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ドラゴンの角笛

ー/ー



 長い冒険の果てに、エリシアと道化師はついに伝説の紅き龍——レッドドラゴンと契りを交わすことができた。



 悠久の時を生きる龍は、彼らの勇気と知恵を認め、別れ際に一つの贈り物を授けた。

 それは、彼の生え変わったツノから作られた角笛——



 この角笛を吹けば、どこからともなくドラゴンが現れて助けに来てくれるという。



「ドラゴンホーン……」

「これは……すごいですわね……」



 エリシアは美しく彫刻が施された角笛をじっと見つめる。



「おおおおぉ……」



 道化師は神妙な顔でそれを覗き込み、ゴクリと唾を飲んだ。



 ——その後。



 エリシアと道化師は、氷の湖を歩いていた。



 この地のどこかに、100年間溶けることのない氷の結晶が隠されているという。

 だが、湖の水面に張った氷はあまりに薄い。慎重に歩かなければ、いつ割れてしまうかわからない。



「……足元には気をつけてくださいませよ……」



 エリシアは静かに道化師に囁いた。



「ええ、もちろん……」



 道化師も、ふざけることなく神妙な表情で頷く。



 ——そろりそろり。



 慎重に「抜き足、差し足、忍び足」で氷の湖を進むエリシアと道化師。



「ゆっくり歩くんですのよ……」

「わ、わかってる……」



 氷は薄い。無駄な動きをすれば、すぐに水の底へ真っ逆さまだ。



 そんな中、道化師はふとポケットからドラゴンホーンを取り出した。



 ——ブ……ブオオオォ……



「何してますの?」



 エリシアが即座に鋭い視線を向ける。

 道化師は気まずそうに目をそらしながら、モゴモゴと答えた。



「いや、ちょっと……」



 ——ゴゴゴゴゴ……



「……」
「……」



 どこからともなく地響きが響き始める。





 ——ドスンドスンドスンドスン!





「グオオオオオオオオォ!!!」



 そして——



 ものすごい勢いで、ドスドスと氷の上を駆けてくるレッドドラゴンの姿が!!



「あああああああ!! 氷が! 氷があああ!! キエエエェエえええ〜!!」



 二人は悲鳴を上げながら慌てて走り出す。



 ——バキッ!

 ——バキバキバキッ!



 足元の氷に、無数のヒビが入っていく。



「なんで呼んだんですの!?」

「いや……呼んでみたくて……」



「アホですの!?!?」



 ——ぐおおおおおおおぉ!!



 ——ドスンドスンドスンドスン!!



 巨大なドラゴンは全速力で迫ってくる!


「うわああああぁあああぁ〜!」
「きええぇエぇえエエエ〜!」



¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥¥



 様々な苦難を乗り越え、今日——



 エリシアと道化師は、テロリストによって占拠された砦を奪還する依頼を受けた。



 エリシアの完璧な作戦によって、二人は見事に人質を解放し、最上階へと突入。

 ついに、テロリストのボスと対峙する。



 ——カチャリ



 エリシアは、冷静にリボルバーを突きつけた。



「もう終わりですわね。」



 だが、テロリストのボスは不敵に笑う。



「ふっふっふ……それはどうかな……」



 ——スッ



 ボスはポケットからスイッチを取り出し、そのまま押した。



 ——ポチ

 ——ピッピッピッピ……



 目の前の装置が、カウントダウンを刻み始める。



「俺が捕まろうが死のうが……この砦はぶっ壊してやるよ!」

「なんですって!?」



 一瞬、緊張が走る——



 ——バン!



 エリシアは普通に引き金を引いた。



 銃声一発。



 ボスは言葉を最後まで言い切ることもなく、額を撃ち抜かれ、そのまま床に倒れる。



 ——ドサッ。



 動かない。



「……」
「……」



 ——だが、カウントダウンは止まらない。



 ——ピッピッピッピ……



「さて、爆弾の解除を始めますわよ!」



 どうやらこの爆弾、無理に外そうとすると振動や加速度を検知して爆発する仕組みらしい。



(慎重に……確実に解除しませんと……)



 ——パカッ



 エリシアは慎重にカバーを開け、内部の配線を確認する。



「電源供給ケーブルを切るんですわ!」

「ど、どれ!?」



 道化師がオロオロしながら爆弾を覗き込む。エリシアは冷静に、ケーブルの一本一本をたどりながら、慎重に切断していく。



 ——パチッ……



 その時——



 道化師が、ポケットからドラゴンホーンを取り出した。



 ——ブ……ブオオオオォ……



「……」



 遠くの方で、地響きが聞こえてくる。



 ——ドシン……ドシン……



 ——ドシンドシンドシンドシン!



(まさか……)



 嫌な予感に駆られ、エリシアは窓の外を見下ろした。



 そこには——



 全速力で砦に向かって走ってくるレッドドラゴンの姿が!!!



「ちょっとこっちに来てません!?」

「……」



 ——グオオオオオオォオオオオ!!





 ——ドシンドシンドシンドシンドシンドシン!!





 爆弾の装置が揺れ始める。



「ちょっと!? な、なんで呼んだんですの! このスカポンタン!!」



「よ、呼んでみたくて……」



 ——ドシンドシンドシン!



 エリシアは絶望の表情を浮かべた。



「キエエええぇエええぇ〜!!」





 ——BOOOOOOOOOMB





 ——チリチリ……



 砦は、派手に吹き飛んだ。



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 長い冒険の果てに、エリシアと道化師はついに伝説の紅き龍——レッドドラゴンと契りを交わすことができた。
 悠久の時を生きる龍は、彼らの勇気と知恵を認め、別れ際に一つの贈り物を授けた。
 それは、彼の生え変わったツノから作られた角笛——
 この角笛を吹けば、どこからともなくドラゴンが現れて助けに来てくれるという。
「ドラゴンホーン……」
「これは……すごいですわね……」
 エリシアは美しく彫刻が施された角笛をじっと見つめる。
「おおおおぉ……」
 道化師は神妙な顔でそれを覗き込み、ゴクリと唾を飲んだ。
 ——その後。
 エリシアと道化師は、氷の湖を歩いていた。
 この地のどこかに、100年間溶けることのない氷の結晶が隠されているという。
 だが、湖の水面に張った氷はあまりに薄い。慎重に歩かなければ、いつ割れてしまうかわからない。
「……足元には気をつけてくださいませよ……」
 エリシアは静かに道化師に囁いた。
「ええ、もちろん……」
 道化師も、ふざけることなく神妙な表情で頷く。
 ——そろりそろり。
 慎重に「抜き足、差し足、忍び足」で氷の湖を進むエリシアと道化師。
「ゆっくり歩くんですのよ……」
「わ、わかってる……」
 氷は薄い。無駄な動きをすれば、すぐに水の底へ真っ逆さまだ。
 そんな中、道化師はふとポケットからドラゴンホーンを取り出した。
 ——ブ……ブオオオォ……
「何してますの?」
 エリシアが即座に鋭い視線を向ける。
 道化師は気まずそうに目をそらしながら、モゴモゴと答えた。
「いや、ちょっと……」
 ——ゴゴゴゴゴ……
「……」
「……」
 どこからともなく地響きが響き始める。
 ——ドスンドスンドスンドスン!
「グオオオオオオオオォ!!!」
 そして——
 ものすごい勢いで、ドスドスと氷の上を駆けてくるレッドドラゴンの姿が!!
「あああああああ!! 氷が! 氷があああ!! キエエエェエえええ〜!!」
 二人は悲鳴を上げながら慌てて走り出す。
 ——バキッ!
 ——バキバキバキッ!
 足元の氷に、無数のヒビが入っていく。
「なんで呼んだんですの!?」
「いや……呼んでみたくて……」
「アホですの!?!?」
 ——ぐおおおおおおおぉ!!
 ——ドスンドスンドスンドスン!!
 巨大なドラゴンは全速力で迫ってくる!
「うわああああぁあああぁ〜!」
「きええぇエぇえエエエ〜!」
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 様々な苦難を乗り越え、今日——
 エリシアと道化師は、テロリストによって占拠された砦を奪還する依頼を受けた。
 エリシアの完璧な作戦によって、二人は見事に人質を解放し、最上階へと突入。
 ついに、テロリストのボスと対峙する。
 ——カチャリ
 エリシアは、冷静にリボルバーを突きつけた。
「もう終わりですわね。」
 だが、テロリストのボスは不敵に笑う。
「ふっふっふ……それはどうかな……」
 ——スッ
 ボスはポケットからスイッチを取り出し、そのまま押した。
 ——ポチ
 ——ピッピッピッピ……
 目の前の装置が、カウントダウンを刻み始める。
「俺が捕まろうが死のうが……この砦はぶっ壊してやるよ!」
「なんですって!?」
 一瞬、緊張が走る——
 ——バン!
 エリシアは普通に引き金を引いた。
 銃声一発。
 ボスは言葉を最後まで言い切ることもなく、額を撃ち抜かれ、そのまま床に倒れる。
 ——ドサッ。
 動かない。
「……」
「……」
 ——だが、カウントダウンは止まらない。
 ——ピッピッピッピ……
「さて、爆弾の解除を始めますわよ!」
 どうやらこの爆弾、無理に外そうとすると振動や加速度を検知して爆発する仕組みらしい。
(慎重に……確実に解除しませんと……)
 ——パカッ
 エリシアは慎重にカバーを開け、内部の配線を確認する。
「電源供給ケーブルを切るんですわ!」
「ど、どれ!?」
 道化師がオロオロしながら爆弾を覗き込む。エリシアは冷静に、ケーブルの一本一本をたどりながら、慎重に切断していく。
 ——パチッ……
 その時——
 道化師が、ポケットからドラゴンホーンを取り出した。
 ——ブ……ブオオオオォ……
「……」
 遠くの方で、地響きが聞こえてくる。
 ——ドシン……ドシン……
 ——ドシンドシンドシンドシン!
(まさか……)
 嫌な予感に駆られ、エリシアは窓の外を見下ろした。
 そこには——
 全速力で砦に向かって走ってくるレッドドラゴンの姿が!!!
「ちょっとこっちに来てません!?」
「……」
 ——グオオオオオオォオオオオ!!
 ——ドシンドシンドシンドシンドシンドシン!!
 爆弾の装置が揺れ始める。
「ちょっと!? な、なんで呼んだんですの! このスカポンタン!!」
「よ、呼んでみたくて……」
 ——ドシンドシンドシン!
 エリシアは絶望の表情を浮かべた。
「キエエええぇエええぇ〜!!」
 ——BOOOOOOOOOMB
 ——チリチリ……
 砦は、派手に吹き飛んだ。