第3話〜結論〜
ー/ー 居酒屋についた。今回は笹倉夫婦からのお誘いだし、前回のような大事件にはならないだろう。
この考えが甘かったのだろう。
「おいーっす」
奈緒だ。相変わらずのラフさだ。これでもやるときはやるということを知っている。男性の親友を挙げろと言われたら奈緒を挙げるだろう。
奈緒との出会いは笹倉の彼氏として紹介された。ちょうど、その日笹倉の誕生日が近く、誕生日プレゼントとして『きのこ』栽培キットを買っていた。笹倉は無類のきのこ好きだ。しかし、奈緒は無類のきのこ嫌いだ。奈緒はオムライス専門店でご飯の中にきのこが見えれば横に置くタイプの筋金入りだ。
「おまえー、あの時のきのこジュース事件忘れてないからなぁ」
きのこジュース事件とは、俺があげたきのこ栽培キットで収穫したきのこでジュースを作られたのだ。家にあるピッチャー全部相当のきのこジュースができあがったほどの量だったと聞いている。少し前に聞いたが、この時、奈緒は少しだけ笹倉と別れようかと考えたらしい。
「いや、もう何年前よ!?」
「はろーん」
推しのラグビー選手引退で凹んでいる笹倉が店から出てきた。用意ができたから入店しようと言っている。席に案内された。
「とりあえず生で」
笹倉夫婦は生ビールを頼んだ。俺はビールは苦いので苦手意識がある。奈緒とサシで飲んだこともある。その時、奈緒に『ビールはのどごしを感じるもの』と教わった。この時もらったビールが特にのどごしより先に、ビール特有の苦味を強く感じたのだ。
「俺はカルーアミルクで」
その後、ゆるゆる飲み食いしていた。学生時代の話だったり、新人アイドルがどんどん年下になるとか。ほとんどが他愛のない雑談だ。
飲みなんてそんなもんだろう。
奈緒がふっとラフにも神妙にも見える表情で聞いてきた。
「……男女の友情は成り立つと思う?」
「え、俺は成り立つと思ってるよ? それこそ笹倉ともそうだし」
「だよねー! 君と恋愛とか知り合った学生の頃から考えたことなかったわー。まぁ、君は昔はあったみたいだけど」
『あれは憧れを……』と説明をした。その後、笹倉とは友情トークで盛り上がった。ずっとその笹倉の横で苦虫を噛み潰したような顔を奈緒はしていた。
ドリンクのラストオーダーを店員さんが取りに来てずっと同じ酒を飲んでいたのでそのまま生ビール2つとカルーアミルクを頼んだ。
グラス交換制なので奈緒が残った生ビールを一気に飲み、ドォンと力強くグラスを置いた。
「オレはさぁー、君が学生の頃に桜華を好きだったこと知ってるし、まだ好きだと思っているんだよ!!」
「え……」
「おかしいだろ、毎日のようにwireしていてさ」
「……」
確かにwireは毎日のようにしている。と言っても『好き』だなんて言ってないし、笹倉はどこをどうとっても今も昔も友達だ。それは共通認識のはずだ。奈緒もそれを知っているはすだ。
「仕事終わって桜華と話すにも、だいたい君の名前がでてくるし、家の中でヘマすりゃ『君ならこんなヘマしなかった』と比較されるんだよ!? オレは君らの20年以上の付き合いに比べればポッと出だよ!! でも、オレにはあるんだよ!! 桜華との濃密な恋人や夫婦生活があるんだよ!!」
「……」
思うことはある。だが、ここで反論すべきじゃない。奈緒は言いたいこと全部いうべきだ。そして、すっきりして帰るべきだ。俺との友情よりも奈緒は人生の伴侶を優先すべきだ。
「夫はオレなんだ!! 君は立場上友達でしかない! もっと、家の中だけでもオレを優先すべきだ!」
ポトッと大粒の涙が奈緒から落ちた。
「……奈緒は俺にどうしてほしい?」
「わからないんだよ!! 桜華は大事な配偶者だよ!! なんなら結婚して長いけど恋愛感情はまだずっと心のあちこちにちゃんとあるんだ!!」
「……そっか」
「君も……オレの中では大事な友達なんだよ!!」
タイミング悪く店員さんがラストオーダーのお酒を持ってきた。雰囲気の悪さに店員さんもビクビクしていた。後々聞いたが、この店員さんはバイトではなく笹倉の親族だった。
「奈緒……」
「大事な友達で同性だから親友だと思っているんだよ!! でも、桜華とのこと考えたら……」
その後、話は有耶無耶になったまま解散した。俺は極力、俺から笹倉にwireするのをやめようと思った。
「笹倉と奈緒、うまくいってればいいんだけどなぁ」
――男女の友情成り立つかどうか論争は永遠に続く……か。
この考えが甘かったのだろう。
「おいーっす」
奈緒だ。相変わらずのラフさだ。これでもやるときはやるということを知っている。男性の親友を挙げろと言われたら奈緒を挙げるだろう。
奈緒との出会いは笹倉の彼氏として紹介された。ちょうど、その日笹倉の誕生日が近く、誕生日プレゼントとして『きのこ』栽培キットを買っていた。笹倉は無類のきのこ好きだ。しかし、奈緒は無類のきのこ嫌いだ。奈緒はオムライス専門店でご飯の中にきのこが見えれば横に置くタイプの筋金入りだ。
「おまえー、あの時のきのこジュース事件忘れてないからなぁ」
きのこジュース事件とは、俺があげたきのこ栽培キットで収穫したきのこでジュースを作られたのだ。家にあるピッチャー全部相当のきのこジュースができあがったほどの量だったと聞いている。少し前に聞いたが、この時、奈緒は少しだけ笹倉と別れようかと考えたらしい。
「いや、もう何年前よ!?」
「はろーん」
推しのラグビー選手引退で凹んでいる笹倉が店から出てきた。用意ができたから入店しようと言っている。席に案内された。
「とりあえず生で」
笹倉夫婦は生ビールを頼んだ。俺はビールは苦いので苦手意識がある。奈緒とサシで飲んだこともある。その時、奈緒に『ビールはのどごしを感じるもの』と教わった。この時もらったビールが特にのどごしより先に、ビール特有の苦味を強く感じたのだ。
「俺はカルーアミルクで」
その後、ゆるゆる飲み食いしていた。学生時代の話だったり、新人アイドルがどんどん年下になるとか。ほとんどが他愛のない雑談だ。
飲みなんてそんなもんだろう。
奈緒がふっとラフにも神妙にも見える表情で聞いてきた。
「……男女の友情は成り立つと思う?」
「え、俺は成り立つと思ってるよ? それこそ笹倉ともそうだし」
「だよねー! 君と恋愛とか知り合った学生の頃から考えたことなかったわー。まぁ、君は昔はあったみたいだけど」
『あれは憧れを……』と説明をした。その後、笹倉とは友情トークで盛り上がった。ずっとその笹倉の横で苦虫を噛み潰したような顔を奈緒はしていた。
ドリンクのラストオーダーを店員さんが取りに来てずっと同じ酒を飲んでいたのでそのまま生ビール2つとカルーアミルクを頼んだ。
グラス交換制なので奈緒が残った生ビールを一気に飲み、ドォンと力強くグラスを置いた。
「オレはさぁー、君が学生の頃に桜華を好きだったこと知ってるし、まだ好きだと思っているんだよ!!」
「え……」
「おかしいだろ、毎日のようにwireしていてさ」
「……」
確かにwireは毎日のようにしている。と言っても『好き』だなんて言ってないし、笹倉はどこをどうとっても今も昔も友達だ。それは共通認識のはずだ。奈緒もそれを知っているはすだ。
「仕事終わって桜華と話すにも、だいたい君の名前がでてくるし、家の中でヘマすりゃ『君ならこんなヘマしなかった』と比較されるんだよ!? オレは君らの20年以上の付き合いに比べればポッと出だよ!! でも、オレにはあるんだよ!! 桜華との濃密な恋人や夫婦生活があるんだよ!!」
「……」
思うことはある。だが、ここで反論すべきじゃない。奈緒は言いたいこと全部いうべきだ。そして、すっきりして帰るべきだ。俺との友情よりも奈緒は人生の伴侶を優先すべきだ。
「夫はオレなんだ!! 君は立場上友達でしかない! もっと、家の中だけでもオレを優先すべきだ!」
ポトッと大粒の涙が奈緒から落ちた。
「……奈緒は俺にどうしてほしい?」
「わからないんだよ!! 桜華は大事な配偶者だよ!! なんなら結婚して長いけど恋愛感情はまだずっと心のあちこちにちゃんとあるんだ!!」
「……そっか」
「君も……オレの中では大事な友達なんだよ!!」
タイミング悪く店員さんがラストオーダーのお酒を持ってきた。雰囲気の悪さに店員さんもビクビクしていた。後々聞いたが、この店員さんはバイトではなく笹倉の親族だった。
「奈緒……」
「大事な友達で同性だから親友だと思っているんだよ!! でも、桜華とのこと考えたら……」
その後、話は有耶無耶になったまま解散した。俺は極力、俺から笹倉にwireするのをやめようと思った。
「笹倉と奈緒、うまくいってればいいんだけどなぁ」
――男女の友情成り立つかどうか論争は永遠に続く……か。
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