称は「ボク」。騎士団の中では最年少だが、その瞳には冷徹な数学的殺意が宿っている。

「3、2、1……Fire」

 青白い電光とともに、超音速の弾丸が放たれた。
 青白い光とともに、超音速の弾丸が放たれた。

「――来たよ、シグナ。心拍を僕に預けて」

 シグナの背後にカイルが密着し、彼女の両肩を支えるように手を添えた。カイルの体温と、演算装置から流れる膨大なデータが、強制接続端子を通じてシグナの神経系に直接流れ込む。カイルの呼吸、そして心拍。それが、シグナの鼓動と完璧に同期していく。
「吸って、吐いて。……そのまま止めて。3.5秒後、仰角プラス2、左へ0.5。……今だ!」

 シグナは自分ではない「誰か」の一部になったような感覚の中で、引き金を引いた。

 ――ドォォォォン!

 シグナの連結アームから放たれた高圧弾が、空気を切り裂いて突き進む。
 荒野のど真ん中で、二つの弾丸が正面衝突した。凄まじい衝撃波が砂塵を巻き上げ、視界を覆い尽くす。

「なっ……ボクの弾を撃ち落とした!? 偶然じゃない、軌道を読み切ったっていうの!?」

 ミネルヴァがバイザーの奥で驚愕に目を見開く。
 ただ、この事実にシグナ自身がさらに驚愕していた。だが、カイルは容赦なく次の指示を叩き込んでくる。

「シグナ、次だ。彼女が次弾を装填するまで一.二秒。その隙に、彼女のライフルのレールの歪みを狙う」
「……い、いくらなんでも、無理よ。2キロ先よ? 私はそもそもスナイパーじゃないのよ!! さっきみたいな偶然続かないわ!!」
「いや、僕を信じて。……君なら、できる」

 カイルの声が、耳元で熱を帯びて囁く。シグナの頬が赤らむのを、カイルは見逃さなかった。

「動揺しないで。その熱も、エネルギーに変換して撃ち放て」
「……バカ」

 世界が静止する。
 シグナは視覚をカイルの演算に完全に直結させた。風の揺らぎ、陽炎の歪み。すべてが数式となって脳内を駆け巡る。狙うのは、敵の命ではない。その「誇り」の象徴だ。

「――Fire」

 放たれたカウンターは、ミネルヴァが次弾を放とうとした直前、彼女の愛銃を根本から粉砕した。

「あ……ボクの、アイギスが……!」

 手の中で爆ぜたライフルの残骸を見つめ、ミネルヴァは膝をついた。プライドを完膚なきまでに叩き潰された少女は、泣き叫びながら緊急脱出用のブースターを点火し、夜空へと逃げ去っていった。

 静寂が戻った荒野で、シグナは連結していた腕を一つずつ解いていった。背中に残るカイルの温もりに、静かに戸惑いを感じながら。

「……お見事。君のその『柔軟な腕』が、僕の無茶な計算を現実に変えてくれた」

 シグナは無言でハルを叩き落とし、車内へと戻るしかなかった。





 静寂が戻った荒野で、シグナは連結していた腕を一つずつ、ゆっくりと解いていった。

 ハッチを開け、再び車内へと戻ると、そこには頭を抱えて座り込むガラの姿があった。

「ラチェット、ロゼ、ときて今度はミネルヴァかい。3連チャンだよ、3連チャン。ったく、一体何人の化け物が襲ってくるんだい、この逃避行は!」

 ガラはイライラした様子で電子タバコを噛み、カイルを睨みつけた。
 カイルは肩をすくめ、端末のデータを整理しながら涼しい顔で答える。

「たぶん追手は、精鋭で5人だね~。ヘリオスが誇る私設騎士団『アイアン・ヴェール』。今相手をした3人に加えて、あと2人。……それから、僕の父さんが予備兵力をどれだけ出すか、かな」

 シグナが重い足取りでカイルの前に立ち、残りの腕を背部に収納した。

「……あと2人。どんな奴らなの」

 その問いに、カイルは少しだけ表情を曇らせた。

「1人はバスティオン。騎士団の『壁』だ。移動要塞のような重装甲と、あらゆる攻撃を弾く偏向シールドを持っている。まともに正面からぶつかったら、シグナの刃も折れるかもしれないね」

「……もう1人は?」
「団長、ヴィクター。彼は別格だ」

 カイルは眼鏡のブリッジを押し上げ、深い溜息をついた。

「テレスコピック・スチームランス。あの伸縮式の長槍は、シグナの4本の腕が届かない間合いから、一突きで駆動核(コア)を貫いてくる。……僕の演算でも、彼を捉える確率は、今のところあまり芳しくない」
「……盾と、槍。最悪の組み合わせね」

 シグナは自分の鋼鉄の掌を握りしめた。
 ミネルヴァとの連携でさえ、カイルの補助がなければ危うかった。さらにその上を行く「壁」と「槍」が控えている。

「あーあ、聞かなきゃよかったよ! 槍だの壁だの、ろくなもんじゃないね!」

 ガラが再びエンジンを咆哮させ、ブラスト・ヘヴン号が動き出す。

「カイル。……あんたのその『演算』。残りの2人に対しても、ちゃんと機能するんでしょうね」

 シグナの問いに、カイルは再び軽薄な笑みを貼り付けた。

「もちろんだよ。僕の計算に狂いはない。……ただ、君が僕を信じてくれないと、その確率は一気にゼロまで落ちてしまうけどね」
「……ハル、この男をやっぱり砂漠の真ん中に――」
「はいはい、置いていっちゃダメですよ! 目的地まで安全運転です!」

 笑い声を上げながら、移動工房は再び夜の闇へと滑り出した。
 残るは2人。しかし、本当の地獄はこれから始まることを、一行はまだ知る由もなかった。




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次のエピソードへ進む 第6話:鋼鉄の盾(バスティオン)


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 時計塔を後にした『ブラスト・ヘヴン号』は、赤茶けた砂塵が舞う荒野へと差し掛かっていた。
 天窓の大穴はガラが急造の鉄板で塞いだが、走行のたびにガタガタと鳴る不協和音は、今の自分たちの不安定な立場を象徴しているようだった。
「……ねえ、カイル」
 シグナは、ソファで真鍮の端末を弄るカイルに声をかけた。先ほどの時計塔で言われた「勲章」という言葉が、まだ胸の奥で燻っている。
「なんだい、シグナ? 改めて僕の顔に見惚れてしまったかな」
「……死ねばいいのに」
「それは困るな。僕が死んだら、誰が君とハルに最高級の潤滑油を約束するんだい?」
 カイルがいつものように軽薄に笑った、その瞬間。
 ――ッギィィン!
 鋭い衝撃が走り、装甲車の分厚いフロントガラスに、蜘蛛の巣状の亀裂が走った。貫通はしていないが、それは警告としては十分すぎる威力だった。
「伏せて!」
 シグナはカイルをソファから引きずり落とし、自らの体で覆い隠した。
 直後、二発目の衝撃。今度は屋根の鉄板が弾け飛び、熱を帯びた「何か」が車内を通り抜けていった。
「ご主人様! 弾道計算完了! 射程距離2.2キロ、北北東の廃ビル屋上からです!」
 ハルが絶叫する。二.二キロ。通常のオートマタのセンサーでは捉えきれない、神業に近い超長距離狙撃だ。
「……ミネルヴァだね。アイアン・ヴェールの『目』。彼女の弾丸は熱源追尾機能を備えた、ヘリオス製の『スマート・バレット』だ。移動すればするほどエンジンの熱に吸い寄せられる」
 カイルはシグナの腕の中で、苦笑しながら眼鏡のブリッジを押し上げた。
「次から次へと!! ガラ、車を止めて! このままじゃただの走る棺桶だ。停車して、熱源を分散させるんだ!」
「言われなくてもわかってるよ!」
 ガラが猛烈な勢いでブレーキを踏み、ブラスト・ヘヴン号は砂塵を上げて停止した。
「車をデコイにして、僕らが外から仕留める」
カイルの提案に、シグナは驚くが選択肢はない。
 シグナはハッチを蹴り開け、カイルと共に外へ飛び出した。
「ハル、スモークを展開! 敵のセンサーを撹乱しろ!」
「了解! ですが、相手の弾丸は私の煙幕を読み抜いてきますよ!」
「無駄だよ、シグナ。彼女の弾丸は熱源追尾機能を備えた、ヘリオス製の『スマート・バレット』だ。移動すればするほどエンジンの熱に吸い寄せられる。……なら、車をデコイにして僕らが外から仕留める方が確率は高い」
 カイルは砂地に膝をつき、演算メガネの出力を最大に引き上げた。
「……やるしかないね。シグナ、6番(フォーム・シックス)だ。僕が目(スポット)になる。君は僕の指先になってくれ」
「……了解したわ」
 シグナは荒野の中央で足を止め、四本の腕を異形の形状へと組み替え始めた。
 【Form 6:デッドアイ・エクリプス】。
 二本の上腕を連結し、巨大な銃身(バレル)を形成する。下腕はスタビライザーとして地面に深く突き立てられ、反動を逃がすための支点となった。シグナ自身が、一本の巨大な「対物狙撃砲」と化した瞬間だった。
「射線、確定。……ボクの計算から逃げられると思ってるの? お兄様」
 2キロ先の廃ビル。白銀のバイザーを装着した少女、ミネルヴァが巨大な電磁加速砲(レールガン)の引き金に指をかけた。 彼女の一人称は「ボク」。騎士団の中では最年少だが、その瞳には冷徹な数学的殺意が宿っている。
「3、2、1……Fire」
 青白い電光とともに、超音速の弾丸が放たれた。
 青白い光とともに、超音速の弾丸が放たれた。
「――来たよ、シグナ。心拍を僕に預けて」
 シグナの背後にカイルが密着し、彼女の両肩を支えるように手を添えた。カイルの体温と、演算装置から流れる膨大なデータが、強制接続端子を通じてシグナの神経系に直接流れ込む。カイルの呼吸、そして心拍。それが、シグナの鼓動と完璧に同期していく。
「吸って、吐いて。……そのまま止めて。3.5秒後、仰角プラス2、左へ0.5。……今だ!」
 シグナは自分ではない「誰か」の一部になったような感覚の中で、引き金を引いた。
 ――ドォォォォン!
 シグナの連結アームから放たれた高圧弾が、空気を切り裂いて突き進む。
 荒野のど真ん中で、二つの弾丸が正面衝突した。凄まじい衝撃波が砂塵を巻き上げ、視界を覆い尽くす。
「なっ……ボクの弾を撃ち落とした!? 偶然じゃない、軌道を読み切ったっていうの!?」
 ミネルヴァがバイザーの奥で驚愕に目を見開く。
 ただ、この事実にシグナ自身がさらに驚愕していた。だが、カイルは容赦なく次の指示を叩き込んでくる。
「シグナ、次だ。彼女が次弾を装填するまで一.二秒。その隙に、彼女のライフルのレールの歪みを狙う」
「……い、いくらなんでも、無理よ。2キロ先よ? 私はそもそもスナイパーじゃないのよ!! さっきみたいな偶然続かないわ!!」
「いや、僕を信じて。……君なら、できる」
 カイルの声が、耳元で熱を帯びて囁く。シグナの頬が赤らむのを、カイルは見逃さなかった。
「動揺しないで。その熱も、エネルギーに変換して撃ち放て」
「……バカ」
 世界が静止する。
 シグナは視覚をカイルの演算に完全に直結させた。風の揺らぎ、陽炎の歪み。すべてが数式となって脳内を駆け巡る。狙うのは、敵の命ではない。その「誇り」の象徴だ。
「――Fire」
 放たれたカウンターは、ミネルヴァが次弾を放とうとした直前、彼女の愛銃を根本から粉砕した。
「あ……ボクの、アイギスが……!」
 手の中で爆ぜたライフルの残骸を見つめ、ミネルヴァは膝をついた。プライドを完膚なきまでに叩き潰された少女は、泣き叫びながら緊急脱出用のブースターを点火し、夜空へと逃げ去っていった。
 静寂が戻った荒野で、シグナは連結していた腕を一つずつ解いていった。背中に残るカイルの温もりに、静かに戸惑いを感じながら。
「……お見事。君のその『柔軟な腕』が、僕の無茶な計算を現実に変えてくれた」
 シグナは無言でハルを叩き落とし、車内へと戻るしかなかった。
 静寂が戻った荒野で、シグナは連結していた腕を一つずつ、ゆっくりと解いていった。
 ハッチを開け、再び車内へと戻ると、そこには頭を抱えて座り込むガラの姿があった。
「ラチェット、ロゼ、ときて今度はミネルヴァかい。3連チャンだよ、3連チャン。ったく、一体何人の化け物が襲ってくるんだい、この逃避行は!」
 ガラはイライラした様子で電子タバコを噛み、カイルを睨みつけた。
 カイルは肩をすくめ、端末のデータを整理しながら涼しい顔で答える。
「たぶん追手は、精鋭で5人だね~。ヘリオスが誇る私設騎士団『アイアン・ヴェール』。今相手をした3人に加えて、あと2人。……それから、僕の父さんが予備兵力をどれだけ出すか、かな」
 シグナが重い足取りでカイルの前に立ち、残りの腕を背部に収納した。
「……あと2人。どんな奴らなの」
 その問いに、カイルは少しだけ表情を曇らせた。
「1人はバスティオン。騎士団の『壁』だ。移動要塞のような重装甲と、あらゆる攻撃を弾く偏向シールドを持っている。まともに正面からぶつかったら、シグナの刃も折れるかもしれないね」
「……もう1人は?」
「団長、ヴィクター。彼は別格だ」
 カイルは眼鏡のブリッジを押し上げ、深い溜息をついた。
「テレスコピック・スチームランス。あの伸縮式の長槍は、シグナの4本の腕が届かない間合いから、一突きで駆動核(コア)を貫いてくる。……僕の演算でも、彼を捉える確率は、今のところあまり芳しくない」
「……盾と、槍。最悪の組み合わせね」
 シグナは自分の鋼鉄の掌を握りしめた。
 ミネルヴァとの連携でさえ、カイルの補助がなければ危うかった。さらにその上を行く「壁」と「槍」が控えている。
「あーあ、聞かなきゃよかったよ! 槍だの壁だの、ろくなもんじゃないね!」
 ガラが再びエンジンを咆哮させ、ブラスト・ヘヴン号が動き出す。
「カイル。……あんたのその『演算』。残りの2人に対しても、ちゃんと機能するんでしょうね」
 シグナの問いに、カイルは再び軽薄な笑みを貼り付けた。
「もちろんだよ。僕の計算に狂いはない。……ただ、君が僕を信じてくれないと、その確率は一気にゼロまで落ちてしまうけどね」
「……ハル、この男をやっぱり砂漠の真ん中に――」
「はいはい、置いていっちゃダメですよ! 目的地まで安全運転です!」
 笑い声を上げながら、移動工房は再び夜の闇へと滑り出した。
 残るは2人。しかし、本当の地獄はこれから始まることを、一行はまだ知る由もなかった。