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今することじゃないだろ

ー/ー



 あるビルのエントランスで、一人のサラリーマンがエレベーターを待っていた。



「なんか遅いなぁ……」



 腕時計をチラリと確認すると、ボタンを押してからすでに数分が経過している。



「まいったなぁ……」



 ——チン♪



 やっとエレベーターが到着した。



(ようやく来たか……)



 ホッとしながら乗り込もうとした瞬間——





 ——テーレーレーレー♪





(……ん?)



その中は完全に異世界だった。



 絨毯が敷かれた床。
 小さなちゃぶ台とテレビ。



 そして、堂々と鎮座するファミコン。



(え……何これ……?)



 サラリーマンが呆然としていると——





 ——ウイイイイイイイン!ズゴオオオオオ!





「ちょっと!? なんで今掃除機かけるんですの!?」



 突然の怒声。



 エレベーターの隅では、コントローラーを握るエリシアが、ゲームの最中にキレていた。

 その横では、若い20代そこそこの男の子が、怯えながら掃除機をかけている。



「す、すみませんエリシアさん……でも、ホコリが……」



「だからって今やる必要ありますの!? ファミコン中に!?」

「で、でも……」



 ——ズゴオオオオオ!



「もおおおおぉ! やめなさいって! 今リューオー倒してるところだから! ちょっと!」



「す、すいませんすいません!」



 だが、男の子はそれでも掃除機を止めない。



 ——ピロリロピロリロ、デロデロデロデロ♪



 ——ズゴオオオオオオオオオ!



「あぁ! 画面が! 見えねえ! おい! こら!」



「ひ……ひっぐ……うぅ……ぐすん……」



 男の子は今にも泣きそうな顔で、震えながら掃除機をかけ続ける。



 ——ぎゅむ。



「……ん?」

「ケーブルが! 掃除機の! ちょっと……あぁ〜! 邪魔! もう!」



 エリシアと男の子に掃除機のケーブルが絡まり、二人とももがもがし始める。





 ——ガンッ!





「あっ!」





 ——デロデロ、デエエエエエエエエエエエーーーーーー



 フリーズ。



「……」
「……」





「ああああぁ! 復活の呪文まだ……聞いてないのにいいいいいいいいぃ!!」



「キエエエェええええええ〜!!」



 ——ブチッ!

 掃除機のスイッチ切れる音



 その瞬間、エレベーターのドアがスッ……と閉まり、サラリーマンは無言で乗るのを諦めたのだった——。



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 あるビルのエントランスで、一人のサラリーマンがエレベーターを待っていた。
「なんか遅いなぁ……」
 腕時計をチラリと確認すると、ボタンを押してからすでに数分が経過している。
「まいったなぁ……」
 ——チン♪
 やっとエレベーターが到着した。
(ようやく来たか……)
 ホッとしながら乗り込もうとした瞬間——
 ——テーレーレーレー♪
(……ん?)
その中は完全に異世界だった。
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 小さなちゃぶ台とテレビ。
 そして、堂々と鎮座するファミコン。
(え……何これ……?)
 サラリーマンが呆然としていると——
 ——ウイイイイイイイン!ズゴオオオオオ!
「ちょっと!? なんで今掃除機かけるんですの!?」
 突然の怒声。
 エレベーターの隅では、コントローラーを握るエリシアが、ゲームの最中にキレていた。
 その横では、若い20代そこそこの男の子が、怯えながら掃除機をかけている。
「す、すみませんエリシアさん……でも、ホコリが……」
「だからって今やる必要ありますの!? ファミコン中に!?」
「で、でも……」
 ——ズゴオオオオオ!
「もおおおおぉ! やめなさいって! 今リューオー倒してるところだから! ちょっと!」
「す、すいませんすいません!」
 だが、男の子はそれでも掃除機を止めない。
 ——ピロリロピロリロ、デロデロデロデロ♪
 ——ズゴオオオオオオオオオ!
「あぁ! 画面が! 見えねえ! おい! こら!」
「ひ……ひっぐ……うぅ……ぐすん……」
 男の子は今にも泣きそうな顔で、震えながら掃除機をかけ続ける。
 ——ぎゅむ。
「……ん?」
「ケーブルが! 掃除機の! ちょっと……あぁ〜! 邪魔! もう!」
 エリシアと男の子に掃除機のケーブルが絡まり、二人とももがもがし始める。
 ——ガンッ!
「あっ!」
 ——デロデロ、デエエエエエエエエエエエーーーーーー
 フリーズ。
「……」
「……」
「ああああぁ! 復活の呪文まだ……聞いてないのにいいいいいいいいぃ!!」
「キエエエェええええええ〜!!」
 ——ブチッ!
 掃除機のスイッチ切れる音
 その瞬間、エレベーターのドアがスッ……と閉まり、サラリーマンは無言で乗るのを諦めたのだった——。