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SCENE162 悪いことは隠せない

ー/ー



 僕のダンジョンに現れたのは、金髪碧眼って言われる、本当にきれいな女性だった。ただ、そばかすがあるけどね。それがかえっていいアクセントになっていた。
 服装はポロシャツにショートパンツ。太ももには何かベルトを巻いている。靴はトレッキングブーツっていうのかな、これ。
 ずいぶんと肌が多く見える服装だなぁ。
 それにしても胸が大きい。そのせいで、僕はつい自分の胸を見てしまう。うん、ぺったんこだよ。

「さて、何故ここに来たのですかな。返答によっては無事に帰しませんぞ」

 バトラーが女性を脅している。
 僕の命を狙ったからか、本当に怒り心頭という感じだよ。ここまで怒りを露わにしているバトラーも珍しい。

「バトラー。この人もかなり頑なになっているから、脅しても効果は薄いと思うよ?」

「しかしですなぁ……」

 僕がバトラーを注意していると、困った顔をしてしまう。

「この方の素性が分かればいいのですかしら」

「アルカナさん」

 そこに出てきたのが、ここまで一人だけ顔を出していなかったアルカナさんだった。

「な、何よ、このアンデッドは……」

 アルカナさんの特殊な気配を感じて、目の前の女性はものすごく引いている。
 さっきまではすっごく好戦的だったのに、この人、ボウガンがなければ何もできないんだなぁ。

「あたくしの能力から、逃げられると思ってますの? リッチ族のアルカナ・リッチモンドですわよ」

「や、やめて、触らないでよ!」

 ずるずると下がっていく女性だったけど、さすがに武器をなくしてはダンジョンマスターから逃げきれるわけがない。
 アルカナさんの能力によって、この女性の素性が判明する。

「ギルド『リベリオン』所属のスピア・ライツ、十八歳。へえ、結構お若いですのね。スキルはボウガンがないと使えないものばかりですわね。それ以外にあるのは、直感スキルのランク2というところですかしら」

 アルカナさんは全部話してしまっている。

「生い立ちから何からすべてわかりましたけれど、これ以上お話してもよろしいかしら」

「や、やめてちょうだい。もう話さないでよ……」

 アルカナさんが顔を向けると、スピアさんは下を向いてしまった。
 すごいなぁ。これが樹海ダンジョンのダンジョンマスターだったアルカナさんの能力かぁ。どういう感じでそんなことを読み取っちゃうんだろう。

「それでは、ウィンク様たちに謝罪をして、ここに来た理由をお教え願えますかしら」

「話す。話すから!」

 どことなく涙目になっている。
 スピアさんは結局観念して、僕のダンジョンにやってきた理由を話してくれた。

「なるほど。保護ダンジョンを全部潰すつもりでいましたのね」

「ええ。今回はここと、廃鉱山ダンジョンの二か所。ここは初心者用だって聞いたから、私一人で来たのよ」

「まあ、廃鉱山ダンジョンって、お父様のダンジョンではありませんか!」

 スピアさんの話した内容を聞いて、ラティナさんが慌てている。自分のお父さんのダンジョンだから、驚くのも無理はない。

「あっちは、精鋭で乗り込んでいるから、もう時間の問題でしょうね。この世界のあるべき姿を取り戻すには、ダンジョンは全部潰さなきゃいけないんだ」

「だ、そうですよ。みなさん、どう思われますか?」

「なに?」

 話を聞いた僕は、どこかへと語りかけている。マキナさんは顔を上げて反応している。

『リベリオンギルドは聞いたことがある』

『世界中で保護ダンジョンをぶっ潰しまわっているギルドだろ?』

『てか、結構かわいい子じゃん』

『こんな子までそんな過激な活動してるん?』

『ウィンクちゃんを殺そうとしただけでギルティ!』

 視聴者さんたちのコメントが大量に流れていく。
 そう、僕はこっそりと配信を始めていたんだ。外国語だったので、オプションの翻訳機能をオンにして流している。

「そ、そんな……。モンスターが、配信をしているですって?」

 スピアさんはありえないって顔をして僕を見ている。

「自己紹介がまだでしたね。僕はウィンク。このダンジョンのマスターであり、元人間であるラミアプリンセスです。来年、探索者デビューだったので、配信ドローンを持っているんですよ」

「ありえない! 人間が、モンスターにだって?!」

 僕が話をすると、スピアさんはものすごく取り乱している。
 そりゃまあ、僕が初めての事例だからね。こういう反応をするのもよく分かるよ。

「でも、これが現実なんです。僕は、このダンジョンをいろんな人に役立ててもらいたいんです。あなたにだってです。だから、さっきのことはバトラーが殴り飛ばしてくれたのでおあいこです」

 僕は、とても真剣な表情をスピアさんに向けている。
 驚いた顔をしていたスピアさんだったけど、やっと柔らかい表情を見せてくれた。

「分かったわ。ここのことは見逃してあげる。他の人にも手出しはさせない」

「本当ですか? ありがとうございます!」

 スピアさんが約束してくれたので、僕は思いっきり抱きついてしまう。

「ちょ、ちょっと、急に抱きつかないでよ。これ、配信してるんでしょ? は、恥ずかしいから、や、やめてってば!」

「いいえ、離しませんよ」

 僕はしばらくの間、スピアさんを離さなかった。
 僕の後ろでは、ラティナさんは笑い、アルカナさんとバトラーは呆れた様子で僕たちを見ていた。
 とりあえず、こっちのことは解決したけれど、あとは廃鉱山ダンジョンと……衣織お姉さんだ。
 きっと、僕を殺そうとしたなんて聞いたら、まさしく鬼のような形相でスピアさんを殺しにかかっちゃう。
 僕はラティナさんのお父さんの無事を祈りつつ、スピアさんをダンジョンに引き留め続けることにした。


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次のエピソードへ進む SCENE163 ゴーレムは意外と強かった


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 僕のダンジョンに現れたのは、金髪碧眼って言われる、本当にきれいな女性だった。ただ、そばかすがあるけどね。それがかえっていいアクセントになっていた。
 服装はポロシャツにショートパンツ。太ももには何かベルトを巻いている。靴はトレッキングブーツっていうのかな、これ。
 ずいぶんと肌が多く見える服装だなぁ。
 それにしても胸が大きい。そのせいで、僕はつい自分の胸を見てしまう。うん、ぺったんこだよ。
「さて、何故ここに来たのですかな。返答によっては無事に帰しませんぞ」
 バトラーが女性を脅している。
 僕の命を狙ったからか、本当に怒り心頭という感じだよ。ここまで怒りを露わにしているバトラーも珍しい。
「バトラー。この人もかなり頑なになっているから、脅しても効果は薄いと思うよ?」
「しかしですなぁ……」
 僕がバトラーを注意していると、困った顔をしてしまう。
「この方の素性が分かればいいのですかしら」
「アルカナさん」
 そこに出てきたのが、ここまで一人だけ顔を出していなかったアルカナさんだった。
「な、何よ、このアンデッドは……」
 アルカナさんの特殊な気配を感じて、目の前の女性はものすごく引いている。
 さっきまではすっごく好戦的だったのに、この人、ボウガンがなければ何もできないんだなぁ。
「あたくしの能力から、逃げられると思ってますの? リッチ族のアルカナ・リッチモンドですわよ」
「や、やめて、触らないでよ!」
 ずるずると下がっていく女性だったけど、さすがに武器をなくしてはダンジョンマスターから逃げきれるわけがない。
 アルカナさんの能力によって、この女性の素性が判明する。
「ギルド『リベリオン』所属のスピア・ライツ、十八歳。へえ、結構お若いですのね。スキルはボウガンがないと使えないものばかりですわね。それ以外にあるのは、直感スキルのランク2というところですかしら」
 アルカナさんは全部話してしまっている。
「生い立ちから何からすべてわかりましたけれど、これ以上お話してもよろしいかしら」
「や、やめてちょうだい。もう話さないでよ……」
 アルカナさんが顔を向けると、スピアさんは下を向いてしまった。
 すごいなぁ。これが樹海ダンジョンのダンジョンマスターだったアルカナさんの能力かぁ。どういう感じでそんなことを読み取っちゃうんだろう。
「それでは、ウィンク様たちに謝罪をして、ここに来た理由をお教え願えますかしら」
「話す。話すから!」
 どことなく涙目になっている。
 スピアさんは結局観念して、僕のダンジョンにやってきた理由を話してくれた。
「なるほど。保護ダンジョンを全部潰すつもりでいましたのね」
「ええ。今回はここと、廃鉱山ダンジョンの二か所。ここは初心者用だって聞いたから、私一人で来たのよ」
「まあ、廃鉱山ダンジョンって、お父様のダンジョンではありませんか!」
 スピアさんの話した内容を聞いて、ラティナさんが慌てている。自分のお父さんのダンジョンだから、驚くのも無理はない。
「あっちは、精鋭で乗り込んでいるから、もう時間の問題でしょうね。この世界のあるべき姿を取り戻すには、ダンジョンは全部潰さなきゃいけないんだ」
「だ、そうですよ。みなさん、どう思われますか?」
「なに?」
 話を聞いた僕は、どこかへと語りかけている。マキナさんは顔を上げて反応している。
『リベリオンギルドは聞いたことがある』
『世界中で保護ダンジョンをぶっ潰しまわっているギルドだろ?』
『てか、結構かわいい子じゃん』
『こんな子までそんな過激な活動してるん?』
『ウィンクちゃんを殺そうとしただけでギルティ!』
 視聴者さんたちのコメントが大量に流れていく。
 そう、僕はこっそりと配信を始めていたんだ。外国語だったので、オプションの翻訳機能をオンにして流している。
「そ、そんな……。モンスターが、配信をしているですって?」
 スピアさんはありえないって顔をして僕を見ている。
「自己紹介がまだでしたね。僕はウィンク。このダンジョンのマスターであり、元人間であるラミアプリンセスです。来年、探索者デビューだったので、配信ドローンを持っているんですよ」
「ありえない! 人間が、モンスターにだって?!」
 僕が話をすると、スピアさんはものすごく取り乱している。
 そりゃまあ、僕が初めての事例だからね。こういう反応をするのもよく分かるよ。
「でも、これが現実なんです。僕は、このダンジョンをいろんな人に役立ててもらいたいんです。あなたにだってです。だから、さっきのことはバトラーが殴り飛ばしてくれたのでおあいこです」
 僕は、とても真剣な表情をスピアさんに向けている。
 驚いた顔をしていたスピアさんだったけど、やっと柔らかい表情を見せてくれた。
「分かったわ。ここのことは見逃してあげる。他の人にも手出しはさせない」
「本当ですか? ありがとうございます!」
 スピアさんが約束してくれたので、僕は思いっきり抱きついてしまう。
「ちょ、ちょっと、急に抱きつかないでよ。これ、配信してるんでしょ? は、恥ずかしいから、や、やめてってば!」
「いいえ、離しませんよ」
 僕はしばらくの間、スピアさんを離さなかった。
 僕の後ろでは、ラティナさんは笑い、アルカナさんとバトラーは呆れた様子で僕たちを見ていた。
 とりあえず、こっちのことは解決したけれど、あとは廃鉱山ダンジョンと……衣織お姉さんだ。
 きっと、僕を殺そうとしたなんて聞いたら、まさしく鬼のような形相でスピアさんを殺しにかかっちゃう。
 僕はラティナさんのお父さんの無事を祈りつつ、スピアさんをダンジョンに引き留め続けることにした。