孔明玉砕
ー/ー ホスト?
ヒュウマネがホスト?
まぁ、チャラいちゃぁチャラい。
実年齢より若く見え、女性に対しすこぶる口が巧く無駄に愛想がいい。
かといって男性に不愛想ってわけじゃなく、コミュニケーション能力はずば抜けて高い、はず。
頭がキレて、顔面からオーラ出しまくりだが、ホスト?
和真は眉を上下に動かし、頭を捻る。
「お水っぽく見えないっスよね」
そーなのよ、謎なのよと怜子が孔明の顔を見る。横で都もうんうんと頷いている。
「ああ、お水臭ね。現役の時も言われてた。自分でもわからん」
「ってことは、僕は元とは言え、プロ相手にナンパ指導してたってことですか。もう、ヒュウマネって人が悪いなぁ」
素人みたいなこと言って、ド素人に甘えるんですねと、腕組みをし孔明を睨む。
「ホストだったなんれ、この女ったらちめ」
都の攻撃も手が泳ぐ。投げるものが、もうない。
どうしてやろうかと、その手が落ち着かない。
「都ちゃん、もうやってないから。ね、一回落ち着こうか」
苦笑いを浮かべ、孔明は両手で抑えるしぐさをして見せた。
都は、あれからウオッカベースのお酒を続けざまに3杯は空けていた。
ろれつが回らなくなっているが、彼女はココからが強いのだ。
「成敗しちゃる」
ぐっとテーブル越しに両手を突き出し、背と左側を壁にして座っている為逃げ場が無い孔明の頭に手を伸ばした。
「都ちゃんっ?」
構える孔明。逃げようにも、隣の和真は動く気が無いようだ。
それを横目に怜子は、マイペースでジョッキを空けグラスを置いた。
パチンと指を鳴らし、都に視線を投げる。
「都、やっておしまい。後始末は任せて!」
とウインクする。
「らっじゃぁ――っ」
嬉々として孔明に手を伸ばす準備を始めた都をよそに、怜子はこうくんはハイボールでいいよね、と勝手に追加を始めた。
都が退路を断たれた孔明の頭をターゲットに、何かを構えている。
圧縮空気が漏れる音と共に、都が満面の笑みで左手に泡の塊を噴射していた。
和真が手伝うよ、と隣でケタケタ笑いながらはやし立て、逃げ道を完全にふさいだ。
「都ちゃん、ソレ、何かな?」
「御園生先輩、いきますよっ」
「いつでもどーぞ!」
避けようとした孔明の肩を、和真が後ろから羽交い絞めにする。
「御園生くん、孔明くんはソノ気のない相手には平気で軽口叩いて口説くのよ。知ってる通り、天然のたらしなんで。だから、マジで探しているなら……確認しないとこのままじゃコイツ一生独身だわ」
あわただしく身を起こし、都ちゃあんっ! と哀れな声を出している孔明に怜子がせっついた。
「スマホ、見せて。ほら、例のアプリ。協力してやっから、全部見せて」
アルコールで判断力が鈍ってるのか、素直にスマホを渡す孔明の頭がモヒカンになっていた。
「こうくん、ぷっ」
これは、我慢できない。
「モヒカン…… イケてるじゃん。都、やるぅ~」
思いっきり吹き出し、怜子が親指を立てる。
孔明は諦めたのか、渋い顔で鼻の頭にシワを寄せ怜子に中指を返した。
都の手には、携帯用ムースが握られている。
Vサインで応えながら、和真と一緒に腹を抱えて笑っていた。
怜子は早速孔明のスマホを操作しながら、和真においでと手で招く。
呼ばれた和真は、腰を上げお誕生日席に胡座をかいた。
「いっちょ前にLine交換してんじゃん…… 見るよ~」
画面を呼び出した途端、吹き出したと思ったら机をバンバン叩いて笑いだす。
「バカー、こうくんってば――っ。このナンパ師ぃ。期待通りやってくれるわ~っ」
酒が進むぅ~、とばかりまたジョッキをお代わりする。
ほらアンタの分。
和真にも勝手に頼んだお代わりを渡し、はい飲むとジョッキを握らせる。
釣られて和真が、酒に口をつけた。
「見てよこれ」
セットでスマホも差し出す。
「! うそ――、すげー、流石元ホスト。誘い文句が、くさっ……これ一番警戒される奴じゃんっ」
会話が軽すぎて、これじゃヤリモクと変わらんですよ。って、ヒュウマネってそーなんですか、と脚までバタバタさせて和真が笑い出した。
横から都もジョッキ片手に覗き込み、スマホを受け取って大げさに吹き出した。
「ヒュウマネ、ホストしてたの10年くらい前でつか?」
「そうだけど……ヤリモクって何だよ」
れすよねー、『おけマル』って私、大学の時も使ってらいわと都がスマホを和真に返す。
いや、それは君の上司のスマホだが。
「中学の時、使ってたっけ」
和真も半笑いで都に問いかけ、都はおぼえてらーい、あたし日本に居なかったからと首を振る。
「なんれ、待ち合わせが全部駅前なんれつか。それも、ブクロとかジュクとか。バカなんれつか」
モヒカン頭が首をひねっている。これではすっかり公開処刑状態だ。
「だって、それ全部お店から一番近い駅だよ。駅前って分かりやすいじゃん」
「……仕事帰りじゃあるまいしっ、ぶぶっ」
と和真も呆れたのかため口だ。
「どこに行くか先に言えばいいのに……。しかも全敗してる!」
はいお代わりと空いたグラスを下げ、新しいハイボールを孔明にすすめた。
「こうくん、最近弱くなった?」
玲子がワザとらしく、これ見よがしに握ったジョッキを煽り、レモンハイが空になる。
ザルと一緒にしないで、と悪態をつきながら孔明も負けずにハイボールを空けて見せた。
「おー、まだイケるじゃんこうくん。次チューハイ行っちゃう」
とこれまた勝手に、ウーロンハイをジョッキで頼んだ。
「それより何でブロックされてんのさ、ボクが何したってのよ。ヤリモクって何だよ」
まるで分かんなーい、と両手を広げて見せる。
「ヒュウマネ、ヤリモクは……」
説明しようとする和真に、玲子が口に人差し指を当て黙らせた。
「えっと、じゃ確認しましょうか」
メッセージのやり取りを見直し、和真が読み上げることになった。
「マジで……ぶっ、昔ホストだったんスね……ぶぶっ」
和真は笑いをこらえるのが辛そうだ。
「それではいきますよ」
おう、といいながら孔明は今来たウーロンハイに口をつける。
こうなりゃ素面でやってられっか、だ。
「ヒュウマネ、『じゃぁさ、次の土曜とかお昼行っちゃう?』」
和真は孔明になりきり、ジェスチャー入りだ。
「女性、『え、いーんですか。ぜひぜひ。』この後読むのがはばかられるグダグダ話なんで省略します。モチロン下ネタ入ってます。女性たぶん引いてます」
入れるよねこいつは、と怜子がため息をつく。
「ヒュウマネ、『新宿に美味しいランチのお店があるんだ。もうYOちゃん可愛いから、おじさん何でも買っちゃう』赤いハート」
「女性、『嬉しいでーす。ありがとうございまーす』黄色いハート」
しっとり裏声で、もう役に成りきってるじゃないかよ和真君。
「ヒュウマネ、『じゃぁ、何が欲しいか決まったら教えてね。ランチは来週の土曜日でいいかな』」
「女性、『だいじょうぶでーす』」
「ヒュウマネ、『会った瞬間、運命感じちゃうかも』」
何その昼メロ、平成ど真ん中かよ、と怜子がツッコむから孔明が不満そうに鼻を鳴らし睨み返した。
「女性、『ええ~っ、そんな恥ずかしいです』」
そりゃそうだ。
「ヒュウマネ、『じゃぁ土曜日の十一時半に新宿東口前で』」
都と怜子がたまらず噴き出した。
「ヒュウマネ、ここでブロックされてまつよ。確実に」
「なぜ?」
「全部れすよ!! ぜんぶぅぅっ!!」
ヒュウマネがホスト?
まぁ、チャラいちゃぁチャラい。
実年齢より若く見え、女性に対しすこぶる口が巧く無駄に愛想がいい。
かといって男性に不愛想ってわけじゃなく、コミュニケーション能力はずば抜けて高い、はず。
頭がキレて、顔面からオーラ出しまくりだが、ホスト?
和真は眉を上下に動かし、頭を捻る。
「お水っぽく見えないっスよね」
そーなのよ、謎なのよと怜子が孔明の顔を見る。横で都もうんうんと頷いている。
「ああ、お水臭ね。現役の時も言われてた。自分でもわからん」
「ってことは、僕は元とは言え、プロ相手にナンパ指導してたってことですか。もう、ヒュウマネって人が悪いなぁ」
素人みたいなこと言って、ド素人に甘えるんですねと、腕組みをし孔明を睨む。
「ホストだったなんれ、この女ったらちめ」
都の攻撃も手が泳ぐ。投げるものが、もうない。
どうしてやろうかと、その手が落ち着かない。
「都ちゃん、もうやってないから。ね、一回落ち着こうか」
苦笑いを浮かべ、孔明は両手で抑えるしぐさをして見せた。
都は、あれからウオッカベースのお酒を続けざまに3杯は空けていた。
ろれつが回らなくなっているが、彼女はココからが強いのだ。
「成敗しちゃる」
ぐっとテーブル越しに両手を突き出し、背と左側を壁にして座っている為逃げ場が無い孔明の頭に手を伸ばした。
「都ちゃんっ?」
構える孔明。逃げようにも、隣の和真は動く気が無いようだ。
それを横目に怜子は、マイペースでジョッキを空けグラスを置いた。
パチンと指を鳴らし、都に視線を投げる。
「都、やっておしまい。後始末は任せて!」
とウインクする。
「らっじゃぁ――っ」
嬉々として孔明に手を伸ばす準備を始めた都をよそに、怜子はこうくんはハイボールでいいよね、と勝手に追加を始めた。
都が退路を断たれた孔明の頭をターゲットに、何かを構えている。
圧縮空気が漏れる音と共に、都が満面の笑みで左手に泡の塊を噴射していた。
和真が手伝うよ、と隣でケタケタ笑いながらはやし立て、逃げ道を完全にふさいだ。
「都ちゃん、ソレ、何かな?」
「御園生先輩、いきますよっ」
「いつでもどーぞ!」
避けようとした孔明の肩を、和真が後ろから羽交い絞めにする。
「御園生くん、孔明くんはソノ気のない相手には平気で軽口叩いて口説くのよ。知ってる通り、天然のたらしなんで。だから、マジで探しているなら……確認しないとこのままじゃコイツ一生独身だわ」
あわただしく身を起こし、都ちゃあんっ! と哀れな声を出している孔明に怜子がせっついた。
「スマホ、見せて。ほら、例のアプリ。協力してやっから、全部見せて」
アルコールで判断力が鈍ってるのか、素直にスマホを渡す孔明の頭がモヒカンになっていた。
「こうくん、ぷっ」
これは、我慢できない。
「モヒカン…… イケてるじゃん。都、やるぅ~」
思いっきり吹き出し、怜子が親指を立てる。
孔明は諦めたのか、渋い顔で鼻の頭にシワを寄せ怜子に中指を返した。
都の手には、携帯用ムースが握られている。
Vサインで応えながら、和真と一緒に腹を抱えて笑っていた。
怜子は早速孔明のスマホを操作しながら、和真においでと手で招く。
呼ばれた和真は、腰を上げお誕生日席に胡座をかいた。
「いっちょ前にLine交換してんじゃん…… 見るよ~」
画面を呼び出した途端、吹き出したと思ったら机をバンバン叩いて笑いだす。
「バカー、こうくんってば――っ。このナンパ師ぃ。期待通りやってくれるわ~っ」
酒が進むぅ~、とばかりまたジョッキをお代わりする。
ほらアンタの分。
和真にも勝手に頼んだお代わりを渡し、はい飲むとジョッキを握らせる。
釣られて和真が、酒に口をつけた。
「見てよこれ」
セットでスマホも差し出す。
「! うそ――、すげー、流石元ホスト。誘い文句が、くさっ……これ一番警戒される奴じゃんっ」
会話が軽すぎて、これじゃヤリモクと変わらんですよ。って、ヒュウマネってそーなんですか、と脚までバタバタさせて和真が笑い出した。
横から都もジョッキ片手に覗き込み、スマホを受け取って大げさに吹き出した。
「ヒュウマネ、ホストしてたの10年くらい前でつか?」
「そうだけど……ヤリモクって何だよ」
れすよねー、『おけマル』って私、大学の時も使ってらいわと都がスマホを和真に返す。
いや、それは君の上司のスマホだが。
「中学の時、使ってたっけ」
和真も半笑いで都に問いかけ、都はおぼえてらーい、あたし日本に居なかったからと首を振る。
「なんれ、待ち合わせが全部駅前なんれつか。それも、ブクロとかジュクとか。バカなんれつか」
モヒカン頭が首をひねっている。これではすっかり公開処刑状態だ。
「だって、それ全部お店から一番近い駅だよ。駅前って分かりやすいじゃん」
「……仕事帰りじゃあるまいしっ、ぶぶっ」
と和真も呆れたのかため口だ。
「どこに行くか先に言えばいいのに……。しかも全敗してる!」
はいお代わりと空いたグラスを下げ、新しいハイボールを孔明にすすめた。
「こうくん、最近弱くなった?」
玲子がワザとらしく、これ見よがしに握ったジョッキを煽り、レモンハイが空になる。
ザルと一緒にしないで、と悪態をつきながら孔明も負けずにハイボールを空けて見せた。
「おー、まだイケるじゃんこうくん。次チューハイ行っちゃう」
とこれまた勝手に、ウーロンハイをジョッキで頼んだ。
「それより何でブロックされてんのさ、ボクが何したってのよ。ヤリモクって何だよ」
まるで分かんなーい、と両手を広げて見せる。
「ヒュウマネ、ヤリモクは……」
説明しようとする和真に、玲子が口に人差し指を当て黙らせた。
「えっと、じゃ確認しましょうか」
メッセージのやり取りを見直し、和真が読み上げることになった。
「マジで……ぶっ、昔ホストだったんスね……ぶぶっ」
和真は笑いをこらえるのが辛そうだ。
「それではいきますよ」
おう、といいながら孔明は今来たウーロンハイに口をつける。
こうなりゃ素面でやってられっか、だ。
「ヒュウマネ、『じゃぁさ、次の土曜とかお昼行っちゃう?』」
和真は孔明になりきり、ジェスチャー入りだ。
「女性、『え、いーんですか。ぜひぜひ。』この後読むのがはばかられるグダグダ話なんで省略します。モチロン下ネタ入ってます。女性たぶん引いてます」
入れるよねこいつは、と怜子がため息をつく。
「ヒュウマネ、『新宿に美味しいランチのお店があるんだ。もうYOちゃん可愛いから、おじさん何でも買っちゃう』赤いハート」
「女性、『嬉しいでーす。ありがとうございまーす』黄色いハート」
しっとり裏声で、もう役に成りきってるじゃないかよ和真君。
「ヒュウマネ、『じゃぁ、何が欲しいか決まったら教えてね。ランチは来週の土曜日でいいかな』」
「女性、『だいじょうぶでーす』」
「ヒュウマネ、『会った瞬間、運命感じちゃうかも』」
何その昼メロ、平成ど真ん中かよ、と怜子がツッコむから孔明が不満そうに鼻を鳴らし睨み返した。
「女性、『ええ~っ、そんな恥ずかしいです』」
そりゃそうだ。
「ヒュウマネ、『じゃぁ土曜日の十一時半に新宿東口前で』」
都と怜子がたまらず噴き出した。
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「なぜ?」
「全部れすよ!! ぜんぶぅぅっ!!」
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