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29話 主催者の目的

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 高校入学と同時に、翔と凛が付き合い始めた。その時に翔は、思い切れよと背中を押してくれた。
 小春のこと好きだと一言も言ってなかったが、翔は俺の性格を知ってて無理に聞き出したり茶化したりもしない。
 だからこそ、自分で考え向き合うことが出来た。
 二年生になる前の三月。小春が普通クラスに来ることになったと俺に話してくれ、嬉しいなぁと思わず本音が漏れてしまった。
 僅かに笑ってくれた顔があまりにも可愛いくて、気付けば好きだと告げていて。慌てて冗談だと言い訳しようとしたけど、小春は小さく頷いてくれて、付き合うことになった。



 二回目の凄惨なゲームが終わり、俺はただしゃがみ込んだままだった。
 目がチカチカとして、足元がふらついて、胃がそり返るぐらいに吐き気が治らなくて。
 そんな俺に、とにかく外に出た方が良いと立ち上がらせてくれたのは翔だった。

「あ、でも……」
「大丈夫だから」

 凛の言葉に目を向けると小春がしゃがんでおり、トイレットペーパーを床に向かって広げている。
 俺が汚したものを掃除させるなんて。
 吐き気と情けなさで涙が滲んでくるのを抑え、せめて翔に負担をかけないようにと足に力を入れる。
 二階の廊下に着いた俺達は、ここで良いと告げ、その場にへたり込む。
 翔は何を言うこともなくただ側にいてくれ、自分は何やってんだよと殴りたくなってくる。
 ……いや、そんな度胸、俺にはないだろ?
 あー、何なんだよ俺。
 沸き立つ怒りをなんとか抑えようと髪をグシャとさせることしか出来ない、どこまでも非力な自分。
 もう、たくさんだ。もう、やめてくれ。こんな思いをするなら、いっそ。

「……なあ、慎吾」
「え?」
「慎吾なら守れるよ。だから……、頼むな」
「守る? ……小春を?」

 窓から青い空を見上げる翔は、どこか遠くを見ていて、俺とは一切視線が合わなくて、何を考えているのかが分からなかった。
 結局、翔からは返事は来ず、俺達はヘリコプターが舞う空をただ眺めていた。
 あの日見た夕陽はもう目にすることは叶わないのかと、思いながら。

 その後、小春と凛が戻ってきて、どこまでもバツの悪い俺だったが、凛が大げさに「氷水交換、行ってきまーす」と翔の手を引き始めた。
「もう大丈夫」だと手をブンブンと振るが、そのまま引っ張られてしまう翔。
 どう考えても二人は体格差があり、翔が本気出したら凛なんて片手で跳ね除けてしまえるだろうが、それはしない。
 女子に優しく、特に凛にはとことん弱い。
 いつもああやって誰にも気遣えるんだよな、翔は。
 ……しかし、小春を守れってどうゆう意味なんだ?
 凛じゃなくて、一番に小春を?
 翔が意識を失くした時、無意識に呟いた名前は小春だった。
 翔? まさか……?


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 高校入学と同時に、翔と凛が付き合い始めた。その時に翔は、思い切れよと背中を押してくれた。
 小春のこと好きだと一言も言ってなかったが、翔は俺の性格を知ってて無理に聞き出したり茶化したりもしない。
 だからこそ、自分で考え向き合うことが出来た。
 二年生になる前の三月。小春が普通クラスに来ることになったと俺に話してくれ、嬉しいなぁと思わず本音が漏れてしまった。
 僅かに笑ってくれた顔があまりにも可愛いくて、気付けば好きだと告げていて。慌てて冗談だと言い訳しようとしたけど、小春は小さく頷いてくれて、付き合うことになった。
 二回目の凄惨なゲームが終わり、俺はただしゃがみ込んだままだった。
 目がチカチカとして、足元がふらついて、胃がそり返るぐらいに吐き気が治らなくて。
 そんな俺に、とにかく外に出た方が良いと立ち上がらせてくれたのは翔だった。
「あ、でも……」
「大丈夫だから」
 凛の言葉に目を向けると小春がしゃがんでおり、トイレットペーパーを床に向かって広げている。
 俺が汚したものを掃除させるなんて。
 吐き気と情けなさで涙が滲んでくるのを抑え、せめて翔に負担をかけないようにと足に力を入れる。
 二階の廊下に着いた俺達は、ここで良いと告げ、その場にへたり込む。
 翔は何を言うこともなくただ側にいてくれ、自分は何やってんだよと殴りたくなってくる。
 ……いや、そんな度胸、俺にはないだろ?
 あー、何なんだよ俺。
 沸き立つ怒りをなんとか抑えようと髪をグシャとさせることしか出来ない、どこまでも非力な自分。
 もう、たくさんだ。もう、やめてくれ。こんな思いをするなら、いっそ。
「……なあ、慎吾」
「え?」
「慎吾なら守れるよ。だから……、頼むな」
「守る? ……小春を?」
 窓から青い空を見上げる翔は、どこか遠くを見ていて、俺とは一切視線が合わなくて、何を考えているのかが分からなかった。
 結局、翔からは返事は来ず、俺達はヘリコプターが舞う空をただ眺めていた。
 あの日見た夕陽はもう目にすることは叶わないのかと、思いながら。
 その後、小春と凛が戻ってきて、どこまでもバツの悪い俺だったが、凛が大げさに「氷水交換、行ってきまーす」と翔の手を引き始めた。
「もう大丈夫」だと手をブンブンと振るが、そのまま引っ張られてしまう翔。
 どう考えても二人は体格差があり、翔が本気出したら凛なんて片手で跳ね除けてしまえるだろうが、それはしない。
 女子に優しく、特に凛にはとことん弱い。
 いつもああやって誰にも気遣えるんだよな、翔は。
 ……しかし、小春を守れってどうゆう意味なんだ?
 凛じゃなくて、一番に小春を?
 翔が意識を失くした時、無意識に呟いた名前は小春だった。
 翔? まさか……?