ep148 急展開

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「ずいぶんと物騒なモン引き連れてここになんの用だ?」

 ジェイズが真顔で凄んだ。消耗してもなお迫力は損なわれていない。
 キラースは一瞬だけビクンとするも、すぐにジェイズの傷だらけの全身を眺めて嬉しそうに目を細める。

「数は、この前サンダースを襲った時の倍以上だ。魔物の上には部下たちも乗っているぜ」

「答えになってねえな。真面目に答えねえと今すぐ捻り潰すぞ」

「たしかに〔狂戦士〕はバケモンだ。だが今は魔剣使いとの闘いで手負いだ。そんな状態でヘッドフィールド全部を守れんのか?」

「テメーごときがこのオレを脅すつもりか?」

 ボスの言葉に呼応して、アイが一歩前に出た。

「キラース。たしかにその数は驚異だし今のボスも消耗している。だがお前の敵になる者は今我々以外にもいるんだぞ?」

 俺はアイに俺たちのことを利用しようとする意図を感じたが、忌避感はなかった。キラースは俺にとってもカレンにとっても危険な敵だ。むしろアイやジェイズと協力して倒せるのなら都合が良いとも言える。つまり、利害は一致しているんだ。

「狂戦士もアイちゃんも、カレンちゃんも魔剣使いもさぁ。オレのことナメてるよな?」
 キラースが不機嫌そうに吐き捨てた。
「そう言ってられんのも今のうちだぜバカがぁ!」

 ここで、もう一頭の魔物が降下して来た。
 キラースの部下か?

「ちょっと早く来てくださいよ〜!」

 キラースが妙にへらへらと叫んだ。
 次の瞬間、ジェイズとアイの顔色がサッと変化した。

「どうも。お久しぶりの人もいれば初めましての人もいるねぇ〜そして……んん? どうやら…二度目ましてもいるねぇ」

 魔物の上から覗き込むようにして、男が俺をじろっと見てきた。その男は魔物を着陸させてから、ゆっくりと地面に足を下ろした。

「なんでテメーまでいやがる」

「そんな怖い顔しないでくれよ〜バーサーカー」

 凄むジェイズに、フリーダムの下っ端特有のツナギのような服を着たその男は、不敵に飄々としていた。

 俺は「なんだコイツは?」と思ったが、直ちにハッとする。
 この男のドレッドヘアーと声、そして不気味に飄々とした感じ。あの時と違って仮面を着けていないが……わかる。
 
「お前はクオリーメンの時の!!」

 俺の思いがけない声にみんなが反応する。

「クロー。奴を知っているのか?」
「魔剣使い?」
「あの男は誰なんだ?」
「どうしたの? ねえクロー?」
「ダンナ?」

 キラースはしてやったりの表情を浮かべる。

「マーリスさん! 遅いっすよ!」

「いや〜わるいわるい。空の旅を楽しんでいたからね〜」

「そうゆうわけだ。おいジェイズ! 今ならまだ同盟の話、受けてやってもいいぜぇ!」

 いきがるキラースに向かいながら、カレンが俺に訊いてくる。

「あの男は誰だ?」

「俺もよくは知らない。ただ、あの男に俺の街はめちゃくちゃにされた」

「クローの住んでいた街を?」

「その時、俺も殺されかけた」

「クローが!?」
「ダンナが!? マジかよ!?」

 間髪入れずにエレサとトレブルたちが驚いたが、ジェイズとアイとカレンも驚きを隠せない様子。

「クローが殺されかけただと? おいジェイズ。あの男は何者だ?」

 思わずカレンが尋ねた。
 ジェイズは『あの男』に視線を合わせたまま答える。

「奴はマーリス。オレやキラースと同じ〔フリーダム〕の幹部だ。正直、よくわからねえ不気味なヤローだ」

「あたしはボスの指示で奴のことを調べてみたが、まったく実態がつかめなかった。ボスの言うとおり不気味な男だ」

 アイが補足するも情報はない。それを含めて俺は納得する。二人の言うとおりの印象だ。ドレッドヘアのマーリスという男は。
 その印象は、俺がクオリーメンの屋敷で襲われた時から変わらない。ジェイズに強大な強さを感じるなら、マーリスには底の知れない不気味さを感じる。


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「ずいぶんと物騒なモン引き連れてここになんの用だ?」
 ジェイズが真顔で凄んだ。消耗してもなお迫力は損なわれていない。
 キラースは一瞬だけビクンとするも、すぐにジェイズの傷だらけの全身を眺めて嬉しそうに目を細める。
「数は、この前サンダースを襲った時の倍以上だ。魔物の上には部下たちも乗っているぜ」
「答えになってねえな。真面目に答えねえと今すぐ捻り潰すぞ」
「たしかに〔狂戦士〕はバケモンだ。だが今は魔剣使いとの闘いで手負いだ。そんな状態でヘッドフィールド全部を守れんのか?」
「テメーごときがこのオレを脅すつもりか?」
 ボスの言葉に呼応して、アイが一歩前に出た。
「キラース。たしかにその数は驚異だし今のボスも消耗している。だがお前の敵になる者は今我々以外にもいるんだぞ?」
 俺はアイに俺たちのことを利用しようとする意図を感じたが、忌避感はなかった。キラースは俺にとってもカレンにとっても危険な敵だ。むしろアイやジェイズと協力して倒せるのなら都合が良いとも言える。つまり、利害は一致しているんだ。
「狂戦士もアイちゃんも、カレンちゃんも魔剣使いもさぁ。オレのことナメてるよな?」
 キラースが不機嫌そうに吐き捨てた。
「そう言ってられんのも今のうちだぜバカがぁ!」
 ここで、もう一頭の魔物が降下して来た。
 キラースの部下か?
「ちょっと早く来てくださいよ〜!」
 キラースが妙にへらへらと叫んだ。
 次の瞬間、ジェイズとアイの顔色がサッと変化した。
「どうも。お久しぶりの人もいれば初めましての人もいるねぇ〜そして……んん? どうやら…二度目ましてもいるねぇ」
 魔物の上から覗き込むようにして、男が俺をじろっと見てきた。その男は魔物を着陸させてから、ゆっくりと地面に足を下ろした。
「なんでテメーまでいやがる」
「そんな怖い顔しないでくれよ〜バーサーカー」
 凄むジェイズに、フリーダムの下っ端特有のツナギのような服を着たその男は、不敵に飄々としていた。
 俺は「なんだコイツは?」と思ったが、直ちにハッとする。
 この男のドレッドヘアーと声、そして不気味に飄々とした感じ。あの時と違って仮面を着けていないが……わかる。
「お前はクオリーメンの時の!!」
 俺の思いがけない声にみんなが反応する。
「クロー。奴を知っているのか?」
「魔剣使い?」
「あの男は誰なんだ?」
「どうしたの? ねえクロー?」
「ダンナ?」
 キラースはしてやったりの表情を浮かべる。
「マーリスさん! 遅いっすよ!」
「いや〜わるいわるい。空の旅を楽しんでいたからね〜」
「そうゆうわけだ。おいジェイズ! 今ならまだ同盟の話、受けてやってもいいぜぇ!」
 いきがるキラースに向かいながら、カレンが俺に訊いてくる。
「あの男は誰だ?」
「俺もよくは知らない。ただ、あの男に俺の街はめちゃくちゃにされた」
「クローの住んでいた街を?」
「その時、俺も殺されかけた」
「クローが!?」
「ダンナが!? マジかよ!?」
 間髪入れずにエレサとトレブルたちが驚いたが、ジェイズとアイとカレンも驚きを隠せない様子。
「クローが殺されかけただと? おいジェイズ。あの男は何者だ?」
 思わずカレンが尋ねた。
 ジェイズは『あの男』に視線を合わせたまま答える。
「奴はマーリス。オレやキラースと同じ〔フリーダム〕の幹部だ。正直、よくわからねえ不気味なヤローだ」
「あたしはボスの指示で奴のことを調べてみたが、まったく実態がつかめなかった。ボスの言うとおり不気味な男だ」
 アイが補足するも情報はない。それを含めて俺は納得する。二人の言うとおりの印象だ。ドレッドヘアのマーリスという男は。
 その印象は、俺がクオリーメンの屋敷で襲われた時から変わらない。ジェイズに強大な強さを感じるなら、マーリスには底の知れない不気味さを感じる。