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SCENE160 廃鉱山ダンジョンの異変

ー/ー



 アルカナを無事に瞬のダンジョンに送り届けた私たちは、すぐに廃鉱山ダンジョンへと向かっていく。
 私の槍のためだというのだが、剛力さんはどういうわけか少し焦っているようだった。

「どうしたんですか、剛力さん」

「いや、あそこで話をしている最中に、廃鉱山ダンジョンに詰めている仲間から連絡があってな。……ほれ」

 剛力さんは携帯電話を私に見せてくれる。そこに表示されていた文面に、驚かされてしまう。

「これは、本当なんですかね」

「残念だが、本当らしい。一応、ガーディアンとなるゴーレムが奮闘してくれているので、突破はされていないようだが、急がなくちゃいけないようなんだ」

「くそっ。これだから厄介探索者ってのは嫌いなんだ」

 私はつい携帯電話を握る手に力が入ってしまう。

「おいおい。俺の携帯を壊さないでくれよ」

「あっ、申し訳ない」

 私は力を緩めて、剛力さんに携帯電話を返す。思わずひびを入れかけてしまったので、正直申し訳ないと思う。
 とにかく私たちは、廃鉱山ダンジョンまで車を飛ばしていく。
 下道を順調に進んでいき、私たちはようやく廃鉱山ダンジョンへと到着する。見慣れない車が何台か転がっているので、間違いなく誰か来ているようだな。
 ダンジョンの気配はしているので、とりあえずまだ無事のようだな。

「剛力さん、衣織さん」

 誰かが駆け寄ってくる。顔を見ると、同じ百鬼夜行のメンバーの一人だった。

「おう、状況はどうなっている」

 姿を確認した剛力さんは、とにかく現状把握に努めている。確かに、それが一番だ。

「はい。現在、廃鉱山ダンジョン内はゴーレムたちが防衛に努めております。ロックウェル伯爵は無事でございます」

「で、攻略を仕掛けてきたのは、どこのバカだ。ダンジョン管理局から攻略禁止命令が出ていただろうが」

「どうやらリベリオンという海外の探索者集団のようです。ダンジョンは攻略してこそ価値があるといって、職員の制止を振り切って入っていったそうです」

「はぁ……、よりによって外国人かよ。面倒ごとになるイメージしか湧かないな」

「ですね……」

 剛力さんたちは大きなため息をついていた。
 どうやらこのリベリオンという集団は、世界各地にある保護ダンジョンを潰して回るならず者集団らしい。今回、廃鉱山ダンジョンに狙いを定めたのは、良質な鉱石が採れることからだろう。
 ダンジョンの産物は、各国のパワーバランスを崩すことになりかねない。なので、過剰にならないようにと潰して回っているんだとか。
 後で調べて詳細が分かったが、このリベリオンって連中、日本だけじゃなくて世界中で良資源ダンジョンを何個も潰してきたようだ。被害は十数か国にのぼるらしい。まったく、自分勝手でシャレにならない連中だな。
 私たちは、これ以上の暴挙を許せるわけもないので、ダンジョンの中へと入っていく。話によれば八人くらいらしいが、私と剛力さんだけでどうにかなるだろう。ラティナの護石もあるしな。
 私たちはダンジョン管理局から簡易的に権限を受け取ると、ダンジョンの中へと入っていく。

 ダンジョンの中は、奴らが力任せに壊していった形跡があちこちに見受けられる。まったく、これでもここは重要文化財なんだがな。ダンジョン破壊よりもそっちの方が大罪だぞ。いくらダンジョンマスターの力で元に戻るとはいってもな。
 ラティナの父親は、あんまり元の地形をいじっていないからな。でなきゃ、ボス部屋が川の近くまで顔を出すなんてことは普通はないってものだ。
 普通の見学坑道からわき道に入ると、いよいよ廃鉱山ダンジョンの本番だ。
 ダンジョン内を進んでいくと、ロックウェル伯爵が徘徊させているモンスターのゴーレムたちの残骸があちこちに転がっている。いずれはマナに戻るとはいっても、これはこれでいい気がしないな。
 私と剛力さんはとにかく奥へと進んでいく。

「止まれ、衣織」

 いきなり剛力さんが止めてくる。
 何事かと思ったが、音が聞こえてくるのですぐに状況を理解した。
 ゆっくりと覗き込むと護衛となるゴーレムと戦っているようだ。

[ちくしょう! なんて硬いゴーレムだ]

[他の連中とは強さが桁違いですぜ]

 どこの言葉か分からんが、状況からすると、相当に苦戦しているようだな。近くには、奴らの仲間と思われる連中が何人も倒れている。おそらくは、不用意に踏み込んで不意打ちを食らったのだろう。
 普通ならば可哀想とか思うところだが、連中の思想のせいか、微塵も湧いてこない。まったく不思議なものだよ。
 あのゴーレムは、私が軽く倒してしまったことを反省して、より強い個体を用意したといっていたゴーレムだ。私が戦ったガーディアンゴーレムよりも、何倍も強いのだとか。その分、ダンジョンポイントもかなり消費したらしい。
 その分、この通り並大抵の攻撃は簡単に弾いてしまう。

「どうしますかね、剛力さん」

 私は剛力さんに判断を委ねることにする。
 結論としては、もうしばらく見守ることになった。飛び出していっても、ゴーレムの攻撃に巻き込まれかねないからだ。ならば、どちらかが倒れるまで見ている方がいいだろうということになった。
 正直好きではない行動だが、今回ばかりは剛力さんに従うことにした。
 さて、やつらの戦いっぷりを見させてもらいますか。


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 アルカナを無事に瞬のダンジョンに送り届けた私たちは、すぐに廃鉱山ダンジョンへと向かっていく。
 私の槍のためだというのだが、剛力さんはどういうわけか少し焦っているようだった。
「どうしたんですか、剛力さん」
「いや、あそこで話をしている最中に、廃鉱山ダンジョンに詰めている仲間から連絡があってな。……ほれ」
 剛力さんは携帯電話を私に見せてくれる。そこに表示されていた文面に、驚かされてしまう。
「これは、本当なんですかね」
「残念だが、本当らしい。一応、ガーディアンとなるゴーレムが奮闘してくれているので、突破はされていないようだが、急がなくちゃいけないようなんだ」
「くそっ。これだから厄介探索者ってのは嫌いなんだ」
 私はつい携帯電話を握る手に力が入ってしまう。
「おいおい。俺の携帯を壊さないでくれよ」
「あっ、申し訳ない」
 私は力を緩めて、剛力さんに携帯電話を返す。思わずひびを入れかけてしまったので、正直申し訳ないと思う。
 とにかく私たちは、廃鉱山ダンジョンまで車を飛ばしていく。
 下道を順調に進んでいき、私たちはようやく廃鉱山ダンジョンへと到着する。見慣れない車が何台か転がっているので、間違いなく誰か来ているようだな。
 ダンジョンの気配はしているので、とりあえずまだ無事のようだな。
「剛力さん、衣織さん」
 誰かが駆け寄ってくる。顔を見ると、同じ百鬼夜行のメンバーの一人だった。
「おう、状況はどうなっている」
 姿を確認した剛力さんは、とにかく現状把握に努めている。確かに、それが一番だ。
「はい。現在、廃鉱山ダンジョン内はゴーレムたちが防衛に努めております。ロックウェル伯爵は無事でございます」
「で、攻略を仕掛けてきたのは、どこのバカだ。ダンジョン管理局から攻略禁止命令が出ていただろうが」
「どうやらリベリオンという海外の探索者集団のようです。ダンジョンは攻略してこそ価値があるといって、職員の制止を振り切って入っていったそうです」
「はぁ……、よりによって外国人かよ。面倒ごとになるイメージしか湧かないな」
「ですね……」
 剛力さんたちは大きなため息をついていた。
 どうやらこのリベリオンという集団は、世界各地にある保護ダンジョンを潰して回るならず者集団らしい。今回、廃鉱山ダンジョンに狙いを定めたのは、良質な鉱石が採れることからだろう。
 ダンジョンの産物は、各国のパワーバランスを崩すことになりかねない。なので、過剰にならないようにと潰して回っているんだとか。
 後で調べて詳細が分かったが、このリベリオンって連中、日本だけじゃなくて世界中で良資源ダンジョンを何個も潰してきたようだ。被害は十数か国にのぼるらしい。まったく、自分勝手でシャレにならない連中だな。
 私たちは、これ以上の暴挙を許せるわけもないので、ダンジョンの中へと入っていく。話によれば八人くらいらしいが、私と剛力さんだけでどうにかなるだろう。ラティナの護石もあるしな。
 私たちはダンジョン管理局から簡易的に権限を受け取ると、ダンジョンの中へと入っていく。
 ダンジョンの中は、奴らが力任せに壊していった形跡があちこちに見受けられる。まったく、これでもここは重要文化財なんだがな。ダンジョン破壊よりもそっちの方が大罪だぞ。いくらダンジョンマスターの力で元に戻るとはいってもな。
 ラティナの父親は、あんまり元の地形をいじっていないからな。でなきゃ、ボス部屋が川の近くまで顔を出すなんてことは普通はないってものだ。
 普通の見学坑道からわき道に入ると、いよいよ廃鉱山ダンジョンの本番だ。
 ダンジョン内を進んでいくと、ロックウェル伯爵が徘徊させているモンスターのゴーレムたちの残骸があちこちに転がっている。いずれはマナに戻るとはいっても、これはこれでいい気がしないな。
 私と剛力さんはとにかく奥へと進んでいく。
「止まれ、衣織」
 いきなり剛力さんが止めてくる。
 何事かと思ったが、音が聞こえてくるのですぐに状況を理解した。
 ゆっくりと覗き込むと護衛となるゴーレムと戦っているようだ。
[ちくしょう! なんて硬いゴーレムだ]
[他の連中とは強さが桁違いですぜ]
 どこの言葉か分からんが、状況からすると、相当に苦戦しているようだな。近くには、奴らの仲間と思われる連中が何人も倒れている。おそらくは、不用意に踏み込んで不意打ちを食らったのだろう。
 普通ならば可哀想とか思うところだが、連中の思想のせいか、微塵も湧いてこない。まったく不思議なものだよ。
 あのゴーレムは、私が軽く倒してしまったことを反省して、より強い個体を用意したといっていたゴーレムだ。私が戦ったガーディアンゴーレムよりも、何倍も強いのだとか。その分、ダンジョンポイントもかなり消費したらしい。
 その分、この通り並大抵の攻撃は簡単に弾いてしまう。
「どうしますかね、剛力さん」
 私は剛力さんに判断を委ねることにする。
 結論としては、もうしばらく見守ることになった。飛び出していっても、ゴーレムの攻撃に巻き込まれかねないからだ。ならば、どちらかが倒れるまで見ている方がいいだろうということになった。
 正直好きではない行動だが、今回ばかりは剛力さんに従うことにした。
 さて、やつらの戦いっぷりを見させてもらいますか。