SCENE164 気に食わない
ー/ー 廃鉱山ダンジョンでの問題を解決した私は、一足先に瞬のダンジョンへと戻ってくる。あっちは剛力さんがいれば大体片付くからな。
ところが、ダンジョンへとやってきた私は、中で見た光景に驚かされてしまう。
「へえ、普段はそんな生活してらっしゃるんですね」
[私が作戦に参加したのは今回が初めてなのよ。ギルドのみんなに鍛えてもらって、腕自体には自信があったのだけどね。こんなに強いモンスターがいるとは思ってもみなかったわ]
バトラーがいつも用意しているテーブルに、見たことのない金髪の女性が座っていた。言葉を聞く限り、廃鉱山ダンジョンで出くわしたリベリオンギルドの連中と同じ出身国の人物だろう。
私にはふつふつとした怒りが湧き上がってくる。
「あっ、衣織お姉さん。お帰りなさい!」
だが、瞬に声をかけられると、私はそっと怒りをこらえる。瞬の前であんまり怒っている姿を見せるのはよくないからな。
[ちょっと、あれは誰よ]
金髪の女性が、瞬を見て質問をしている。それに対して瞬は問題なく話をしているようだが、外国語ができたという記憶はない。一体どういうことなのか。
気になる私は、瞬に近付いていく。
「おい、瞬。こいつは一体誰なんだ」
「この人はスピア・ライツさんです。なんでもリベリオンっていうギルドに所属している方だそうですよ」
「リベリオンだと?!」
ギルド名を聞いた瞬間、私は太刀を構えていた。
私が太刀を金髪の女に向けた瞬間、女だけではなく瞬まで大慌てになっている。
「わわっ、衣織お姉さん。この人はもう大丈夫ですから。ギルドも抜けてくれるみたいですし、こちらに住むことにしたんですよ」
「えっ、こっちに住む? どういうことだ、詳しく聞かせてくれ」
なんだかよく分からん。とにかく、私は瞬に詳しい話を聞くことにした。
ラティナとアルカナの二人も加わって話を聞いていた私は、怒りがこみあげてくると同時に、同情もしていた。
それというのも、瞬を殺そうとしたら、バトラーによって顔面崩壊の大けがをさせられたという話を聞いたからだ。瞬を殺そうとしたんだから、そのくらい食らっても当然だろう。
だが、瞬というのはお人好しで、自分を殺そうとした相手を助けてしまったらしい。まったく、瞬らしいといえば瞬らしい。
その後のやり取りののち、家が決まるまでは瞬のダンジョンで居候をしているとのこと。まったく、うらやまけしからん話だ。
しかし、探索者である以上、あまり長い時間ダンジョンには滞在できないはず。本当にこの女は大丈夫なのだろうか。
話によれば一日は既に滞在しているらしいが、いろいろと心配になってくる。
「しょうがない。滞在先が決まるまで、私が預かろう。これでも世界では上位ランクの探索者だからな」
[わぉ、そんな強い方なのですか?]
私の話を聞きながらすぐ反応をしている。なんだ、この女は日本語が分かるのか?
[私、翻訳の機械を持っているからね。世界中のダンジョンを旅するのが夢だったから……]
「なるほどな」
瞬の通訳を通じて話を聞いた私は、内容には納得していた。
だが、保護ダンジョンすら潰して回るようなならず者集団に入ったことは、到底許せるわけがない。今回が初犯だったとしても罪は罪だからな。
「廃鉱山ダンジョンにいた連中は、ダンジョン管理局に突き出した。君も本来ならば、同じように突き出してやるところだが……」
話をしながら、私は瞬たちに視線を向ける。
私の視線に瞬は驚いていたものの、落ち着いたかと思えば首を横に振っていた。やめてくれということらしい。
本人が反省していることと、当事者たちが許す気満々ということで、私はこのスピアとかいう女をダンジョン管理局に犯罪者として突き出すことはやめることにした。初めてやらかしたというのなら、これから叩き直していけばいいだけの話だからな。
だがしかし、問題が一点ある。
私たちに外国語ができる存在がいない。日本語以外はさっぱり分からんのだよな。意思疎通という点では、非常にやりづらい。
「ふぅ……。預かるといったからには、今晩だけは本当に私が預かろう。明日、もう一度廃鉱山ダンジョンに行くつもりだから、お前もついて来い」
[わ、分かったわ……]
スピアは私の言葉に頷いていた。分かるというのは本当のようだな。
今日はもう遅い。ダンジョン管理局によって、翻訳機を借りて、今日は実家でゆっくりすることにするか。
廃鉱山ダンジョンに行く理由としては、私の槍を修理しなければならないからだ。あれがないと、私の手数は半分未満になってしまうからな。
あと、このスピアとかいう子に、リベリオンの現実を見せつける必要がある。そうすれば、もっと改心してくれることだろう。
「それじゃ、一応廃鉱山ダンジョンのことは報告したから、私は帰るよ。こいつのことは任せておけ」
「はい、本当にありがとうございました、衣織様」
ラティナにお礼を言われた私は、スピアをがっちりつかんで瞬のダンジョンを去っていく。
スピアのやつは瞬たちとすっかり打ち解けたのか、笑顔で手を振りながら私についてきていた。
ひとまず、保護ダンジョンを潰そうとした連中の問題は解決した。だが、私はどことなく、心が落ち着いた気がしなかった。
ところが、ダンジョンへとやってきた私は、中で見た光景に驚かされてしまう。
「へえ、普段はそんな生活してらっしゃるんですね」
[私が作戦に参加したのは今回が初めてなのよ。ギルドのみんなに鍛えてもらって、腕自体には自信があったのだけどね。こんなに強いモンスターがいるとは思ってもみなかったわ]
バトラーがいつも用意しているテーブルに、見たことのない金髪の女性が座っていた。言葉を聞く限り、廃鉱山ダンジョンで出くわしたリベリオンギルドの連中と同じ出身国の人物だろう。
私にはふつふつとした怒りが湧き上がってくる。
「あっ、衣織お姉さん。お帰りなさい!」
だが、瞬に声をかけられると、私はそっと怒りをこらえる。瞬の前であんまり怒っている姿を見せるのはよくないからな。
[ちょっと、あれは誰よ]
金髪の女性が、瞬を見て質問をしている。それに対して瞬は問題なく話をしているようだが、外国語ができたという記憶はない。一体どういうことなのか。
気になる私は、瞬に近付いていく。
「おい、瞬。こいつは一体誰なんだ」
「この人はスピア・ライツさんです。なんでもリベリオンっていうギルドに所属している方だそうですよ」
「リベリオンだと?!」
ギルド名を聞いた瞬間、私は太刀を構えていた。
私が太刀を金髪の女に向けた瞬間、女だけではなく瞬まで大慌てになっている。
「わわっ、衣織お姉さん。この人はもう大丈夫ですから。ギルドも抜けてくれるみたいですし、こちらに住むことにしたんですよ」
「えっ、こっちに住む? どういうことだ、詳しく聞かせてくれ」
なんだかよく分からん。とにかく、私は瞬に詳しい話を聞くことにした。
ラティナとアルカナの二人も加わって話を聞いていた私は、怒りがこみあげてくると同時に、同情もしていた。
それというのも、瞬を殺そうとしたら、バトラーによって顔面崩壊の大けがをさせられたという話を聞いたからだ。瞬を殺そうとしたんだから、そのくらい食らっても当然だろう。
だが、瞬というのはお人好しで、自分を殺そうとした相手を助けてしまったらしい。まったく、瞬らしいといえば瞬らしい。
その後のやり取りののち、家が決まるまでは瞬のダンジョンで居候をしているとのこと。まったく、うらやまけしからん話だ。
しかし、探索者である以上、あまり長い時間ダンジョンには滞在できないはず。本当にこの女は大丈夫なのだろうか。
話によれば一日は既に滞在しているらしいが、いろいろと心配になってくる。
「しょうがない。滞在先が決まるまで、私が預かろう。これでも世界では上位ランクの探索者だからな」
[わぉ、そんな強い方なのですか?]
私の話を聞きながらすぐ反応をしている。なんだ、この女は日本語が分かるのか?
[私、翻訳の機械を持っているからね。世界中のダンジョンを旅するのが夢だったから……]
「なるほどな」
瞬の通訳を通じて話を聞いた私は、内容には納得していた。
だが、保護ダンジョンすら潰して回るようなならず者集団に入ったことは、到底許せるわけがない。今回が初犯だったとしても罪は罪だからな。
「廃鉱山ダンジョンにいた連中は、ダンジョン管理局に突き出した。君も本来ならば、同じように突き出してやるところだが……」
話をしながら、私は瞬たちに視線を向ける。
私の視線に瞬は驚いていたものの、落ち着いたかと思えば首を横に振っていた。やめてくれということらしい。
本人が反省していることと、当事者たちが許す気満々ということで、私はこのスピアとかいう女をダンジョン管理局に犯罪者として突き出すことはやめることにした。初めてやらかしたというのなら、これから叩き直していけばいいだけの話だからな。
だがしかし、問題が一点ある。
私たちに外国語ができる存在がいない。日本語以外はさっぱり分からんのだよな。意思疎通という点では、非常にやりづらい。
「ふぅ……。預かるといったからには、今晩だけは本当に私が預かろう。明日、もう一度廃鉱山ダンジョンに行くつもりだから、お前もついて来い」
[わ、分かったわ……]
スピアは私の言葉に頷いていた。分かるというのは本当のようだな。
今日はもう遅い。ダンジョン管理局によって、翻訳機を借りて、今日は実家でゆっくりすることにするか。
廃鉱山ダンジョンに行く理由としては、私の槍を修理しなければならないからだ。あれがないと、私の手数は半分未満になってしまうからな。
あと、このスピアとかいう子に、リベリオンの現実を見せつける必要がある。そうすれば、もっと改心してくれることだろう。
「それじゃ、一応廃鉱山ダンジョンのことは報告したから、私は帰るよ。こいつのことは任せておけ」
「はい、本当にありがとうございました、衣織様」
ラティナにお礼を言われた私は、スピアをがっちりつかんで瞬のダンジョンを去っていく。
スピアのやつは瞬たちとすっかり打ち解けたのか、笑顔で手を振りながら私についてきていた。
ひとまず、保護ダンジョンを潰そうとした連中の問題は解決した。だが、私はどことなく、心が落ち着いた気がしなかった。
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