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22話 生徒会カップルの秘密(1)

ー/ー



 立会人の役目は、ただ着席し事の成り行きを見届けること。
 後方の席は当然ながら塞がっていて、俺達は空いている前方席に渋々腰を下ろす。
 息が整ってきた頃にようやく気付く、むせ返りそうな血生臭さと吐き気を誘発させてくる嘔吐物の生臭さ。
 鼻を突く痛みと息苦しさは、たった今、命をかけたデスゲームを強要されただけではないと実感させられる。
 窓は全開で換気は整っているが、ベージュのカーテンや黒板や床に飛び散った匂いの元になる血飛沫を取り除かなければ、意味のないことだった。
 幸い、教室前方に転がっていた二人の遺体に関しては、ベージュの布がかけられていた。
 教室後方部分のカーテンがないことから、それを外して使用したようだ。
 誰がやってくれたか知らないが、目が合うたびに顔を歪められるなんて死者への冒涜もいいところだ。
 だから、ありがとう。

『さあ、今回のカップルの登場です』

 主催者の指示に従い、廊下に待機させられていた北条くんと音霧さんは、教室前方より入ってくる。
 入室拒否でも、死の指輪はそれを許してくれない。確実に待ち受けるのは、死だ。
 二人のいる場所は明らかに血の匂いが濃いようで、顔を歪ませハンカチで鼻口を覆っている。

『すみませんねぇ、思ったより効きが良かったみたいで。もう少し火薬の量を調整しておくべきでした』

 どこまでも残忍な言葉に俺達は苛立ちを覚えるが、当然言い返すこと出来るはずもない。
 やはり爆発の威力は強かったようで、指輪を付けられている人物以外にも危害が及ぶ。翔が守っていなければ、あの爆風が凛を襲っていただろう。

「みんな、大丈夫だって! 今回は暴露なんかない! 俺達が生存第一号になって、良い波を作るからさぁ!」

 どんよりと暗い教室に向かって、今回の指定カップルになってしまったはずの北条くんが、明るく照らしてくれる。
 そうだ、今回は暴露はない。
 だって、みんなで協力するって決めたんだから。
 その声にゲームクリアを確信したのか、後方から一斉に手拍子と歓声が響き、異様な空間に包まれていく。

『いやいや、ちょっと待ってくださいよ。どうして皆さんは、主催者をことごとく無視するのですか? 聞くことがあるのではないですか?』

 その声に手拍子は止まり、シラッとした空気が漏れる。
 まさか。

『今回も、暴露が二つありましたよぉ?』
「えっ」
「うそ……」

 主催者の言葉に、北条くんと音霧さんは互いを見合わせてスッと逸らす。
 その表情からはなんというか、怯えてみるように見えた。
 ……心当たり、あるんだな。
 鈍感な俺ですら感じ取れるぐらいに、まとう空気が物語っていた。

『では暴露します。音霧紗栄子は、パパ活をしている』
「え、ええ」
「うっそぉー!」

 その声を筆頭に、一気に騒つく教室。無理もない、音霧さんほどの知性に溢れる人が、そんな。


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 立会人の役目は、ただ着席し事の成り行きを見届けること。
 後方の席は当然ながら塞がっていて、俺達は空いている前方席に渋々腰を下ろす。
 息が整ってきた頃にようやく気付く、むせ返りそうな血生臭さと吐き気を誘発させてくる嘔吐物の生臭さ。
 鼻を突く痛みと息苦しさは、たった今、命をかけたデスゲームを強要されただけではないと実感させられる。
 窓は全開で換気は整っているが、ベージュのカーテンや黒板や床に飛び散った匂いの元になる血飛沫を取り除かなければ、意味のないことだった。
 幸い、教室前方に転がっていた二人の遺体に関しては、ベージュの布がかけられていた。
 教室後方部分のカーテンがないことから、それを外して使用したようだ。
 誰がやってくれたか知らないが、目が合うたびに顔を歪められるなんて死者への冒涜もいいところだ。
 だから、ありがとう。
『さあ、今回のカップルの登場です』
 主催者の指示に従い、廊下に待機させられていた北条くんと音霧さんは、教室前方より入ってくる。
 入室拒否でも、死の指輪はそれを許してくれない。確実に待ち受けるのは、死だ。
 二人のいる場所は明らかに血の匂いが濃いようで、顔を歪ませハンカチで鼻口を覆っている。
『すみませんねぇ、思ったより効きが良かったみたいで。もう少し火薬の量を調整しておくべきでした』
 どこまでも残忍な言葉に俺達は苛立ちを覚えるが、当然言い返すこと出来るはずもない。
 やはり爆発の威力は強かったようで、指輪を付けられている人物以外にも危害が及ぶ。翔が守っていなければ、あの爆風が凛を襲っていただろう。
「みんな、大丈夫だって! 今回は暴露なんかない! 俺達が生存第一号になって、良い波を作るからさぁ!」
 どんよりと暗い教室に向かって、今回の指定カップルになってしまったはずの北条くんが、明るく照らしてくれる。
 そうだ、今回は暴露はない。
 だって、みんなで協力するって決めたんだから。
 その声にゲームクリアを確信したのか、後方から一斉に手拍子と歓声が響き、異様な空間に包まれていく。
『いやいや、ちょっと待ってくださいよ。どうして皆さんは、主催者をことごとく無視するのですか? 聞くことがあるのではないですか?』
 その声に手拍子は止まり、シラッとした空気が漏れる。
 まさか。
『今回も、暴露が二つありましたよぉ?』
「えっ」
「うそ……」
 主催者の言葉に、北条くんと音霧さんは互いを見合わせてスッと逸らす。
 その表情からはなんというか、怯えてみるように見えた。
 ……心当たり、あるんだな。
 鈍感な俺ですら感じ取れるぐらいに、まとう空気が物語っていた。
『では暴露します。音霧紗栄子は、パパ活をしている』
「え、ええ」
「うっそぉー!」
 その声を筆頭に、一気に騒つく教室。無理もない、音霧さんほどの知性に溢れる人が、そんな。