【2】②
ー/ー
そのあと、形だけでも貴也のお家に二人で挨拶に行ったわ。
あたしたちの「結婚」自体は、それで何の問題もなかったのよ。
でも両方のお父さんはともかく、あたしのお母さんはずっと『結婚式』に拘ってた。
挨拶の時に持ち出さなかったのは、「式も披露宴も『する』のが当然」って考えだったから。しない選択肢なんて最初から頭にもないのよ。
「今は式になんかお金掛けないのが常識なんだよ。給料だって上がっていくか、……そもそも会社自体ずっと安泰かなんてわかんないし。無駄遣いできないもん」
費用は出してあげるから! とまで食い下がって来たけど、「したくない。自分のお金じゃなくても、たった一日のために勿体ない!」ってどうにか言い包めて逃げたんだよね。
結婚式や披露宴ってあたしも何度か経験あるから、参加する側だって結構手間もお金も掛かるのは知ってる。
もちろん友達の幸せを祝う気持ちがあるから、「無駄だった」とだけ感じたことなんかないんだけどさ。
──あたしたちの『ニセモノの結婚』のために、わざわざ他人様に負担掛けさせたくない。白々しい。
ただ、貴也がお母さんのために「写真だけでも」って言い出したんだ。
結局フォトウェディングっていうのかな、レンタルの衣装着て二人で記念写真だけ撮ってもらった。
ちょっと嬉しかったのは内緒。
「もし! もしはるかに『本当に結婚したい』好きな人ができたら、すぐに別れるから。親にはちょっと生活が擦れ違いで~とか適当に言えばいいし」
「……んー、了解」
そんな日は来ない。絶対に来ないってあたしにはわかってるけど、貴也に理解させるのは難しい。
あたしの想いは貴也には知られちゃいけないのよ。あくまでも人間として、友人としての好意で通さないと。
──あたしだけは、貴也にとって『敵』に回っちゃダメなの。それが一番重要。
だから、敢えて軽く返事しといた。
新居は、互いの会社に通いやすいように選んだ2LDKのマンション。
二つの部屋をそれぞれの個室兼寝室にして、LDKや水回りは共有スペースとして使うことにした。
当然、ベッドは別々のシングル。一緒に寝ることなんてありえないもん。
個室は自分の責任で片付けるとして、家事はきっちり分担決めた。
これは貴也の案。適当に「できる方がやる」だと、なぁなぁになりそうで嫌だって。
そういうわけで、キッチンの冷蔵庫に家事分担表作って貼ってあんのよ。
月水金の夕食はあたし、火木土は貴也、とか。
掃除の場所分けと順番とか、時期的に繁忙期なんかは臨機応変に交代するって話もしてる。
本当の夫婦なら、ここまで理詰めだともしかしたら冷たいって感じるのかな。
だけど、あたしたちはあくまでも『カタチだけ夫婦』だからさ。
これくらい機械的でちょーどいいのかもね。
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あたしたちの「結婚」自体は、それで何の問題もなかったのよ。
でも両方のお父さんはともかく、あたしのお母さんはずっと『結婚式』に拘ってた。
挨拶の時に持ち出さなかったのは、「式も披露宴も『する』のが当然」って考えだったから。しない選択肢なんて最初から頭にもないのよ。
「今は式になんかお金掛けないのが常識なんだよ。給料だって上がっていくか、……そもそも会社自体ずっと安泰かなんてわかんないし。無駄遣いできないもん」
費用は出してあげるから! とまで食い下がって来たけど、「したくない。自分のお金じゃなくても、たった一日のために勿体ない!」ってどうにか言い包めて逃げたんだよね。
結婚式や披露宴ってあたしも何度か経験あるから、参加する側だって結構手間もお金も掛かるのは知ってる。
もちろん友達の幸せを祝う気持ちがあるから、「無駄だった」とだけ感じたことなんかないんだけどさ。
──あたしたちの『ニセモノの結婚』のために、わざわざ他人様に負担掛けさせたくない。白々しい。
ただ、貴也がお母さんのために「写真だけでも」って言い出したんだ。
結局フォトウェディングっていうのかな、レンタルの衣装着て二人で記念写真だけ撮ってもらった。
ちょっと嬉しかったのは内緒。
「もし! もしはるかに『本当に結婚したい』好きな人ができたら、すぐに別れるから。親にはちょっと生活が擦れ違いで~とか適当に言えばいいし」
「……んー、了解」
そんな日は来ない。絶対に来ないってあたしにはわかってるけど、貴也に理解させるのは難しい。
あたしの想いは貴也には知られちゃいけないのよ。あくまでも人間として、友人としての好意で通さないと。
──あたしだけは、貴也にとって『敵』に回っちゃダメなの。それが一番重要。
だから、敢えて軽く返事しといた。
新居は、互いの会社に通いやすいように選んだ2LDKのマンション。
二つの部屋をそれぞれの個室兼寝室にして、LDKや水回りは共有スペースとして使うことにした。
当然、ベッドは別々のシングル。一緒に寝ることなんてありえないもん。
個室は自分の責任で片付けるとして、家事はきっちり分担決めた。
これは貴也の案。適当に「できる方がやる」だと、なぁなぁになりそうで嫌だって。
そういうわけで、キッチンの冷蔵庫に家事分担表作って貼ってあんのよ。
月水金の夕食はあたし、火木土は貴也、とか。
掃除の場所分けと順番とか、時期的に繁忙期なんかは臨機応変に交代するって話もしてる。
本当の《《夫婦》》なら、ここまで理詰めだともしかしたら冷たいって感じるのかな。
だけど、あたしたちはあくまでも『カタチだけ夫婦』だからさ。
これくらい機械的でちょーどいいのかもね。