ep146 魔剣使いvs狂戦士⑦

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 太陽が照らしている。
 もう何時間、闘っているのだろう。
 
「……なかなか根性あるじゃねえか」

「〔狂戦士〕の異名は伊達じゃないってわけか……」

 ジェイズを見据えながら思った。
 コイツは不死身なのか?
 ここに至るまで俺は何度斬りつけて何度被弾して何度自傷したか。
 そして奴も似たようなもの。
 
「いつまで続くんだこの闘いは……」
「あたしにもわからない……」

 カレンとアイはもはや茫然と眺めていた。

「クロー! わたしも戦う!」

 エレサが哀訴するように叫んだ。

「ダメだ! 手を出すな!」

 断固拒否した。なぜならこれは…そういう闘いではない。

「で、でも!」

「いいからエレサは黙って見ててくれ」

「無粋なマネはやめるんだな、ダークエルフちゃん。アイも手を出すなよ」

 ジェイズはアイに一瞥を送った。
 アイは「はぁー」とため息をついてから呆れたように頷いた。

「じゃあ続きを始めるぜ? クロー」

「ああ」

 互いにスッと構えた。
 構えながら、俺はいくつかのことを考える。
 一つは、ジェイズが大技という大技は放ってきていないと思われること。
 二つ目は、俺もまだ一番の大技は撃っていないこと。
 三つ目は、おそらくもう自傷による回復と強化はできないこと。
 
「どうした? 気になることでもあんのか?」

 ジェイズが抜け目なく突いてくる。
 俺は奴をジロリと睨むと、あることに気づいた。

「あんたの血による強化も……やっぱり限界があるみたいだな」

「目ざといな。だが正解だ。ここまで消耗したのは魔王領で戦ったとき以来だぜ。マジでテメーの剣は厄介だ」

「少し安心したな。てっきりあんたは不死身かと思いかけていたところだ」

「相手が魔剣使いじゃなけりゃあ三日三晩ぐらいは余裕で闘ってやるんだけどなぁ」

「バケモンだな」

「テメーも大概だぜ。ところでよ」

「?」

「テメーの自傷も、そろそろ限界なんじゃねえか?」

「!」

「図星のようだな。こりぁちょうどいい。そろそろお互い、大技で決着つけるか」

 どうやらお互い、状態も思考も似たようなものらしい。
 もはや選択肢はひとつ。
 決着をつける!

「望むところだ!」

 俺はスッと腰を落とし、臨戦態勢に入った。
 奴もグッと拳を握り、力を込めはじめた。
 ここまで来るともう理屈じゃない。今の今まで出さなかった、現時点での最大威力の技を奴へぶち込む!
 と俺が剣を握りしめた瞬間。

「これやるのはかなり久しぶりだなぁ!!」

 奴の鍛え抜かれた四肢が稲妻の如くカァァァッと輝きだした。

「なんだ? 両手両足で…錬金魔術による化学反応が起きて弾けているのか!?」

「これはあんまやりたくなかったんだがなぁ。なぜならなぁ? すぐ終わっちまうからだ」

 ジェイズはニヤリとした。

「特殊技能〔ライド・ザ・ライトニング〕」 
 
 あれはヤバい!
 カレンの〔魔動雷閃〕に近い性質の技だろうか?
 だが、奴の場合は四肢そのものが危険な刃だ!
 あれを喰らったら間違いなく完全に終わる!
 といっても俺のやることはひとつだ。
 それ以上の攻撃力をもって撃つ!

「特殊技能〔ニュンパ・ラスレイション〕」

 大気が裂ける!
 大地が激震する!
 刹那、互いは同時に飛び出し、疾風迅雷の如く激突しあった。
 ブワァァァァッ!!
 烈風と閃光、砕けた地面が舞い上がった!


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 太陽が照らしている。
 もう何時間、闘っているのだろう。
「……なかなか根性あるじゃねえか」
「〔狂戦士〕の異名は伊達じゃないってわけか……」
 ジェイズを見据えながら思った。
 コイツは不死身なのか?
 ここに至るまで俺は何度斬りつけて何度被弾して何度自傷したか。
 そして奴も似たようなもの。
「いつまで続くんだこの闘いは……」
「あたしにもわからない……」
 カレンとアイはもはや茫然と眺めていた。
「クロー! わたしも戦う!」
 エレサが哀訴するように叫んだ。
「ダメだ! 手を出すな!」
 断固拒否した。なぜならこれは…そういう闘いではない。
「で、でも!」
「いいからエレサは黙って見ててくれ」
「無粋なマネはやめるんだな、ダークエルフちゃん。アイも手を出すなよ」
 ジェイズはアイに一瞥を送った。
 アイは「はぁー」とため息をついてから呆れたように頷いた。
「じゃあ続きを始めるぜ? クロー」
「ああ」
 互いにスッと構えた。
 構えながら、俺はいくつかのことを考える。
 一つは、ジェイズが大技という大技は放ってきていないと思われること。
 二つ目は、俺もまだ一番の大技は撃っていないこと。
 三つ目は、おそらくもう自傷による回復と強化はできないこと。
「どうした? 気になることでもあんのか?」
 ジェイズが抜け目なく突いてくる。
 俺は奴をジロリと睨むと、あることに気づいた。
「あんたの血による強化も……やっぱり限界があるみたいだな」
「目ざといな。だが正解だ。ここまで消耗したのは魔王領で戦ったとき以来だぜ。マジでテメーの剣は厄介だ」
「少し安心したな。てっきりあんたは不死身かと思いかけていたところだ」
「相手が魔剣使いじゃなけりゃあ三日三晩ぐらいは余裕で闘ってやるんだけどなぁ」
「バケモンだな」
「テメーも大概だぜ。ところでよ」
「?」
「テメーの自傷も、そろそろ限界なんじゃねえか?」
「!」
「図星のようだな。こりぁちょうどいい。そろそろお互い、大技で決着つけるか」
 どうやらお互い、状態も思考も似たようなものらしい。
 もはや選択肢はひとつ。
 決着をつける!
「望むところだ!」
 俺はスッと腰を落とし、臨戦態勢に入った。
 奴もグッと拳を握り、力を込めはじめた。
 ここまで来るともう理屈じゃない。今の今まで出さなかった、現時点での最大威力の技を奴へぶち込む!
 と俺が剣を握りしめた瞬間。
「これやるのはかなり久しぶりだなぁ!!」
 奴の鍛え抜かれた四肢が稲妻の如くカァァァッと輝きだした。
「なんだ? 両手両足で…錬金魔術による化学反応が起きて弾けているのか!?」
「これはあんまやりたくなかったんだがなぁ。なぜならなぁ? すぐ終わっちまうからだ」
 ジェイズはニヤリとした。
「特殊技能〔ライド・ザ・ライトニング〕」 
 あれはヤバい!
 カレンの〔魔動雷閃〕に近い性質の技だろうか?
 だが、奴の場合は四肢そのものが危険な刃だ!
 あれを喰らったら間違いなく完全に終わる!
 といっても俺のやることはひとつだ。
 それ以上の攻撃力をもって撃つ!
「特殊技能〔ニュンパ・ラスレイション〕」
 大気が裂ける!
 大地が激震する!
 刹那、互いは同時に飛び出し、疾風迅雷の如く激突しあった。
 ブワァァァァッ!!
 烈風と閃光、砕けた地面が舞い上がった!