気の合うあいつが失恋したから
ー/ー「……で、もうあの店行くのはやめるんか?」
「行けるわけ、ないやん。夫婦で仲良ぅしてはるトコ、見せつけられんねんで?」
「行けるわけ、ないやん。夫婦で仲良ぅしてはるトコ、見せつけられんねんで?」
そう言って、向かいに座る同僚女は大ジョッキのビールを飲み干す。
こいつとは、新卒研修でコンビを組んでからの腐れ縁。
配属先も同じ支店になり、プロジェクトで組むこともよくある。
性別を気にせず付き合えている、気の置けない仲といったところか。
ちょっと前に、ふざけて言ったことがある。
いや、ふざけてはいたが、俺としてはそれもアリな話だった。
だから、試しに言ったみた。
「俺らめっちゃ気ぃ合うし、付き合わん?」
「……何ゆーてんの! 私が今、あの店の大将に夢中なん、知ってるやろ?」
「……何ゆーてんの! 私が今、あの店の大将に夢中なん、知ってるやろ?」
結果は、軽口として流されただけたった。
あるとき、二人で立ち寄った小さな居酒屋。
そこの大将は、丁寧に仕事した料理を食べさせてくれるものだから二人して胃袋を掴まれ、よく一緒に行くようになった。
そして、いつの間にか同僚女は、胃袋だけでなく心まで大将に掴まれたらしい。
「……店の人との恋愛って、どーしたらはじまると思う?」
気がつくと俺は、同僚女から恋愛相談される事態に陥っていた。
「さぁな……とりあえず、会話を増やすしかないんちゃう?」
そんなやり取りから何ヶ月かして、二人であの店に行くと、大将から報告があった。
「実は、結婚が決まりまして……これからは夫婦で店に立つ日もあると思います」
大将への恋は、同僚女の独り相撲だった。
照れながら報告してきた大将の隣には、落ち着いた雰囲気の美人。
とてもお似合いだ。
そして今日、改めて同僚女と駅前の大衆酒場で飲んでいる。
ひょっとすると、これはチャンスか?
ここで真面目に俺が口説けば……でも、また受け流されてしまうかもしれない。
今後どうすべきか考えを巡らせながら、俺もビールを飲み干した。
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