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59-②.最初の異物は、汚物として

ー/ー



 グリゼルダの指示で、セリハを囲んでいた魔物達は満足そうにしながら戦場に戻っていった。

「あ……はっ………はぁ……はぁ……はぁ……」

 10分程度のわずかな時間だった。弄ばれたセリハは、ボロボロにされた衣の残った部分を引っ張り、魔物に注入された体液が流れ出続ける秘部をどうにか隠そうとしながら、体を小さくして泣いていた。

「うっ……ひっく……ふぅぅっ……んぐっ!ううぅぅ」
「まだ喘いでいるのかい?本当にいやらしい女になったものだねセリハ」
「ティオォォ……ぉお……ぉぉおまぇぇぇっ!!」

 フラフラして、まっすぐに歩けない状態でありながらも、ティオを恨み憎む力で声を上げながら拳を突き出そうとした。

「あっつうぅいいぃぃ!!??」

 その間に入ったのはグリゼルダ。軽く腕を振り、セリハの体を炎で弾き飛ばす。

「もういいか、ティオとやら」
「お待たせして申し訳なかったね魔王様……僕はここで見ているけど構わないだろうか?」
「……好きにするがいい」

 長く綺麗なセリハの黒髪は半分焼け落ち、背中にもその炎の爪痕ととして火傷を作っていた。

「私の方でも、そう簡単に殺すつもりはなかったのだ。なにをしてやろうかと、毎日毎日考えおったわ」

 一歩ずつ、セリハに近づいていくグリゼルダ。

「お前が楽しんでいる間に色々聞かせてもらってな?はぁ……それなりに私なりの、せめて美しい拷問で痛めつけようと思っていたのだが、そんな事を考えていた事がバカらしいほどの相手であったわ。だが、良かったな?仲間から至上の喜びを与えられるなんて幸せだぞ?聖女よ?」
「あっづぃ……いたい……あぁ……あああ、あ、あ」

 焼け剥げた頭部は、サリエルに捕らえられた時と同じ醜い姿……聖女の面影などどこにもない。

「ティオ、念の為聞くが、別れの言葉はよいのか?」

 片手でセリハの首をつかみ持ち上げた状態で、グリゼルダはティオに問う。
 ティオは無言でそれをジッと見つめている。そんな風に熱心に見ていれば、目が合わないはずがない。セリハはその視線に、その先のティオに訴えかける。

「ね、ねぇティオ……私、あなたのこと、大事よ?つい、好きなモノには意地悪しちゃうの……ね?謝るから、ね?……助けて……?」

 どうにか振り絞って出した、言葉、命乞い。

「モノにそんなこと言っても無意味だと思わないのかい?残念だよセリハ……昔のように、外面だけだったとしても、優しい君だったら良かったのに」

 セリハの足先から炎が上がり、体を焼いていく。

「この……ク粗チン童貞粗野郎ぉがぁぁぁ!!!」

 聖女の立場である女性の口から出る言葉ではない。それを聞いたティオは、更に呆れ、笑っていた。

「汚い女よ……こんな女に守られていたなんて知られたらさぞ民は嘆くだろうな?だが、安心するがいい、骨も残さず焼き殺してやろう……我が弟の力を削ぎ命を危険に晒した罪……償うがいい」

 指先からも炎が上がり始める。
 声にならない……声に出せない痛みが襲うい、セリハの全身はもがき抵抗することもできないのか、ピーンと引き攣ったまま。

「っ……ソ……」

 半分まで焼かれていた。ここまでよく、意識を保てているものだとグリゼルダは感心している。

 汚物の様な女が、ゆっくりと死んでいく様を、うっとりと観察するグリゼルダ。

「ワァァァァア!!!!」

 瞬間……若い男の雄叫びと共に、白い風が通り過ぎていった。

『へぇ?』

 ピクッと、ティオは反応した。どちらの声に反応したのかなんてことは、分かりきったことだった。

「セリハ!セリハァ!!!」
「治療します!!離しなさいソウゴ!!」

 通り過ぎた先でフォンゼルは姿を戻し、焼け焦げたセリハの体に治癒魔法を施し始める。

「貴様かぁ!!!」
「あっはっはっ!お前が勇者か!遅いぞ!!」

 涙を浮かべ、一心不乱にグリゼルダに向かって走り出すソウゴ。ティオの姿は、目に入っていない。

 剣による猛攻……そんな一般兵がやる様な戦いは、グリゼルダには通用しない。硬い竜の鱗の肌で剣を受けながら、ソウゴを翻弄する。

 通らない剣撃は、ソウゴの心の乱れのせいだった。無駄な大振り、無駄に真っすぐで、読まれやすい動き……ダメージを受けているのは、ソウゴが手に持っている剣の刀身……どんどんと刃こぼれし、使い物にならなくなっていく。

 動き回るうち、やっと……ティオの存在に気付いたソウゴ。

「ティオ!補助……強化を……!」

 グリゼルダの反撃に耐えながら、ティオに向かって叫ぶ。

「ソウゴ……後ろがおろそかだと思わないかい?」
「は……あ?うし……ろ?」

 振り向きたくても、目の前のグリゼルダからの攻撃の圧や耐えることに必死で、見ることができないでいる。

「あぁ、すまない、戦闘中だったね?せっかくだから僕が『見せて』あげるよ」
「な、なん……なにか映って……僕の目に僕?……っ?!」

 ティオはゆっくりと、セリハの治療に集中しているフォンゼルに視線を移していく。

「聖女様……くっ……さすがにかここまでの状態では……せめて左腕だけでも……!」
「ひゅ……ぅ……ひゅ……っ」

 フォンゼルが見ているのはセリハ、無防備な背中。
 フォンゼルを見ているのはティオ、ソウゴに視界を共有している。

 ティオは笑って、チラリ上空を見る。

 黒い有翼の魔物が、ハルバードを構え狙っているのは……。

「だ……めだ、やめろ……やめさせるんだティオ!!」
「勇者!こっちに集中しろ!!」
「なぜ?止めさせる理由を教えておくれよソウゴ」
「うっ、あああ!!くぁあっ!!ど、けぇぇええぇっ!!!!」

 火事場の馬鹿力とでも言うのだろう。グリゼルダの硬く重くのしかかる腕を押し戻し、跳ね飛ばしたソウゴ。

 フォンゼルの背中に向かって走り出す。

「フォンゼル様!気付いて!避けて!避けてぇぇぇ!!」
「……ソウゴ?」

 声に気づき、振り向こうとしたが遅すぎた。

「カッ……があっ!ごっ!オッ……」

 ひとつ、ふたつ、みっつ……振り注いだハルバードに体を貫かれたフォンゼル。

「教えてあげたというのに……」

『見せて』いた視界の共有を終わらせ、血にまみれ、胴体と下半身が別々に崩れ折れるフォゼルを静かに見据えるティオ。

「あああ……ああああああ……アアアァぁぁぁッ!!!」

 駆け寄る途中で、ソウゴもその膝を折ってしまった。

『くはっ!』

 ティオは穏やかな表情で、ソウゴに近づくと、その腕を掴み、フォンゼルとセリハのいる場所まで引きずっていった。

「おや?まだ息があるようだよソウゴ、お別れをしたらどうだい?」
「…………ソ……ゴ」
「っ!!フォンゼル様!!」

 勇者一行は、タフな人間が多いらしい。
 内臓も肉も骨も撒き散らし、血もほとんど流しきっているだろう無残な姿でありながら、ソウゴの名を呼んだフォンゼル。

「ほ、ら……せ、じょ……の……腕……きれ……な……た」
「だめ、ダメだよフォンゼル様!あ、あ……」

 支えたい体が千切れて無くなっているせいで、抱き上げることもできない。唯一出来たのは、顔を優しく包み込むことだけだった。

「だ……す……あ…………し……ます……ソウ……ゴ」
「フォンゼル……様?……なに?なんていったの?ねぇ!ねぇ!!」
「な……かな……――」

 動かなくなったフォンゼルの顔に、大粒の涙がいくつも落ちて流れていく。

「ソウゴ……かわいそうに……」
「ティオ……君はなんで……なんで助けてくれなかったんだ……っ!」
「はぁ?ソウゴ、君さ?僕もここにいること、知ってたはずだろう?なのに、どうして無視をしたんだい?僕がこの状況で普通に生きてるとでも思ったのかい?魔王に向かう前に、僕に、頼めば良かったのに」
「そ……んな、理由で……?」

 ソウゴ自身は、ティオに対して普段から強く当たることも、痛めつけるようなこともしていない。でもそれは、そこまで重要にも頼りにもしていない、興味が無いのと同じことだと、ティオは感じていた。

「そうだよ?そんなこと、そんな理由なんだよ!君たちにとっては!やる側の人間にとってはね!やられた側の人間のことなんてどうとも思ってない、気にかけるにも値しない……それでよく……僕を仲間だと言えたものだよ」

 ソウゴを見下ろし、フォンゼルの内臓を踏み潰し、セリハを蹴飛ばしながら、浴びせられる突き放すような叫び。

「ティオ……そんな……僕はそんなつもりは……」
「『蒼き聖剣のソウゴ』……?なぁんて異名をつけられて調子に乗っていたんだろ?ほら、よーく見てみたまえ?君は、誰ひとり、救えない」

 背中に感じるのは民の悲鳴。右手側には今にも止まりそうな息を小さくしているだけのセリハ。両手に収まっているのは、フォンゼルだったもの。

 そして、目の前に立っているのは……――。


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次のエピソードへ進む 60.夢の終わり、希望の終わり


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 グリゼルダの指示で、セリハを囲んでいた魔物達は満足そうにしながら戦場に戻っていった。
「あ……はっ………はぁ……はぁ……はぁ……」
 10分程度のわずかな時間だった。弄ばれたセリハは、ボロボロにされた衣の残った部分を引っ張り、魔物に注入された体液が流れ出続ける秘部をどうにか隠そうとしながら、体を小さくして泣いていた。
「うっ……ひっく……ふぅぅっ……んぐっ!ううぅぅ」
「まだ喘いでいるのかい?本当にいやらしい女になったものだねセリハ」
「ティオォォ……ぉお……ぉぉおまぇぇぇっ!!」
 フラフラして、まっすぐに歩けない状態でありながらも、ティオを恨み憎む力で声を上げながら拳を突き出そうとした。
「あっつうぅいいぃぃ!!??」
 その間に入ったのはグリゼルダ。軽く腕を振り、セリハの体を炎で弾き飛ばす。
「もういいか、ティオとやら」
「お待たせして申し訳なかったね魔王様……僕はここで見ているけど構わないだろうか?」
「……好きにするがいい」
 長く綺麗なセリハの黒髪は半分焼け落ち、背中にもその炎の爪痕ととして火傷を作っていた。
「私の方でも、そう簡単に殺すつもりはなかったのだ。なにをしてやろうかと、毎日毎日考えおったわ」
 一歩ずつ、セリハに近づいていくグリゼルダ。
「お前が楽しんでいる間に色々聞かせてもらってな?はぁ……それなりに私なりの、せめて美しい拷問で痛めつけようと思っていたのだが、そんな事を考えていた事がバカらしいほどの相手であったわ。だが、良かったな?仲間から至上の喜びを与えられるなんて幸せだぞ?聖女よ?」
「あっづぃ……いたい……あぁ……あああ、あ、あ」
 焼け剥げた頭部は、サリエルに捕らえられた時と同じ醜い姿……聖女の面影などどこにもない。
「ティオ、念の為聞くが、別れの言葉はよいのか?」
 片手でセリハの首をつかみ持ち上げた状態で、グリゼルダはティオに問う。
 ティオは無言でそれをジッと見つめている。そんな風に熱心に見ていれば、目が合わないはずがない。セリハはその視線に、その先のティオに訴えかける。
「ね、ねぇティオ……私、あなたのこと、大事よ?つい、好きなモノには意地悪しちゃうの……ね?謝るから、ね?……助けて……?」
 どうにか振り絞って出した、言葉、命乞い。
「モノにそんなこと言っても無意味だと思わないのかい?残念だよセリハ……昔のように、外面だけだったとしても、優しい君だったら良かったのに」
 セリハの足先から炎が上がり、体を焼いていく。
「この……ク粗チン童貞粗野郎ぉがぁぁぁ!!!」
 聖女の立場である女性の口から出る言葉ではない。それを聞いたティオは、更に呆れ、笑っていた。
「汚い女よ……こんな女に守られていたなんて知られたらさぞ民は嘆くだろうな?だが、安心するがいい、骨も残さず焼き殺してやろう……我が弟の力を削ぎ命を危険に晒した罪……償うがいい」
 指先からも炎が上がり始める。
 声にならない……声に出せない痛みが襲うい、セリハの全身はもがき抵抗することもできないのか、ピーンと引き攣ったまま。
「っ……ソ……」
 半分まで焼かれていた。ここまでよく、意識を保てているものだとグリゼルダは感心している。
 汚物の様な女が、ゆっくりと死んでいく様を、うっとりと観察するグリゼルダ。
「ワァァァァア!!!!」
 瞬間……若い男の雄叫びと共に、白い風が通り過ぎていった。
『へぇ?』
 ピクッと、ティオは反応した。どちらの声に反応したのかなんてことは、分かりきったことだった。
「セリハ!セリハァ!!!」
「治療します!!離しなさいソウゴ!!」
 通り過ぎた先でフォンゼルは姿を戻し、焼け焦げたセリハの体に治癒魔法を施し始める。
「貴様かぁ!!!」
「あっはっはっ!お前が勇者か!遅いぞ!!」
 涙を浮かべ、一心不乱にグリゼルダに向かって走り出すソウゴ。ティオの姿は、目に入っていない。
 剣による猛攻……そんな一般兵がやる様な戦いは、グリゼルダには通用しない。硬い竜の鱗の肌で剣を受けながら、ソウゴを翻弄する。
 通らない剣撃は、ソウゴの心の乱れのせいだった。無駄な大振り、無駄に真っすぐで、読まれやすい動き……ダメージを受けているのは、ソウゴが手に持っている剣の刀身……どんどんと刃こぼれし、使い物にならなくなっていく。
 動き回るうち、やっと……ティオの存在に気付いたソウゴ。
「ティオ!補助……強化を……!」
 グリゼルダの反撃に耐えながら、ティオに向かって叫ぶ。
「ソウゴ……後ろがおろそかだと思わないかい?」
「は……あ?うし……ろ?」
 振り向きたくても、目の前のグリゼルダからの攻撃の圧や耐えることに必死で、見ることができないでいる。
「あぁ、すまない、戦闘中だったね?せっかくだから僕が『見せて』あげるよ」
「な、なん……なにか映って……僕の目に僕?……っ?!」
 ティオはゆっくりと、セリハの治療に集中しているフォンゼルに視線を移していく。
「聖女様……くっ……さすがにかここまでの状態では……せめて左腕だけでも……!」
「ひゅ……ぅ……ひゅ……っ」
 フォンゼルが見ているのはセリハ、無防備な背中。
 フォンゼルを見ているのはティオ、ソウゴに視界を共有している。
 ティオは笑って、チラリ上空を見る。
 黒い有翼の魔物が、ハルバードを構え狙っているのは……。
「だ……めだ、やめろ……やめさせるんだティオ!!」
「勇者!こっちに集中しろ!!」
「なぜ?止めさせる理由を教えておくれよソウゴ」
「うっ、あああ!!くぁあっ!!ど、けぇぇええぇっ!!!!」
 火事場の馬鹿力とでも言うのだろう。グリゼルダの硬く重くのしかかる腕を押し戻し、跳ね飛ばしたソウゴ。
 フォンゼルの背中に向かって走り出す。
「フォンゼル様!気付いて!避けて!避けてぇぇぇ!!」
「……ソウゴ?」
 声に気づき、振り向こうとしたが遅すぎた。
「カッ……があっ!ごっ!オッ……」
 ひとつ、ふたつ、みっつ……振り注いだハルバードに体を貫かれたフォンゼル。
「教えてあげたというのに……」
『見せて』いた視界の共有を終わらせ、血にまみれ、胴体と下半身が別々に崩れ折れるフォゼルを静かに見据えるティオ。
「あああ……ああああああ……アアアァぁぁぁッ!!!」
 駆け寄る途中で、ソウゴもその膝を折ってしまった。
『くはっ!』
 ティオは穏やかな表情で、ソウゴに近づくと、その腕を掴み、フォンゼルとセリハのいる場所まで引きずっていった。
「おや?まだ息があるようだよソウゴ、お別れをしたらどうだい?」
「…………ソ……ゴ」
「っ!!フォンゼル様!!」
 勇者一行は、タフな人間が多いらしい。
 内臓も肉も骨も撒き散らし、血もほとんど流しきっているだろう無残な姿でありながら、ソウゴの名を呼んだフォンゼル。
「ほ、ら……せ、じょ……の……腕……きれ……な……た」
「だめ、ダメだよフォンゼル様!あ、あ……」
 支えたい体が千切れて無くなっているせいで、抱き上げることもできない。唯一出来たのは、顔を優しく包み込むことだけだった。
「だ……す……あ…………し……ます……ソウ……ゴ」
「フォンゼル……様?……なに?なんていったの?ねぇ!ねぇ!!」
「な……かな……――」
 動かなくなったフォンゼルの顔に、大粒の涙がいくつも落ちて流れていく。
「ソウゴ……かわいそうに……」
「ティオ……君はなんで……なんで助けてくれなかったんだ……っ!」
「はぁ?ソウゴ、君さ?僕もここにいること、知ってたはずだろう?なのに、どうして無視をしたんだい?僕がこの状況で普通に生きてるとでも思ったのかい?魔王に向かう前に、僕に、頼めば良かったのに」
「そ……んな、理由で……?」
 ソウゴ自身は、ティオに対して普段から強く当たることも、痛めつけるようなこともしていない。でもそれは、そこまで重要にも頼りにもしていない、興味が無いのと同じことだと、ティオは感じていた。
「そうだよ?そんなこと、そんな理由なんだよ!君たちにとっては!やる側の人間にとってはね!やられた側の人間のことなんてどうとも思ってない、気にかけるにも値しない……それでよく……僕を仲間だと言えたものだよ」
 ソウゴを見下ろし、フォンゼルの内臓を踏み潰し、セリハを蹴飛ばしながら、浴びせられる突き放すような叫び。
「ティオ……そんな……僕はそんなつもりは……」
「『蒼き聖剣のソウゴ』……?なぁんて異名をつけられて調子に乗っていたんだろ?ほら、よーく見てみたまえ?君は、誰ひとり、救えない」
 背中に感じるのは民の悲鳴。右手側には今にも止まりそうな息を小さくしているだけのセリハ。両手に収まっているのは、フォンゼルだったもの。
 そして、目の前に立っているのは……――。