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SCENE152 突入!樹海ダンジョン

ー/ー



「ここからが、樹海ダンジョンです」

 私たちは樹海ダンジョンの入口にやって来ていた。
 なんてことだろうか。そこは森の途中である。
 世界中にそんなに数のない地上ダンジョンだが、まさかこれほどまでに境界が曖昧とはなぁ。

「おい、見てくれ。あそこに柵があるぞ」

 色が何かに気がついたらしく、森の中に向けて指を差している。その先には、確かにチェーンのついた柵が見える。
 なるほど、あれがかつての境界だった場所というわけだ。これを見れば、ダンジョンが広がってきているというのはとても納得がいく。

「くそう、なんか寒気がするぜ」

「ほ、本当に大丈夫なのかしらね」

 今回の攻略チームを組む私たちの残りの二人、猪川(いがわ)兎波(となみ)の二人が震え上がっている。男の方が猪川で、女の方が兎波だ。
 二人も私たちのギルドの中では経験豊富な方だが、やはり樹海ダンジョンとなると反応が変わってくるようだ。アンデッド系は苦手みたいだな。
 ゾンビ系やスケルトン系なら物理攻撃は通じるが、ゴースト系やウィスプ系だと物理攻撃は通じないからな。

「ゴースト系は頼むぞ、色」

「はあ? なんで俺が」

「俺たちはほとんどが物理系だ。ゴースト系だと攻撃が通じないからしょうがないな、影島」

「しょうがないですねぇ……」

 私には反抗的な態度を取ったというのに、さすがに剛力さんにまでは逆らうことができなかったか。色の能力は基本的に支援型だから、戦闘でメインになるなんてことはありえない。
 だが、その支援型の能力が、こういう時には役に立つことになる。

「よしっ、そろそろ行くとするか」

「行きましょう」

 私たちは樹海ダンジョンに足を踏み入れる。
 踏み入れた瞬間、私たちの体にぞわっとした寒気が襲い掛かってくる。

「さすが、樹海ダンジョンだな。お化けが出るっていうのがよく分かるくらいに寒気が走るぜ」

「ひぃぃ。本当に大丈夫なんですかね」

「兎波、お前もここでは頼りになる方なんだ。魔法が使えるお前は、ゴースト系とかを相手にしてもらわないといけないからな」

「はいぃっ!」

 さすがの剛力さんでも、寒気がするのか。
 それにしても、兎波は怖がり過ぎじゃないだろうか。これじゃ先が思いやられるってもんだ。
 ならば、ここで少しでも安心できる要素を増やすしかないか。本当ならもっと早く出すべきだったんだろうが、なくされても困るから私がずっと持っていたんだ。

「まったく、困ったもんだな。ちょうどいいから、これを渡しておこう」

 私はウェストポーチから物を取り出すと、剛力さんたちに渡す。

「これは?」

「瞬のうろこと、ラティナの護石だ。瞬はラミアプリンセスだからな、うろこが魔法や精神系への抵抗を強めてくれるらしい」

「ほうほう。それでこっちの護石は?」

「ああ、ゴーレムのラティナの護石は、ある程度のダメージを防いでくれるんだ。パラダイスの鬼崎の攻撃すら跳ね返すくらい強力だから、持っていて損はないだろう」

「すごいな、それは」

 瞬のうろことラティナの護石を眺めながら、剛力さんはまじまじと見つめている。
 こういう防御系のアイテムっていうのは、割とあると心強いのは間違いない。私自身もあのシャボテンダンジョンで体験したからな。
 剛力さんに渡した後は、色たちにもちゃんと渡しておく。肌身離さず持っておくように念を押しながらな。なくしたら、間違いなくやばい気がするからな。

「これで少しは安心になったのはいいんだけど、どっちに進んでいくんですかね、剛力さん」

 入ったところで作戦会議だ。
 私が足止めしたのがいい機会になったようで、地図を広げながら会議が始まる。
 ここに来るまでも作戦会議はしたんだが、現地の雰囲気と私が渡したものとが加わって、状況が変化したからな。
 広げた地図は、過去に作成された公式な地図と、直近の衛星写真とを合成したものだ。雰囲気の変化から、おおよそのダンジョンの中心を割り出しているというわけだ。
 ただ、地図を手にしたからといっても、このダンジョンを正確に進んでいけるというわけじゃない。
 なんといっても、この樹海ダンジョンはそもそも磁場が狂っている。そこにマナが加わり、マナで動く道具類も影響を受けてしまうから厄介だ。
 だから、配信用ドローンだって、携帯電話だって使えなくなる。外部との連絡も取れなくなるから、ここに入って行方不明になった数は、正確に把握もできていない。まったく、面倒極まりないダンジョンだ。
 それでいて、どんどんと範囲を広げているんだから、本当に始末に負えない。管理局も手を焼くのも仕方ないし、ダンジョンブレイクの可能性があるというのも頷けるというものだ。

「よし、とにかく現状怪しいと思われる地点に向けて出発するぞ」

「おーっ!」

 作戦会議といえるのかどうか分からないが、ともかく現状ダンジョンの中心地と思われる場所に向けて出発する。
 ともかく、これ以上ダンジョンにのまれていく人を増やすわけにはいかない。
 私たちはギルド『百鬼夜行』として、ダンジョンの攻略を目指し、樹海の奥深くへと突き進んでいく。
 必ず攻略してやろうじゃないか。ダンジョンボスよ、首を洗って待っておけ。


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次のエピソードへ進む SCENE153 樹海ダンジョンを突き進め


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「ここからが、樹海ダンジョンです」
 私たちは樹海ダンジョンの入口にやって来ていた。
 なんてことだろうか。そこは森の途中である。
 世界中にそんなに数のない地上ダンジョンだが、まさかこれほどまでに境界が曖昧とはなぁ。
「おい、見てくれ。あそこに柵があるぞ」
 色が何かに気がついたらしく、森の中に向けて指を差している。その先には、確かにチェーンのついた柵が見える。
 なるほど、あれがかつての境界だった場所というわけだ。これを見れば、ダンジョンが広がってきているというのはとても納得がいく。
「くそう、なんか寒気がするぜ」
「ほ、本当に大丈夫なのかしらね」
 今回の攻略チームを組む私たちの残りの二人、|猪川《いがわ》と|兎波《となみ》の二人が震え上がっている。男の方が猪川で、女の方が兎波だ。
 二人も私たちのギルドの中では経験豊富な方だが、やはり樹海ダンジョンとなると反応が変わってくるようだ。アンデッド系は苦手みたいだな。
 ゾンビ系やスケルトン系なら物理攻撃は通じるが、ゴースト系やウィスプ系だと物理攻撃は通じないからな。
「ゴースト系は頼むぞ、色」
「はあ? なんで俺が」
「俺たちはほとんどが物理系だ。ゴースト系だと攻撃が通じないからしょうがないな、影島」
「しょうがないですねぇ……」
 私には反抗的な態度を取ったというのに、さすがに剛力さんにまでは逆らうことができなかったか。色の能力は基本的に支援型だから、戦闘でメインになるなんてことはありえない。
 だが、その支援型の能力が、こういう時には役に立つことになる。
「よしっ、そろそろ行くとするか」
「行きましょう」
 私たちは樹海ダンジョンに足を踏み入れる。
 踏み入れた瞬間、私たちの体にぞわっとした寒気が襲い掛かってくる。
「さすが、樹海ダンジョンだな。お化けが出るっていうのがよく分かるくらいに寒気が走るぜ」
「ひぃぃ。本当に大丈夫なんですかね」
「兎波、お前もここでは頼りになる方なんだ。魔法が使えるお前は、ゴースト系とかを相手にしてもらわないといけないからな」
「はいぃっ!」
 さすがの剛力さんでも、寒気がするのか。
 それにしても、兎波は怖がり過ぎじゃないだろうか。これじゃ先が思いやられるってもんだ。
 ならば、ここで少しでも安心できる要素を増やすしかないか。本当ならもっと早く出すべきだったんだろうが、なくされても困るから私がずっと持っていたんだ。
「まったく、困ったもんだな。ちょうどいいから、これを渡しておこう」
 私はウェストポーチから物を取り出すと、剛力さんたちに渡す。
「これは?」
「瞬のうろこと、ラティナの護石だ。瞬はラミアプリンセスだからな、うろこが魔法や精神系への抵抗を強めてくれるらしい」
「ほうほう。それでこっちの護石は?」
「ああ、ゴーレムのラティナの護石は、ある程度のダメージを防いでくれるんだ。パラダイスの鬼崎の攻撃すら跳ね返すくらい強力だから、持っていて損はないだろう」
「すごいな、それは」
 瞬のうろことラティナの護石を眺めながら、剛力さんはまじまじと見つめている。
 こういう防御系のアイテムっていうのは、割とあると心強いのは間違いない。私自身もあのシャボテンダンジョンで体験したからな。
 剛力さんに渡した後は、色たちにもちゃんと渡しておく。肌身離さず持っておくように念を押しながらな。なくしたら、間違いなくやばい気がするからな。
「これで少しは安心になったのはいいんだけど、どっちに進んでいくんですかね、剛力さん」
 入ったところで作戦会議だ。
 私が足止めしたのがいい機会になったようで、地図を広げながら会議が始まる。
 ここに来るまでも作戦会議はしたんだが、現地の雰囲気と私が渡したものとが加わって、状況が変化したからな。
 広げた地図は、過去に作成された公式な地図と、直近の衛星写真とを合成したものだ。雰囲気の変化から、おおよそのダンジョンの中心を割り出しているというわけだ。
 ただ、地図を手にしたからといっても、このダンジョンを正確に進んでいけるというわけじゃない。
 なんといっても、この樹海ダンジョンはそもそも磁場が狂っている。そこにマナが加わり、マナで動く道具類も影響を受けてしまうから厄介だ。
 だから、配信用ドローンだって、携帯電話だって使えなくなる。外部との連絡も取れなくなるから、ここに入って行方不明になった数は、正確に把握もできていない。まったく、面倒極まりないダンジョンだ。
 それでいて、どんどんと範囲を広げているんだから、本当に始末に負えない。管理局も手を焼くのも仕方ないし、ダンジョンブレイクの可能性があるというのも頷けるというものだ。
「よし、とにかく現状怪しいと思われる地点に向けて出発するぞ」
「おーっ!」
 作戦会議といえるのかどうか分からないが、ともかく現状ダンジョンの中心地と思われる場所に向けて出発する。
 ともかく、これ以上ダンジョンにのまれていく人を増やすわけにはいかない。
 私たちはギルド『百鬼夜行』として、ダンジョンの攻略を目指し、樹海の奥深くへと突き進んでいく。
 必ず攻略してやろうじゃないか。ダンジョンボスよ、首を洗って待っておけ。