ep141 魔剣使いvs狂戦士②

ー/ー



「がっ……」

 今、俺はどうなっている?
 手に土や小石のざらざらした物を感じる。地面に伏しているのか。起き上がらなくては……

「あっ……」

 なんとか顔を上げた。視界がボヤけている。ダメージが酷いな。
 奴はどこだ?
 いた。奴はそこにいる。そこにいるが…こんなに距離があいていたか?
 そうか。俺は殴られて吹っ飛ばされたのか。

「クッ……」

 口から血がボタボタと溢れる。外傷なのか内から来るのか両方なのか判別できない。いくら手の甲で拭ってもキリがない。

「……ロー!」

 誰かの声が聞こえる。

「クロー!」

 俺を呼ぶ声だ。この声…カレンか。

「待てジェイズ! そいつを殺すな!」

「ああ?」

「魔剣使いは国際平和維持軍の捕縛対象だ! 勝手に殺されてしまっては困る!」

「おいカレン嬢。言っていることが違くねえか?」

「何がだ?」

「勇者軍としてではなく、一個人としてここに居るって言ってたよなぁ? だったらその理屈は通らねえ」

「!」

「わかったらそこで見てろ」

「しかし、黙って見ているわけにもいかない」

「なあカレン嬢。たとえ勇者軍の隊長の立場でオレを止めようとしてもムダだぜ?」

「どういう意味だ」

「そん時はテメーにも容赦しねえ」

「それは……国際平和維持軍にも弓を引くということになるが」

「上等だ。そん時はテメーの兄貴も引っくるめて全面戦争だ」

「なっ!?」
 
「カレン。お前は退がっていろ。我々も余計に事を荒立てたくはない」

 これはアイの声。彼女がふたりの間に入ったのか。

「くっ……」

 カレンは引きさがったのか?
 マズい。カレンの手出しがないとなると…今の俺に残された手は何がある?
 
「魔剣使いクロー。テメーはこの程度か?」

 これはジェイズの声。奴が、ゆっくりと近づいて来ている。
 ゆっくり……つまり、奴は余裕ということだな。

「じ、ジェイズ……」

「もっと強いと思ってたんだがなぁ」

 ジェイズは泰然として俺を見下ろしてくる。
 俺はプルプルと震えながら剣を杖にして、ググググ〜ッとなんとか立ち上がる。

「はぁ、はぁ、はぁ……クソッ!」

「どうだ? まだ続けるよなぁ?」

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「オレはテメーを気に入っている。酒も飲んだ仲だ。今なら、部下になるってんなら止めてやってもいいぜ?」

 フザけんな。なんで今さら誰かの下につかなければならないんだ。
(でも……勝てるのか??)
 勝てなければ…殺される。そう思った時だ。

「……ん?」

 突如、ジェイズが何かに反応してサッと跳び退いた。
 再び奴との距離がひらく。

「な、なんだ……?」

 どうしたんだ? なぜここに来て距離をあけた? 
 俺としては急死に一生を得たような感じだが……。


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「がっ……」
 今、俺はどうなっている?
 手に土や小石のざらざらした物を感じる。地面に伏しているのか。起き上がらなくては……
「あっ……」
 なんとか顔を上げた。視界がボヤけている。ダメージが酷いな。
 奴はどこだ?
 いた。奴はそこにいる。そこにいるが…こんなに距離があいていたか?
 そうか。俺は殴られて吹っ飛ばされたのか。
「クッ……」
 口から血がボタボタと溢れる。外傷なのか内から来るのか両方なのか判別できない。いくら手の甲で拭ってもキリがない。
「……ロー!」
 誰かの声が聞こえる。
「クロー!」
 俺を呼ぶ声だ。この声…カレンか。
「待てジェイズ! そいつを殺すな!」
「ああ?」
「魔剣使いは国際平和維持軍の捕縛対象だ! 勝手に殺されてしまっては困る!」
「おいカレン嬢。言っていることが違くねえか?」
「何がだ?」
「勇者軍としてではなく、一個人としてここに居るって言ってたよなぁ? だったらその理屈は通らねえ」
「!」
「わかったらそこで見てろ」
「しかし、黙って見ているわけにもいかない」
「なあカレン嬢。たとえ勇者軍の隊長の立場でオレを止めようとしてもムダだぜ?」
「どういう意味だ」
「そん時はテメーにも容赦しねえ」
「それは……国際平和維持軍にも弓を引くということになるが」
「上等だ。そん時はテメーの兄貴も引っくるめて全面戦争だ」
「なっ!?」
「カレン。お前は退がっていろ。我々も余計に事を荒立てたくはない」
 これはアイの声。彼女がふたりの間に入ったのか。
「くっ……」
 カレンは引きさがったのか?
 マズい。カレンの手出しがないとなると…今の俺に残された手は何がある?
「魔剣使いクロー。テメーはこの程度か?」
 これはジェイズの声。奴が、ゆっくりと近づいて来ている。
 ゆっくり……つまり、奴は余裕ということだな。
「じ、ジェイズ……」
「もっと強いと思ってたんだがなぁ」
 ジェイズは泰然として俺を見下ろしてくる。
 俺はプルプルと震えながら剣を杖にして、ググググ〜ッとなんとか立ち上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ……クソッ!」
「どうだ? まだ続けるよなぁ?」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「オレはテメーを気に入っている。酒も飲んだ仲だ。今なら、部下になるってんなら止めてやってもいいぜ?」
 フザけんな。なんで今さら誰かの下につかなければならないんだ。
(でも……勝てるのか??)
 勝てなければ…殺される。そう思った時だ。
「……ん?」
 突如、ジェイズが何かに反応してサッと跳び退いた。
 再び奴との距離がひらく。
「な、なんだ……?」
 どうしたんだ? なぜここに来て距離をあけた? 
 俺としては急死に一生を得たような感じだが……。