ep137 目覚めると...

ー/ー



「……ん」
 目が覚める。
「ここは……」

 俺はベッドの上で寝ていた。酒場からどこかに移動した記憶はないのだが。

「……ん?」

 なにか違和感を感じる。

「クロー。起きたの?」

「!」

 なんと、ベッドに横たわる俺に、小麦色の美女が添い寝をしていた。

「おはよう。クロー」

「いやいや待て待て」

 途端に俺はむくりと上体を起こした。それにつられてエレサも起き上がった。

「どうしたの?」

「エレサはいつからここにいるんだ?」

「クローがここに着いた時から」

「は? じゃあ俺はいつここに着いた?」

「朝、クローが店で酔い潰れているからなんとかしてくれって店の人が来たの。それでブーストがクローを担いでここまで運んだんだ」

「そうだったのか」

「トレブルは笑っていたけど、カレンは呆れていた」

「だろうな」

「うん」

「で、エレサはなんでここにいるんだ?」

「ダメなの?」

「答えになってない」

「好きだから」

「そうか。……えっ」

 今、好きって言ったよな? もしかして俺…告られた? それとも聞き間違いか?
 いや、さすがにエレサの気持ちには俺も気づいている。自惚れるわけじゃないが、疑いようもないぐらいだった。

「クロー? どうかしたの?」

 エレサが俺の顔を覗きこんできた。その顔はとても乙女で可愛らしい。
 
「か、顔洗ってくる」

 俺は彼女を振り払うようにベッドから抜けて部屋から出ていった。
(これ以上、距離を縮めるのは良くない……)
 外に出ると、ちょうど宿屋に戻ってくるトレブルとブーストにかち合った。

「よおダンナ! 相当飲んだみてえだったな!」
「まさかそこまでの酒飲みだとは思ってなかったぜ!」

 二人は快活に笑った。
 そうか、コイツらは知らないんだよな。遊び狂っていたころの俺のことを。朝っぱらから飲んで寝て夜に起きて……まるで数ヶ月前の俺なんだよな、今日の俺は。でも、今はもうそのころの俺とは違う。

「カレンは?」

 俺はすぐに頭を切り替えて尋ねる。

「ちょうど良かったぜダンナ! おれらもそのことを伝えようと思って戻ってきたところだ」
「ダンナがまだ寝てたら宿屋の店主に言伝たのもうと思ってたが手間がはぶけたぜ!」

「どういうことだ?」

「隊長さんは今、〔狂戦士〕と会っている。あのアイってねーちゃんも一緒だ」
「そんでダンナも呼んできてくれってよ」

 二人はここまで話すと、急に緊張の面持ちに変化する。

「で、ダンナも来たら……」
「ああ。ヤツを解放するんだと。キラースを」

「!」

 俺の心にも緊張が走った。
 キラースは現状で一番のイレギュラー要素。そのキラースを解放だと? それがジェイズの俺たちに対する答えか?
 だが、なぜ俺とカレンを立ち合わせる? 俺たちに対して害意があればわざわざそんなことはしないで勝手にやるはずだ。

(とすると……)

 とにかく、まずは行ってみないことには何も始まらない。ここで四の五の考えても仕方がない。すでに様々な想定はしているんだ。

「わかった。今から行く。お前たちはエレサと一緒に待機していてくれ」


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「……ん」
 目が覚める。
「ここは……」
 俺はベッドの上で寝ていた。酒場からどこかに移動した記憶はないのだが。
「……ん?」
 なにか違和感を感じる。
「クロー。起きたの?」
「!」
 なんと、ベッドに横たわる俺に、小麦色の美女が添い寝をしていた。
「おはよう。クロー」
「いやいや待て待て」
 途端に俺はむくりと上体を起こした。それにつられてエレサも起き上がった。
「どうしたの?」
「エレサはいつからここにいるんだ?」
「クローがここに着いた時から」
「は? じゃあ俺はいつここに着いた?」
「朝、クローが店で酔い潰れているからなんとかしてくれって店の人が来たの。それでブーストがクローを担いでここまで運んだんだ」
「そうだったのか」
「トレブルは笑っていたけど、カレンは呆れていた」
「だろうな」
「うん」
「で、エレサはなんでここにいるんだ?」
「ダメなの?」
「答えになってない」
「好きだから」
「そうか。……えっ」
 今、好きって言ったよな? もしかして俺…告られた? それとも聞き間違いか?
 いや、さすがにエレサの気持ちには俺も気づいている。自惚れるわけじゃないが、疑いようもないぐらいだった。
「クロー? どうかしたの?」
 エレサが俺の顔を覗きこんできた。その顔はとても乙女で可愛らしい。
「か、顔洗ってくる」
 俺は彼女を振り払うようにベッドから抜けて部屋から出ていった。
(これ以上、距離を縮めるのは良くない……)
 外に出ると、ちょうど宿屋に戻ってくるトレブルとブーストにかち合った。
「よおダンナ! 相当飲んだみてえだったな!」
「まさかそこまでの酒飲みだとは思ってなかったぜ!」
 二人は快活に笑った。
 そうか、コイツらは知らないんだよな。遊び狂っていたころの俺のことを。朝っぱらから飲んで寝て夜に起きて……まるで数ヶ月前の俺なんだよな、今日の俺は。でも、今はもうそのころの俺とは違う。
「カレンは?」
 俺はすぐに頭を切り替えて尋ねる。
「ちょうど良かったぜダンナ! おれらもそのことを伝えようと思って戻ってきたところだ」
「ダンナがまだ寝てたら宿屋の店主に言伝たのもうと思ってたが手間がはぶけたぜ!」
「どういうことだ?」
「隊長さんは今、〔狂戦士〕と会っている。あのアイってねーちゃんも一緒だ」
「そんでダンナも呼んできてくれってよ」
 二人はここまで話すと、急に緊張の面持ちに変化する。
「で、ダンナも来たら……」
「ああ。ヤツを解放するんだと。キラースを」
「!」
 俺の心にも緊張が走った。
 キラースは現状で一番のイレギュラー要素。そのキラースを解放だと? それがジェイズの俺たちに対する答えか?
 だが、なぜ俺とカレンを立ち合わせる? 俺たちに対して害意があればわざわざそんなことはしないで勝手にやるはずだ。
(とすると……)
 とにかく、まずは行ってみないことには何も始まらない。ここで四の五の考えても仕方がない。すでに様々な想定はしているんだ。
「わかった。今から行く。お前たちはエレサと一緒に待機していてくれ」