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第30話【魔王編】告げられた〝世界のリセット〟破天荒ガールの運命への殴り込み!

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第30話【魔王編】告げられた〝世界のリセット〟破天荒ガールの運命への殴り込み!


『……ご機嫌麗しゅう、魔王ユピテル』

​魔王城の最深部、魔王ユピテルが一人〝人形〟を磨き続けている地下保管庫。
その静寂を破るように、空間が歪み、空中に巨大な魔法陣が浮かび上がった。

それは魔王軍の通信ではない。聖都の技術を用いた、政府専用の超長距離投影ホログラムだ。

『相変わらず、薄暗い趣味に没頭しておられるようだ』

​ホログラムとして現れたのは、政府のネプチューン大臣だった。

「……不躾だな、ネプチューン。お前らのその〝正義〟という名の傲慢が、声に滲み出ているぞ」

​魔王は人形から手を離さず、背を向けたまま冷たく言い放つ。

『……単刀直入に言おう。あの〝イレギュラー〟……勇者テラのことだ』

その顔に余裕はなく、隠しきれない苛立ちが滲んでいる。

『勇者とは、政府を慈しみ、人々の喝采を糧とし、魔王を討つ光の象徴だ。……だが彼女はどうだ?彼女の行動は、既に我々が共有している〝勇者と魔王の戦記〟の許容範囲を超えている!』

「ほう。お前たちが〝呪具〟で縛り、〝演出〟で英雄に仕立て上げようとした人形が、糸を切って暴れているというわけか」

『笑い事ではない!彼女は政府の施設を破壊し、我々の権威に泥を塗った。これ以上放置すれば、民衆が〝神の定めた秩序〟を疑い始める。……一度、この代の劇を終わらせるべきだ』

ネプチューンが告げたのは、〝世界のリセット〟だった。

『これから、テラを大逆罪人として指名手配し、全軍をもって抹殺する。……貴様も協力しろ。これは〝合意の上〟で行われる定期リセットだ!』

テラを大逆罪人として処刑し、新たな〝扱いやすい勇者〟を選別し直すという非情な提案。
魔王は、ようやく手を止めて振り向いた。

「……断る。私は、この退屈な寸劇を何回も見せられてきた。決められた勝敗、決められたセリフ、そして決められた最期……」

その瞳には、ネプチューンさえも射すくめるような、深い虚無の光が宿っている。

「だが、彼女(テラ)だけは違う。彼女は台本を破り、舞台(せかい)を殴り壊し、演出家(おまえら)の顔を土足で踏みつける。…………私は今、生まれて初めて次のページが楽しみで仕方ないのだよ」

『……狂ったか、魔王!』

「彼女がもたらす混沌こそ、私が幾年も待ち望んだ……たった一つの〝真実〟かもしれない」

『あやつを野放しにすれば、お前自身の運命さえも〝デタラメ〟に奪われるのだぞ!』

「それこそが私の望みだ。……消えろ。これ以上私の時間を奪うなら、その投影元ごと消し飛ばすぞ」

​通信が一方的に遮断され、ネプチューンのホログラムが消え去る。静寂が戻った保管庫で、魔王は再び人形の頬を撫でた。

「……無様だな、ネプチューン。お前は台本通りにいかない子供のように喚いている」


※※※


​一方その頃。テラは聖剣ガイアセイバーを肩に担ぎ、遥か北――不気味な暗雲が立ち込める魔王城を指差していた。

「……決めたぞ、セレネ。お守りの不始末も、お前の涙も、元を辿れば全部あの〝魔王〟って奴の存在が原因だろ?だったらラスボスを先に黙らせれば、全部解決するじゃねえか」

『よく言ったテラ!殴り込みだ!ついでに紫の上(サタンブレイド)も私の鞘に納めよう!』

「えええええええええ!?魔王城に直撃!?今の装備、フリフリのお守り(スイッチOFF)しかありませんよ!?」

「十分だろ!行くぞセレネ!」

​テラを乗せた馬車は地響きを立てて爆走を開始した。
それは預言に書かれた〝選ばれし勇者の進軍〟などではない。
〝破天荒ガールの運命への殴り込み〟だった。







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第30話【魔王編】告げられた〝世界のリセット〟破天荒ガールの運命への殴り込み!
『……ご機嫌麗しゅう、魔王ユピテル』
​魔王城の最深部、魔王ユピテルが一人〝人形〟を磨き続けている地下保管庫。
その静寂を破るように、空間が歪み、空中に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
それは魔王軍の通信ではない。聖都の技術を用いた、政府専用の超長距離投影ホログラムだ。
『相変わらず、薄暗い趣味に没頭しておられるようだ』
​ホログラムとして現れたのは、政府のネプチューン大臣だった。
「……不躾だな、ネプチューン。お前らのその〝正義〟という名の傲慢が、声に滲み出ているぞ」
​魔王は人形から手を離さず、背を向けたまま冷たく言い放つ。
『……単刀直入に言おう。あの〝イレギュラー〟……勇者テラのことだ』
その顔に余裕はなく、隠しきれない苛立ちが滲んでいる。
『勇者とは、政府を慈しみ、人々の喝采を糧とし、魔王を討つ光の象徴だ。……だが彼女はどうだ?彼女の行動は、既に我々が共有している〝勇者と魔王の戦記〟の許容範囲を超えている!』
「ほう。お前たちが〝呪具〟で縛り、〝演出〟で英雄に仕立て上げようとした人形が、糸を切って暴れているというわけか」
『笑い事ではない!彼女は政府の施設を破壊し、我々の権威に泥を塗った。これ以上放置すれば、民衆が〝神の定めた秩序〟を疑い始める。……一度、この代の劇を終わらせるべきだ』
ネプチューンが告げたのは、〝世界のリセット〟だった。
『これから、テラを大逆罪人として指名手配し、全軍をもって抹殺する。……貴様も協力しろ。これは〝合意の上〟で行われる定期リセットだ!』

テラを大逆罪人として処刑し、新たな〝扱いやすい勇者〟を選別し直すという非情な提案。
魔王は、ようやく手を止めて振り向いた。
「……断る。私は、この退屈な寸劇を何回も見せられてきた。決められた勝敗、決められたセリフ、そして決められた最期……」
その瞳には、ネプチューンさえも射すくめるような、深い虚無の光が宿っている。
「だが、彼女(テラ)だけは違う。彼女は台本を破り、舞台(せかい)を殴り壊し、演出家(おまえら)の顔を土足で踏みつける。…………私は今、生まれて初めて次のページが楽しみで仕方ないのだよ」
『……狂ったか、魔王!』
「彼女がもたらす混沌こそ、私が幾年も待ち望んだ……たった一つの〝真実〟かもしれない」
『あやつを野放しにすれば、お前自身の運命さえも〝デタラメ〟に奪われるのだぞ!』
「それこそが私の望みだ。……消えろ。これ以上私の時間を奪うなら、その投影元ごと消し飛ばすぞ」
​通信が一方的に遮断され、ネプチューンのホログラムが消え去る。静寂が戻った保管庫で、魔王は再び人形の頬を撫でた。
「……無様だな、ネプチューン。お前は台本通りにいかない子供のように喚いている」
※※※
​一方その頃。テラは聖剣ガイアセイバーを肩に担ぎ、遥か北――不気味な暗雲が立ち込める魔王城を指差していた。
「……決めたぞ、セレネ。お守りの不始末も、お前の涙も、元を辿れば全部あの〝魔王〟って奴の存在が原因だろ?だったらラスボスを先に黙らせれば、全部解決するじゃねえか」
『よく言ったテラ!殴り込みだ!ついでに紫の上(サタンブレイド)も私の鞘に納めよう!』

「えええええええええ!?魔王城に直撃!?今の装備、フリフリのお守り(スイッチOFF)しかありませんよ!?」
「十分だろ!行くぞセレネ!」
​テラを乗せた馬車は地響きを立てて爆走を開始した。
それは預言に書かれた〝選ばれし勇者の進軍〟などではない。
〝破天荒ガールの運命への殴り込み〟だった。