ep140 魔剣使いvs狂戦士

ー/ー



 剣が受け止められた。
 それ自体はいい。今までだってあったことだ。
 問題は〔ニュンパギャッシュ〕が、まるで子どもの戯れをあやすがように受け止められたことだ。
 
「俺の剣は魔法を斬り裂く。だから魔力による攻撃と防御は貫くことができる。ましてや今の〔ニュンパギャッシュ〕は俺の中でもかなり強力な技だ」

「ああ?」
 ジェイズはしれっとしている。
「それがどうした?」

「どうやった?」

「オレの力が知りたいってことか?」

「ああ」

「なんでテメーにわざわざ教えてやる必要がある」

「だよな」

「錬金魔法だ」

「えっ?」

「別に隠すつもりもねえさ。オレの〔錬金魔闘術〕は、すべてを打ち砕く」

「!」

 今度は奴が突っ込んできた。俺は迎撃体制に入る。
 ぐんと接近してくるジェイズがぐっと拳を振り上げた。脅威となるスピードではない。防御することも逆に撃ち込むこともできるが、ここは……。
 
「おらよ」

 ジェイズの拳がブンと振り下ろされた。俺は安全を期して跳び退がった。
 奴の鉄球のように重々しい拳はゴンッと大地を殴りつける。地面がバゴォォォンと砕け散る。その瞬間だ。

「なっ!」

 なんと砕けた地面から尖った岩がドドドドドッと激烈な勢いで飛び出てきた。岩の刃が鋭利に俺に迫る。

「クッ!」

 咄嗟に俺はスパァッと剣を振り下ろした。バッサリと斬り払われた岩の尖りがシューッと滅失する。
 俺はそれ以上の攻撃が来ていないことを確認すると、その場でピタッと静止した。

「これがあんたの力か?」

「それが魔剣使いの力か?」

 俺たちは再び見合う態勢となった。
(ジェイズの錬金魔法はなんとなくわかったが……)
 目下の問題は、最初の奴の防御だ。本当に魔力ナシで〔ニュンパギャッシュ〕を受け切ったのだろうか。
 しかし、もし魔法の力で受け止めようとすれば、あらゆる魔法を斬り裂く〔魔導剣〕の前では通じないはず。そう考えると、やはり魔力ナシで受け止めたことになるが、まったくもって理屈がわからない。

「オレが、テメーの技をあっさり防御したことが不思議なんだろ?」

 ジェイズが俺の心を見透かしたように言った。

「……」

「まっ、こまけーことは気にすんな。まだ終わりじゃねえんだろ? 続きをやろーぜ」

 そう言うとジェイズがその場で拳を構える。
 拳に帯びている魔力の光が俺の目に飛び込む。
 ……何かが来る!
 
「特殊技能〔メタル・マサカー〕」

 ジェイズは地面にズンと拳を振り下ろした。
 さっきと同じ? かと思いきや、今度は奴の手前の地面から無数の鋼鉄の尖がズズズズッと発生して浮上する。
 明らかにさっきの岩の尖とは纏う危険度が違う。
 ジェイズがニヤリと笑った。

「死ぬなよ、魔剣使い」

 奴はその場でぶんと拳を振るった。と同時に鋼鉄の尖が視界いっぱいに一斉に襲いかかってきた。
 ドドドドッ!
 これはかなり危険だ!

「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」

 完全防御型で発動した。でないと防ぎ切れないと判断したから。回避技を使うのが一番安全だが、それはまだ意表を突くために温存しておきたい。

「ハァァァッ!!」

 苛烈に降り注ぐ鋼鉄の刃を片っ端から斬り払っていく。
 問題なくすべてを迎撃し終わると、パッと視界が開けた。
 転瞬。

「よお」

 いつの間にかジェイズが肉薄していた。
 奴の拳がブンッと直接撃ち込まれる。
 なんだ? 急激に奴のスピードが増した?
 ダメだ。回避技も間に合わない!

「クッ!」

 両手で剣を支えてしっかりとガードした。奴の拳の重さがズンとのしかかる。
 まさしく鋼鉄の拳!
 ここまで重い打撃は受けたことがない。即、反撃に転じたいが……。

「!?」

 なんだ? なにが起こった?
 奴のもうひとつの拳が…俺の脇腹にめり込んでいる?

「ぐぼぁっ!!」

 吐きながらも、自らの体から悲惨な音が聞こえる。バキバキと腹の骨が砕かれる音が。
 自分でもわかる。己の体がくの字に折れ曲がる姿が。

「歯ぁ、喰いしばれよ」

 目の前のジェイズの眼にギラッと戦慄の光が差した。
 それに気づいた時、俺の顎に奴の拳が痛烈に突き刺さった。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む ep141 魔剣使いvs狂戦士②


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 剣が受け止められた。
 それ自体はいい。今までだってあったことだ。
 問題は〔ニュンパギャッシュ〕が、まるで子どもの戯れをあやすがように受け止められたことだ。
「俺の剣は魔法を斬り裂く。だから魔力による攻撃と防御は貫くことができる。ましてや今の〔ニュンパギャッシュ〕は俺の中でもかなり強力な技だ」
「ああ?」
 ジェイズはしれっとしている。
「それがどうした?」
「どうやった?」
「オレの力が知りたいってことか?」
「ああ」
「なんでテメーにわざわざ教えてやる必要がある」
「だよな」
「錬金魔法だ」
「えっ?」
「別に隠すつもりもねえさ。オレの〔錬金魔闘術〕は、すべてを打ち砕く」
「!」
 今度は奴が突っ込んできた。俺は迎撃体制に入る。
 ぐんと接近してくるジェイズがぐっと拳を振り上げた。脅威となるスピードではない。防御することも逆に撃ち込むこともできるが、ここは……。
「おらよ」
 ジェイズの拳がブンと振り下ろされた。俺は安全を期して跳び退がった。
 奴の鉄球のように重々しい拳はゴンッと大地を殴りつける。地面がバゴォォォンと砕け散る。その瞬間だ。
「なっ!」
 なんと砕けた地面から尖った岩がドドドドドッと激烈な勢いで飛び出てきた。岩の刃が鋭利に俺に迫る。
「クッ!」
 咄嗟に俺はスパァッと剣を振り下ろした。バッサリと斬り払われた岩の尖りがシューッと滅失する。
 俺はそれ以上の攻撃が来ていないことを確認すると、その場でピタッと静止した。
「これがあんたの力か?」
「それが魔剣使いの力か?」
 俺たちは再び見合う態勢となった。
(ジェイズの錬金魔法はなんとなくわかったが……)
 目下の問題は、最初の奴の防御だ。本当に魔力ナシで〔ニュンパギャッシュ〕を受け切ったのだろうか。
 しかし、もし魔法の力で受け止めようとすれば、あらゆる魔法を斬り裂く〔魔導剣〕の前では通じないはず。そう考えると、やはり魔力ナシで受け止めたことになるが、まったくもって理屈がわからない。
「オレが、テメーの技をあっさり防御したことが不思議なんだろ?」
 ジェイズが俺の心を見透かしたように言った。
「……」
「まっ、こまけーことは気にすんな。まだ終わりじゃねえんだろ? 続きをやろーぜ」
 そう言うとジェイズがその場で拳を構える。
 拳に帯びている魔力の光が俺の目に飛び込む。
 ……何かが来る!
「特殊技能〔メタル・マサカー〕」
 ジェイズは地面にズンと拳を振り下ろした。
 さっきと同じ? かと思いきや、今度は奴の手前の地面から無数の鋼鉄の尖がズズズズッと発生して浮上する。
 明らかにさっきの岩の尖とは纏う危険度が違う。
 ジェイズがニヤリと笑った。
「死ぬなよ、魔剣使い」
 奴はその場でぶんと拳を振るった。と同時に鋼鉄の尖が視界いっぱいに一斉に襲いかかってきた。
 ドドドドッ!
 これはかなり危険だ!
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
 完全防御型で発動した。でないと防ぎ切れないと判断したから。回避技を使うのが一番安全だが、それはまだ意表を突くために温存しておきたい。
「ハァァァッ!!」
 苛烈に降り注ぐ鋼鉄の刃を片っ端から斬り払っていく。
 問題なくすべてを迎撃し終わると、パッと視界が開けた。
 転瞬。
「よお」
 いつの間にかジェイズが肉薄していた。
 奴の拳がブンッと直接撃ち込まれる。
 なんだ? 急激に奴のスピードが増した?
 ダメだ。回避技も間に合わない!
「クッ!」
 両手で剣を支えてしっかりとガードした。奴の拳の重さがズンとのしかかる。
 まさしく鋼鉄の拳!
 ここまで重い打撃は受けたことがない。即、反撃に転じたいが……。
「!?」
 なんだ? なにが起こった?
 奴のもうひとつの拳が…俺の脇腹にめり込んでいる?
「ぐぼぁっ!!」
 吐きながらも、自らの体から悲惨な音が聞こえる。バキバキと腹の骨が砕かれる音が。
 自分でもわかる。己の体がくの字に折れ曲がる姿が。
「歯ぁ、喰いしばれよ」
 目の前のジェイズの眼にギラッと戦慄の光が差した。
 それに気づいた時、俺の顎に奴の拳が痛烈に突き刺さった。