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SCENE151 樹海ダンジョンについて

ー/ー



 樹海ダンジョンというのは、百鬼夜行の本部から西の方角に存在している森林の内部に存在するダンジョンだ。
 昔からいろいろ言われていることもあって、異界の空気ともなじみやすかったのだろう。案の定、そこはダンジョンと化してしまっていた。
 全ダンジョンの中でも珍しい、地上にのみ存在するダンジョンだが、その中心部まで到達した者はいない。
 ここでは配信ドローンも狂ったマナの影響を受けてまともに使えなくなる。それゆえに、謎に包まれたダンジョンでもあるってわけだ。
 こういう特殊なダンジョンであるためか、ダンジョンブレイクというものは非常に分かりにくい。はっきりと目に見えるような変化じゃないからな。だけど、剛力さんに言わせれば兆しがあるそうだ。
 私たちは、剛力さんの運転する車で移動しながら、中で説明を受ける。

「少しずつ、ダンジョンの範囲が広くなってきているそうだ」

「そうなんですか」

「ああ、違和感を確認した職員が目印をつけているんだが、その目印が日々遠ざかっているそうなんだ」

「なるほど、徐々に広がっているって感じですか」

「そういうことだ」

 ほう……。なんとも面倒なことだな。
 境目がないからこそ、どこからダンジョンかということが分かりにくい。気が付いたらのまれているということもあるわけなんだな。
 ちょくちょく行方不明の情報が流れてくるのは、知らない間にダンジョンにのみ込まれたからか。となると、そいつらはもう絶望的だな。よくて死んでいて、悪ければダンジョンのモンスターと化しているだろう。
 探索者適性のない人間というものは、マナに体が適応できないんだ。苦しみながら死ぬか、マナに意識を汚染されてモンスターと化すか、そのどちらかになる。
 ごくまれに、マナに汚染されて探索者として覚醒するらしいが、報告例は少ない。それこそ、ダンジョンが発生した頃にしか見られなかったことだ。最近では症例が少ないので、一般人がのみ込まれたのなら、生きていることは絶望的だろう。
 瞬のように自我を保っていられればいいのだが、普通の場合、モンスターと化した時点で人間としての自我は失われる。出くわしたら討伐するしかないってわけだ。

 高速道路を飛ばして、私たちは現場近くのダンジョン管理局に到着する。
 まずはダンジョン管理局の人たちに現状を確認しないとな。

「連絡を差し上げた、百鬼夜行の剛力です」

「遠いところ、よく来て下さいました。ダンジョン管理局富士山支局長の赤岳(あかだけ)です」

「早速ですが、樹海ダンジョンの詳しい状況をお聞かせいただいてもよろしいでそうか」

「はい。そのためにお呼びしたのですから、すぐにでも説明を始めさせていただきます」

 支局長である赤岳氏の案内で、私たちはすぐに会議室に案内される。
 会議室に入った時には、すでにプロジェクターが用意されており、すでに説明する準備が整っていた。
 前方には、樹海ダンジョンの上空からの映像が映っている。一応、衛星写真ではちゃんと全体が映っているみたいだ。
 しかし、その映像を見る限り、一部の空間が歪んでいるように見える。なるほど、これがマナの影響か。
 それにしても、この広大な森林の何割かがダンジョンかと思うと、どれだ広いんだっていう感じがするな。こうやって衛星写真を見ても、ダンジョンの中心がまったく把握できない。さすがは樹海って感じだよな。

「おい、衣織。話を聞くから、お前も席につけ」

「ああ、すまないな、剛力さん」

 すでに映っていた衛星写真の樹海ダンジョンを見つめていたら、剛力さんから注意されてしまった。よく見てみると赤岳氏も私のことをじっと見ているな。
 気にはなるが、座っておとなしく説明を聞くととしよう。
 私も会議のテーブルを囲むために座ると、ようやくダンジョン管理局から説明が始まる。
 ダンジョン管理局側は局長の赤岳氏と補佐をする職員が二名、私たち百鬼夜行は剛力さん以下五名だ。
 結局、剛力さんの車だけでやってきたからな。乗れる最大人数が五人だったからしょうがない。
 とはいえ、私たち百鬼夜行は少人数でもダンジョン攻略は可能なだけの実力は持ち合わせている。五人であっても何も問題はない。問題があるとすれば、ダンジョンの性質と合うかどうかっていうところだろう。
 それを判断するには、今は説明を聞くしかないな。

 どっしりと真剣な表情で、私たちはダンジョン管理局からの説明を受ける。
 それによれば、最近はダンジョンの範囲が広がるペースが速まってきており、そのうち、ダンジョン管理局のある辺りまで飲み込まれてしまう可能性があるのだという。これは急いだ方がよさそうな感じだな。
 話を聞きながら、私は剛力さんや他のメンバーへと視線を向ける。
 剛力さんはいいとしても、色と残りの二人はあんまり乗り気じゃない感じだな。場所の関係上、アンデッド系のモンスターがたくさん出てきそうだからな。そういうのが苦手ならば、まあしょうがないというものだ。
 だが、この依頼を受けた以上は、管理局の説明をきちんと最後まで聞かないとな。

 その後、約一時間にも及ぶ説明が終わる。
 さあ、聞いた以上は判断をしないとな。もちろん、私は行く。
 あとは剛力さんたちの判断を待つだけだ。


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次のエピソードへ進む SCENE152 突入!樹海ダンジョン


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 樹海ダンジョンというのは、百鬼夜行の本部から西の方角に存在している森林の内部に存在するダンジョンだ。
 昔からいろいろ言われていることもあって、異界の空気ともなじみやすかったのだろう。案の定、そこはダンジョンと化してしまっていた。
 全ダンジョンの中でも珍しい、地上にのみ存在するダンジョンだが、その中心部まで到達した者はいない。
 ここでは配信ドローンも狂ったマナの影響を受けてまともに使えなくなる。それゆえに、謎に包まれたダンジョンでもあるってわけだ。
 こういう特殊なダンジョンであるためか、ダンジョンブレイクというものは非常に分かりにくい。はっきりと目に見えるような変化じゃないからな。だけど、剛力さんに言わせれば兆しがあるそうだ。
 私たちは、剛力さんの運転する車で移動しながら、中で説明を受ける。
「少しずつ、ダンジョンの範囲が広くなってきているそうだ」
「そうなんですか」
「ああ、違和感を確認した職員が目印をつけているんだが、その目印が日々遠ざかっているそうなんだ」
「なるほど、徐々に広がっているって感じですか」
「そういうことだ」
 ほう……。なんとも面倒なことだな。
 境目がないからこそ、どこからダンジョンかということが分かりにくい。気が付いたらのまれているということもあるわけなんだな。
 ちょくちょく行方不明の情報が流れてくるのは、知らない間にダンジョンにのみ込まれたからか。となると、そいつらはもう絶望的だな。よくて死んでいて、悪ければダンジョンのモンスターと化しているだろう。
 探索者適性のない人間というものは、マナに体が適応できないんだ。苦しみながら死ぬか、マナに意識を汚染されてモンスターと化すか、そのどちらかになる。
 ごくまれに、マナに汚染されて探索者として覚醒するらしいが、報告例は少ない。それこそ、ダンジョンが発生した頃にしか見られなかったことだ。最近では症例が少ないので、一般人がのみ込まれたのなら、生きていることは絶望的だろう。
 瞬のように自我を保っていられればいいのだが、普通の場合、モンスターと化した時点で人間としての自我は失われる。出くわしたら討伐するしかないってわけだ。
 高速道路を飛ばして、私たちは現場近くのダンジョン管理局に到着する。
 まずはダンジョン管理局の人たちに現状を確認しないとな。
「連絡を差し上げた、百鬼夜行の剛力です」
「遠いところ、よく来て下さいました。ダンジョン管理局富士山支局長の|赤岳《あかだけ》です」
「早速ですが、樹海ダンジョンの詳しい状況をお聞かせいただいてもよろしいでそうか」
「はい。そのためにお呼びしたのですから、すぐにでも説明を始めさせていただきます」
 支局長である赤岳氏の案内で、私たちはすぐに会議室に案内される。
 会議室に入った時には、すでにプロジェクターが用意されており、すでに説明する準備が整っていた。
 前方には、樹海ダンジョンの上空からの映像が映っている。一応、衛星写真ではちゃんと全体が映っているみたいだ。
 しかし、その映像を見る限り、一部の空間が歪んでいるように見える。なるほど、これがマナの影響か。
 それにしても、この広大な森林の何割かがダンジョンかと思うと、どれだ広いんだっていう感じがするな。こうやって衛星写真を見ても、ダンジョンの中心がまったく把握できない。さすがは樹海って感じだよな。
「おい、衣織。話を聞くから、お前も席につけ」
「ああ、すまないな、剛力さん」
 すでに映っていた衛星写真の樹海ダンジョンを見つめていたら、剛力さんから注意されてしまった。よく見てみると赤岳氏も私のことをじっと見ているな。
 気にはなるが、座っておとなしく説明を聞くととしよう。
 私も会議のテーブルを囲むために座ると、ようやくダンジョン管理局から説明が始まる。
 ダンジョン管理局側は局長の赤岳氏と補佐をする職員が二名、私たち百鬼夜行は剛力さん以下五名だ。
 結局、剛力さんの車だけでやってきたからな。乗れる最大人数が五人だったからしょうがない。
 とはいえ、私たち百鬼夜行は少人数でもダンジョン攻略は可能なだけの実力は持ち合わせている。五人であっても何も問題はない。問題があるとすれば、ダンジョンの性質と合うかどうかっていうところだろう。
 それを判断するには、今は説明を聞くしかないな。
 どっしりと真剣な表情で、私たちはダンジョン管理局からの説明を受ける。
 それによれば、最近はダンジョンの範囲が広がるペースが速まってきており、そのうち、ダンジョン管理局のある辺りまで飲み込まれてしまう可能性があるのだという。これは急いだ方がよさそうな感じだな。
 話を聞きながら、私は剛力さんや他のメンバーへと視線を向ける。
 剛力さんはいいとしても、色と残りの二人はあんまり乗り気じゃない感じだな。場所の関係上、アンデッド系のモンスターがたくさん出てきそうだからな。そういうのが苦手ならば、まあしょうがないというものだ。
 だが、この依頼を受けた以上は、管理局の説明をきちんと最後まで聞かないとな。
 その後、約一時間にも及ぶ説明が終わる。
 さあ、聞いた以上は判断をしないとな。もちろん、私は行く。
 あとは剛力さんたちの判断を待つだけだ。