ep134 数日後
ー/ー 【6】
すでにヘッドフィールドに腰を下ろして数日が過ぎていた。
事態の変化は何もない。むしろ不気味なぐらい平和だった。
あの宴以降、街のギャングどもにもある程度俺たちは認められたらしく「俺はヘッドフィールドへ遊びにやって来たのか?」と錯覚するぐらいだ。ただ、それでも未だにシヒロが捕えられているという事実に変わりはない。
この不可解で矛盾した状況。アイはヘッドフィールドの抱える事情を語らなかったが、断片的な情報から俺なりに推察していることはある。それはカレンの見解ともおおむね一致した。
「シヒロ、すなわち魔剣使いの仲間を捕らえているという体裁が必要、それはなぜか? おそらくジェイズと〔フリーダム〕との間で何らかの取引をしたのではないだろうか」
だが、アイの様子やキラースの口ぶりからすると、ジェイズは決して〔フリーダム〕を良く思ってはいない。それでも取引には応じざるをえない事情があった……。
カレンの言う「取引」の内容の半分は、おそらく「魔剣使いの仲間を捕らえる」こと。つまり、フリーダムがジェイズへ要求したことだ。もう半分の方…ジェイズがフリーダムに要求したことについてはわからないが。
『何をそんなに考えているのです』
ベッドに腰かけて物思いにふける俺に〔謎の声〕が喋りかけてきた。
『お前、あれからやっと出てきたな!』
『別に何も困ったこともなかったでしょう』
『いやいやシヒロが攫われたよ!』
『では、ワタクシの力を使ってあの小娘を助けますか?』
『いや……今のところはまだいい』
『懸命な判断です。何せ先の戦いで少ない寿命をさらに短くしてしまいましたからね』
『お前……まあそれはもういい。あの時はああするよりほかなかったから』
『まあ、いくらワタクシの力を使っても、クロー様が行ったこともない場所に攫われてしまった仲間を強引に空間転移させて取り戻すことは難しいですが』
『だよな。それはわかっていた』
『それにクロー様。気づいていませんか?』
『?』
『サンダースでの闘いを経て、さらに貴方の力が増していることに』
『そう…なのか?』
『キラースの強力な魔術のみならず世界最高の魔法剣士とも剣を交えた。それは魔導剣と魔導剣士の力を格段に押し上げることとなりました』
言われてみると、確かにそんな気がしてきた。シヒロが攫われたことで意識が向いていなかったが。
『俺は、強くなっている?』
『格段に、です』
『……』
『クロー様。貴方が〔狂戦士〕と相対するのを待ち受けているのは、なぜでしょう』
『それは……』
『ワタクシからこれ以上は申しません。まあ、すぐに判明することです』
相変わらず、コイツは何もかもわかったふうな口をきく。そのくせ肝心なことは教えてくれない。だがそれは今さらだ。俺は俺のやるべきことをやるだけだ。
すでにヘッドフィールドに腰を下ろして数日が過ぎていた。
事態の変化は何もない。むしろ不気味なぐらい平和だった。
あの宴以降、街のギャングどもにもある程度俺たちは認められたらしく「俺はヘッドフィールドへ遊びにやって来たのか?」と錯覚するぐらいだ。ただ、それでも未だにシヒロが捕えられているという事実に変わりはない。
この不可解で矛盾した状況。アイはヘッドフィールドの抱える事情を語らなかったが、断片的な情報から俺なりに推察していることはある。それはカレンの見解ともおおむね一致した。
「シヒロ、すなわち魔剣使いの仲間を捕らえているという体裁が必要、それはなぜか? おそらくジェイズと〔フリーダム〕との間で何らかの取引をしたのではないだろうか」
だが、アイの様子やキラースの口ぶりからすると、ジェイズは決して〔フリーダム〕を良く思ってはいない。それでも取引には応じざるをえない事情があった……。
カレンの言う「取引」の内容の半分は、おそらく「魔剣使いの仲間を捕らえる」こと。つまり、フリーダムがジェイズへ要求したことだ。もう半分の方…ジェイズがフリーダムに要求したことについてはわからないが。
『何をそんなに考えているのです』
ベッドに腰かけて物思いにふける俺に〔謎の声〕が喋りかけてきた。
『お前、あれからやっと出てきたな!』
『別に何も困ったこともなかったでしょう』
『いやいやシヒロが攫われたよ!』
『では、ワタクシの力を使ってあの小娘を助けますか?』
『いや……今のところはまだいい』
『懸命な判断です。何せ先の戦いで少ない寿命をさらに短くしてしまいましたからね』
『お前……まあそれはもういい。あの時はああするよりほかなかったから』
『まあ、いくらワタクシの力を使っても、クロー様が行ったこともない場所に攫われてしまった仲間を強引に空間転移させて取り戻すことは難しいですが』
『だよな。それはわかっていた』
『それにクロー様。気づいていませんか?』
『?』
『サンダースでの闘いを経て、さらに貴方の力が増していることに』
『そう…なのか?』
『キラースの強力な魔術のみならず世界最高の魔法剣士とも剣を交えた。それは魔導剣と魔導剣士の力を格段に押し上げることとなりました』
言われてみると、確かにそんな気がしてきた。シヒロが攫われたことで意識が向いていなかったが。
『俺は、強くなっている?』
『格段に、です』
『……』
『クロー様。貴方が〔狂戦士〕と相対するのを待ち受けているのは、なぜでしょう』
『それは……』
『ワタクシからこれ以上は申しません。まあ、すぐに判明することです』
相変わらず、コイツは何もかもわかったふうな口をきく。そのくせ肝心なことは教えてくれない。だがそれは今さらだ。俺は俺のやるべきことをやるだけだ。
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