ep143 魔剣使いvs狂戦士④

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「テメー。なにをしやがった?」

 ジェイズがそう言った時、人の姿はハッキリとした女の姿形になっていた。
 謎の女は閉じていた瞼をゆっくりと開く。

「クロー様。この姿でお目にかかるのは初めてですね」

「その声……お前は〔謎の声〕なのか??」

「はい。それでは早速始めましょうか。貴方の回復を」

「オイ女。テメーは何者だ」

 ジェイズが凄んで尋問してきた。だが、奴は先ほどからずっと警戒している様子。それは謎の声が〔スピリトゥス〕に細工をしたからだが、そこへさらに謎の女の唐突な出現。奴といえども…いや、強者であるからこそ拙速な判断・行動をしないのだろう。
 
「テメーは魔剣使いの仲間か?」

「ワタクシは何者でもありません」

「つまらねえ答えだな。死にたくなかったらそこをどきな」

「今からワタクシはクロー様を回復させます。それまでお待ちください」

「待てないって言ったら?」

「貴方は待たざるを得ません」

「ああ? どういう意味だ」

 謎の女は相手の言葉をまったく意に介さず、彼に向かって手をかざした。

「〔ペルソナ・ノン・グラータ〕」

 ほんの一瞬、周囲の世界がブゥンと歪んだように感じた。
 だが、それだけ……何をやったんだ?

「さあ、クロー様。始めますよ」

「あ、ああ。でも……」

 俺はジェイズが気になりそちらへ目をやった。ところが奴はその場からまったく動いていなかった。
 まさか、動けないのか?

「……オイ女。マジでなにをした。なぜ前へ進めねえ」

「貴方を〔歓迎されない人物〕に指定しました。よって貴方はしばらくの間、ワタクシ達に近づくことはできません」

「聞いたことない魔術だな」

「でしょうね」

「まあいい。なら待っててやる。さっさと済ませろ」

 意外にもジェイズはあっさりと受け入れた。
 
「あの男は賢いですね。瞬時に何をやっても無駄だということを理解したのでしょう。それでは今からクロー様の回復を行います」

 何がなんだかわからなかった。でも、今は謎の女に従うままがいいと思った。
 
「わかった。頼む」

「では、剣をワタクシにお貸しください」

「剣を?」

 よくわからないまま謎の女に剣を渡した。
 女は剣を受け取ると、それをスッと前に突き出した。

「えっ??」

 下を向いた。俺の胸に、さっくりと剣が突き刺さっている。
 
「!!」

 ふとまわりに視線を移すと、カレンもアイも、ジェイズすらも驚きの表情を浮かべている。
 そんな中、謎の女が俺の頬にそっと手を寄せた。

「クロー様。今のワタクシができるのはここまでです。あとは自らの力で切り開くのです。いいですか? 貴方は強い。貴方ならできる。自分を信じてください」

 彼女がそう言って剣を抜いた瞬間。
 さっきと同様の神秘的な風がブワァァァッと舞い上がった。
 剣がカランと落下する。
 謎の女の姿は忽然と消え失せた。
 
「一体なんだったんだ……あっ!」
 ハッとした。
「回復している……いや、力が増している!?」

 手を開閉しながら、自らの漲るエネルギーを感じた。
 まったくもって不可解なことだらけだ。
 でも、これだけは確信した。俺は戦える!

「一体なんだったんだ?」
「私にもわからない」

 アイとカレンは茫然と立ち尽くしていたが、ジェイズは踏み出して近づいてきた。

「前へ進めるな。女が消えて効果も切れたか?」

 俺は剣を取ってスッと構えた。

「フゥー。よし」

 改めて相手を見据える。不思議と焦りはない。

「気持ちは折れてねえみたいだな」

 ジェイズは立ち止まると、ニヤリと笑った。
 
「ああ。いくぞ!」


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「テメー。なにをしやがった?」
 ジェイズがそう言った時、人の姿はハッキリとした女の姿形になっていた。
 謎の女は閉じていた瞼をゆっくりと開く。
「クロー様。この姿でお目にかかるのは初めてですね」
「その声……お前は〔謎の声〕なのか??」
「はい。それでは早速始めましょうか。貴方の回復を」
「オイ女。テメーは何者だ」
 ジェイズが凄んで尋問してきた。だが、奴は先ほどからずっと警戒している様子。それは謎の声が〔スピリトゥス〕に細工をしたからだが、そこへさらに謎の女の唐突な出現。奴といえども…いや、強者であるからこそ拙速な判断・行動をしないのだろう。
「テメーは魔剣使いの仲間か?」
「ワタクシは何者でもありません」
「つまらねえ答えだな。死にたくなかったらそこをどきな」
「今からワタクシはクロー様を回復させます。それまでお待ちください」
「待てないって言ったら?」
「貴方は待たざるを得ません」
「ああ? どういう意味だ」
 謎の女は相手の言葉をまったく意に介さず、彼に向かって手をかざした。
「〔ペルソナ・ノン・グラータ〕」
 ほんの一瞬、周囲の世界がブゥンと歪んだように感じた。
 だが、それだけ……何をやったんだ?
「さあ、クロー様。始めますよ」
「あ、ああ。でも……」
 俺はジェイズが気になりそちらへ目をやった。ところが奴はその場からまったく動いていなかった。
 まさか、動けないのか?
「……オイ女。マジでなにをした。なぜ前へ進めねえ」
「貴方を〔歓迎されない人物〕に指定しました。よって貴方はしばらくの間、ワタクシ達に近づくことはできません」
「聞いたことない魔術だな」
「でしょうね」
「まあいい。なら待っててやる。さっさと済ませろ」
 意外にもジェイズはあっさりと受け入れた。
「あの男は賢いですね。瞬時に何をやっても無駄だということを理解したのでしょう。それでは今からクロー様の回復を行います」
 何がなんだかわからなかった。でも、今は謎の女に従うままがいいと思った。
「わかった。頼む」
「では、剣をワタクシにお貸しください」
「剣を?」
 よくわからないまま謎の女に剣を渡した。
 女は剣を受け取ると、それをスッと前に突き出した。
「えっ??」
 下を向いた。俺の胸に、さっくりと剣が突き刺さっている。
「!!」
 ふとまわりに視線を移すと、カレンもアイも、ジェイズすらも驚きの表情を浮かべている。
 そんな中、謎の女が俺の頬にそっと手を寄せた。
「クロー様。今のワタクシができるのはここまでです。あとは自らの力で切り開くのです。いいですか? 貴方は強い。貴方ならできる。自分を信じてください」
 彼女がそう言って剣を抜いた瞬間。
 さっきと同様の神秘的な風がブワァァァッと舞い上がった。
 剣がカランと落下する。
 謎の女の姿は忽然と消え失せた。
「一体なんだったんだ……あっ!」
 ハッとした。
「回復している……いや、力が増している!?」
 手を開閉しながら、自らの漲るエネルギーを感じた。
 まったくもって不可解なことだらけだ。
 でも、これだけは確信した。俺は戦える!
「一体なんだったんだ?」
「私にもわからない」
 アイとカレンは茫然と立ち尽くしていたが、ジェイズは踏み出して近づいてきた。
「前へ進めるな。女が消えて効果も切れたか?」
 俺は剣を取ってスッと構えた。
「フゥー。よし」
 改めて相手を見据える。不思議と焦りはない。
「気持ちは折れてねえみたいだな」
 ジェイズは立ち止まると、ニヤリと笑った。
「ああ。いくぞ!」